ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ&囲み取材レポート 小池徹平「オリジナルミュージカルの良さを感じてもらい、この作品を共に大きくしていただけたら」
ミュージカル『どろんぱ』囲み取材
「日本発のオリジナルミュージカルを世界へ」をテーマに、ワタナベエンターテインメントと劇作家・末満健一がタッグを組んで立ち上げたMOJOプロジェクト。その第2弾となる、MOJOプロジェクト-Musicals of Japan Origin project-第2弾 ミュージカル『どろんぱ』の囲み取材及び公開ゲネプロが初日前に日本青年館ホールで行われ、作・演出の末満、小池徹平、屋比久知奈、生駒里奈、真琴つばさが登壇した。
本作は、互いの孤独を埋め合うように出会った“妖怪”と“人間”の関わり合いを軸に、“親子の愛と絆”を描き出す新作オリジナルミュージカル。日本ならではの美しさとどこか懐かしくも摩訶不思議な世界を、個性豊かな妖怪たちが紡ぐ。屋比久が演じる人間の遠野爽子に取り憑き「夫」だと思い込ませる煙の妖怪・烟々羅を小池が演じる。
ーー今回、末満さんが妖怪を題材に選ばれたのは、どのような理由からですか?
末満健一(以下、末満):ミュージカルは西洋(を舞台とした)ものが多いのですが、このMOJOプロジェクトでオリジナルをゼロイチで作るとき、何を作ろうかなと思っていろいろな方にアドバイスをいただいて、日本固有の題材でいこうと思いました。(日本)ならではだなと妖怪を選んだ次第です。
ーー実際に妖怪のミュージカルを作り上げ、初日を迎えますが、今、どのような心境ですか?
末満:妖怪と聞くとおどろおどろしいイメージがあるかもしれませんが、隅から隅まで愉快な妖怪たちによるお祭り騒ぎミュージカルになっているので、そうしたところをお客さんに楽しんでいただけたらと思います。
ーーキャストの皆さんから、演じる役柄について、どんな妖怪でどんなチャームポイントがあるのか教えてください。
小池徹平
小池徹平(以下、小池):キャンパーのような格好をしていますが、僕は煙の妖怪です。座敷童や神とはまたちょっと違います。皆さん、伝承がある、昔からいる妖怪ですが、僕は江戸時代に浮世絵師の方が描かれた創作された妖怪なので、出生が違います。煙の妖怪なので、火から起きるものだったり、いろいろなところに漂っているような、皆さんのことを暖かく見守っているような、優しい妖怪のイメージで演じさせていただいています。
ーー妖怪をテーマにしたミュージカルを作ると聞いたときはどのように感じましたか?
小池:びっくりしましたよ(笑)。「妖怪でミュージカルをやるんですか?」ということもそうですが、どうなるんだろうと思っていたので、こうして形になって、いよいよお客さんの前で披露できるということは、胸が躍るような気分でございます。
ーー生駒さんはいかがですか?
生駒里奈
生駒里奈(以下、生駒):私は座敷童子を演じさせていただいていますが、座敷童子には全国各地にいろいろな伝承があります。今回、末満さんが作った座敷童子は、小豆飯が大好き。家に取り憑いたらその家主に福をもたらすのですが、今回、本編でどのような効力を発揮するのか、お客さまには楽しみにしていただきたいと思います。自分で言うのはあれですが、座敷童子はかわいいと大好評なんです、キャストさん、スタッフさんたちから。なので、もう大成功していると思います(笑)。こういうことはあまり言いたくないですが(笑)。
末満:日本一の座敷童子女優です。
生駒:ずっと座敷童子をやりたいと思っていたので。前世に座敷童子がいるのかなというくらい役作り一切なしで、心から湧いたものそのままで演じたらオッケーという感じでした。でも、ミュージカルは初めてなので、素敵な大先輩方に毎日、いろいろなことを聞いて、お芝居の勉強をさせていただいているので、楽しんでやろうというポジティブな気持ちでいっぱいです。
真琴つばさ
真琴つばさ(以下、真琴):私は、人形神と書いて「ひんながみ」と読む妖怪です。烟々羅と同じで、きっとご存じない方が多いんじゃないかなと思います。生まれはドロドロしていますが、「願いを叶えるためには地獄に落とす」というところは、身近に感じることもあると思います(笑)。人形神はどちらかというと“静”のイメージなので、今回、血の通っている妖怪がたくさん出てきて心が動かされる中で“静”を保つのが大変でございます。
ーー屋比久さんは唯一の人間役です。妖怪に囲まれる毎日はいかがですか?
