DoonaとRedhair Rosyが作り上げたエモーショナルな空間ーー『T.B.O presents #長堀界隈 ver1212』最高の組み合わせと音楽に酔いしれた夜
『T.B.O presents #長堀界隈 ver1212』2025.12.12(FRI)大阪・CONPASS
「あまりにも上質な音楽を浴びた」と「こんなにカッコ良いアーティストを知れて嬉しい」という満ち足りた気持ちがライブを観た後に必ずわいてくるのが、『長堀界隈』の特徴であり魅力だ。本イベントは、大阪のイベンター・夢番地の大野氏が主催する『たとえばボクが踊ったら、(以下、ボク踊)』のスピンオフ企画。12月12日(金)には『T.B.O presents #長堀界隈 ver1212』が、心斎橋・CONPASSにて行われた。この日はDoonaとRedhair Rosyが初対バン。しかしながら既に来月東京で行われるDoonaの自主企画イベントにRedhair Rosyの出演が決まっているなど、2組の良い関係が結ばれていることが随所から伝わるライブとなった。今回も例に漏れず最高の組み合わせで、実にエモーショナルかつハイクオリティなパフォーマンスに酔いしれたのだった。そんな一夜のレポートをお届けしよう。
Doona
先にステージに立ったのは、ブラックミュージックをルーツに持つ2002年生まれの5人組ミクスチャーロックバンド・Doona。ちょうど1年前にCONPASSで行われた『#長堀界隈 ver1208』にも出演していた彼らがカムバックした。「ジャキンッ」という金属音が冷たく響き、SOTA(Gt)、RYO(Ba)、RINTA(Key)、ZAKKI(Dr)によるセッションでライブはスタート。青く染まるステージでピンスポが射す先には、赤いギターと赤いシールドが映える。やがて、真っ赤なシャツを着て現れたGENKI(Vo.Gt)が「Doonaです。よろしくお願いします!」と挨拶した。
最初に投下されたのは「I AM」。イントロのRYOのベースラインが心地良くボトムを這うと、GENKIのクリアなボーカルが滑らかに広がっていく。と思いきやリズムが複雑に変化して、ジャズ、ヒップホップ、レゲエなど、1曲の中でジャンルを自在に行き来する。
続く「J-NET JACK」ではミドルナンバーながら演奏に思い切り熱を宿し、GENKIが「手ぇあげな!」「もっと来いやぁ!」とロングトーンを響かせ、シャウトして煽りまくる。GENKIのフロントマンとしての存在感はもちろんだが、メンバー全員のファッションセンスと音が粒立ち、一聴しただけでわかる実力の高さに釘付けになった。
そして<お伽話じゃねぇんだよこのゲーム>と胸中を吐露するようなリリックがヒリつく「B.E.D.」、シーケンスとシンセ、レーザーがスペーシーな雰囲気を醸成した「SLY」、あたたかみのあるギターリフが優しいジャジーなピアノバラード「Green Tips」とバラエティ豊かな楽曲たちを連続で披露。この5人だからこそ出せるアンサンブルに、オーディエンスも本能で反応して身体を揺らす。
MCではGENKIが「2025年最後の大阪、悔いを残したくないんですよ。俺らの2025年を全部置いていこうと思ってるんで、最後までよろしくお願いします!」と宣言して、「後半戦いきますよ! ついてこれるか大阪!」とギアをあげ「BY MY SIDE」へ。懐かしい90’s的なニュージャックスウィングサウンドに、美しくも切ないメロディと大迫力のボーカル、煌めきを纏うシンセやギターの音色にがっちりと心を掴まれる。そこからシームレスに「APE」へ移行。<声を 命を 求めよ>と荘厳さも感じさせるほどのグルーヴを生み出すと、ここからはラストスパート! 個々のスキルがありありとわかるセッションパートでフロアにジャンプを求め、すさまじい一体感と疾走感で会場全体を巻き込むと、ファンクナンバー「Hot Dog」をドロップ。SOTAとRYOの渾身のソロに続いては、RINTAが片手でキーボードを抱えて前に出て片手で弾くというアグレッシブなパフォーマンスで盛大に盛り上げる。
