「またやろうぜ」X-DASHと宇宙のどこかでこのライブを見守っていただろう男からのメッセージ

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音楽
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X-DASH

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X-DASH 「スガ兄さん追悼集会」2025.11.17(mon)渋谷CLUB QUATTRO

11月17日、東京・渋谷クラブクアトロでX-DASH 「スガ兄さん追悼集会」を観た。8日の大阪・阿倍野ROCK TOWNと合わせて、2日間とも超満員でフロアはパンパンだ。ライブを愛した男を送るには、ライブが最もふさわしい。背後のビジョンにSOTAの作ったトニオちゃんのアニメが流れる開演前から、ざわめきや指笛や叫び声があちこちで聞こえる。湿っぽいムードはまったくない。

「ツァラトゥストラはかく語りき」に乗って、巨大な地球の向こう側に太陽みたいな笑顔のGONGONが映し出される。爆音で「GO GO B-DASH!」が流れ、大合唱の中でTANAMAN、ARASE、IMANISHI、SOTAがステージに登場する。オープニングからすさまじい盛り上がりの中、「ENDLESS CIRCLE」からライブはスタート。頭にタオルを巻いたARASE、黒キャップのTANAMAN、ヒゲのIMANISHI、そしてサンプラーを手にセンターで飛び跳ねるSOTA。続く「ホホイ」へ。

X-DASH

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「盛り上がることが追悼になると思うから。今日、本気で盛り上がらないと次はいつできるかわかんないから。死ぬ気で盛り上がっていきましょう!」(SOTA)

知らない曲なんて一つもない。「Get it way」「KIDS」「ハーコー」と、シンガロングが途切れない。TANAMANが手を上げてフロアを煽る。ベースが主役の「ハーコー」ではARASEがTANAMANを指さして「こいつを見ろ!」とばかりに叫んでる。うつむいてギターに没頭してるストイックなIMANISHIもかっこいい。SOTAも全力で歌ったり踊ったり、初体験のフロントマンの役割を堂々と務めてる。

今日という日が叶ったのは本当にありがたいことで…と、しゃべりだした途端に感情が溢れて言葉に詰まるARASEに、「こいつ2曲目で泣いてたから」とSOTAが突っ込む。「俺がしゃべっていい?」とTANAMANが引き継ぐ。「兄さんのお墓参りに行った時に、池上本門寺の茶屋で、この4人で追悼ライブをしようと決めました。一生懸命練習してきました。みんなも一緒に歌ってください!」と叫ぶ、TANAMANの声も少し震えてる。だがまだ序盤だ。泣くには早い。

SOTA

SOTA

IMANISHI

IMANISHI

「メロディック本門寺」をTANAMANが歌い、寡黙なIMANISHIが「一番好きな歌です」と紹介して自ら「GOD OF MUSIC」を歌う。「VOICE OF TRUTH」をARASEが、「スラマッパギ」をSOTAが歌う。聴き慣れた曲が新たな歌声を得て生き生きと蘇る。太く力強いTANAMAN、渋くしゃがれたIMANISHI、とにかく魂込めて振り絞るARASEとSOTA。どの声も素敵だ。

しっとりメロウな「フーファイ」を経て、ここからはSOTAの渾身の力作アニメの出番だ。猛スピードで突っ走る「やまびこ」「愛するPOW」「ちょ」に合わせ、カラフルな3D空間の中をトニオちゃんやアニメ5億年ボタンの美少女キャラ達や様々なキャラクターが歌い飛び踊り走る。曲に合わせてキャラがヘドバンするのも芸が細かい。SOTAがトニオちゃんのお面をかぶってはしゃいでる。フロアはとんでもない盛り上がりだ。

X-DASH

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「急ぐと終わっちゃうから、ゆっくりやろうぜ。時間いっぱい粘ってやろうぜ!」(TANAMAN)

ここから再びメンバー歌唱コーナーへ。IMANISHIがタイトルのきっかけになった「人造ライダーイマーン」をTANAMANが歌う。「目を閉じてGONGONの顔を浮かべてください。なぜか笑ってるでしょ?」と、ARASEが歌詞に合わせた粋な曲紹介をして「コントレイル」を歌う。♪君とどこまでも行こうよ…「って言ったじゃねぇかよ!」と、歌いながら感情が爆発するからこっちも平常心じゃいられない。さらに「Gonna way」はTANAMAN、「ターボ」をIMANISHI。そしてTANAMAN作詞作曲の「ROOF TOP」。TANAMANの声はメロディックな曲に太さと深さを付け加えて、こんなにいい声だったのかと目を開かれる思いがする。

次の曲は新曲です。「ここでしか見れません!」とSOTAが言って3人は爆音で演奏。しかし歌は残る。そして何度でも歌える。

「あと3曲で終わりです。俺たちの懐かしの青春、B-DASH的なノリのライブを味わえるのもあと3曲だから。しっかり味わっていきましょう」

ラスト3曲は思い残すことのないように全力疾走。猛烈ヘヴィなハードコア「Water Pow」から明快メロディック「情熱たましい」、そしてSOTAが「みんなで歌おう!」と呼びかけ、ARASEの「燃え上がっていこうぜ!」の叫びと共にラストソング「炎」へ突入。SOTAがマイクを客席に向ける。すさまじいシンガロングの声量がバンドの音を上回る。B-DASHはみんなの歌だ。GONGONがいなくても、みんなの歌だ。

TANAMAN

TANAMAN


ARASE

ARASE

「マイクを通さないと恥ずかしくて言えないんで言わせてください。SOTAくん、動画を作って、ボーカルもやってくれて、ありがとう。IMANISHIくん、ブランクを取り戻すべく練習して、ここまで仕上げてくれて、ありがとう。TANAMAN、俺が18の時にバンドに誘ってくれて、そしてこのイベントも真っ先に「やろう」と言ってくれて、本当にありがとう」(ARASE)

アンコールの冒頭、ARASEの長いMCを要約すればつまりそういうことだ。B-DASHの歴史は感謝でできている。SOTAが作詞した「平和島」をSOTAが歌い、「Race Problem」と「MI・SO・SHI・RU」で大合唱がフロアを包み込む。鳴りやまない拍手に呼び戻された4人が、想定外のダブルアンコールに応えて「パパーラ」を、そして今日二度目の「ちょ」を全力で演奏する。全く意味のない歌詞のこの曲が、これほど強い感動を呼び起こすのを奇跡と呼ばずに何と呼ぼう。

終わってみればほぼ2時間に近い濃密時間。ステージを降りるメンバーに、そして宇宙のどこかでこのライブを見守っているだろう男へ送られる熱い拍手と歓声。メンバーは「またやろうぜ」と言ってくれた。どうなるかはわからない。しかし見たい時に見ておかないと二度と見られなくなることもあるということを僕らは知った。B-DASHの歌は生きることの素晴らしさを歌ったものばかりだと今日あらためて気づいた。生きていこう。


取材・文=宮本英夫

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