シクフォニ、3D公演を経てリアルでも魅了ーー満員の観客と作り上げた熱狂のLaLa arena TOKYO-BAY公演をレポート
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
2025.12.14 LaLa arena TOKYO-BAY
2.5次元タレントグループのシクフォニ(SIXFONIA)。彼らは結成同日にオリジナル曲「J0KER×JOK3R」でデビューを果たしたが、当時から積極的な楽曲制作やオフィシャルYouTubeでの動画発信などで注目を集めてきた。メンバーは暇72(赤色担当)、雨乃こさめ(水色担当)、いるま(紫色担当)、LAN(ピンク色担当 リーダー)、すち(緑色担当)、みこと(黄色担当)というキャラが立ちまくりの面々。多くの2.5次元系グループがしのぎを削るシーンにあって、際立つ個性を放つメンバーを擁するシクフォニの勢いは凄まじい。2024年3月には1stワンマンライブを東京ガーデンシアターで、10月には幕張メッセで2DAYSの2ndワンマンライブを成功させ、2025年3月~5月にかけては初のワンマンツアー(大阪、福岡、北海道、ツアーファイナルの東京公演は有明アリーナで開催)を大盛況で成し遂げた。そんな彼らが2025年後半、3D公演(3D体によるオンラインライブ:10月開催)と、生身によるリアルライブを東京(12月2公演@LaLa arena TOKYO-BAY)&大阪(11月2公演@おおきにアリーナ夢洲)で開催する『SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-』に挑戦! リアルライブでは3D体で行った世界観をリアルに再現するという試みを敢行。果たしてこれはどういうことなのか……。ここでは、本公演の締めくくりとなる12月14日LaLa arena TOKYO-BAYでの模様をお伝えしよう。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
会場のLaLa arena TOKYO-BAYに11,000人のシクファミ(=シクフォニのファンの総称)が集結。前日も同様の動員となり、2日間ソールドアウトという人気ぶり。スタンド席の最上段までビッシリ埋まった客席は壮観。そんなシクファミ達を開演前から盛り上げたのは開演直前の注意喚起アナウンスだ。これをメンバーが担当しており、場内からはそれぞれの声に反応して歓声が起こった。その後、いきなりステージ上の照明が場内を照らし始め、シクファミの感情を煽りまくる……と、ここでついに暗転し、オープニング映像が流れ始めた。まるでゲーム画面のように2次元キャラとなったメンバーが紹介されていく。ほどなくステージにはスモークが放出され、照明も派手にきらめき始める。直後にバン!と音玉が鳴ると、ステージの高い位置に設置された壇上にリアルな6人が一列に並んで登場。3D公演で着用した衣装(黒のマントをはおった姿)で、オーラ全開の佇まいだ。
オープニングナンバーは彼らのデビュー曲でもある「J0KER×JOK3R」。スピード感のあるロックチューンで、メンバーも息の合ったダンスを展開。ビジョンにはステージ上部からのカメラ映像も映し出され、キレのあるパフォーマンスもバッチリ堪能できる。2曲目の「Burn it All」も2周年記念のアツい楽曲。炎が飛び出す攻めの演出で、アグレッシブなステージングをキープ。シクフォニの楽曲の特徴としてはラップをフィーチャーしたものが多く、その情熱的な部分にも感情を掻き立てられるのかもしれない。3Dでの姿以上に迫力のあるパフォーマンスはやはりド迫力!
