クラフトビールの頂点ってどんな味?『JAPAN BREWERS CUP 2026』全力潜入レポ
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『スペントグレイン Presents JAPAN BREWERS CUP 2026』 撮影:大塚正明
最近「今まで食した〇〇の中で過去イチで美味しい!」と、何かに感動したことはあるだろうか?
この記事は、2026年2月6日〜8日に横浜大さん橋ホールで開催された『スペントグレイン Presents JAPAN BREWERS CUP 2026』のイベント潜入レポである。とびっきり美味しいクラフトビールと出会えるこのフェスの感動について、じっくりとレポートさせてほしい。
会場エントランス 撮影:大塚正明
【JAPAN BREWERS CUP(ジャパンブルワーズカップ、略してJBC)とは?】
例年2月の横浜で開催されているJBCは、世界的にも珍しい「ビール審査会」(非公開)と「ビールフェス」の二本立てイベントである。審査はビールの本場・チェコにならって、全国から集まった審査員によるブラインドテイスティングで行われる。ちなみに、今年の審査会に国内外からエントリーしたビールは1,000種類以上!
細かく紹介していくとキリがないが、その審査員になるためにもビール職人として一定のキャリアが必要だったりと、ものすごく厳正かつガチンコの戦いである。そして注目の審査結果はフェス中に発表され、彼らが「うまい」と認めた味わいを来場者もその場で楽しめる、という趣向だ。
会場風景 撮影:大塚正明
フェス会場にはクラフトビールメーカー42社・合計約200種のビールが集結し、音楽ライブやお笑いステージも楽しめる。この会場に出店するだけで10倍近い競争率の中をブラインドテイスティングで勝ち抜く必要があるため、会場で出会うの選ばれし“つわもの”ブルワリーのみ。さらにそこへ加えて、そんな猛者たちが尊敬と憧れを抱いてやまないアメリカの人気ブルワリーが、ゲスト枠として出店する。高校野球の甲子園のような、競馬のジャパンカップのような……もうとにかく、会場内には美味しいに決まってるビールしかない、そんな夢のようなフェスティバルなのだ。
会場の圧倒的熱気と興奮
筆者が潜入したのは、ちょうど会期真ん中にあたる7日(土)の午後。本当に、すごい熱気だった……出店ブルワリーは42ブースだから、そこまで多くないか〜と油断していたのが間違いだった。1店1店のレベルが異様に高いため、期待を寄せて訪れる来場者もそれだけ多いのだ……そして、めちゃめちゃ暑い!
会場風景 撮影:大塚正明
当日は昼から雪の降る極寒日だったというのに、会場を半周もする頃には耐えられなくなってコートをかなぐり捨てた。ハードに防寒して来たのが完全に裏目に出てしまって辛い。【教訓1:会場内ではそこそこ薄着がおすすめ】である。コンパクトに畳めたり、巻いたりできる上着がベスト。ちなみに海外勢の来場者の中には半袖の人も結構いた。
会場MAP
会場内にイスは無く、中央にテーブルだけが並ぶオールスタンディング形式だ。ブースを巡ってビールやフードを購入し、テーブルエリアでステージを楽しむのが王道だろうと思うが、取材開始した15時頃の時点ではどのテーブルもほとんど取り付く島がない満席状態で、コートを脱ぐために一時的に荷物を置く場所を見つけるだけでひと苦労だった。まるで満開時のお花見会場である。
快く撮影に応じてくれたゴキゲンな皆さん。グループでの参加も楽しそう! 撮影:大塚正明
しかしそれにしても、至福の一杯を堪能している来場者たちは誰もが満面の笑みである。早く“そちら側”に行きたい!
横須賀から遊びに来たという、頭部にビール愛がみなぎるおふたり 撮影:大塚正明
考えるより先に飛び込む!
