Chevon、驚異のメジャーデビュー作『三者山羊』を携え進撃のツアーがいよいよ開幕――「Chevonはここからがヤバいですよ」
谷絹 茉優(Vo)、Ktjm(Gt)、オオノタツヤ(Ba)により、2021年6月9日に北海道・札幌市で結成。2022年にライブ活動を開始以降、すさまじいスピードでその勢力を拡大してきた超新星Chevonが、初の全国流通盤『Chevon』以来約2年ぶりにしてメジャーデビューアルバムとなる『三者山羊』を4月8日(水)にリリースした。香取慎吾の「Circus Funk(feat. Chevon)」や、東京スカパラダイスオーケストラの「私たちのカノン (VS. Chevon)」、名ドラマ『40までにしたい10のこと』の主題歌「菫」の抜擢など話題に事欠かない3人が、ロックにボカロに歌謡曲……さまざまな音楽を飲み込み急上昇と急降下を繰り返すような怒濤の全13曲は、自らの音楽を通じて出会ってきた人々の心を解放するようなエナジーときらめきに満ちている。
愛知、北海道、福岡、大阪の各Zeppに加え神奈川・横浜アリーナを巡る、『Chevon ONE MAN TOUR 2026「三者山羊」』の


は瞬殺ソールドアウト。12月20日(日)・21日(月)には、初の東京・日本武道館での追加公演2DAYSも控えるChevon。Ktjmとオオノというレアな組み合わせで行われたインタビューだからこそ語られた、徹底的にヘヴィで圧倒的にポップな『三者山羊』の制作秘話をここに。
「バズらなかったのは本当に運が良かったと思います」
Ktjm(Gt)
――谷絹さん単独だったり、メンバー全員とか各人のインタビューはあっても、Ktjmさんとオオノさん2人の組み合わせはなかなかないんじゃないですか?
Ktjm:初めてです。最初こそ「どうしようかな……」という感じでしたけど、ちょっとずつ2人なりの立ち回りをつかんできました(笑)。
――最新アルバム『三者山羊』がリリースされた際の率直な気持ちはどうでした?
Ktjm:最初はメジャーデビューというものがよく分かってなかったんですけど、いざ『三者山羊』をリリースしたら皆さんに祝っていただいて、ようやく実感が湧いてきたというか……今はうれしいワクワクがありますね。
オオノ:SNSで曲を聴いてくださったみんなのいろんな反応を見て、『三者山羊』を出せて良かったなと思ったし、リリースツアーを回ってこれからももっと思いたいですね。
――大学を卒業したら公務員になろうとしていた人が、こんなふうにメディアで自分の音楽の話をする未来は考えられなかったですよね?
オオノ:メジャーデビューとなるとやっぱり節目だから、過去を振り返ることが多々あったんですけど、「あの頃は公務員になろうとしてたよな」とか、「めちゃくちゃバイトしてたな」と思って、結構エモーショナルになってます(笑)。
――仕送りが止まっても意地で続けたバンドですからね(笑)。
オオノ:詳しい(笑)。今となっては親が一番のファンになってくれてます!