年明け1月に東京・WALL&WALLで、Redhair RosyとWORSTRASHを招き自主企画を行うこと、4月には大阪初ワンマンでCONPASSに戻ってくることをアナウンスしたGENKIは「身体もだいぶあったまってきてるね。安心してRedhair Rosyに託せるわ」と微笑み、12月17日にリリースしたばかりの新曲「DON’T JUDGE ME」を全力投球。この曲のみ撮影禁止でオーディエンスに両手を空けさせ、「俺らが2025年にやってきたこと証明します!」と気合いたっぷりに、ゴリゴリロックなナンバーを披露。わななくギターリフとバチバチの照明にテンションが上がったフロアは、GENKI指定のコルナサインを掲げてジャンプジャンプ! 全てがパワフルでスケールが大きい。会場全体でひとつになって命を燃やすと、ラストは「駆け抜けるぞ!」と「RUN」を思い切りぶつけて最高潮の熱とエネルギーを生み出した。
Redhair Rosy
ステージの後ろに白い幕が張られ、楽器の間に縦型のLEDライトが数本置かれる。後攻は京都発の6人組バンド・Redhair Rosyだ。彼らは2024年4月に活動を終了したバンド・the McFaddinのRyosei Yamada(Vo)、Taito Katahira(Gt)、Yu Ando(Dr)、Keisho Maeda(Gt)、Ryoma Matsumoto(VJ)、Masayuki Matsunaga(Ba)から構成される。
赤い髪がトレードマークのRyoseiが「始めるわ、よろしく」とラフに放つと暗転、ステージのLEDライトが煌々と灯る。やがてライトが消えて、一面にRyomaによる映像が映し出された。スタイリッシュな雰囲気に包まれるとライブは「Lonely」から幕を開けた。ボーカルエフェクトがかかったRyoseiの歌声が浮遊感を誘う。上下左右に流れる映像の視覚効果も相まって、じわじわと彼らが作り出す没入空間へと引き込まれていく。Ryoseiは「一緒に遊びませんかー! どうしますかー?」と笑顔でフロアに呼びかけ、「Radio before school」、「Natsu no hando」を連続で披露。心地良いアンサンブルと上昇感、跳ねるビート、歪みギター、何よりも心底楽しそうなメンバーたち。音楽を存分に味わえる、最高の環境が用意された。となればあとは楽しむだけ。「Let’s go!」とRyoseiが叫んだのを合図に自然にフロアの拳があがる。
ここで「まだ演奏するのも2回目、できたてほやほや。風切りたくて作った曲です」と未発表の新曲をプレイ。爽やかなギターリフと緩急のある歌声、波のように乗れるリズムがただ気持ち良く、まさに風が吹き抜けるようなサウンドで踊らせた。
フロアでオーディエンスに混じってライブを全力で楽しむDoonaのメンバーを見たRyoseiは「GENKIが元気(笑)」と嬉しそうに微笑む。Doonaとはこの日が初対バンながら、Redhair Rosyの東京での初ライブや京都のフェスにDoonaが遊びに来てくれたというエピソードを明かし、「これから仲良くなっていけるんかなって。今日はすごい記念になるような日になる気がします。ありがとう」と、感謝を口にした。
続けて「俺冬弱くて、なよなよしがちというか。今年は変わりたくて10分だけ筋トレしたりしてるんですよ。今から3曲ぶっ通しでやろうと思ってて。なよなよしてる俺と、ちょっと頑張ろうかなと思ってる俺と、“いける!”となってる俺を表現してるから楽しんで」と述べて「Kirua」「Parkengo」を披露すると、ここでも新たに未発表の新曲を投下。軽やかな鍵盤とローファイなビートが印象的なサウンドに乗せて、Ryoseiは<全部どうでもいいよ!>と徐々に感情を込めて叫ぶように歌い躍動する。「もし話したいなら、俺ここにいるよって意味。また会えるよね!」と寄り添うように言葉を添えるRyoseiの眼差しは優しかった。
「今日全部置いていってる?敵は俺らの心にいるよ! よくわかっとけ!」と「Heart-Shaped Devil II」を熱量たっぷりにプレイすると、フロアは拳を突き上げて呼応する。MVでも使用されていたRedhair RosyのメンバーがRPG風の世界を冒険する映像も相まって、メンバー紹介もエモーショナルに聞こえてくる。Matsunagaのベースが火を吹いた「Can you hear me」でもうひとつ熱を引き上げると、「みんな大切な人いるでしょ?その人たちのために歌うわ」と12月24日にリリースの新曲「8abyrousa」を一心不乱に叩き込んでいく。そしてラストスパート。とびきりキャッチーなギターリフがクセになるアンセム「2 feet for shoes」で大きく躍動すると、フロアはこれ以上ないほどの多幸感で満たされた。
