T.N.T、新メンバー加入 4人体制で臨む1st LIVE TOURを前にしたメンバーの深いところに迫る
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T.N.T
Furutatsu、kyohey、手越祐也の3人組ロックバンドT.N.T。『The Next Trigger』の略称であり、現行音楽シーンの”新たな起爆剤”になるというメンバーの想いが込められたこのバンドは、2025年2月の結成発表後、4月にぴあアリーナMMで鮮烈なデビューを果たしたのち、精力的にフェス・イベントに参加、その活躍の場を広げ続けている。そして、12月10日に第104回全国高校サッカー選手権大会の応援歌となった「未来へ」を含むシングル「未来へ/I Don’t Care」をリリース、23日にはギターサポートを務めていたRyu.が正式メンバーとして加入、年明けからのT.N.T 1st LIVE TOUR『THE NEXT TRIGGER』へ向けてますます加速する彼らに、じっくり迫ってみた。
――まずはバンドの結成の経緯から聞かせてください。
kyohey:元々、僕とFurutatsuともう一人のメンバーが所属していたグループに手越くんが加入することになったんですけど、僕ら3人だけ、明らかに手越くんと接する機会が少なくて。だから、せっかく手越くんが来たんだからと思って、「よかったらセッションしてくれませんか」ってお願いしたら快くOKしてくれて、手越くんのソロ曲とか、X JAPANのカバーとかをやったんですよ。
――すごい展開。
kyohey:僕が最初に持っていた手越くんに対するイメージってテレビのバラエティ番組に出てる姿で、アーティストとしての手越くんをあんまり知らなかったんです。でも、セッションしたときに本当にすごいボーカリストだと思ったし、セッションした場所は鏡張りのリハーサルスタジオだったんですけど、鏡の向こうにたくさんのお客さんがいる景色が演奏している最中にバーンと見えたんですよ。今までそういう経験をしたことがなかったし、フロントに立つ人間次第でこんなにも演奏が躍動するってすごいなと思って、こんな刺激的なボーカリストと一緒にバンドをやったら絶対カッコいいのできるじゃんって確信したんです。で、セッションが終わったあとにFurutatsuと、「これさ、絶対バンドやったほうがいいよね」「でも、どうやって話持っていこうか」「曲提出してみようよ」って話になって、後日、自分で書いた曲を持っていったら、「いいじゃん、やってみようよ」ってなって、「Swallowtail」と「My Beautiful Moment」という2曲をレコーディングして、そのときに改めて「イケるでしょう!」って思ったんですね。あとは、手越くんがイエスと言ってくれるかどうかだったんですけど、その日の夜、初めてご飯に連れて行ってもらったときに僕らの気持ちを全部ぶつけて、「あなたとバンドがやりたいんです。やってくれませんか」っていう言葉に「やろうか」って答えてくれたんです。
手越祐也(Vo)
――手越さんが即断でOKした理由は?
手越:そもそも、僕はロックがずっと好きで、ルーツもどっちかというとポップスよりもロックなんですよ。プラス、kyoheyが今言ったように、スタジオでのセッションが素直に気持ちよかったし、このメンバーでバンドをやったら面白くなるだろうなっていうのをアーティストとしての勘で感じることができたんですよね。あと、これは個人としての話なんですけど、僕のソロツアーにはバンドメンバーがついたりしていますけど、それはいわゆるロックバンドではないし、どうせやるなら見せ方もパフォーマンスの仕方も完全に違うもので伝えたほうが、自分のアーティストとしての振り幅も広がっていくだろうと思ったんですよね。
――バンドに対する憧れがあったんですね。
手越:もう、小さい頃からありました。
――ここまでキャリアを重ねてきて初めてバンドを組むことになるというのは、自分としても驚きだったのでは?
