友情、殺陣、そして命の重み——佐藤流司脚本・演出の舞台『二十五億秒トリップ』が開幕 【ゲネプロレポート】

レポート
舞台
2026.1.30
舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

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俳優・佐藤流司が脚本・演出を手掛ける舞台『⼆⼗五億秒トリップ』が、2026年1月30日(金)に東京・天王洲 銀河劇場にて開幕。佐藤にとって『カストルとポルックス』に続く脚本・演出作品第2弾となる本作では、初共演となる早乙女友貴を主演に迎え、生と死という普遍的なテーマに真正面から挑む。

出演には、早乙女、佐藤のほか、松田 凌、田村 心、福井巴也、京典和玖、定本楓馬、小坂涼太郎、髙木 俊、うえきやサトシといった顔ぶれが揃う。また回替わりで北園 涼と田村升吾が映像出演することも発表された。一体どんなトリップが待っているのか。ゲネプロ公演の様子をレポートする。

有限の命と向き合う、緩急自在の物語

左から早乙女友貴、松田凌(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

左から早乙女友貴、松田凌(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

“有限の命を生きる意味”を、痛みを感じるほどに真正面から描き切る作品が新たに生まれた。稽古期間中に実施したインタビューで佐藤は「今作は特にネタバレに気を付けて、完全無菌状態で観劇してほしい」と語っていた。その思いを汲み、本記事では事前に発表されている以上の情報をなるべく開示しない形で見どころを紹介する。

主人公・折原 一(早乙女友貴)は、ある日姿を消した親友・星奈 遥(松田 凌)の足跡を追っていた。友人の⽩⿃ 岳(福井巴也)を通じて黒野零司(佐藤流司)と出会った折原は、彼から多元宇宙論=マルチバースについて聞かされ、星奈が別の並行世界に飛んだ可能性を示唆される。半信半疑で指定された場所に向かった折原と白鳥は、本当に別世界へとたどり着いてしまった。

別世界で出会ったサトウ(京典和玖)やヤマダ(定本楓馬)、アキモト(小坂涼太郎)らに迎え入れられた2人は、刀鍛冶のスマイル(田村 心)とも出会う。果たしてこの世界で星奈との再会は叶うのか——。

舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

生死という重いテーマを描くと決めた佐藤の覚悟は相当なものだろう。その思いに応えるキャスト陣の熱演が掛け合わされ、佐藤の魂が透けて見えるような熱い作品が立ち上がった。

見事なのは、脚本・演出を手掛けた佐藤のセンスが存分に生かされた緩急の付け方。一見するとサラッとしたテンポのいい会話劇の中に、クスッと笑えるやり取りや、ときにずしりと心に重くのしかかるテーマを投げ込む。それらが絡まりながら、加速度的にクライマックスに向けて重さと激しさが増していく展開が印象的だった。クールに見えて内側に熱いものを持つ、佐藤自身にも重なるような作品といえる。

佐藤流司(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

佐藤流司(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

笑いという点では、コンビで登場するソウマ役の髙木 俊とカシマ役のうえきやサトシの存在感が光る。芸達者な2人の掛け合いは笑いをもたらすだけでなく、その軽さが逆に別世界の住人たちの異質さを浮かび上がらせた。

左から髙木俊、うえきやサトシ(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

左から髙木俊、うえきやサトシ(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

サトウ役の京典やヤマダ役の定本、アキモト役の小坂らのシーンは、仲間同士の賑やかなわちゃわちゃ感が好きという人にはたまらないはずだ。スマイル役・田村 心は、寡黙ながらも圧倒的な存在感を放つ。彼が刀に込める思いが物語に深い影を落とし、折原と星奈の物語とは違うもう一つの軸として、大きな役割を果たしている。

田村心(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

田村心(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

もちろん、親友である折原と星奈、そして2人を見守る白鳥の関係性も本作の大きな見どころだ。折原と星奈の間に横たわる距離感、白鳥が見せる友への思い……。それぞれが物語の終わりにどんな選択をするのか。それはぜひ劇場で見届けてもらいたいが、彼らの感情の機微にこそ、この作品の核心がある。マルチバースや生死といった壮大なテーマが描かれながらも、物語の核にあるのは友情という普遍的な感情だ。誰かを大切に思う気持ち、失いたくないと願う心。そんな身近な感情が、観客をこの物語の世界へと引き込んでいく。

松田凌(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

松田凌(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

個性が際立つ、圧巻の殺陣シーン

舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ

そして、このキャスト陣を見て、期待せずにはいられないのが殺陣だ。早乙女を筆頭に、殺陣に定評のあるキャストがこれだけ揃っている。どれだけ期待値を上げても、期待以上の殺陣を浴びることができるだろう。

左から早乙女友貴、田村心(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

左から早乙女友貴、田村心(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

全体として殺陣のクオリティが高いのはもちろんのこと、それぞれの個性が存分に発揮されていた。早乙女の速さとしなやかさが飛び抜けている殺陣に、松田の大胆かつ繊細な殺陣、田村の一本芯の通った信念ある太刀筋、そして佐藤のカリスマ性を内包した一振り。全登場人物に殺陣での見せ場があり、その戦い方からもその人となりが見えてくる。

各々のバックボーンが匂い立つアクションは、本作を彩る大きな魅力のひとつだ。殺陣の一振り一振りに、登場人物の生き様が刻まれている。原作がない作品だからこそ、殺陣からその人となりを想像する、という楽しみ方もできるのではないだろうか。

8,100秒が問いかける、生きることの意味

左から早乙女友貴、佐藤流司(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

左から早乙女友貴、佐藤流司(舞台『二十五億秒トリップ』ゲネプロ)

上演時間は約2時間15分——8,100秒。人生が二十五億秒の旅ならば、この作品で過ごす8,100秒は、かけがえのない「今」を生きる意味を問いかける旅となる。痛みを伴いながらも真正面から命と向き合うこの舞台は、観る者の心に深く刻まれるはずだ。
 

取材・文・撮影=双海しお

公演情報

『二十五億秒トリップ』

【日程】2026年1月30日(金)~2月8日(日)
【会場】天王洲 銀河劇場
 
【脚本・演出】佐藤流司

【出演】
早乙女友貴
田村 心 福井巴也 京典和玖 定本楓馬 小坂涼太郎
髙木 俊 うえきやサトシ
松田 凌
佐藤流司

 
川島弘之  熊本敬介  佐伯 啓  佐藤 丈  高岩芯泰  西村功我  藤井惇成  藤原儀輝  森 悠人  大橋美優  鈴木彩海

料⾦
11,000円(全席指定/税込)
※未就学児入場不可
 
【公演・に関するお問い合せ】
Mitt /TEL:03-6265-3201(平日12:00〜17:00)
 
【公式サイト】
https://25okubyo-trip.com
【公式X】
@25okubyo_trip
【ハッシュタグ】
#にごステ

【主催】『⼆⼗五億秒トリップ』製作委員会
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