「見ている方も誰かに共感できるはず」~吉高由里子が念願の蓬莱竜太作品に挑む『シャイニングな女たち』が開幕
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』会見より (左から)桜井日奈子、さとうほなみ、吉高由里子、山口紗弥加
1999年に劇団モダンスイマーズを旗揚げし、外部公演でも多くの作品を手がけている蓬莱竜太が、2023年に脚本・演出を務めた『ひげよ、さらば』以来2年ぶりにパルコ・プロデュース公演に登場する。
『シャイニングな女たち』の主演を務めるのは、かねてより蓬莱作品への出演を熱望してきた吉高由里子。さらにさとうほなみ、桜井日奈子、小野寺ずる、羽瀬川なぎ、李そじん、名村辰、山口紗弥加ら実力派キャストが顔を揃えている。開幕を前に、プレスコールと吉高、さとう、桜井、山口が登壇した開幕前会見が行われた。
作・演出 蓬莱竜太コメント
この作品は悲劇が連鎖していく物語でもあります。その連鎖は自分の知るところから起こることはもちろん、全く知る由もない連鎖で起きることもあります。人はその原因がわからなくても、戦わなければならず、歩き続けなければなりません。今作の登場人物たちもその戦いに身を投じ、時には負けそうにもなります。それでも抗いながら前を向こうとする姿をこの作品で描けたらと思っています。いよいよ初日を迎えます。役者たちがこの作品に向かうその姿も登場人物たちと重なる気がしています。
開幕前会見レポート
ーー初日を前にした今の気持ちや意気込みはいかがでしょう。
吉高:11月1日から稽古が始まり、あっという間の1ヶ月でした。まだ実感がないけど、始まったら終わりに向かっていくと思うと、稽古場の思い出がフラッシュバックします。みんなで無事に駆け抜けられたらいいなと思っています。
さとう:稽古が始まった当初は台本が最後まで完成していなくて(笑)。全部完成したものを演じ、蓬莱さんの作品は本当に面白いなあと感じています。皆さんにも楽しんでいただけたら嬉しいです。
桜井:やる気は満々です。蓬莱さんの作品に出演するのは念願だったので嬉しいです。本当に素敵な先輩たちとご一緒できるので、スキルを盗みたいと思います。
山口:毎回舞台が終わる頃には号泣してしまうような、胸を打たれる作品です。フットサルで体を酷使するので怪我なく。チーム力を見せつけたいです。
(左から)桜井日奈子、さとうほなみ、吉高由里子、山口紗弥加
ーーご自身が演じる役の見どころを教えてください。
吉高:全員が主人公の作品だと思います。見ている方も当てはまる役があると思うんですが、私の役は不幸の連鎖が始まるきっかけを作ってしまうポジション。見どころと言える明るいものではありませんが、そこが核になっていると思います。周囲を振り回す役でもありますね。
さとう:自分の役というより、(吉高演じる)海との関係性、他の人との関係性がすれ違っていくのが面白さです。一人ひとり抱えているものがあり、見ている方も共感できるところは多いと思います。
桜井:フットサル部の後輩の役で、冒頭では遺影で出てきます。私が演じる白澤は、百合子さん演じる金田とどうしても交わらない、水と油みたいな関係。意図しないところで負の連鎖に拍車をかけてしまう役どころです。見どころは、作中で白澤が描いている漫画の描写が出てくるんですが、皆さんのキャラがすごく立っているので注目してください。
山口:由里子ちゃんが「海はみんなを翻弄している」と言いましたが、私が演じるコーチがそうさせてしまったのかもしれない。痛みをしっかり感じながら演じたいです。
ーー吉高さんは、蓬莱さんの作品に出演してみていかがでしたか?
吉高:お稽古をしていても、印象に残るセリフがたくさんあると感じました。作品としては癒されるものではありませんが、みんなが蓬莱さんを信頼している温かい現場。作品とは真逆の環境で、毎日和気あいあいとお稽古ができました。そこからすごくいい作品をお届けできると思うので、不思議な感覚です。
ーー稽古場エピソードを教えてください。
吉高:毎日がサプライズだよね(笑)。フットサルの稽古もありましたが、こんなに毎日ストレッチしたことなかったです。
桜井:一番固かったですもんね(笑)。
吉高:ストレッチもみんなでやるので、部活感がありました。日奈子ちゃんがストレッチリーダーになってくれて、後ろではずっと笑っているお姉さんがいて(笑)。
山口:楽しかったから(笑)。笑っているのも発声練習になってたと思う!
(左から)桜井日奈子、さとうほなみ、吉高由里子、山口紗弥加
ーー登場人物たちは学生時代フットサルに熱中していますが、皆さんが熱中していた・熱中しているものはなんですか?