手越:そうですね。グループをやって、ソロもやって、唯一やったことないのがバンドだったので。37歳にして初めて自分が小さい頃からずっとやりたかったことを、しかも彼らみたいな若いパワーと一緒にできるという。僕自身、これまでもそういう生き方をしてきていますけど、何歳になっても子供のように楽しむことでそれまでできなかったことができるようになる可能性が生まれるし、自分の経験を通じて諦めないことの大切さを伝えたいと改めて思いましたね。
kyohey:一番最初のスタジオ、めっちゃ楽しかったですもんね。
Furutatsu:テンション上がっていました。kyoheyさんも言ってましたけど、人で埋まっているアリーナの景色がリアルに想像できたことにすごく興奮しました。
――でも、手越さんというのはとんでもないキャリアを誇る方じゃないですか。そこに対する気遅れはなかったんですか。
kyohey:そこは手越くんがうまく解消してくれたというか。もちろん、最初は距離があったんですよ。しかも、手越くんは年もけっこう離れてるし。でも、これはナメてるとかじゃなくて、そこまで年上とは思えなかったというか、なんか自分と同じくらいだなって勝手に思ってたんですよ。そしたら、後日対談させてもらったときに手越くんが、「年齢なんて数字だからね」って。僕がカッコいいと思う人ってみんなこれを言うんですよ。それで、気遅れしてる場合じゃないし、このチャンスを逃したらこの先、一生後悔しそうだなと思って。だから、プロポーズはしたことないですけど(笑)、それくらいの気持ちで「バンドやりませんか」って言いました。
――その場のテンションではなくて、しっかり考えた末での言葉だったんですね。kyoheyさんとFurutatsuさんは、過去にバンド経験はあるんですか。
Furutatsu:僕は前にいたグループ以外では一切ないです。ほんのちょっとやってたことはあるんですけど。
――それでも、ベースとヴァイオリンは弾いていたんですよね?
Furutatsu:でも、バンドマンに憧れて楽器をやったわけじゃなくて、スタジオミュージシャンになりたかったんです。ヴァイオリンは3つのときから高2くらいまでやってて音大受験も考えてたんですけど、それだけだと将来食っていくのが難しいと思って、本気で新しい楽器を始めようと思ってベースを選びました。
――それはすごいですね。kyoheyさんは?
kyohey:高校の頃からバンドばっかりやってました。前のグループに入る前も、バンドで日本全国いろんなところにライブしに行ってました。僕は大阪出身なんですけど、当時組んでたバンドがなくなったタイミングで、ドラマーとして夢を掴みにいきたいと思って単身で上京したんですよ。それ以降、ありがたいことにいろんな現場で叩くことができたんですけど、やっぱり自分の音楽をつくって、自分の音として届けたい、自分のバンドをやりたいと思って東京でもまたバンドをはじめました。
―― そこではどんなジャンルをやってたんですか。
kyohey:ラウドロックをやってましたね。だから、T.N.Tでも激しいバンドと対バンをやっていけたらいいなと思ってます。
Ryu.(Gt)
――では、大変お待たせしました。新しく加入したばかりのRyu.さんの番です。Ryu.さんは最初、サポートメンバーとしてT.N.T関わっていましたが、そこから正式メンバーになるまで、どんな心境でしたか。
Ryu.:ずっとヤキモキしていました。いつか正式にオファーが来たら嬉しいけど……なんか違うギタリストと仲良くしてるな、ちょっと嫌かも……みたいな感じでツイッターを眺めてました。
――あはは!
