【インタビュー】ソプラノ・鈴木玲奈がミミ役に初挑戦 「それいけ!クラシック」が贈る青春アルティメット プロダクション《ラ・ボエーム》

10:00
インタビュー
クラシック

鈴木玲奈 (c)Naoko Nagasawa

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芸術家としての成功を夢見る若者たち。恋人との出会いと別れ。プッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》に、永遠の輝きを与えているのは「青春」そのものだ。ロドルフォが愛する可憐なミミもまた、単に芸術家のミューズであるだけでなく、自分の人生を真剣に生きる女性だからこそ、私たちの心を打つのである。
浜離宮朝日ホールで 3月8日(日)に上演される《ラ・ボエーム》で、この役を歌うのはソプラノ歌手の鈴木玲奈。今回、ミミを初役で歌う彼女に意気込みを聞いた。

ーー 鈴木さんはコロラトゥーラ・ソプラノとして、プッチーニ《ラ・ボエーム》のムゼッタを何度も歌われていますが、今回、初めてミミを歌います。ムゼッタにデビューしたのはいつでしたか?

2012年、東京音楽大学の創立 105周年記念公演です。初めてオペラ全幕を通して演じたのがこの公演で、広上淳一先生指揮、粟國淳先生が演出をされ、素晴らしく豪華な舞台でした。思い出深い公演です。それからムゼッタは何度も演じさせていただいています。
 
ーー 今回、ミミを歌うことになったいきさつは?

〈それいけ!クラシック〉の又吉(秀樹)さんから今回のお話をいただきました。私にとってミミは、いつかは演じてみたい憧れの存在でしたが、こんなに早くチャンスをいただけるとは思っていませんでしたので、正直迷いはありました。ここ数年で、低音域の幅も広がり、リリックなレパートリーも増えて、自分の中でも変化を感じていました。そんな中、〈それいけ!クラシック〉さんが中心となって企画されている公演で、ミミ役のオファーをいただいたことがとても嬉しくて、新たな挑戦としてお引き受けしました。
 

鈴木玲奈 (c)Naoko Nagasawa


ーー 鈴木さんは高音とコロラトゥーラのテクニックをお持ちで、舞台姿も華やかなので、確かにムゼッタの印象が強かったですが、声がリリックなものを歌えるようになってきたということですね。それにご自身の性格も、意外とミミに近いのではないですか?

どうでしょうか? ミミとムゼッタは正反対な性格と思われる方も多いかもしれませんが、共通している部分もあると思うのです。どちらも芯の強さを持ち、その時を懸命に生きている。二人とも自分に素直に生きている女性だと感じます。ムゼッタは華やかできらびやか、そして自由奔放のように見えますが、第四幕では心優しい一面を見せます。ミミは日常の小さな幸せ、花や太陽の光、ささやかな幸せに喜びを感じる女性。可憐なミミを演じられたらと思っています。
全ての作品に共通して、登場人物の思いをしっかりと音楽に乗せて伝えることを大切に心がけています。一つの作品で異なる役を演じることは、私にとっては初めての経験ですので、新しい発見の連続です。キャストのみなさんとお稽古するのがとても楽しみです。


ーー ミミは後半、第三幕では芯の強いところがありますし、最後の幕はまさにヒロインとして一番、輝いているように思います。

《ラ・ボエーム》は全ての登場人物が愛すべきキャラクターをもって、活き活きと描かれています。それだけに、ミミが亡くなってしまった後、残された彼らはこの後、どう生きていくのだろう、と毎回公演をするたびに、観るたびに考えます。第三幕では、ミミは自分の死が近いことを知り、ロドルフォのことを思って別れを決心します。でも、やっぱり最期はロドルフォに会いたくて、彼の元に戻ってしまうのですよね。ロドルフォを愛し、周りを思い、仲間たちの優しさに包まれて。ミミが愛されているからこそ輝いているように感じるのだと思います。

鈴木玲奈 (c)Naoko Nagasawa

ーー とても楽しみにしております。このオペラの中で、もっともお好きな場面をあげていただけますか?