――Chevon以前はバズればとりあえず何とかなる時代が長く続いて。でも、結局バズったときに今までやってきたことや個性と実力が問われて、アンセムがその曲だけならそれで終わっちゃうし、ライブがしょぼければいずれ失速してしまう。
Ktjm:僕たちがバズらなかったのは本当に運が良かったと思います。消費されるとすぐに飽きられちゃうので、キャッチーにし過ぎないようにして。
オオノ:そのためにミックスとかもあえて雑にしてもらったり。変にバズらないようにしてましたからね。
――Chevonが勢力を拡大していったスピード感についてはよく触れられると思いますけど、バンドの結成当初からその辺のビジョンと切迫感はあったんですね。
Ktjm:一つ一つ思い浮かべたビジョンを何とかクリアして……の繰り返しで今があるんですけど、目標を立てたからと言って必ずクリアできるものでもないし、そこは不思議だなと自分でも思いますね。
オオノ:最初から「バンドでもやってみようか」みたいな感じじゃなくて、やるなら売れる気満々でいこうぜという気持ちでしたし、スタートダッシュが良かったのかな? 逆に他のバンドはスロースターターが多かったんじゃないかな。
――バンドが軌道に乗ってからその気になることの方が多いですからね。あとは、音楽に人生を賭けた谷絹さんの今を刻んで残さなければという使命感、表現を形にする尊さへの意識の高さ、何よりあの歌の力があればと、2人に信じさせてくれたというか。
Ktjm:確かに、「Chevonは絶対にハンパなままじゃ終わらないバンドになる」というのはありましたね。
オオノ:「あいつがフロントマンなら間違いないな」とは思ってましたね。ただ、何かが起こるとは思ってたけど、ここまでとは……! 僕たちは運と人に恵まれているのはめちゃくちゃありますね。そこが一番大きかったんじゃないかな。香取慎吾さんに楽曲提供させていただいた「Circus Funk(feat. Chevon)」の件もそうですし、もしかしたらちょっとしたズレでChevonが慎吾さんの耳に留まらなかったかもしれない。ありがたいことに、針に糸を通すような運と縁がありました。
――東京スカパラダイスオーケストラの「私たちのカノン (VS. Chevon)」への参加もしかり、UNISON SQUARE GARDEN、フレデリック、THE ORAL CIGARETTES、須田景凪、indigo la Endを招いた昨秋の対バンツアー『Chevon pre. よしなに~全国編~』しかり、Chevonは先輩にかわいがられる印象があります(笑)。
Ktjm:最初はフェスに出ても知り合いがいないから隅っこの方でおびえてたんですけど(笑)、最近は周りにいろんな先輩方がいてくれるので。
オオノ:対バンツアーはライブも良ければ音源も凝っているモンスターばかりだったんですけど、皆さん優しく接してくださって……。しかも「Chevonを何とかしよう!」みたいに言ってくださって、すごくうれしかったですね。
「今までと変わらず新しいことをする。ずっと挑戦し続けます」
オオノタツヤ(Ba)
――今作に向けてレコーディング合宿をしたそうですが、新曲がたくさんできたというよりは、そこでガッツリ話し合えたことがバンドとしてはデカかったみたいですね。
オオノ:ただでさえずっと一緒にいるのに、合宿することでいつも以上にコミュニケーションを取るタイミングがあって、それが曲とか詞にも表れていると思います。
Ktjm:合宿は苦しいけど終わった後の達成感もすごくて、今回のアルバムは自分でも何回もリピートして聴いちゃいますね。
オオノ:Ktjmは自分の音源をあんまり聴かないタイプだったのに、今回は違うもんね。
Ktjm:前より明らかに曲を作るのがうまくなった感覚があって、このアルバムをみんなが聴いたとき、どんなリアクションをしてくれるんだろうと思い浮かべながら何回も聴いてました。
――しかも、メジャーを意識して何か変えたというよりは、純粋に作りたい曲を作っていった結果、いちリスナーとしてもちゃんとワクワクできるものができたという。
Ktjm:まさにその通りで、今までと変わらず新しいことをする。ずっと挑戦し続けます。
――『三者山羊』には既発の強力な楽曲群に加え、書き下ろされた「デイジー」、「さよなら、アイリーン」、「B.O.A.T.」、「春の亡霊」という新曲が収録されています。個人的には特に「さよなら、アイリーン」と「春の亡霊」が好きですね。