kyohey:そんなこと思ってたんやね(笑)。あんまり表に出さないからわかんなかった。
Ryu.:で、たまにそこらへんに咲いてるお花の写真をkyoheyくんとFurutatsuに送って、ちょっと様子を見てみたり。
――花の写真を送って何の様子を見るんですか(笑)。
Ryu.:どうかな、と(笑)。
Furutatsu:でも、そうですよね。サポートだと次のライブまで時間も空くし、ヤキモキするでしょうね。
――確かに。ライブごとに違うギタリストにお願いすることも十分考えられますし。
Ryu.:でも、お花の写真が功を奏したのか、また次のライブにも声をかけてもらえて……。
――花は関係ないでしょうね(笑)。Ryu.さん以外の3人は、彼に正式メンバーとしてオファーするまでどんなことを話し合っていたんですか。
手越:やっぱり、バンドメンバーとして正式に迎えるとなると、それぞれの個性はあるにしても、目標とか方向性にはある程度一貫性がないといつかバラバラになるし、そうはなりたくなくて。あと、Ryu.がまだ参加してないメンバーのLINEグループがあるんですけど、僕はレスポンスの早さを大事にしているんですよ。たとえば、レコーディングとかグッズの話を投げかけたときに返信が遅いと気になっちゃう。「俺はこんなにやる気なのに!」って。そうなるのも嫌だったんですよね。あとはもちろん、ステージでのプレイの質や華やかさも大事。やっぱね、どんなにギターが上手くても、ステージでの立ち姿がダサかったら俺はダメだと思うんですよ。人前に立つ以上はね。
――なるほど。
手越:正直、同時進行で別のギタリストも探してたんですよ。でも、これはちょっと偉そうな言い方になるけど、みんなビビっとくるものがなくて。で、結局Ryu.を超えるヤツがいないっていうことは、言い換えれば、Ryu.が一番いいってことだよねっていう話になって。それでいろいろと話し合った結果、一緒にやってもらうことになりました。
kyohey:最終的に決まるまで、10回ぐらいミーティングしましたよ。「僕ら、命かけてやってるから、同じくらいの気合いで来れる?」って聞いたら、「俺はやるよ」って。もちろん、上手いギタリストはたくさんいますけど、T.N.Tというバンドに懸ける想いはRyu.が一番強かったんですよね。
――Ryu.さんはまだサポートの状態でしたが、この4人ですでに何度かステージに立っていますよね。バンドとしての手応えはいかがですか。
手越:直近のステージが横浜アリーナであった「バズリズム LIVE 2025」だったんですけど、僕はあれが今年No.1のライブだったと思います。パフォーマンスは別として、ステージでの輝きとか立ち回りって実践で磨くしかないんですよ。どんなに歌が上手くてもステージに初めて立つ人と、そんなに上手くなくても100回ステージをこなしてる人だと、後者のほうが実力以上のものを出せる。そういう意味で「バズリズム LIVE 2025」は、明らかにメンバーの目から放たれるパワーとか、まとっているオーラがこれまでとは違いました。まだはじまって1年も経ってないですけど、間違いなく過去最高のものが見せられたと思います。
Furutatsu(Ba/Vn)
――手越さんはソロとグループでのパフォーマンスの経験はありますが、今回は初のバンドです。その上で、メンタル面や技術面で変わるところはありますか。
手越:T.N.Tはダンスがないので3人の演奏と歌に集中して、それに対して自分のボーカルをどうするのか、ということになりますけど、踊りのあるなしは大きくて、バンドだとフルで歌に集中できる。あと、ソロのほうがピッチや表現の面では丁寧かもしれないです。T.N.Tでは、とにかく自分のパワーや魂を客席にドーンと投げ打つみたいな感覚で、もちろんピッチも気にしてはいますけど、上手く歌おうというよりも、「今、俺らが表現したい音楽はこれだから、お前らのパワーとどっちが熱いか勝負しようぜ」みたいな意識のほうが強いかもしれない。
――手越さん以外の3人は、グループ時代以前に大きなステージに立ったことはないですよね。萎縮することはないですか。
kyohey:僕は、ステージの大小は関係なく、基本的にライブ前はいつもめちゃくちゃ緊張してます。あまりそうは見えないって言われるんですけど、いつも誰よりも先にステージ袖に行って、その場で足踏みしたりしてます(笑)。音を一発出しちゃえば何も怖くなくなるんですけど。
Furutatsu:僕もめっちゃ緊張するんですけど、kyoheyさんも言ってたとおり、音を一発出せば安心するっていうのもありますし、自分の前に手越くんがいて、後ろにkyoheyさんがいて、横にRyu.さんいるので、それが一番安心できるかもしれない。すっごいやりやすいし、すっごい楽しいです。
――では、現時点におけるT.N.Tらしさはなんだと思いますか。
手越:みんなそれぞれ捉え方は違うかもしれないですけど、俺が思うT.N.Tらしさは、みんなが好きだったロックの王道、ですかね。時代とともに音楽シーンは成長し続けてると思うんですけど、最近のロックバンドは、俺が好きだった頃のロックバンドじゃないんですよ。今っぽさという点ではめちゃくちゃ素晴らしいんですけど、俺の時代のスターって圧倒的個性があって、たとえ素行が悪かったとしても、音楽がカッコいい、歌がカッコいい、プレイがカッコいいんですよ。でも、今のロックバンドって、究極のサラリーマンみたいな感じじゃないですか。
――というのは?