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
冒頭からワイルドな側面を見せたあと、最初のMCでは声出し担当のみことが「東京! 今日の調子、どうですか! 最後まで盛り上がれますか!」と、景気づけに客席を焚きつける。ただ、その後は各メンバーがわちゃっとした自己紹介で場内をなごませてくれた。しかし、なごませタイムはここまで。「SHALL WE GOING!?!? -1st battle-」や「オシカツ?」など、早口で放たれるリリックのハードなナンバーが続く。特に「オシカツ?」で描かれるブラックな世界観はシクフォニならでは。曲中で女性ボイスを駆使するメンバーのワザも効いている。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
この前半のパワフルなブロックのあと、映像タイムでクールダウン。3D体映像を得意とする彼らは、3D体となって登場し、“鬼畜だるまさんが転んだ”ゲームに挑戦。キャラであっても、メンバーが実際に体を動かしているので、なかなかの面白さ。足ツボ状のボコボコの道を裸足で歩きながら、静止ポーズを取るという苛酷なゲームで四苦八苦。うっかりヘマでもすれば、ビリビリの電流が流れるだけに、悶絶するメンバーが続出。鬼役の暇72を目指してジワジワ進むメンバー達の人間模様にはしっかり笑わせてもらった。
さて、ここからはメンバーのソロコーナーへ。まずは「お待たせ~!」と、観客に挨拶しながら雨乃こさめが登場。歌うのは「ジグザグ」。彼自身が作詞を担当し、キュートな少年ボイスにポップなフレーバーを盛り込んだ楽曲だ。どこかノスタルジックな匂いもある曲を表情豊かに歌い上げ、癒しの空間を作り上げた。
雨乃こさめ
次にガラリと空気を変えて、いるまが参上。ゴリゴリのHIPHOPチューン「REC.TRUE」で、ワイルドな歌声を披露。「おい! 今日がラストだろ!」と、公演最終日をブチ上げるべくシクファミを鼓舞。彼自身が手掛けた毒のある歌詞とRAPを武器にクールな魅力で圧倒した。
いるま
3番手はみこと。グループの中で王子様キャラを担う彼は王道とも言えるポップチューン「Magic」で勝負。もちろん作詞もみこと自身だ。キラキラした曲の合間には「この時間は僕だけ見ててください!」というキュンとする言葉をはさむぬかりのなさ。場内からは、まさに黄色い声が響き渡った。
みこと
ここまでが前半のソロコーナー。しばしのインターバルののち、ステージには再び全メンバーが現れ、スケール感のある「Genesix」へ。各メンバーの声の特徴をミックスしたアレンジも見事。続く「シンギュロイド」は、ハイテンポのデジロックナンバー。後半の盛り上がりには欠かせない人気曲だ。ステージではシンクロ率が高いダンス・パフォーマンスで魅了。会場の一体感もグイグイ上がっていく。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
この熱気を受け継いだのが、次のソロコーナーの担当すち。歌うのは彼自身の作詞作曲による「BURN-OUT」。パワフルなロックサウンドに、破壊力のあるボーカルの熱量が圧巻だ。客席からも曲に合わせて声が出る。曲終わりでは「お前ら最高だ!」と、シクファミの熱狂を讃えた。
すち
そして、ソロコーナー5人目は暇72。彼は大人っぽいR&Bテイストの「最酊。」で、気怠さのある歌詞(作詞は暇72)を色気のある歌声で表現。淡々としたビートにしっとりしたメロディーを乗せていく。抑え気味に歌いながらも、感情がこもる歌唱で、実力の高さを証明した。
暇72
ソロコーナーのトリをつとめたのは声域の広さを誇るリーダーのLAN。脳がバグるくらいの高音の女性キーで、ミディアムテンポの「灯」を難なくこなしていく。聴く者の心を包み込むような歌詞はLANによるもの。改めて、6人の持ち味や、個性、実力を見せつけられる時間だった。
LAN
生のパフォーマンスに没入したあとは、再びクールダウンタイムへ。3Dではなく、“鬼畜だるまさんが転んだ”の生罰ゲームだったり、観客との記念撮影など、メンバーとシクファミの距離を縮める楽しい時間となった。
しかし、そろそろライブは後半戦……らしい。いるまは「ブチ上げていこうぜ!」と、後半ブロックに向けて客席に檄を飛ばした。ここから先はまさにブチ上がるのみ。景気づけの曲となったのは彼らの3周年記念の楽曲「Shout on Three!」。目まぐるしいフォーメーションと疾走感のあるサウンドで、大団円へと加速をつけ、今回のライブリード曲である「Dive Ⅱ world」へ。“これぞシクフォニ!”と思わせる力強い激しさ全開のナンバーだ。未来をつかみ取りに行く彼らの決意表明を思わせる歌詞にもワクワクさせられる。ここで本編ラストの「eND oF FaNTaSY.」に辿り着く。賑やかなフォーメーションで盛り上げ、メンバーと会場を埋めたシクファミとの一体感も最高潮に! 