400点超の直筆原画が大阪に集結――名場面と名台詞で魅せる史上最大の展覧会『シティーハンター大原画展』の見どころ
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1985年から1991年にかけて『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、北条司による人気漫画『シティーハンター』。1987年にテレビアニメとしてシリーズ化もされ、TM NETWORKのエンディング曲「Get Wild」(テレビアニメ第1シリーズのエンディングテーマ)とともに社会現象に。さらに2024年には鈴木亮平主演の映画『シティーハンター』がNetflixで配信され、世界的な大ヒットを記録。2027年には続編も世界独占配信される予定だ。そんな同作の世界観が体感できる『シティーハンター大原画展 ~FOREVER, CITY HUNTER!!~』が7月11日(土)から8月23日(日)まで、大阪・なんばパークスミュージアムにて開催される。会場では、400点を超える直筆原画を展示。獠と香の出会いや絆、仲間や依頼人との関係など、作品の名場面を振り返る貴重な資料のほか、フォトスポットや特別映像などもあり、作品にあまり馴染みのない人でも楽しめる内容になっている。同展の見どころについて、企画者であるシティーハンター大原画展実行委員会の岩間亮二郎氏に話を聞いた。
●背中をどこまで預け合えるか。冴羽獠と香のパートナーとしての成長物語
冴羽獠、槇村香の等身大立像と喫茶キャッツアイの展示イメージ(東京会場展示風景写真)
――『シティーハンター 大原画展 ~FOREVER, CITY HUNTER!!~』を企画するにあたって、どういうところを重視されましたか。
数あるエピソードの中でも、特にフィーチャーしたのは冴羽獠とそのパートナーである槇村香の物語です。『シティーハンター』の漫画は、香の兄・槇村秀幸の登場と別れから始まります。彼が自身の相棒であった冴羽獠に槇村香を託したことで、二人の物語が動き出します。兄の死をきっかけに裏社会へ足を踏み入れた香との「出会いと成長の物語」であり、同時に二人の「絶妙な距離感の物語」。だからこそ、恋愛としての魅力はもちろんのこと、それ以上に二人が互いに背中を預け合える本物の「相棒」へと育っていく過程に、深い魅力があると思っています。獠にとっては「香は、槇村秀幸に託された妹分。恋人だと思ってはいけない」というブレーキが常にあり、また「まっとうな世界に生きる彼女を、危険な日常に巻き込んではいけない」という気持ちから、あえて距離を置いていた……。そんな二人の関係性が、時間をかけて少しずつ変化していく姿こそが、この作品の最大の読みどころだと考えました。
――なるほど。
二人の関係性が大きく変化したエピソードといえば、今回の原画展のキャッチコピーにもなっている名台詞「シティーハンターってのは!! おれたちふたりのことを言うんだぜ!!」が飛び出す第264話が挙げられます。ここで、はじめて、獠と香が“ふたりでシティーハンター”であることが明確に描写されました。『シティーハンター』は「ハードボイルドアクション」として紹介されることが多いですが、今回は「最初から二人の物語だった」ということにフィーチャーし、その二人の軌跡にスポットをあてて企画を組んでいきました。
シティーハンター第1巻表紙(ゼノンセレクション版)
――読者によって解釈がかなり異なる作品とも言えますね。
そうですね、いくつもの魅力が重なり合っている作品だと思います。漫画は男女比がほぼ半々ですが、今回の『大原画展』の東京開催では、女性の来場者の方が多い印象を受けました。『シティーハンター』は、ガンアクションやハードボイルドの格好よさに惹かれる方もいれば、獠と香の関係性、依頼人たちと織りなす人間ドラマ、コミカルなやり取りに惹かれる方もいます。楽しみ方が非常に多い作品だと思います。
――『大原画展』では、どのような仕掛けで『シティーハンター』の世界観を表現されましたか。
一貫したテーマ性を持たせながら、体験型・没入型の要素を随所に組み込んでいます。全体の構成としては、作品のターニングポイントとなるエピソードを中心にしています。一つ目は「槇村秀幸の死」、ここから次に香が命を狙われたことで、冴羽獠が一度香と袂を分かつエピソード、そして、家出令嬢に扮した香が獠と仮初めのデートを楽しむ人気エピソード「都会のシンデレラ」へと繋がっていきます。こうしたドラマの積み重ねを空間演出へと落とし込み、来場者が物語を追体験できる構成になっています。
――来場者に“物語を追体験してもらう”という点で、特に意識した演出はありますか。
最も象徴的なのが、冴羽獠の“誕生日”にまつわる名シーンの演出です。自身の正確な出生や誕生日を知らない獠に「3月26日」という日付を与えたのが香でした。作中において、さまざまな出来事を経た末に香が「誕生日、つけてあげるわ」と語りかけ、獠が「サンキュー」と応えて、香に初めてキスをする――。会場では、その名シーンへと至るまでの二人の心の距離や空気感を体感できるよう演出しています。
――なんてロマンチックな演出!