屋比久知奈
屋比久知奈(以下、屋比久):とても愉快です。皆さん、妖怪になったときももちろん、普段の姿も個性が強い面々なので、空気感も本当に良いし、その良い空気感が妖怪になったときのポジティブなエネルギーになっていると人間としては感じています。それがお客さまにも伝わったらいいなと思います。妖怪に楽しませてもらう人間がもっと増えたら嬉しいです。
ーー今回、皆さん初共演ということですが、お互いの印象は?
小池:みんな、仲がめちゃくちゃ良いですよ。
生駒:すっごく仲良くなりました。
小池:チーム力があって、1から作る作品が10を超えるくらいのパワーがあるものになっていると思います。大変な舞台だからこそ、みんなで支え合うことができたし、それが最後まで走り切るために大事だと思います。絆はすでにできているのではないかという気がします。
真琴:それはきっと、座長がいいからなんじゃないかな。
小池:いやいや。
ーー皆さんにとってどんな座長ですか?
屋比久:優しいし、面白い。
生駒:後輩のノリにもちゃんと乗ってきてくれます。今、薫の衣裳ですが、場当たりをさせていただいたときに、「徹平さん、着替えてきてくださいよ。私服を着ないでください」って言うと、ノってくださる。全部をこぼさずに受け取ってくださるのがすごくうれしい。
小池:ボケ担当が多いんだよね。
真琴:あと、わけわからない踊りを踊るのは何?
小池:ああ、「ナルトダンス」(笑)? (自分の)子どもたちが大好きなダンスで、それをマネしているだけなんです。
生駒:今、SNSで流行っているダンスを練習していましたよね。大先輩なんですが、かわいいと思って、先日、動画を録画してしまいました(笑)。私のフォルダには、踊っている姿が入っています。でも、その中だけに留めておきますので、(SNSには)上げません!
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ーー本作で大変なところはありますか?
生駒:お二人(小池と真琴)は殺陣がたくさんありますよね。
末満:真琴さんは殺陣は初めて?
真琴:日本刀は初めてに近いです。それなのに、鞘に納めたいとか、無理なことをさせて。でも、そういう体験ができるのがとても嬉しいです。何せ、うちの座長がうますぎるんですよ。
小池:二幕の後半に見せ場のシーンがあるんですが、6、7分くらい、ぶっ通しで動き続けるというとんでもないことをやっていまして、相当きついんです。でも、みんな頼もしくて、みんなが同じように舞台袖で動いてくれるんですよ。
生駒:見せ場としては、徹平さんとアンサンブルの妖怪たちによるシーンなので、我々はそこに参加していないのですが、任せるわけにはいかない。徹平さんだけに大変な思いをさせちゃいけないと思って、我々は勝手に(舞台袖で)腿上げをしています。腿上げをしながら「頑張れ」って応援している。
小池:それが力をくれるんです。
生駒:袖でやっているので誰も見ていないのですが。でも、(小池は)いろいろとやっていらして本当にかっこいい。お客さまもついつい声を上げて、応援したくなっちゃうと思います。そういうときは声を出していいんですか?
末満:もちろんです。
小池:これを読んでくださった方は、ぜひそのシーンでは手拍子や声を出してくれると僕はもっと動けますので、よろしくお願いします。
ーー妖怪の扮装もすばらしいですが、大変ではないですか?
真琴:結構時間がかかりますし、結構重いです(笑)。でも、一つひとつスタッフさん手作りのどくろがついていますので、皆さまの作品にかける想いがこの衣裳からも感じられます。
生駒:座敷童子は人型なので。みんなはもっとすごいんですよ。
末満:いろいろな妖怪がたくさん出てきます。
生駒:ぜひその中で“推し妖怪”を見つけてもらえたらと思います。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ーー妖怪がたくさん登場するということですが、お子さんが観ても楽しめる作品になっていますか?
末満:お子さまでも観ていただける内容になっていると思います。ぜひ、親子連れの方にも来ていただけたらという作品です。
ーーMOJOプロジェクトは、日本から世界へというコンセプトで行っていますが、この作品でも世界にいきたいという気持ちがありますか?
屋比久:海外の方たちがこれを観て、日本の文化や妖怪を面白いなと思ってくれるきっかけになれば、すごく素敵なことだなと思います。
小池:外国の方が好きな要素がふんだんに詰まった舞台だと思うので、興味を示して観にきてくださるとめちゃくちゃ嬉しいです。音楽も和楽器を使っていたり、あまりミュージカルで聞かない楽曲が多かったりするので、新しいミュージカルになっていると思います。
ーーオリジナルミュージカルを作るにあたって、末満さんはどんな思いを込めましたか?