第四幕のロドルフォとミミが二人っきりになる場面ですね。オーケストラだけになる部分は、私がこの作品で 1 番美しいと思う音楽です。そして二人が出会った頃を回想するシーンでは、練習していても思わず涙が溢れてきてしまって、ぐっと堪えながら歌っています。

ーー 〈それいけ!クラシック〉の三人、又吉秀樹さん、大川博さん、吉田連さん、そして七澤結さん、松中哲平さん、三戸大久さんなど、共演の方々とはもうお知り合いですか?

又吉さんとは初めて共演させていただきます。公演を観に行った際や、お食事の場などでご一緒させていただき、明るい愉快なお兄さんというイメージです。大川さんとは立川市民オペラの《愛の妙薬》で、もう 11 年も前にご一緒させていただいたことがあります。ベルコーレとジャンネッタでしたので絡みが少なく、温かく見守ってくださるお兄さん、という印象がありました。吉田さんは、それと同時期くらいに町田市で、《ランメルモールのルチア》公演のルチアとエドガルドでした。舞台でご一緒したのはその時だけですが、連さんは、優しい犬好きのお兄さんと思っています。松中さんとは 3 年前に、林美智子さんプロデュースの《ドン・ジョヴァンニ》でツェルリーナと騎士長で共演しましたが、絡みがなかったので、今回初共演の七澤さんと共にご一緒できることを楽しみにしています。三戸さんはコンサートでご一緒させていただいた他に、九州交響楽団さんとの《こうもり》に出演させていただいた際、三戸さんは刑務所長フランクで私はアデーレでした。演奏会形式といえど演技もかなりつき、第三幕のアデーレのアリアでは面白い演技で盛り上げてくださいました。芸達者な方なので、ベノアもアルチンドロも目が離せません!

ーー 素晴らしい公演になりそうですね。

今回、塙翔平さんの演出、そして荒井雄貴さんのプロジェクションマッピング、ヒノキの舞台装置に、お衣裳もシルクのニットで公演のためにお作り頂いているということで、素晴らしい舞台になることを想像しています。そして私にとって本当に嬉しいのが、河原忠之先生がピアノを弾かれるということ。河原先生のピアノで歌わせていただくと、大きな船に乗って海原に連れて行っていただくような感覚になるのです。
 

鈴木玲奈 (c)Naoko Nagasawa


ーー 素敵なお話をありがとうございました。最後に、公演を楽しみにしているファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
 
〈それいけ!クラシック〉のお三方や素晴らしい共演者の皆様と、青春と純愛の物語《ラ・ボエーム》公演をご一緒させていただけること、とても嬉しく思っております。初めてミミ役に挑戦させていただきますが、私もミミを演じて、新しい自分に会えることが楽しみです。皆様にもぜひ見届けていただけましたら嬉しいです。
 
取材・文=井内美香 写真=Naoko Nagasawa
 

公演情報

オペラ『ラ・ボエーム』 ~「それいけ!クラシック」が贈る青春アルティメット プロダクション~


オペラ『ラ・ボエーム』
~「それいけ!クラシック」が贈る青春アルティメット プロダクション~
ピアノ演奏 イタリア語上演/日本語字幕 ※合唱なし

【開催日時】 2026年3月8日(日) 16:00開演  15:30開場/休憩1回/19:00終演予定
【開催会場】浜離宮朝日ホール 
       
【キャスト】
 ミミ(ソプラノ) 鈴木玲奈
 ムゼッタ(ソプラノ) 七澤 結
 ロドルフォ(テノール) 吉田 連(「それいけ!クラシック」メンバー)
 マルチェッロ(バリトン) 又吉秀樹(「それいけ!クラシック」メンバー)
 ショナール(バリトン) 大川 博(「それいけ!クラシック」メンバー)
 コッリーネ(バス) 松中哲平
 べノア/アルチンドロ(バス) 三戸大久

【 ピアノ】 河原忠之
【 演出 】 塙 翔平
【衣裳提供】 TOSHIKO NAKANO 
【装置提供】 WOKA(第一幕、第四幕で使用予定)
【ヘアメイク】 徳田智美
【プロジェクションマッピング】 荒井雄貴(株式会社アライ音楽企画)

【 料金 】 全席指定9,000円(税込)

【 製作 】 それいけ!クラシック/塙 翔平
【 主催 】 TBSグロウディア/ローソン

・未就学児童のご入場はできません。また、託児所のご用意はございません。
・やむを得ない事情により、出演者が変更になる場合がございます。

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