手越:これはアイドルもそうなんですけど、しっかりルールを守って、いい子のままロックをしてる。それはそれでいいんですよ、時代に合っているから。でも、小学生とか小さい子が憧れるかというと、それは「No」だと思っていて。小学生って、パイロットとか、救急隊員とか、警察官みたいにわかりやすい人に憧れるじゃないですか。そう考えると、今の時代に憧れるのは、芸能人とかアイドルとかアーティストじゃなくて、ヒカキンくんとかなんですよね。音楽に携わる人間としてそれが悔しくて。僕らの時代には、X JAPANとか、L’Arc~en~Cielとか、GLAYとか、Mr.Childrenみたいな、お茶の間にも浸透してるくらい突き抜けたスターがいたんですよ。確かに、今のバンドも素晴らしい音楽を生み出してるし、みんな上手いんだけど、音楽以外もカッコいいっていうくらいロックしてるのはONE OK ROCKのTakaくらいじゃないですか? そういうことも踏まえて、僕が思うT.N.Tらしさは、メンバー一人ひとりのキャラがドーンと立ってるような王道バンド。時代をぶっ壊してでも新しい風を吹かせたいという気持ちをもって、わかりやすいロックスター像を見せられたらいいなと思ってます。
――かつて憧れていたようなロックバンドに今度は自分たちがなると。
手越:今回、「未来へ」は高校生に向けて書きましたけど、時代を生き抜いてきたロックスターの要素も取り入れることで、今を生きる若者みんなに寄り添いたいです。どこか懐かしさがあって新しさもある、いちばんいいところに着地できたらいいですね。
kyohey:……もう全部言ってくれました(笑)。これ以上ないと思います。
kyohey(Dr)
――では、今の話にも出た新曲「未来へ/I Don't Care」について聞かせてください。これは9月にリリースされたEP『ZERO』とは違って、両曲とも優しくも力強いバラードになっています。まず、「I Don't Care」は日曜ドラマ"ぼくたちん家"のHuluオリジナル・ストーリー主題歌になっていますね。
手越:「I Don't Care」はkyoheyが歌詞を書いてくれた曲で既にライブでもやっているんですけど、この曲の歌詞はドラマのメッセージ性や世界観にすごく合うよねっていうところからオファーをいただいて主題歌に決まりました。
――書き下ろしではなかったんですね。kyoheyさんはどういう気持ちでこの歌詞を書いたんでしょう。
kyohey:僕はそのときどきの感情やイメージを歌詞にすることが多くて、まず「こうなりたい」とか「こういうことを伝えたい」っていうことを書き出していくんです。この曲もまさにそうで、T.N.Tって実は、バンドが始まったときは5人だったんですよ。そこから2人抜けて3人になってから最初のシングル「Starting Over」を出させてもらったんですけど、その歌詞も僕が書いていて、そこではそのときの僕の心情とか、これまでのことやこれからのことをそのまま書いたんです。
――そうだったんですね。
kyohey:今回すごく考えたのは、僕らは、支えてくれるお客さんとスタッフがいることで初めて存在できるんだっていうことで、僕にとって、自分たちのことを支えてくれるお客さんは、しんどいときに支えてくれたり、そっとそばにいてくれる家族みたいな存在だなって思ったんです。素直になれないときもあるけど、それでも家族には常に感謝を伝えていきたいし、それをしっかりと伝えられたときに自分の未来は開けていくんじゃないかと思ったんですね。そういう思いで書いたのが「I Don't Care」です。
――でも、“I don't care”ってけっこう強い言葉ですよね。