吉高:ゲームですね。昔から変わっていないです。
山口:今の現場に美顔器がたくさんあるので、ちょっと熱中していますね。全部試したいなと思っています(笑)。
さとう:学生時代からずっとドラムですね。今も続けられていて嬉しいです。
桜井:学生時代はバスケをずっとやってて。白澤はバスケ部だった設定なのでてっきり当て書きかと思ったら、関係ないと言われました(笑)。今は、ビューティフルアドバイザーの資格をとったので、本番中に体調を崩さないために活かしたいと思っています。
ーー年末年始に上演する作品ということで、今年の振り返り、来年の抱負を教えてください。
吉高:今回は舞台3年ぶり・4回目で挑戦しているので、まだまだ教わることがたくさんあります。その中で、すごく素敵な出会いをさせてもらった年になりました。来年1月末までこの作品があるので、無事に走り抜けるのが1年のいい始まりかなと思っています。
さとう:今年は実にシャイニングな1年になったかと思います。この作品で今年が終わって来年が始まるので、怪我なくみんなで駆け抜けられたらと思います。
桜井:今年は、いただいた役柄が今までと全然違う1年でした。今回を含めて5回連続くらい亡くなっている役で……(笑)。これまで健康的な女子が多かったので、シリアスな役、挑戦的な役をいただけたのが嬉しいです。来年も今までにない役に出会えたらいいなと思います。
山口:素敵な出会いがたくさんあって幸せでした。この作品を怪我なく最後まで走り抜けて、これからも挑戦を続けたいです。とにかく元気に健やかに毎日を過ごして、シャイニングな1年にしたいと思います!
(左から)桜井日奈子、さとうほなみ、吉高由里子、山口紗弥加
ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。
吉高:女子7人、男子1人の8人のキャストで力一杯、精一杯やっています。誰かが転びそうになったら誰かが救い上げてくれるようなチームワークができていると思います。フットサルも頑張っていますので、私たちが戦っている姿を見届けてください。
プレスコールレポート
披露されたのは冒頭から30分程度。主人公・金田海(吉高由里子)が他人のお別れ会に紛れ込むようになったきっかけ、ある日入り込んだ告別式会場で見覚えのある人々に出会い、大学時代の女子フットサル部のメンバーと再会する様子、そこから始まる回想シーンだ。
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
フットサル部の後輩・白澤(桜井日奈子)が亡くなっていたこと、自分が告別式に呼ばれていないことに困惑する海と、海が現れたことに驚くかつての仲間たちの姿から漂う緊張感に引き込まれる。
海がフットサル部の輝かしい思い出を振り返ったところから、回想の語り手は海の親友・山形圭子(さとうほなみ)にバトンタッチ。学生時代の二人の関係、フットサルを始めるきっかけなどを話しだす。
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
自由気ままで奔放な海に振り回されながらも付き合ってしまう圭子、未経験者だらけのフットサル部、経験者故に厳しい川越(山口紗弥加)……と、どこか不穏な空気が漂うまま物語が進行していく。さらに、大会にエントリーするためには控えの選手が必要だと言われた海たちが、新メンバーとして白澤を誘うシーンでプレスコールが終了した。
それぞれクセの強い登場人物たちがどのようにチームスポーツに打ち込み、何が起きて冒頭の告別式に繋がっていくのか。蓬莱が描く物語と、すれ違う人々の姿を繊細に演じるキャスト陣の演技に期待が高まる。
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
パルコ・プロデュース2025『シャイニングな女たち』舞台写真
本作は2025年12月7日(日)より東京・PARCO劇場で開幕。
2026年1月からは大阪・森ノ宮ピロティホール、福岡・福岡市民ホール 中ホール、長野・サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール、愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホールでも公演が行われる。
取材・文・撮影=吉田沙奈
※蓬莱竜太氏の「蓬」の字は一点しんにょうが正式表記となります。
公演情報
【出演】吉高由里子 さとうほなみ 桜井日奈子 小野寺ずる 羽瀬川なぎ 李そじん 名村辰 山口紗弥加
企画・製作 株式会社パルコ
お問合せ
公演に関して パルコステージ 03-3477-5858 https://stage.parco.jp/
主催 サンライズプロモーション大阪
お問合せ キョードーインフォメーション 0570-200-888(12:00-17:00/土日祝休業)
【福岡公演】
主催 サンライズプロモーション
お問合せ サンライズプロモーション 0570-00-3337(平日12:00~15:00)
【長野公演】
主催 サンライズプロモーション北陸/⾧野放送
お問合せ サンライズプロモーション北陸 025-246-3939
主催 メ~テレ/メ~テレ事業
お問合せ メ~テレ事業 052-331-9966(平日10:00~18:00)