『METROPOLITAN JAZZ Vol.8 TOKYO PIANO NIGHT』山中千尋のオフィシャルインタビューが到着
山中千尋
東京の「いまとこれから」のジャズ発信するシリーズとして昨年スタートした『METROPOLITAN JAZZ』。10月17日(金)に開催が迫った第8目は東京の文化のランドマーク東京芸術劇場にてTOKYO PIANO NIGHTを開催する。
ジャズの歴史を刻み続ける現代最高峰のジャズピアニスト、巨匠ケニー・バロンと、まさに比類なき活躍を見せるジャズピアニスト、山中千尋。二人がそれぞれのトリオを率いて夢の競演を果たす。
「現代最高のリリカルなピアニスト」と称され、NEAジャズ・マスターにも選出されたケニー・バロンが率いるのは、伝統的なジャズとフォークロア音楽を融合させた独自のスタイルで最注目の若手女性ドラマー、サヴァンナ・ハリスと、ケニーの盟友にしてケニー・ギャレットやトミー・フラナガンらとの共演を重ねてきた実力派ベーシスト、北川潔。
一方、ニューヨークを拠点に世界各国で活躍を続ける山中千尋は、繊細さとパワフルさを兼ね備えたドラミングでアーティストたちから絶大な信頼を寄せられる江藤良人、そしてジャンルを超えて精力的な活動を続け、内外で人気・実力を誇るベーシスト、井上陽介とのトリオで登場する。
ジャズのレガシーを未来に繋ぐ2組のピアノ・トリオによる、迫力と優美に満ちた演奏を堪能しよう。
今回開催に先立ち、山中千尋に直前インタビューを敢行した。
ーーこの度はMETROPOLITAN JAZZ VOL.8 TOKYO PIANO NIGHTへのご出演、どうもありがとうございます。今回の山中さんのトリオについて教えてください。
実は江藤さんは、私が最初にデビューした時に一緒に演奏していただいていた方なんです。スウィング感が素晴らしいストレート・アヘッドなジャズドラマーです。
江藤さんもベースの井上さんも、私にとっては憧れの先輩で、特別な時にしかお声がけしないのですが、今回はこのTOKYO PIANO NIGHTのためにご一緒していただけるようお願いしました。本当にスペシャルなトリオになります。おふたりとご一緒できることを楽しみにしています。
ーーどんなステージを披露してくださいますか。
演目については、お客さんが割と親しんでいらっしゃるスタンダードの曲を編曲したものが多くなると思いますのでお楽しみに!「イパネマの娘」とか「サマータイム」も演奏する予定です。
ーー会場の東京芸術劇場には山中さんは過去にも何度も出演されていますが、ホールでの演奏に向けた意気込みを教えてください。
演奏する時の気持ちみたいなのものはどの会場でも全然変わらないんですけども、特に東京芸術劇場については音の響きが豊かなすごくいいホールだと思います。しかも音が回らずにすごくしまってタイトに聴こえるので、とても楽しみです。さらに、ステージ上で聴く音と、客席のお客様がお聴きになっている音がすごく近いという点もすごいな、と思います。
ーー今回はジャズレジェンドのケニー・バロン氏のトリオと山中千尋さんのトリオのふたつのピアノトリオの競演というプログラムです。山中さんにとってピアノトリオとは?
そうですね。ピアノトリオはやっぱり、一番最小限の人数で、一番最大限会話ができるみたいな、そういうイメージがあります。これからもカルテットとかいろんなプロジェクトにストレッチしたいなと思っているんですけども、でも、やっぱり、ピアノトリオは格別です。ピアノ、ベース、ドラムスという構成ですが、ピアノもベースや打楽器の役割を果たすこともあります。ピアノトリオは、お互いがお互いの役割も担う特別な関係だというようにいつも思います。
ーーケニーさんに対する思いをお聞かせください。
もう10何年以上前ですが、富士通スペシャル 100 GOLD FINGERSというイベントでケニーさんとご一緒したことがあります。日本各地を回る中で、私、バスの中で寝てばっかりいたので、「スリーピングビューティ」とか言われてたんです。
私も学生時代は、ケニーさんのれこそトランスクリプションを一所懸命勉強しました。かっこいい曲がいっぱいあって、セッションでも演奏しました。なかでもすごく印象に残ってるのは、やっぱりスタン・ゲッツとやってたデュオアルバム「ピープル・タイム」でしょうか。もう神様みたいな方で、今回ご一緒できるのとても楽しみにしています。
ケニーさんのライブに行くと、いつもなんか新しい発見があります。絶えず進化していらしゃることが本当にすごいと思います。皆様もケニーさんのトリオを必ず楽しんでいただけると思います。
ーー今年は山中さんにとってメジャーデビュー20周年。おめでとうございます。この20年間振り返ってみていかがでしたか。
ここまで続けてこられたのは、応援してくださった方やご関係者の皆様に支えていただいたおかげです。20周年を迎えて、これからもっとちゃんと頑張らないといけないなと、緊張しているところです。そして、できるうちにいろいろな経験をしておきたいと思います。今年20年経ったので、またあと10年頑張れるように頑張りたいと思います。
ーーこの20年間、ジャズシーンは変わったように感じますか?
すごく変わりましたね。私が始めた頃は、「これはジャズだ、これはジャズじゃない」なんていうことをおっしゃる方も多かったですが、今は、もうそんなことはひょいと飛び越えて、ジャズっていうものの見方も変わりましたし、聴き方も変わりました。いろんな種類があって、アーティストの数だけジャズが存在が許されるということだと思いますし、私は本当にそれはいいことだったと思うんです。そしてきっと、ジャズの音楽にとっても、とってもいいことだと思います。
その中でストレートアヘッドをやりたいっていう人たちも出てくると思います。だからこそ、いろんな多様化されたジャズが共存できる、そういう社会になってるのかなという風に考えています。なんか時代と同じで感じですね、ほんとに。
ーー山中さんご自身の、今後の目標やご活動について教えてください。
これからいただくお仕事に対してもそうなんですけど、やっぱり自分自身本当に今しかないっていう気持ちで演奏していかないといけないと思います。個人的なことですが、、友人を亡くしたりしたことがもういくつかあったのでなおさらそう思います。できる限りピアノに触れて、あの、音楽に触れて、そういう、なんか充実した生活が、音楽と共に豊かな生活が送れればいいなっていう風に思っています。
ーー10月17日のコンサートを楽しみにしてらっしゃるファンの皆様へ一言、お願いできますか?
今回は、ケニー・バロンさんという、もう素晴らしい巨匠ピアニストのトリオの皆さんとステージをご一緒させていただくことになりました、私自身も、とても楽しみにしています。「百聞は一見にしかず「っていう言葉がありますけども、ジャズはその言葉そのものですので、ぜひ会場で何が起こるかを、聴きに、そして見にいらしてください。
取材・文=八島敦子(エイトアイランズ株式会社・METROPOLITAN JAZZプロデューサー)
公演情報
2025年10月17日(金)
東京芸術劇場