kyohey:この言葉には実は思い入れがあって。以前、仲間と一緒につくった曲に“I don’t care what you say”という歌詞があって、「お前に何を言われようと俺はやりたいことをやる」っていう意味なんですけど、これがずっと自分の中に残ってて、どこかでちゃんと形にしたいと思っていたので、今回この温かい歌詞に敢えて入れました。サビの一番おいしいところにこのフレーズが入ってるのもそういう理由なんです。
――優しい曲調の中でこのフレーズだけ浮いていて、それがすごく引っかかってくるんですけど、そういう理由だったんですね。
kyohey:はい。なので、これは尖った意味ではなくて、自分は自分らしく生きていいんだよっていうことなんです。僕らはそういうふうに生きているし、みんなもそれでいいじゃんって。別に無理する必要はないし、ありのままでいいじゃんっていう意味で“I don’t care”という言葉を使ってます。
T.N.T - 未来へ
――一方、手越さんが歌詞を書いている「未来へ」は、『第104回全国高校サッカー選手権大会』の応援歌に選ばれています。サッカーを愛する手越さんの視線がとても優しい歌詞だと思いました。こちらはどんな気持ちで書きましたか。
手越:まず、日本テレビのサッカー班から、「高校サッカー選手権大会の主題歌をT.N.Tにやってほしい」、さらに「歌詞も手越くんに書いてほしい」とオファーをいただいたんです。
――そこまで突っ込んだオファーだったんですね。歌詞はどんなふうに書いていったんでしょうか。
手越:僕が作詞するときって、最初にノートに箇条書きで「どんな歌詞を散りばめたいか」「何を伝えたいか」を書き出すところから始めるんですけど、今回は日本テレビのサッカー班から「この大会を通して何を汲み取ってほしいか」という話をヒアリングしていたので、選手本人やその家族の背中を押すということはもちろん、サッカーだけじゃなくて、みんなが思い描いている未来像だったり、夢を追うことの大切さを伝えられたらいいなと思って書いていきました。
――なるほど。
手越:これは最近よくインタビューでも話すんですけど、SNSが発達したことによって、才能や夢のある人たちが集団リンチみたいな目にあって。そのせいで、たとえ夢があっても「夢がある」って言ったら叩かれちゃうから言わないでおこうと思ってしまったり。芸能人もそうで、人と違うことをやりたくてアーティストになったはずなのに、ちょっと変わったことすると叩かれて、自分の個性がどんどんなくなって、しまいにはロボットみたいになってしまう。そういう現実を打破したいっていう思いが僕にはあるんです。だから、ステージで歌ったり踊ったりしながら、僕は常にメッセージを発信しているつもりなんですけど、この曲でもそういう気持ちを言葉にして並べていきました。
――たしかに強い思いは伝わってきますが、その裏にはそこまでの気持ちがあったんですね。
手越:未来へ向かうために今があって、過去があるから今が存在している。今を一生懸命生きるからこそ、1年後、5年後、10年後のなりたい自分に近づけるんだと思いますす。それは僕自身、これまでの人生で体現してきたと思っていて。
――たしかにそうですね。
手越:2025年の今、5年前の決断は間違ってなかったって確信しています。本当にチャレンジしてよかったと思ってる。こういう想いをひとりでも多くの人と共有したいし、夢を追うことの大切さや、安全な場所に留まらず、あえて外の世界へ戦いに行く覚悟の大切さ、そういったいろんな思いを散りばめながら、「未来へ」という楽曲の歌詞を書いていきました。今話したことは、サッカーに人生をかけて臨んでいる高校生にも重なるものがあると思っています。
――これは先に曲があって、そこに歌詞を?
