TOTALFAT × BIGMAMA 四半世紀の時を超え、高校の先輩後輩が本気で対峙した『PUNISHER'S NIGHT 2026』ファイナル

レポート
音楽
2026.1.30
TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

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PUNISHER'S NIGHT 2026  2026.1.24  渋谷CLUB QUATTRO

TOTALFATによる恒例の東名阪対バンライブ『PUNISHER'S NIGHT』。これまでは基本的に3マン形式で行われることが多かったが今年は全会場2マンで、その代わりにとにかく全会場とも濃厚な組み合わせとなった。中でも、ファイナルの渋谷クアトロに招いたBIGMAMAは、お互いを原点から知り尽くした間柄。エモくなること請け合い、熱くなれること間違いなし。みっちり埋まったフロアは開演前からどう見ても臨戦体制である。

BIGMAMA

BIGMAMA

定刻ぴったりで暗転した場内に流れ出したのは、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」。そのまま同曲を下敷きに激烈ロックアレンジを施した「荒狂曲“シンセカイ”」を繰り出す定番の立ち上がりで、フロアはいきなり激しく揺れ動く。Bucket Banquet Bis(Dr)の整然としつつもかなりの手数を叩き込んでいくドラムプレイと安井英人の5弦ベースが放つ極太の低音。そこへ柿沼広也のギターが鋭く切り込み、サポートヴァイオリニスト・花井悠希の弾くフレーズとスリリングに絡み合う。あまりに記名性の高いBIGMAMAサウンドを受け止めるオーディエンスのレスポンスは驚異的で、クラップにオイ!コール、クラウドサーフと文字通り全身でパッションを開放。さすがはTOTALFATのファン、ライブにおけるフィジカルな楽しみ方を熟知している。

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

BIGMAMA

先に言ってしまうが、BIGMAMAのセトリはとんでもなく攻めていた。根幹はヴァイオリンの入ったギターロックで、そこにダンスやパンク、ポップスといった多彩な味付けをする──というのがBIGMAMAの在り方であり、ライブでは曲によってダイブも起きます、というくらいだ、本来は。なのにこの日はパンク方向にほぼ全振り。理由は明快、相手がTOTALFATだから。自分たちにバンドの道を指し示した、高校時代の2個上の先輩たちだからだ。「TOTALFATの可愛い後輩」と自己紹介した金井政人(Vo/Gt)は、続けて「この2組が交わると、どうしても最高の夜になってしまうんです」と言っていたが、本当だから困る。「美術│ESORA」では、なぜか金井の顔写真のお面を被ったTOTALFATのShun(Ba/Vo)とJose(Gt/Vo)を呼び込んでのお祭り騒ぎとなり、「High Spin Coffee-Cup」では軽やかにして甘めの味付けとロックンロールなノリの合わせ技で攻める。このあたりは比較的最近の曲、つまりレーベルメイトではなくなって以降の曲なのだが、フロアの反応はすこぶる良い。それだけファン同士の親和性も高く、双方にとって特別な対バンなんだろう。

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

ほとんど曲間を空けることなくライブは進んでいき、折り返しを過ぎたあたりでイントロの時点から爆発的に沸いたのは「走れエロス」。猛進するファストな2ビートを浴びたオーディエンスは、演奏されているフレーズ自体がクラシック曲(ヴィヴァルディ「四季」より「春」)であるとは信じられないくらいの暴れっぷり。アウトロでのギターとヴァイオリンがユニゾンしながらの速弾きもバッチリ決まった。「CPX」では再び登場したShunが「いくしかねえだろ、渋谷! かかってこい!」と檄を飛ばし、最後は自らフロアへダイブ。Joseとともにミラーボールが回る中で届けた「MUTOPIA」で、クアトロを一気に快楽と多幸感に満ちた空間へと塗り替えると、同じくスケールの大きなアンセム系統の最新ナンバーにポジティヴなメッセージを込めた「The Parade」で怒涛のライブを締め括った。