Ktjm:ありがとうございます。どっちもChevonがやってこなかったタイプの曲なので、それもまた挑戦ですよね。
――「さよなら、アイリーン」は、ミニマムで抑えたアレンジだからこそ、歌声自体の個性と魅力をむしろ感じました。
オオノ:どっちの曲も今までのようなマンキン(=全力)のボーカルではなく、語りかけるような歌い方をした2曲で、「こういう表現もできるんだぞ」という新たな一面を見せられたし、ベースもギターもいつもとは違う弾き方をしていて。
――かなり引きのアプローチですもんね。
Ktjm:大人を意識しました(笑)。
――でも、実年齢は別にそこまで大人じゃないし(笑)、ジャズクラブとかで演奏してきたわけでもない。2人のこの辺のエッセンスはどこから来てるのかなと思って。
オオノ:いろいろと幅広い音楽を聴いてきて、それこそジャズを取り入れたバンドもすごく好きで憧れはあったんで、そういうのを小出しにしてる感じですね。
――それが「なんちゃって」にならないバランスや、「愛の轍」~「春の亡霊」の流れなんかも洒脱で、「春の亡霊」のギターも手を変え品を変え弾き続けてるのがすごいなと。
Ktjm:「ギターでも歌ってやる!」みたいな感じで目立ちたいのが根底に……(笑)。Chevonは全員目立ちたがり屋ですけど、向かっている方向は一緒なのでごちゃごちゃしないんだと思います。
――圧倒的に個性的なボーカルがいて、2人はその横でむちゃくちゃに弾きまくってるのがChevonの基本路線ですもんね(笑)。
オオノ:それぐらいやらないと歌に負けちゃうんで(笑)。いわゆるベーシストとしての役割を求められたら僕も放り投げてると思うんですけど、このボーカルとこのギターがいて、自分のやりたいことを100%やってもまだ前に出られない、みたいな環境はやりがいがあるし、居心地がいいですね。
Ktjm:「もっといけ!」はあっても「抑えてくれ」というオーダーは今までに一回もなかったよね?
――それに負けないボーカル、負けないギター、ベースとなっていくから、楽曲の強度が自ずと上がっていく。「春の亡霊」は谷絹さんもお気に入りの楽曲だとSNSで明言していましたが、バンドにとって特別な曲になる予感はあったんですか?
Ktjm:今までも春の曲は出してきたんで次はどうしようと考えていたところに、あの歌い方を出してきたので、まだこっちがあったか、こっちもいけるんだとビックリしました。
――谷絹さんの春への執着というか思い入れが強いですよね。アルバムのリリースも絶対に春にしたかったんだろうな。
オオノ:「さよなら、アイリーン」も「春の亡霊」も、僕の解釈では世界がつながってる、言ってることは多分一緒なんですよね。谷絹自身が春に思い出があるというか、いろんな感情が湧き出るんだと思います。
――春は出会いと別れの季節でもあるから、両方の感情が入り交じって曲になりやすいのかもしれませんね。
「ライブでやったら絶対に気持ちいいんだろうな」って、ずっと妄想してます」
――新曲の「デイジー」は一度ボツったものの、レコーディング合宿でアレンジャーの村山☆潤さんが手を加えたら見事復活したと。
オオノ:結果、レコーディングしながら同時にフレーズを考える、これまでにないやり方をすることになったのですごく新鮮でした。その中でつかんだ自分の手癖のようなものもあって、僕の弾きたいフレーズ感がうまく表現できたのと、スラップが気持ち良かったのと、いつもはユニゾンでコーラスするところをハモってみたら良くて、みたいな意外性の連続で。それがかみ合った爽快感もありましたし、個人的にも好きな曲ですね。聴いちゃいます。
――ただ、この曲はKtjmさんがめちゃくちゃ苦戦したと言ってましたよね?
Ktjm:急に録ることになったので、アルバムに入ってるのは本当にゼロからその場で作ったテイクです。だから、細かくフレーズを動かすこともできなかったんですけど、それが裏で支える感じになってかえって良かったなと。あの状況じゃなきゃ引き出されなかったギターなので。
――今作に参加しているもう御一方のアレンジャー、Ryo’ LEFTY’ Miyataさんも面白いことをやってるなと思った曲には必ずクレジットされている印象で、そういう方々との共同作業が「FLASH BACK!!!!!!!!」や「るてん」をセルフアレンジする際にも生きてきて。「るてん」の和のテイストのアイデアはどこから?