手越:はい、曲先でした。
――歌詞を書く上で、曲がインスピレーションを与えたところはありますか。
手越:ありますね。曲をもらったのがちょうど「イッテQ」の中国ロケのときだったんですけど、そこは周りに何にもない土地で、シャワーも何もなくて、ホースでじゃぶじゃぶ体を洗うようなところだったんですけど、そこでこの曲を何回も何回も聴きました。夜になると星空が綺麗で、そんな環境で「どんな歌詞書こうかな……」って思いを巡らせて、日本に帰ってきてから書き上げました。
――ある意味、すごくピュアな環境で歌詞の世界観に思いを巡らせていたんですね。でもこの曲、歌が難しくないですか。
手越:この曲だけじゃなく、T.N.Tの曲は全部むずいっすよ。
kyohey:でも、手越くんがボーカルだからこそそういう曲が書けるんですよ。手越くんじゃなかったら、僕らがつくるような曲は多分歌えないと思うんですよ。こっちとしても「任せられないな」ってなっちゃうんで、そこは信頼関係です。
――Furutatsuさんはこの曲ではヴァイオリンを弾いているんですか?
Furutatsu:弾いてます。ソロパートを弾いているし、ストリングスのアレンジメントをアレンジャーの方と一緒にしたりしています。
手越:この曲の間奏には絶対ストリングスを入れてほしくて、ストリングスありきで僕は歌詞を書いてました。ピアノも生だし。「打ち込みは嫌だよ」って。
kyohey:しかも、何を隠そう、このピアノはFurutatsuのお姉ちゃんが弾いてるんですよ。
――そうなんですね!
Furutatsu:ストリングスも僕の先輩方にお願いしているので、個人的にはすごく満足してます。
手越:僕はレコーディングに立ち会えなかったんですけど、聴いたときにはもう、ガッツポーズしました。
――Furutatsuさんがヴァイオリンを弾けるというのは、バンドとしても武器になりますね。
手越:一気に世界観が変わるからめっちゃデカいです。「Leap Of Faith」という曲も、ライブでは間奏でFurutatsuがベースからヴァイオリンに持ち替えて弾くんですけど、そのときは会場が湧きます。サウンド面でもビジュアル面でも武器になってますね。
――Ryu.さんは今回のレコーディングには参加はしていないと思うんですが、ライブではどうアプローチしていきますか。
Ryu.:この曲は伝えたいことがはっきりしている印象なので、前に出るところではしっかり出るというイメージで弾きたいと思ってます。
――ちなみに、Ryu.さんはどんなプレイを得意としているんでしょう。
Ryu.:得意なものはまちまちなんですけど、元々ブルースが好きで、そこから80年代ぐらいの洋楽ロックを聴き始めて。ギタリストになってからは下積みが長かったので、夜な夜ないろんなお店で弾いたりする生活の中でいろんな音楽に触れていって、そこでJ-ROCKやJ-POPが好きになっていきました。なので、今はロックギターが好きですね。
――この体制でのライブはすでに何本もやっていますが、今後どう曲が化けていくか楽しみですね。
手越:攻めの楽曲は3人のプレイも含めてわかりやすいんですけど、「未来へ」みたいな楽曲は自分の歌い方も含めて一番難しい楽曲だと思っていて。もちろん、ライブでは足し算することもできるけど、こういう楽曲で難しいのはいかにマイナスするかということで。どこをマイナスするかによって、プラスが活きてくる。なので、こういう楽曲でこそ、歌が上手いアマチュアの人と本物のプロとして食ってる人の差が出るんです。プロの人たちは、その気になればいくらでも上手く歌えるんですよ。僕もずっと声量マックスにして歌えるし、簡単なんです。でも、最後のサビを敢えてマイナスで歌うからキュンとくる。今のはボーカルの話ですけど、同じようなことを各パートそれぞれが考えてるんです。会場はホールなのかスタジオなのか、お客さんはいるのかいないのか。セットリストの1曲目にやる「未来へ」とラストにやる「未来へ」は、同じ曲でも絶対に熱さを変えなきゃいけない。そんなことも含めていろいろ考えないといけない楽曲だからこそ、センスと腕が問われるのかなと思いますね。
Furutatsu:まさにその通り。
kyohey:正直、ライブで一番難しい曲です。