「後輩歴20年強の私が断言します。カッコ悪いTOTALFATなんて見たことない。今日もそれは保証します」

TOTALFAT

TOTALFAT

そんな金井からの愛のこもったハードル設定すら、TOTALFATは速攻で悠々と飛び越えていった。まずはBUNTA(Dr)が叩き出す激しくもしなやかなビートに乗ってツインボーカルがメロディアスに並走する「Astronaut」を繰り出すと、Joseがさりげなく指をクルクルっと回すや否やフロアにサークルが誕生。先ほどまでにも増してカオティックな様相を呈していく。ヘヴィとキャッチーが渾然一体となって迫る「D.B.A」に続き、「New Shit」では総ジャンプ状態となってガンガン会場を揺らす。さらに「Fireworks」でその震度が上がったもんだから、ちょっと建物の心配をしたくなるくらいである。冒頭のブロックは全て直近のアルバム2枚、『FUTURES IN SILHOUETTE』『PURE 40』からの選曲で、3人体制への以降や独立といったターニングポイントを経てより逞しくなり、そしてより音楽を自由に楽しんでいる現在のTOTALFATの姿を思いっきり焼き付けていった。

TOTALFAT

TOTALFAT

TOTALFAT

TOTALFAT

「ファイナル渋谷、ヤバい日になりそうだな、ありがとうございます!」(Shun)と切り出した最初のMCでは、BIGMAMAに「セットリストから俺らを殺しにきてました」と最大の賛辞を送る。Joseはコラボ曲について「2日前に言うなよ……」なんてぼやきも入れていたが、後輩たちによる言外のアジテートが3人に火を点けたことは間違いない。ここだけの話、数日前にもらっていたセットリストからは曲目も曲数もかなりの数入れ替わっていた。BIGMAMAがそうくるなら俺らはこう返す。そんな意地と愛情によってこれだけライブがエキサイティングなものになるならば、もういくらでも張り合ってくれて構わない。続いてのブロックでも最新形を見せるモードは継続され、「夏ノ大蜥蜴」ではもはや新名物となっている〈酒持ってこい〉コールに応えて、安井がイェーガーマイスターを持参して登場。よりパーティー感の強まった空気の中で放たれた「Tank-Top」では、ラストで演奏が加速していくのとリンクしてフロアの狂騒度合いもさらに増す。

Shun

Shun

Jose

Jose

Bunta

Bunta

BIGMAMAが20周年、自分たちが25周年というアニバーサリーを共に迎えられたことを喜び、そんな二組がこれだけの景色を作り上げられるなら、これからも可能性は無限大だ──Shunの言葉に、肯定の拍手と歓声がそこら中から送られる。高校時代は想像すらし得なかっただろうが、共に40代に突入してなおこれだけフィジカル強度の高いスペクタクルなライブも、尽きることのないキッズ魂も変わらない。そこに加えて進化の部分を見せつけるのがライブ前半だったとすれば、後半では逆に時代を遡ることで変わることのない核の部分を、BIGMAMAメンバーとの共演によって浮き彫りする展開となった。まずは金井を呼び込んでの「晴天」と「Good Fight & Promise You」。フロアとのコール&レスポンスも交えつつのトリプルボーカルが爽やかだった前者に対し、後者は純度の高いメロコアサウンドに乗った爽やかでいてどこかセンチメンタルなメロディが、金井の柔らかな歌声と絶妙にマッチしていた。続いて登場した柿沼とともに披露したのは、ハードコアにも近い硬質な激しさを持つ「Angry Shotgun」と、青春感あふれるメロディックチューン「Nothing But」だ。センターで堂々と速弾きソロを決める柿沼の姿に、思わず4ピース時代のTOTALFATが過ぎって懐かしさを覚えたり。