末満:MOJOプロジェクトとしてはこの作品は第2弾で、これが初演になります。まだ再演する機会があるか分からないですが、オリジナルミュージカルが育って行って、日本以外でも上演され、「ジャパニーズ・クリーチャー・ミュージカル」として、上演できる機会を虎視眈々と狙いながら、コツコツやっていけたらと思っています。
ーーこの作品のお稽古の中で、これはいけると思った瞬間は?
末満:自分で作ったくせに、通し稽古が楽しくて仕方なくて。(稽古は)読み合わせから始まったんですが、自分でも「面白いな」って思ってSNSで投稿しました。「これは面白い」と素直な感情として湧いてきたので、きっとお客さんもそういう感情になっていただけると思います。徹平くんが言った大見せ場は、日本人みんなが大好きなシーンになっているので、そこは早く見せたくて仕方ないです。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ーーでは、タイトルにちなんで「どろんしたくなった」エピソードを教えてください。
小池:この『どろんぱ』の台本を覚えたいと思って部屋にこもろうとするんだけど、子どもたちが「パパ、遊んで」と言ってくるときはどろんしたくなりますね(笑)。
生駒:私は、今回、初めてのミュージカルで、アイドル出身なくせに歌が苦手で。歌稽古から稽古が始まったんですが、その時にキャストが集結して、最初から最後までお歌で確認する日があったんです。当然なのですが、皆さんがあまりにも歌がうますぎて、どろんしたくなりました。心がどろんしそうになった時は知奈ちゃんにハグしてもらって。本番では、どろんしないできちんといると思います。
屋比久:ある舞台で、一幕の終わりに暗転後にはけていくという段取りがあったんですが、千穐楽までスタッフさんが迎えに来てくれていたんです。でも、千穐楽の日に「行ける」と何故か思ってしまって、一人で進んだら、セットにぶつかって、盛大にガシャーンとなって。お客さまが拍手をして、音がまばらになってきた時だったので、ざわざわとなって。不穏な一幕終わりになってしまったときは、どろんしたいと思いました。
真琴:私は朝起きられなくて、目覚ましを自分の声にしています。その目覚ましをかけた日に、待合室で「起きてー。起きてー」と鳴ってしまったときに恥ずかしくて、どろんしたくなりました。「最後だよー起きろよー」って鳴っていたので、周りはびっくりしてました。
ーー最後に、お客さまに向けて小池さんからメッセージをお願いします。
小池:いよいよ明日から始まります。末満さんがずっと温めて大事にされてきた作品が、こうして形になり、ようやく皆さんに届けられることを本当に楽しみにしていました。皆さんにオリジナルミュージカルの良さを感じてもらい、この『どろんぱ』という作品を共に大きくしていただけたらという思いがあります。とにかくまずは、みんなで楽しむことだと思っていますので、劇場に遊びにきてくださって、みんなで『どろんぱ』したいです。劇場でお待ちしております。
ゲネプロレポート
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
物語は、神隠しの伝承が残る深い森が舞台。祭囃子が聞こえると、妖怪たちがあちこちから登場して歌い踊り出す。物語の始めから、観客をぐいぐいと妖怪の世界に引き込んでいく、賑やかなナンバーが繰り広げられた。
続いて、中央のセットが回転すると、遠野薫(小池)が登場し、妻の爽子を探し始める。爽子は行方不明となった娘を探すためにこの森へと足を踏み入れたのだ。しかし、そこは神隠しの森ではなく、時代の流れとともに信仰や畏怖する心が失われた現世から追いやられた妖怪たちの吹き溜まりの森だった。
森を彷徨ううちに、福の神である座敷童子(生駒)や、河童(東島京)、ひねくれ者の猫又(木内健人)、欲望のままに行動する犬神(加治将樹)、神聖さを漂わせる九尾狐(土井ケイト)、得体の知れない天邪鬼(相葉裕樹)、墓場の土から生まれた人形神(真琴)、そして妖怪の総大将である滑瓢(吉野圭吾)といった妖怪たちに出会う薫と爽子。妖怪たちは、間もなく開催される年に一度の祈願祭《どろんぱ》に向けて、慌ただしく動いていた。そして、薫は人間の姿に化けて、爽子に取り憑いている煙の妖怪・烟々羅であることが明らかになる。
そうした中、「願いを何でも叶えることができる代わりに地獄に落ちる」という力を持った人形神に、悲しい願いを叶えてもらおうとする爽子。妖怪たちが、《どろんぱ》に人間の魂を捧げるため、爽子を追いかけている中、人形神からも、ほかの妖怪たちからも救おうと烟々羅は、座敷童子や河童を仲間に奮闘する。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