曲が終わると映像スクリーンには“プログラム終了”の文字が……。“もう終わってしまうのか”と匂わせたあと、シクファミにはおなじみの謎キャラ、X様が画面に登場。そして「おや? もうお疲れですか?」とシクファミを揺さぶってくる。さらには画面上に用意された2枚のカードをシャッフル。天国カードが出ればアンコール、地獄カードが出ればライブ終了と通告。しかし、このシャッフル、かなりスロースピード(苦笑)。場内からは天国カードは「左~~~!」の声が……もちろんこれは大正解(X様、ありがとう)。天国カードを引き当てたことで、無事にアンコールのスタートとなった。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
アンコール1曲目は落ち込んだ時に聴きたくなるパワフルな「Desperate Track」。場内は本編以上ににヒートアップし、客席ではタオル回しも勃発。ライブは完全に大団円のフェーズに入った。この流れでメンバーとシクファミにとっての“居場所”を彷彿とさせる「home」へ。曲の後半でメンバーはステージ後方の壇上に一列に並び、肩を組んで6人の団結力をアピール。その微笑ましい光景には見ているこちらもほっこりしてしまう。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
さぁ、いよいよ残す曲はあとわずか……というところで、各メンバーから本日のひと言が届けられた。文字数の都合上、短めに要約してお伝えしよう。
「2.5次元とは何ぞや……ということを証明するためにこのライブを始めました。(みんなが)3Dと生身の姿のリンクを感じたなら、このリンク感を大事にしたい」(暇72)
「個人的に昨日の公演はうまくいかなくて……でも、みんなの前にでると元気づけられる。ありがとう。これからも純粋に挑戦を続けたいので、ぜひついてきてください」(すち)
「昨日の夜、振り返ったんですけど、今年シクフォニは何回ライブやったと思います?……11公演やってるんです! 単純に(ほぼ)月イチ! 会いに来てくれてありがとう!」(いるま)
「ライブってどうなったら成功なのか……“次もまた来たい”と思ってもらえたら成功なのかな……(と、いきなり言いたいことが)飛んだ(苦笑)」(雨乃こさめ)
「どのライブも1回しかない。僕はみんなの顔を見るのを楽しみにしていて、自分が楽しむことでみんなも楽しいと思ってくれたら嬉しい」(LAN)
「(昨日コケたことを受けて)今日はコケませんでした(笑)。シクフォニは東京ドームを目指しているけど、これからもその道のりを進んでいきます!」(みこと)
異口同音にシクファミへの感謝と、今後の活動への決意を語った彼らは次に全身全霊のパワーを注ぎ込み、「2 many fighterz」へ。リアルにコール&レスポンスが楽しめるアッパーな曲で、場内はフルテンションに! キラキラの紙吹雪も発射され、ついにライブは大ラス曲の「Never Ending Story」に辿り着いた。ここに心が揺さぶられる胸キュンのラブソングを持ってくるのはさすが! 3Dで表現する面白さも彼らの強味だが、今回の公演はリアルだからこその逞しい魅力に溢れていた。
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
SIXFONIA One Man Live 【Six-tuation】vol.II -Virtual-
トータル19曲のボリュームは、まさにあっという間。MCで雨乃こさめが話していたように「次もまた来たい……」と思わせるには十分な楽しいライブだった。そして終演後、“また来たい”と思った人達を喜ばせる告知(2ndライブツアーの開催)も発表。ビジョンには「過去最大の会場に挑むシクフォニ史上最強の決戦」や「春、最強を証明する」という刺激的なキャッチコピーが映し出された。これはもう2026年の快進撃もほぼ確定の彼ら、まだシクフォニのリアルを未体験の人には2026年、ぜひとも生で“最強の”熱狂を感じていただきたい。
文=海江敦士
セットリスト
2025.12.14 LaLa arena TOKYO-BAY
01. J0KER×JOK3R
02. Burn it All
03. SHALL WE GONG!?!? -1st battle-
04. オシカツ?
05. ジグザグ(こさめソロ)
06. REC.TRUE(いるまソロ)
07. Magic(みことソロ)
08. Genesix
09. シンギュロイド
10. BURN-OUT(すちソロ)
11. 最酊。(暇72ソロ)
12. 灯(LANソロ)
13. Shout on Three!
14. Dive II world
15. eND oF FaNTaSY.
16. Desperate Track
17. home
18. 2 many fighterz
19. Never Ending Story