“奇跡を起こす”ということで結成されたヒーローは世界を救えるのか!? 劇団SET『地球クライシスSOS~奇跡を起こせ!ロウジンジャーズ~』ゲネプロレポート
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劇団スーパー・エキセントリック・シアター 第63回本公演 ミュージカル・アクション・コメディー『地球クライシスSOS~奇跡を起こせ!ロウジンジャーズ~』舞台写真
三宅裕司、小倉久寛らが中心となり結成された劇団スーパー・エキセントリック・シアターが、東京・サンシャイン劇場で、2025年10月23日(木)に第63回本公演『地球クライシスSOS~奇跡を起こせ!ロウジンジャーズ~』の上演をスタートした。20代から70代までの劇団員がダンスや歌、時事ネタなどを取り入れたミュージカル・アクション・コメディーを展開。劇場が揺れるほどの笑いを巻き起こしている。上演は同所で11月3日(月・祝)まで。SPICEでは舞台の様子をレポートする。
創立46年目を迎えた最新作は、劇団員の小暮邦明が初めて本公演の脚本を担当。冒頭では、少子高齢化によって過疎化が進む小さな村で、先人達から受け継いだ歴史を守ろうとする年長者達と、村の魅力を動画で発信し、活性化を図りたい若者達との対立に焦点を当てている。
知りたい情報に簡単にアクセスできるインターネットは便利だが、情報の真意を疑わず鵜呑みにする若者達はトラブルも呼び寄せてしまう。誤情報が拡散され、偽情報が真実となる恐ろしさを知る年長者達の間にある溝は埋まらないままだった。
そんな小さな村のいざこざを知るよしもない、内閣総理大臣・大泉進三郎の元に、アメリカ政府から極秘命令が舞い込んだ。それは「地球外生命体との交渉」という奇想天外なもの。大泉大臣は早速、大臣らを呼び集め交渉に向けた対策を練り始めた。
集まった大臣は一癖も二癖もありそうな面々。今夏、スーツにオシャレなパナマ帽かぶった姿がSNS上で「ゴッドファーザーファッション」と話題になったあの政治家を思わせる大臣は口を開けば文句ばかり。デジタル庁の大臣はAIを駆使し「宇宙人の言葉を解析した!」と息巻くが、誰も地球外生命体との交渉人には名乗りを上げない。責任を押しつけ合う様子は、今の社会とも重なった。
官房長官を演じる三宅がしぶしぶ承諾し、交渉の場に立つ人選を進めていく。しかしそこに現れたのは、霊能力者など詐欺師のような人物ばかり。難航する中で「これまでの人生で奇跡を起こし、豊富な人生経験を持つ老人が適任」と決め選考が始まった。
5人目の老人として白羽の矢が立ったのは、過疎化が進む冒頭の村で奇跡の野菜を作った農業従事者の田中耕作(小倉)だった。蚊や植物と会話が出来る田中の元へ、官房長官(三宅)がスカウトに出向く場面は、スーパー・エキセントリック・シアターの見せ場のひとつ。「アベック」など死語を連発する田中に官房長官がするどい突っ込みを入れるなど、まるで即興のような掛け合いで笑わせていた。
防衛大臣の某政治家の顔がちらつく総理大臣。特徴的なダンスや衣裳が印象的な4人組ダンスボーカルユニットに似たセーラー服のダンサー達。可愛らしさとギャップのある独特なパフォーマンスでブレイクした女性タレントと見まごう、“そのちゃん“など、出てきただけで笑ってしまう登場人物が多い。話題になった発言などが組み込まれたセリフには時代を象徴するものもあり、にやりとさせられる。
選ばれた「ロウジンジャーズ」は地球外生命体との対面で奇跡を起こすことが出来るのか!? ぜひ劇場で見届けてほしい。
取材・文=翡翠
公演情報
会場:サンシャイン劇場
※開場は開演の45分前です。 ※未就学児のご入場はご遠慮いただきます。
※車椅子でご入場のお客様はご購入前に
脚本:小暮邦明
演出:三宅裕司
出演:三宅裕司 小倉久寛
永田耕一 田上ひろし 野添義弘 岩永新悟 赤堀二英 西海健二郎
おおたけこういち 安田 裕 榊 英訓 栗原功平 岩澤晶範 長谷川慎也
辻 大樹 時松研斗 浅田壮摩 大城麗生 千葉雅大 宮下幸生 白倉基陽
三谷悦代 杉野なつ美 丸山優子 白土直子 良田麻美 南波有沙
久下 恵 山口麻衣加 鎌田麻里名 立川ユカ子 白井美貴 山城屋理紗
須田 歩 村田彩夏 鶴田 彩 高山夏姫 宮原 遥 松浦穂華
S席:8,500円 / A席:(土日祝):7,000円 /A席:(平日):4,500円
SETインフォメーション info@set1979.com