とにかく、全ては最初の1杯を流し込むところからだ。暑くてたまらないし、記念すべき最初の1杯はやっぱりグイッといけて爽快感のあるラガーがいい。というわけで、足を止めたのは大阪の「CRAFT BEER BASE」のブースだ。
「CRAFT BEER BASE」のブースにて、淡色ラガー部門3位に輝いた「Southern German-Style Pilsener」を購入 撮影:大塚正明
片手に持ったプラカップがまるでパスポートで、ここから一気に“場"に迎え入れられたような気がした。なんだ、簡単なことだったのだ。【教訓2:まずはすぐに最初の1杯を飲んだ方が楽しい】である。
カップを手にしていると、不思議とそれまでより人混みを歩きやすい……会場にいる人はみんなビールに敬意を払っているからこそ、カップを持つ人とぶつからないように各々が心を配りながら動いているのだと気がついた。酒飲み同士ならではのお作法のようで、ほっこりである。
かぁ〜〜〜っ! 撮影:大塚正明
ビールは写真の9oz(約250ml)サイズカップで、だいたい800円〜1000円程度。ブルワリーによってはラージカップがあったり、ミニカップを数種類組み合わせた飲み比べセットを販売しているところもあった。ここで声を大にしてお伝えしたいのは、ブースごとに支払い方法がかなりバラついており、現金のみの店があったり、反対に現金不可の店もあるということ。【教訓3:現金と電子マネーの両方をしっかり用意!】である。
なお、金額の話ついでのプチ情報だが、会場内で販売されていた水は500mlで200円だった。ソフトドリンクに関しては持ち込みOKなので、水は持参するのがお得かも。
「Green Cheek Suitcases Of Yuzu Gose」は、フレッシュな柚子と海塩を使った和風ウィートビール。フルーツビール部門で4位を獲得している逸品! 撮影:大塚正明
勢いがついて、SNS情報で密かに注目していたアメリカのゲスト枠「GREEN CHEEK BEER COMPANY」のブースにも並んでみた。同社は数々の受賞歴を持つ世界トップレベルのブルワリーで、今回がビアフェス初来日。どれを飲むか迷いに迷って、今回のJBC公式コラボビールだという「Green Cheek Suitcases Of Yuzu Gose」を選んでみた。あぁぱっちりと目が開くほどの、柚感! フルーツビールってこんなに美味しかったんだ、と衝撃を受けた。
日米醸造家たちの“居酒屋トーク”
トークセッション風景 撮影:大塚正明
じんわりいい気分になった頃、会場奥のステージで醸造家たちのトークセッションが始まった。JAPAN BREWERS CUP 代表の鈴木真也氏を中心に、日本、アメリカの醸造家たちがワイワイと審査会を振り返り、クラフトビールの未来について語り合う。
わんこそばのように運ばれ続ける試飲のカップのせいで、終了時間を迎える頃には誰もがすっかりご陽気に 撮影:大塚正明
特に印象的だったのは、鈴木氏の「もう、酵母の壁を越えた時代になっているのかな? って……」という一言だ。今年の淡色エール部門の金賞受賞ビールをはじめ、近年では“ラガー酵母を用いたエール”が話題をさらっているらしい。気鋭の醸造家たちにとって、もはや創りたい味のために既存の枠組みを超えた酵母選びをするのは当たり前なのだそう。ラガー酵母を使うのがラガーで、エール酵母を使うのがエールだなんて単純な時代ではないのだ。 Revision Brewing Companyのジェレミー氏は、探求を続けるブルワリーたちの情熱や、その多様な作品たちを「Creative Magic(クリエイティブマジック)」という言葉で表現していた。とても素敵である。
GREEN CHEEK BEER COMPANY創業者・エヴァン氏からの「日本のBeerは、美味しいです!well done(よくできました)!」とのコメントには、会場が一体となって歓声を上げた 撮影:大塚正明
栄えあるチャンピオンブルワリーの発表
受賞ブルワリーによる集合写真 撮影:大塚正明
トークセッションに引き続き、いよいよ2日目のハイライトとなるチャンピオンブルワリーの発表・表彰へ。過去最多となる1,022銘柄が味を競った審査会を経て、今年のブルワリーのトップオブトップとして選ばれたのは……全10部門中「アンバービール部門」で1位、「ストロングビール部門」で2位という輝かしい成績を残した、奈良県の「奈良醸造」である。
栄光の瞬間、感極まって拳を突き上げた「奈良醸造」代表氏。おめでとうございます! 撮影:大塚正明
見事チャンピオンブルワリーとなった奈良醸造には、2027年のJBCの公式コラボビールを醸造する権利、およびアメリカ往復航空券が贈られた。どんなコラボビールが生まれるのか、今から楽しみである。
チャンピオンのブースへ突撃
フォトセッションも終わり、表彰式の興奮が醒めやらぬ会場を急ぎ足で進む。「奈良醸造」……「奈良醸造」のブースはどこ! 恥ずかしながら2杯のビールと会場の熱で酔っていたようで、会場中央付近の目立つ場所にあったブースがどうしても見つからず、何周もぐるぐるしてしまった。【教訓4:マップはどんどん読めなくなる(英語表記ばっかりだから……)】である。
「じゅっ、受賞のビールはどれですか?」
「申し訳ありません……もう売り切れてしまいまして」
「うわあ〜……ちなみに、いつ頃にですか?」
「今日の午前中くらいには、ですね……申し訳ないです」
会場内各所に掲示されている審査結果 撮影:大塚正明
なるほど。なるほどである。JBC初参加の筆者はてっきり、2日目の夕方に開催されるチャンピオンブルワリーの発表こそがヨーイドンの合図だと思い込んでいたが、実際は違った。初日の夕方の審査結果発表の時点で、各部門の受賞ビールは公開されているのだ。よく考えれば「メッチャ美味いぞ」と太鼓判を押された受賞ビールが、そこから半日以上経って残っている方が奇跡に決まっているじゃないか。
【教訓5(重要!):受賞ビールにこだわりたいなら初日】である。
奈良醸造「BEER AFTER SAUNA OKAWARI」 撮影:小杉美香
けれど、肩を落とすのも束の間。せっかくだからと購入した「BEER AFTER SAUNA OKAWARI」を一口飲めば、「まあいっか!」とにっこりである。その名の通り、サウナ後に飲みたくなるような塩ライチの風味が、熱気ムンムンの会場と今の気分にぴったりマッチして大満足だった。また、ブースで販売されていた奈良醸造オリジナルグッズが非常にハイセンスだったことも特筆しておきたい。靴下買っておけばよかったなぁ、と現在後悔中である。
運命の一杯に出会えた幸せ
そしてクラフトビールの神は私を見放さなかった。個人的にいちばん好きな種類であるヘイジーIPA(果実っぽいジューシーさのある濁ったインディアペールエール)の1位に選ばれた、アメリカの「Varietal Beer Co.」の傑作ビールが、まだ購入可能だったのである!