T.N.T
―― この新曲たちを引っさげて、来年は初の全国ツアーが開催されます。どんなツアーにしますか。
手越:ツアーを組むときには、どの都市のどのハコが押さえられるかっていう問題もあったんですけど、バンド内で一致してたのはバンドっぽいハコを回りたいってことで。「ロックバンドが回るのはここだよね」っていう場所。つまり、そこは僕がこれまでほぼ立ったことのない会場なんですよ。僕はこれまで、ホールやアリーナからドームに至るまでかなりいろんな会場でやってきているんですけど、ライブハウスは今まで立ったことがないからすっごい楽しみで。僕、みんなと逆のキャリアを辿ってるんですよ。多分、普通のアーティストは少しずつ会場が大きくなっていって、武道館とか東京ドームを目指すと思うんですけど、俺は逆に、そこに全く憧れがなくて、自分でも変なキャリアだとは思うんですけど、だからこそすっごい楽しみです。
――たしかにそうですね(笑)。かなり特殊です。
手越:Zeppもソロになるまでやったことがなくて。でも、楽しいんですよ。ファンとの距離が近いし、音もいいし、全部がフルに伝わる。日本の音楽シーンを引っ張っているロックバンドがいろんな香りを残している場所でライブができるのはすごく楽しみですね。でも、楽曲が足りないので今、めっちゃつくってます。めちゃくちゃ急ピッチ!
kyohey:もう残り1か月ですもんね。
手越:うん、そうだよね。今年中にリハやんなきゃいけないから、本当に急がないと。
――そう考えると、なかなか大変ですね。
手越:でも、人生なんとかなると思ってるんで。
kyohey:うん、頑張ればなんとかなる。
――こういう経験豊富で頼れるリーダーがいるっていうのは、バンドにとって大きいですね。3人も信頼してついていけるし、自信を持ってあらゆることに立ち向かえるんじゃないかと。
kyohey:フロントマンで全部変わると思うんですよ。手越くんじゃなかったら多分、僕らの演奏も落ちると思うし。それくらい、僕らにとってフロントに立ってる手越くんという存在は神聖で絶大なもので、心から信頼できるんです。
Furutatsu:ただ譜面を追って正確に弾くこと以上のものを目指せることが嬉しいし、それがバンドとして成長する要因になってるんじゃないかと思います。もちろん、今のままでも演奏力は高いとい思うんですけど、この先はそれ以上の表現ができると思います。
――手越さんとしても、T.N.Tをもっと高みへ引き上げていきたいですよね。
手越:そうですね。やるからには悔いが残らないようにやりたい。僕自身のキャリアとしてはちょっとよくわからないものになってるんですけど、それも元々いた事務所が素晴らしすぎたからこそで。あそこは日本No.1のプロダクションだと思ってるし、あんなに恵まれた活動ができる事務所は他に見たことがない。俺はあの頃、いろんなステージに立ったり、番組に出られたのは、100パーセント事務所のおかげだと思ってるんですよ。だから、ソロになってからは自分の実力で切り開く以外に道がなくなるわけですよね。俺、2020年からソロになって、25年にT.N.Tを始めるまで、しっかりしたタイアップってひとつもやってないんですよね。でも、T.N.Tというチームになってから、日本テレビが誇る全国高校サッカー選手権の主題歌とか、ドラマの主題歌とか、何よりこのメンバー3人に恵まれたのは、神様からのプレゼント……かどうかはわからないですけど、これからは自分の実力と魂で、ファンと共に未来のいろんな目標を叶える旅に出るのかなって。これまでとは旅の種類が変わったんです。これまでは事務所のおかげで当たり前のように立てた場所に、今度は自分たちの本当の実力と、一緒に歩んでくれるファンとともに戻りたい。そんなストーリーを思い描いた人って俺が知る限りはほかにいないんですよ。だから、もしその目標が達成できたとしたら、たくさんのアイドル、アーティスト、芸能人、そして今社会で一生懸命戦い抜いてる人たちへ、頑張ること、努力すること、目標に向かって戦い続ける勇気を与えられるなって思いながら毎日を歩んでます。その目標へ向かうための大きな船がT.N.Tなんです。
取材・文=阿刀"DA"大志
T.N.T