何といっても本作で目を引くのは、華やかでかっこいい妖怪たちのビジュアルだ。座敷童子を演じる生駒はまさにハマリ役で、かわいらしさ全開の座敷童子を作り上げた。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
東島が演じる河童も魅力的。緑色の髪をリーゼントにして、「相撲上等 天下無敵」などと刺繍された派手な衣裳を身にまとう。河童のイメージとはかけ離れたビジュアルだが、これがなぜかピッタリとハマる。劇中では、ロックンロール調のナンバー「尻子玉をくれ!」を歌い上げ、会場を盛り上げた。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
相葉が演じる天邪鬼は意地悪大好きのひねくれ者だが、愛らしさもたっぷりあって憎めないし、真琴が演じる人形神は圧倒的な存在感で会場を掌握していた。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
そうした妖怪たちには、自身を紹介するソロナンバーが設けられているため、初見の観客にも、その妖怪にまつわる伝承やキャラクターがしっかりと把握できるのもありがたいところ。劇中では、妖怪の成り立ちや歴史なども説明されるので、学びながら楽しめる妖怪ミュージカルになっている。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
そして、そんな妖怪たちと並行して描かれるのが、烟々羅と爽子の物語だ。爽子と烟々羅の出会い、爽子の苦しみや悲しみ、爽子にひたすら寄り添おうとする烟々羅の思いと、切なくも美しい愛が描かれる。爽子が胸の内を歌い上げるナンバーは、屋比久の圧巻の歌声と相まって、胸が締め付けられる。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
一方、小池が演じる烟々羅の、優しく、大きな愛を持って爽子を守ろうとする姿は応援せずにはいられない。爽子を想う一途な想いが心を打った。
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
ミュージカル『どろんぱ』ゲネプロ
また、囲み取材でも触れられていた通り、小池による大立ち回りも見どころの一つ。次々に登場する妖怪たちを相手に殺陣を繰り広げていくシーンは、壮大なアクションを楽しみながら、妖怪見本市を見ているようでもあり、この作品ならではの場面といえよう。
歌あり、踊りあり、アクションあり、笑いと涙もある。ぜひとも極上の和エンターテインメントを存分に味わってもらいたい。
取材・文・撮影=嶋田真己
公演情報
ミュージカル『どろんぱ』supported by にしたんクリニック
【大阪公演】2026年4月3日(金)~7日(火) SkyシアターMBS
出演:
小池徹平 屋比久知奈
生駒里奈 木内健人 東島京 加治将樹 土井ケイト 相葉裕樹
吉野圭吾 真琴つばさ
暁矢薫 天野翔太 岩淵心咲 北園真弓 工藤翔馬 熊野ふみ 高田紋吉 星賢太 森さとる 横山慶次郎
(1) 3/18(水)13:00 登壇者:小池徹平、屋比久知奈、生駒里奈、東島京、末満健一
(2) 3/23(月)13:00 登壇者:木内健人、加治将樹、真琴つばさ、末満健一
(3) 3/24(火)13:00 登壇者:小池徹平、屋比久知奈 ★ゲスト望海風斗、上原理生
(4) 3/25(水)13:00 登壇者:土井ケイト、相葉裕樹、吉野圭吾、末満健一
(5) 4/4(土)17:30 登壇者:生駒里奈、真琴つばさ、吉野圭吾、末満健一
(6) 4/6(月)12:30 登壇者:小池徹平、木内健人、加治将樹、相葉裕樹
東京・大阪各初日公演限定。カーテンコールの一部を、ご自身のスマートフォンで撮影いただけるスペシャル回。
・大阪公演4月3日(金)18:00
【東京公演】
3月16日(月)18:00 烟々羅×爽子
3月18日(水)18:00 座敷童子×河童
3月23日(月)18:00 猫又×犬神
3月25日(水)18:00 九尾狐×天邪鬼
4月3日(金)18:00 滑瓢×人形神
主催:【東京公演】ワタナベエンターテインメント【大阪公演】ワタナベエンターテインメント/MBSテレビ
企画・製作:ワタナベエンターテインメント