リアル・トラウム・シアター=ミュージカペラ『メリー・ウィドウ』 期間限定配信がスタート

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2025.12.26

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2025年10月東京・三越劇場にて上演されたリアル・トラウム・シアター=ミュージカペラ『メリー・ウィドウ』 が、2025年12月24日(水)~2026年2月9日(月)までイープラス「Streaming+」にて期間限定配信される。男性ヴォーカル・ユニット「REAL TRAUM(リアル・トラウム)」結成2周年の記念企画として行われ、オペラ、ミュージカルで活躍する面々に加え、特別ゲストとしてバレエ芸人・けっけちゃんこと松浦景子も出演し、大いに盛り上がりを見せた本企画。公演のハイライトと見どころ紹介が到着した。


IL DIVOに始まり、多くのフォロワーを生んできたクラシカル・クロスオーヴァーの男性ヴォーカル・ユニット。メルビッシュ湖上音楽祭やドイツのオペレッタツアーに参加するなど国際的なキャリアを歩むテノールの高島健一郎をリーダーとして、東京芸術大学を卒業した同門の声楽家たち4人が集まって結成されたREAL TRAUM(リアル・トラウム)はもはやそのジャンルにおいては日本のトップランナーのひとつと言えるのではなかろうか。そんな彼らが、グループ結成2周年記念企画として、日本橋の三越劇場で10月に主宰した、リアル・トラウム・シアター=ミュージカペラ『メリー・ウィドウ』(レハール作曲のオペレッタの翻案)千秋楽公演の有料配信が、メンバーからのクリスマス・プレゼントかのように12月24日から2月9日までの期間限定でスタートした。

高島がウィーンに留学してまで研鑽を積み、いつか日本でも演じてみたいと考えていたという、レハールのオペレッタの上演が、グループの主催でこんなに早く実現できたことが素晴らしい。彼らの人気を証明する証左だろう。1年半以上の時間をかけて徐々に煮詰めていった企画と本人も語ってくれていたが、初日の速報的なレポートでお伝えした通り、期待通りの仕上がりであった。改めて、速報レポートのハイライトとあわせて、下記漏れていたことも含めてお伝えしつつ、配信をお楽しみいただくときの参照としていただきたい。

レハールのオペレッタ「メリー・ウィドウ」は、ヨハン・シュトラウスから続くウィーン・オペレッタの伝統の本流にあって、20世紀初頭にドイツ語圏のみならず世界的な人気となった作品である。オリジナルは3幕で、2時間30分以上の上演時間がかかるオペレッタであるが、2時間以内に大胆なカットを試み、休憩をはさまず一気に上演されて、そのことがプロットのテンポを良くしていた。高島が自ら翻訳して、杉浦が演出とともに磨き上げていった日本語のセリフと歌詞も耳になじみが良く、日本大使館を舞台とした工夫も含めて、自然に舞台の世界へと引き込まれた。

キャストの歌と演技も素晴らしく、迷いながらも純粋な愛を貫こうとする高島のダニロやオリジナルでは単なるプレイボーイとして描かれがちなカミーユを鳥尾が彼の持ち味である少年性やピュアリティをもって実に魅力的な役に高め、そのアリアは初日だけでなくどの公演でも白眉だった。津田大使の堺と道化役の根岸三等書記官の杉浦もコミカルな演技に奮闘して、会場を笑いの渦に巻き込む。2人がリードして男性陣で歌う、原作の「女女女」改め「LOVE LOVE LOVE LOVE」は、翻訳歌詞も秀逸であるが、振り付けも実に楽しく一番の盛り上がりを築いた。この曲は、そんな盛り上がりもあってか、年明けにリリースとなる人気のコンピレーションCD「image」に収録されることが発表された。

主役=倉田華奈役の小川は実に妖艶なハンナを演じ、名曲「ヴィリアの歌」で歌の実力を見せつけた。その後数々のオペラ・ガラへの出演が発表となり、間違いなく日本を代表するソプラノの一人となりそうだ。ヴァランシエンヌ役の田代もミュージカルで培った歌とダンスで明るくキュートな魅力で観客を魅了した。近藤・仁賀の脇を固めるシンガーも歌と演技ともに手堅く確実にドラマ全体を面白くしてくれていた。

歌とセリフと踊りの世界が見事に溶け合って、ひとつの感情を生み出ししていたことも新しい。そこは、「バレエ大好き」チャンネルで知られるけっけちゃんこと松浦景子と、振付も担当した天野夏実の2人が縦横無尽に舞台を駆け巡り、オペレッタにはない楽しさを生み出していた。この演目を敢えてミュージカペラと名付け、オペレッタと一線を画す企画と位置付けた理由もこのあたりにあるのかもしれない。音楽監督の追川礼章の仕事も実に多才で見事である。レハールの豊かなオーケストレーションを弦楽カルテットと自らのピアノ演奏でミニマムな編成で豊かなサウンドを生み出し、文字通り公演の要石のような役割を担っていた。

レハールの『メリー・ウィドウ』の新演出として間違いなく革新的かつ現代的な「笑いと感動に満ちた公演」だったのではないだろうか?高島の新翻訳、杉浦の演出、追川の音楽監督というオール30代の若々しい才能が彼らより年下の演者を結集して、クラシック音楽に新風を吹き込んだ。Xでも「想像を超えた楽しさと感動」との書き込みが多く寄せられている。リアル・トラウムからのクリスマス・プレゼントとしてファンの皆様ばかりでなく、ミュージカル、オペラ、オペレッタに関心のあるすべての方にぜひご覧いただきたい。2月9日までの期間限定であるが、これはちょうど昨年高島がメリー・ウィドウをドイツツアー44公演完走した日程にひっかけてのことであるらしい。1年前のこの公演での経験がこれほどの実り豊かな成果となって楽しめることを喜びたい。

REAL TRAUM リーダー 高島健一郎からのひとこと

グループとして初挑戦となった今回の舞台は、全員が力を合わせて良いものを作りたいというエネルギーに満ちていて、僕にとっても忘れることが出来ない公演になりました。
劇場にいらっしゃった方も来れなかった方も、笑って泣ける新しい「メリー・ウィドウ」を是非ご覧ください!

配信情報

REAL TRAUM THEATER:
フランスフェア2025記念公演
レハール作曲・ミュージカペラ
「メリー・ウィドウ」

配信期間:2025/12/24(水)19:00~2026/2/9(月)23:59
視聴券受付:2025/12/24(水)19:00~2026/2/9(月)21:00
 
[配役・出演]
谷 郎希 (ダニロ):高島健一郎
津田大使(ツェータ):堺 裕馬
根岸 (ニェグシュ):杉浦奎介
カミーユ:鳥尾匠海
 
倉田華奈 (ハンナ・グラヴァリ):小川栞奈
ヴァランシエンヌ:田代明
サン・ブリオッシュ:仁賀広大
カスカダ:近藤真行
オルガ:松浦景子
 
ピアノ:追川礼章
 
※2025年10月東京・三越劇場公演にて収録
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