Ryoseiは3月27日(金)に梅田クラブクアトロでのワンマンライブ『turn red』をアナウンス。バンド史上最大キャパでのライブを前に「俺らにとっては大きな大きな階段にも見えるねんけど、すごい高いから壁にも見えるんよね。だからすごい焦ったり、不安になったりする部分もあって。でも同時にそれ超えたらヤバいやろな、みたいなのもあって。感情が入り乱れているのが心地良いです。俺はそういうものから曲が生まれるし、皆さんにわかってもらえたら嬉しいです」と述べて、最後に1stシングル「Rush」で締め括った。ライブの求心力と持ち前の親しみやすさで、クールながらも終始あたたかな空気が流れていたのが印象的だった。
とても密度の濃いライブで魅了してくれたDoonaとRedhair Rosy。Doonaは4月11日(土)に初の大阪ワンマンライブ『Doona ONE-MAN TOUR "The First Infection"』が心斎橋CONPASSで、Redhair Rosyは3月27日(金)に初の梅田クラブクアトロでワンマンライブ『1st ONEMAN LIVE turn red』を開催する。
また、2026年3月20日(土)には大阪・梅田3会場にて今年も『梅田界隈 THE CIRCUIT ’26』を開催予定。現状Doonaの出演も発表されている。
DoonaとRedhair Rosyの今後の交流も楽しみにしつつ、『梅田界隈』の情報を見逃さないようにチェックしよう。
取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供
イベント情報
『梅田界隈 THE CIRCUIT '26』
日時:2026年3月20日(金祝)OPEN/START13:00
会場:梅田BananaHall、梅田Zeela、梅田BANGBOO
出演:BESPER/Bone Us/brkfstblend/Massclub/oops cool/QOOPIE/S.A.R./スーパー登山部/TiDE/and more
ADV¥5000(早割¥4300)/U-25 ¥3500
※未就学児入場不可 ※25歳以下はU-25
主催:YUMEBANCHI/企画・制作:たとえばボクが踊ったら、
X:@odd_talla / instagram:@tbo_0fficial
ライブ情報
『Doona ONE-MAN TOUR “The First Infection”』
・2026年4月11日(土)@大阪・心斎橋 CONPASS
OPEN 16:30 / START 17:00
・2026年4月12日(日)@愛知・名古屋 RAD SEVEN
OPEN 16:30 / START 17:00
・2026年4月24日(金)@東京・渋谷 WWW X
OPEN 18:00 / START 19:00
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前売¥3,900(1D代別途)
※学生キャッシュバック:当日会場にてご購入いただいた
受付時間・場所公演によって異なりますので詳細は追ってお伝えいたします。小学生、中学生、高校生、専門学生、大学生(大学院生を含む)の方がキャッシュバック対象です。顔写真無しでOK。学生証コピーは不可となります。
身分証/学生証は、有効期限が明記されていて、有効期限内のものに限ります。
当日、指定の身分証/学生証をご提示いただけない場合はキャッシュバックいたしません。
小学生は保険証など年齢確認のできる身分証を必ずご提示ください。自動車学校、予備校生、カルチャースクールはキャッシュバック対象外です。
公式サイト:https://doona.fanpla.jp/
ライブ情報
1st ONEMAN LIVE『turn red』
2026年3月27日(金)@大阪・梅田クラブクアトロ
OPEN / START 18:00 / 19:00
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前売 一般¥4,000、当日 U-22¥2,000
※オールスタンディング ※お一人様4枚まで
※U-22に関して:22歳以下の方限定の
となります。当日年齢を確認できる身分証をご持参ください。確認ができない場合は差額を頂戴します。
公式サイト:https://redhairrosy.com/