Variatal Beer Co.が今回のため醸造したという「New Stars」。甘味・苦味・フレッシュ感の三位一体に昇天! 撮影:小杉美香
もう、すごかった。人生でこれまで飲んだどのビールより美味しかった。本当にぴったりと自分の口に合うものって、出会うと「コレだったんだ」とすぐ分かるものである。どうにか片言の英語で感動を伝えたい気もしたけれど、やはりさすがの人気で購入列が途切れる気配がなかったため、断念。これは今後どこで飲めますか? と尋ねようかと思ったのだが、それも愚問だったかもしれない。クラフトビールはこだわりの詰まった少量生産スタイルが基本のため、大抵は売り切れたらもう本当におしまい。流れ星のような一期一会の飲み物なのだ。
「Variatal Beer Co.」を扱う輸入元のAQベボリューションのブース 撮影:大塚正明
だからこそ、このフェスの「評価されたビールをその場で実際に味わうチャンスがある」という希望が心に沁みる。ビールの審査会は数多くあるけれど、受賞ビールが飲みきられて市場に出回ることなく幻となってしまうのもよくある事だという。JBCはその哀しすぎる事態を克服し、多くのビアファンにハイレベルなものを味わってほしい、そして日本のクラフトビール界隈にさらなる熱と発展を……という志をもって企画されているのだ。本当に、ありがとうございます!
ビールをさらなる高みへ引き上げるフードたち
スモークBBQの聖地・テキサスのテイストを追求しているBBQレストラン「Lonestar Smoke House」のブース 撮影:大塚正明
小腹も空いたので、おつまみをゲットするべくフードのブースを物色してみた。餃子にポテサラ、長く楽しめそうな燻製ナッツ類にも惹かれたが、ここはガツンと祝祭感のある肉の店に決めた。
スモークソーセージ、付け合わせのにんにくのピクルスもかなり悪魔的 撮影:大塚正明
スパイシーで塩気たっぷりのスモークソーセージを頬張る幸せに、仕事を完全に忘れそうになった。フードとのペアリングを楽しむなら、やっぱりちゃんとテーブルに置いてじっくり味わいたいな〜と思いつつも、その頃ステージでは芸人さんによるお笑いライブが始まっていたこともあり、満足げな人たちがテーブルを移動する気配は一向に無し。よく見ると、来場者の中には首から下げるカップホルダーやmyトレイを持参している人もいたので、それも手だったなと思う。
クラフトビール、の他にも……
さて回遊している中で、異様な存在感を放つ機器を発見。銅のボディがキラリと光るこれって、蒸留器なのでは?