入場してまず来場者を迎えるのが、新宿のネオンライトの街並みが輝く街並みです。『シティーハンター』といえば、TM NETWORKの「Get Wild」が流れるアニメのエンディングを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。あの、光やビル群が放射状に流れていく世界観を会場内に再現することで、一気に物語へと引き込まれる設計にしています。さらにその先には、お馴染みの依頼のメッセージ「XYZ」が書き込まれた駅の伝言板が設置されていて、その背景では獠と香が待ち受けています。原画展示に入る前の導入部に、空間演出を設けることで、来場者が1980年代の新宿へタイムスリップしたかのような没入感を味わえる「タイムトンネル」のような構造を意識しています。
「伝言板」の展示イメージ(東京会場展示風景写真)
●光の表現が非常に映像的。太陽の光のまぶしさを確かに感じる
冴羽獠と海坊主の墓場の決闘の展示イメージ(東京会場展示風景写真)
――原画からはどういう発見ができそうですか。
作画のデジタル化が進み、紙とインクで描かれた生の原稿を見る機会が少なくなっている今、北条司先生の『シティーハンター』の生原画はアナログ作画の極致ではないでしょうか。実際に原画を間近で見ると、修正液(ホワイト)による跡がほとんどなく、原稿がとても綺麗なことに驚かされます。また細部までの緻密な描き込みのクオリティは、当時、週刊連載という極めてタイトなスケジュールの中で描かれたとは信じがたいほどです。コミックスなどの印刷物で読んでいたときとは全く違う圧倒的な迫力を感じていただけるはずです。さらに、白黒だけで表現された「光と影」の美しさにも、たくさんの発見があります。たとえば冴羽獠が海坊主との激しい戦いを終えた後、自宅で目覚めるシーン。カーテンの隙間から差し込む朝の光が獠の顔に当たる描写は、モノクロでありながら、まるで映画のワンシーンを見ているかのような映像的な美しさに満ちています。
――確かに。
漫画では、色彩としての「眩しさ」を表現するのは極めて困難ですが、先生の描く光には、そこに確かな温度があるかのように感じられます。原画展でもこの場面を展示していますので、ぜひ間近でご覧いただきたいです。また、なんといっても見逃せないのが最終話の演出です。16ページもの間、セリフがまったくありません。これまで作品の中で積み重ねてきたからこそ、セリフが一切なくても「きっと二人はこんな会話をしているんだろう」と自然と物語が完成されていくのだと思います。
ガラス越しのキスの展示イメージ(東京会場展示風景写真)
――今のお話を聞くと、『シティーハンター』を読んだことがない方でも楽しめそうですね。
会場で絵の迫力や物語の熱量に触れることで、「漫画を読んでみたい」「アニメや実写映画を観てみたい」と興味を持つきっかけになるような展示になっています。コアなファンの方はもちろん、たまたま立ち寄って来たという方でも、たくさんの発見があるはずです。ぜひ今回の『大原画展』であらためて感じていただければ嬉しいです。
100tハンマーの展示イメージ(東京会場展示風景写真)
取材・文=田辺ユウキ
(C)北条司/コアミックス 1985
イベント情報
会場:なんばパークスミュージアム(大阪府大阪市浪速区難波中2-10-70 なんばパークス7F)
開場時間:11:00~18:00 (最終入場 17:30)
※なんばパークスは11:00より営業開始
※物販会場は、なんばパークス7F・パークスホール(当日入場した
主催:「シティーハンター大原画展」大阪実行委員会
お問い合わせ:シティーハンター大原画展大阪会場事務局 06-4862-5737
※平日のみ10:00~17:00 、開催期間中は開場時間内の受付となります
当日券:一般2,500円、小・中学生1,100円
前売券:一般2,300円 、小・中学生900円
パートナー券:4,200円 ※1
■グッズ引換券 ※2
●数量限定シティーハンター大原画展オリジナルスノードーム:7,500円
●シティーハンター大原画展オリジナルピンズセット:10,500円
※1:パートナー券で入場の際は2名でご来場ください。1名ずつのご入場はできません。前売り販売のみです。
※2:グッズ引換券はイープラス限定販売です。グッズ引換券1枚につき、未使用の入場券が1枚必要です。グッズは会場にてお渡しいたします。引換券を必ずご持参ください。グッズ引換券のみでの入場はできません。
※7月11日(土)終日、7月12日(日)~8月23日(日)の11:00~12:00は日時指定券をご購入ください。
※価格は全て税込です。
※未就学児入場無料(要保護者同伴)。
※障がい者手帳をご提示の方でも入場券は必要。ただし、介助者1名までは同伴無料。