Ktjm:これはメロディを聴いて和楽器が合うんじゃないかなと思って、めっちゃくちゃ音を探しました。いろんな音を入れたり引いたりして、みんなにドキドキしながら聴かせて。
――谷絹さんはボカロと昭和歌謡の影響下にあると言っていましたが、「DUA・RHYTHM」のサビのオペラみたいな歌い回しも興味深いですね。
オオノ:ゲームで何回倒しても復活してくるエゲつないレベルのラスボスが出てきたとき、みたいなイメージが制作の段階であったんで、多分そこからのインスピレーションですね。
――ゲーム×Chevonは世界戦略的にもハマりそう。リード曲の「B.O.A.T.」は9月に控える初の横浜アリーナ単独公演でも映えそうなスタジアムロックで。ただ、この曲はメジャーもアルバムも横アリも関係ない段階から元ネタがあったと聞いて驚きました。
Ktjm:「この曲、横アリでやったらめっちゃいいんじゃね?」と思って何とか完成させたら、あまりにも曲のパワーがすご過ぎて、そのままリード曲になりました。
オオノ:最終的にアリーナを飛び越えて宇宙スケールの曲になって。
Ktjm:壮大だし、シンプルなフレーズを弾いてるんですけど、それが力強さにもなってるのがすごく好きな曲です。「ライブでやったら絶対に気持ちいいんだろうな」って、ずっと妄想してます。
――「B.O.A.T.」=BLIGHT OF ALL TIME、観測史上最も明るい、19億光年先からでも届く光と言われていて。例えバンドがなくなったとしても残る/届く音楽を目指した意欲的な一曲です。トリッキーとかハイパーなインパクトがなくても素直にいい曲だと思わせる「ハルキゲニア」も美しい限りで。
オオノ:これは3人でとある映画を見て作った曲なんですけど、そこから前作『Chevon』に入ってる「サクラループ」と今回の「ハルキゲニア」ができたんです。だからこの曲は「サクラループ」の兄弟曲みたいなところがありますね。
――最初にそうやって3人でイメージを共有するから、それぞれが自由に表現しても楽曲が同じ方向を向いている。見えている絵が一緒なんですね。
オオノ:そこがズレてるとマジで曲ができないんで、大事にしているところですね。
「こんなに見ていて飽きないバンドはいないと思う」
――今作が出来上がったときはどう思いました?
Ktjm:Chevonを全部味わえるし、さらにインディーズからメジャーに行って進化したところを見せられたのも良かったなと。
オオノ:Chevonの多面性を踏襲しつつ、これまでの集大成もしっかり見せる。そこにまた新しい味を投入してくるのもChevonっぽいし、作りたいものを作れて満足しています。
――Chevonは結成時から「ライブがカッコよくないと売れない気がした」と言っていたのも含めて、キャリア何十年で磨き上げられてこの域に達しました、じゃなくて、結成から5年という濃密な時間でもう今の視野にたどり着いているのは驚異だなと。
Ktjm:常にケツを叩かれて、焦ってるからですかね?(笑) 音源だけが良くてもすぐに消費されちゃうし、ライブが良ければ長く活動できるのかなと。目の前にいるお客さんとエネルギーのやり取りをして、歓声を浴びてそれに応えるのがすごく気持ちいい。ライブが好きだし、今では生きがいになってます。音源を超えないとライブに来てもらう意味がないので、そこは毎回100%の力を出し切るようにしてますね。
オオノ:何でこんなにライブを頑張ってるんだろう……でも、結成した頃から2人に「(参考のために)とにかくライブ映像を見るようにしてくれ」とゴリ押しした記憶があります(笑)。カッコいいライブを見ると泣けてくるじゃないですか? 自分がそう感じたアーティストになりたかったんだと思います。
――『Chevon ONE MAN TOUR 2026「三者山羊」』はありがたいことに早々に売り切れ、追加公演の初の日本武道館2DAYSもきっとそうなるでしょうし、2026年も激動の一年になるのは間違いないですね。
Ktjm:お祭りの一年ですね。Chevonはここからがヤバいですよ。『三者山羊』を聴けばChevonが何者か分かりますし、前作『Chevon』と聴き比べても違いがあってまた面白いと思います。Chevonの成長をこれからも一緒に見届けてくれたらうれしいですね。
オオノ:こんなに見ていて飽きないバンドはいないと思うので!
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=オフィシャル写真提供
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