酒造りの設備機器を扱う協賛企業の「コトブキテクレックス」、および同社が設立した「佐賀アームストロング醸造所」のブース 撮影:大塚正明
話を聞かせてくれたスタッフさんは「目立つし、カッコいいでしょう?」とニヤリ。でもなぜビアフェス会場に、醸造ではなく蒸留器を? と尋ねると、これは会場に集まったブルワリーへのプレゼンテーションなのだという。「ビールや素材が手元で余ったとき、蒸留することでジンやウイスキーに生まれ変わらせることができるんです。実際そうやって新たな銘柄を生み出していくブルワリーさんも多いですよ」とのこと。なるほど……
「#着るBEER」のブース。ちなみに売れ筋商品は、ビールそのまんまデザインのソックスとのこと! 撮影:大塚正明
会場内にはビールをモチーフにしたアパレルのブースも。全品10%オフというフェス特別価格も背中を押して、思わずがっつりと物色してしまった。
この手があったか、ラスト一杯
滞在120分を超えた時点での筆者のお楽しみぶりを公開すると、こんな感じだ。
※もちろん自腹です
自分の酔い具合と経済状況からして、飲めるのはあと1杯がいいところ。取材用のメモ帳に「もっと飲めればいいのに……」と切ない独り言を書きつけ、最後の1杯をどれにするかを真剣に考えてみた。
「しまなみブルワリー」のブース 撮影:大塚正明
心に聞いてみた結果、ビアフェスの締めくくりに自分が選んだのは意外な1杯だった。「しまなみブルワリー」で定番ビールのほかに販売されていた、クラフトビールの醸造技術を使ったレモンサワーがどうしても気になってしまったのだ。
「しまなみ超レモンサワー」。レモンビールとも、自分で作る生搾りサワーとも全く違う! 撮影:小杉美香
運よくその場にいた醸造長さんから話を聞かせてもらったところ「しまなみ超レモンサワー」は麦芽を極力抑えた“透明なビール”を造り、そこへたっぷりとレモン果汁を加えて作っているそう。グイッと飲んでみると、甘くないし麦の味もしない、透明感のある味わい。こんなやり方があるのか〜と酒の世界の奥深さをしみじみ感じた。
物販コーナーも大賑わい 撮影:大塚正明
「缶入りのものを出入り口付近で販売してますよ」とも聞いたので、家族にも飲ませようと勇んで買いに向かったものの、すでに売り切れていて人気ぶりを痛感……【教訓6:缶ビールを買って帰るならお早めに】である。
いつの間にやら夜は更けて
会場風景 撮影:小杉美香
時刻は18:30をまわり、ステージではアーティストによる音楽ライブが始まっていた。響く低音とともに観客が揺れて、海に突き出した大さん橋ホールが大きくうねる。ホフディランカルテットの「いつでもスマイル」を聞きながら、足元もフワフワと帰路についた。出会えた全ての一杯への感謝を感じてスマイルである。
取材中、会場内でたまたま遭遇できたJAPAN BREWERS CUP 代表の鈴木氏からは、多忙な中こんなメッセージをもらうことができた。
「JBCも回数を重ねて、日本のクラフトビールのクオリティがここまで進化できたと実感しています。次回もさらにパワーアップするつもりですのでご期待ください。さらにレベルをもう一段上げて、世界レベルに引き上げて、なおかつ世界トップレベルのビールを皆さんに楽しんでいただきたいと思っています!」
もっと上へ、もっともっと上へ
JBCは選び抜かれた美味しいクラフトビールに出会える場所。でも、ただそれだけではない。競争によって「こんなに美味しいものが出来たね」「次はもっと」「負けないようにもっと」と醸造家たちが互いに高め合い、愛好家たちへさらにスケールの大きな夢を見せる場所なのだ。
会場を出ると、ちょうど花火(通年の週末花火・横浜ナイトフラワーズ)が見えてなんだか感動 撮影:小杉美香
参加を経て、これから一層クラフトビール界に注目したいし、創造の最前線を突っ走る彼らを応援したいと強く思った。だってすでにこんなにも美味しいクラフトビール、この先も美味しさを追求し続けたら一体どんなすごいことになってしまうんだろう。もしかしたら「今までで一番!」という今日のこの感動も、塗り替えられていくのだろうか? それってものすごくワクワクするではないか。
現場からは以上である。それではJBCと輝きを増してゆくクラフトビール文化に、乾杯!
文=小杉 美香、撮影:大塚正明、小杉美香
イベント情報
『スペントグレイン Presents JAPAN BREWERS CUP 2026』(終了)
2月6日(金)16:00~22:00
2月7日(土)11:00~21:00
2月8日(日)11:00~19:00
※ラストコールは閉場30分前となりますので、時間に余裕をもってご来場ください。
【料金】
2/7入場券:¥1,200
2/8入場券:¥1,100
曲目・演目
<音楽>
bird
THE LOCAL PINTS
レギュラー
長州小力
まーな
【2月7日(土)】
<音楽>
矢井田瞳
ホフディランカルテット
インナージャーニー
ポニーテールリボンズ
仮面女子
ex.KNU
レイザーラモン
ジョイマン
囲碁将棋
【2月8日(日)】
<音楽>
フラワーカンパニーズ
DJやついいちろう
Name the Night
ハモニカクリームズ
雅轟太鼓
ですよ。
ヨネダ2000
MC:アホマイルド坂本