TOTALFAT

TOTALFAT

TOTALFAT

TOTALFAT

「Young Guns」と「The Silhouette」、再度最新アルバムからの楽曲を続けたところで最後のMC。かつては自分の地元を腐ってると思って東京の学校に行かせてもらい、そこでメンバーと出会い、BIGMAMAと出会ったこと。そこから続けてくる中で、かつてはバンドで日本中を回る姿を羨んでいた友人から、そのうち「まだバンドやってんの?」なんて言われるようになり、それが今ではまた「好きなこと続けて本当にすげえよ」と言われるようになったこと──。同じ場所に立ち続け、やり続けることの大切さと、それによって出会っていく仲間の存在を語ってから披露したのは「Place to Try」だった。冒頭から特大シンガロングが起き、前方ではたくさんのリフトが出現。そして今日一番の大爆発を起こして本編を締め括った。

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

アンコールの1曲目は「We Run On Faith」。この曲をやらずに終われるはずがない、“TOTALFAT×BIGMAMA”名義で世に放たれた楽曲を、総勢8名でクアトロのステージをパンパンにしながらプレイした。なぜか人数分用意された金井のお面(前半で出てきたやつ)をみんなで被ったりとわちゃわちゃした中、ちゃんと休養中のBIGMAMA東出真緒(Vn)のお面も用意されていたのはグッときたが、それを装着したのが上裸のBUNTAだったのには笑った。

TOTALFAT

TOTALFAT

BIGMAMAメンバーを送り出した後には、予想もしなかった重大発表があった。すでにニュース等で見ている人も多いと思うが、それは4月4日(土)・5日(日)に行われる主催フェス『TOTALFAT pre. "UTAGE MATSURI PARTY" in Zepp Diver City』を機に、サポートギタリストを加えた4人編成へと移行するというものだ。かつてギタリストが脱退した時には選ばなかった道を、いま進もうとする理由は何か。それは単なる4人時代への回帰ではなく、3人で完成させたTOTALFATの現在形にプラスする上積みとしての4人編成ということなんだと思う。そんなのもう、可能性しかないじゃないか。オーラスでぶっ放された「DANANA」を真正面から喰らいながら、無性にワクワクして仕方なかったのは言うまでもない。


取材・文=風間大洋

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT × BIGMAMA

TOTALFAT ライブ情報

TOTALFAT presents「UTAGE MATSURI PARTY」
4月4日(土) Zepp DiverCity (TOKYO)
OPEN 11:30 / START 12:30
 
-ACT-
TOTALFAT
9mm Parabellum Bullet (NEW!!) 
THE BAWDIES (NEW!!) 
Dragon Ash
SCAFULL KING 
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS
グッドモーニングアメリカ
山嵐
HERO COMPLEX
 
4月5日(日) Zepp DiverCity (TOKYO)
OPEN 11:00 / START 12:00
 
-ACT-
TOTALFAT
SHADOWS (NEW!!) 
FOMARE (NEW!!)  
キュウソネコカミ
dustbox
マキシマム ザ ホルモン 
Wienners 
SPARK!!SOUND!!SHOW!! 
HAWAIIAN6 
四星球 
Northern19 
MEANING 
 
-TICKET-
1F ¥6,600-(税込)
2F ¥8,800-(税込)
※2日通し券無し
 
最終プレオーダー抽選受付
受付期間:1月30日(金)18:00〜2月8日(日)23:59

BIGMAMA ライブ情報

Welcome to the MOTHERLAND
3月1日(日)下北沢ERA
OPEN 18:00 / START 18:30
【通常】全自由(入場整理番号付)5,500円(税込) ※ドリンク代別途必要
【学生】全自由(入場整理番号付)3,300円(税込) ※ドリンク代別途必要
https://eplus.jp/sf/detail/0255550001?P6=001&P1=6147&P59=1
 
MOTHERLAND 〜The Climax Parade〜
5月10日(日)Zepp DiverCity
OPEN 17:00 / START 18:00
https://bigmama-web.com/shows/12502/
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