シェイクスピア最大の問題作『トロイラスとクレシダ』がついに開幕!

【写真提供/世田谷パブリックシアター】

【写真提供/世田谷パブリックシアター】

強烈な個性の登場人物たちを取り巻く「愛」と「戦い」の火ぶたが切って落とされる!
 
シェイクスピア最大の問題作を豪華なキャストと壮大なスケールで描く『トロイラスとクレシダ』が7月15日、世田谷パブリックシアターにて初日を迎えた。
 
この舞台は戦いのなかで引き裂かれる男女の姿を、激しい情熱や愛憎などとともに描いた作品で、悲劇的でありながら喜劇的・笑劇的・風刺劇的要素も多く含むことから、シェイクスピア作品の中でも分類困難な“問題作”とされ、上演機会もあまり多くなかった。その作品が日本を代表する演出家のひとりである文学座の鵜山仁、そして浦井健治、ソニン、江守徹をはじめとする豪華キャストたちを集結して、世田谷パブリックシアター、文学座、兵庫県立芸術文化センターの三者による共同制作作品と立ち上げた。
 
その作品の「みどころ」と初日を迎えたメインキャストたちの「コメント」が届いた。
 
トロイラス(浦井健治)、トロイ王プライアム(江守徹)、ヘリナス(木津誠之)、パリス(浅野雅博) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

トロイラス(浦井健治)、トロイ王プライアム(江守徹)、ヘリナス(木津誠之)、パリス(浅野雅博) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

《 ストーリー 》

トロイとギリシャによるトロイ戦争が始まって7年。トロイ王プライアム(江守徹)の末王子トロイラス(浦井健治)は、神官の娘クレシダ(ソニン)に恋焦がれている。クレシダの叔父パンダラス(渡辺徹)により二人は結ばれ、永遠の愛を誓い合う。しかし、トロイを裏切りギリシャ側についた神官は娘のクレシダとトロイの将軍との捕虜交換を求め、クレシダはギリシャに引き渡されてしまう。一方、トロイ王の長男ヘクター(吉田栄作)は膠着した戦況を打破するためギリシャ陣営へ一騎打ちの申し出を伝える……。
 
トロイラス、クレシダ(ソニン)、叔父パンダラス(渡辺徹) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

トロイラス、クレシダ(ソニン)、叔父パンダラス(渡辺徹) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

《 みどころ 》
『トロイラスとクレシダ』は、歴史上名高いトロイ戦争という男たちの「戦い」と、駆け引きや裏切りが渦巻く男女の「愛」の二本柱からなる物語。悲劇的でありながら、笑劇的、風刺劇的要素も多く含むことから、シェイクスピアの“問題劇”の代表格とされている本作は、世界的にも上演機会の稀な作品として知られている。
 
ギリシャの猛将アキリーズ(横田栄司)、知将ユリシーズ(今井朋彦) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

ギリシャの猛将アキリーズ(横田栄司)、知将ユリシーズ(今井朋彦) 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

 
演出の鵜山仁はこの作品を現代にも通じる物語として、舞台上に立ち上げた。本作の登場人物たちは、トロイ軍はカーキ色、ギリシャ軍は迷彩柄という現代の戦闘服にも通じる衣裳に身を包んでいる。紀元前のトロイ戦争の物語でありながら、舞台がヨーロッパとアジアの境目であるという点も相まって、2000年が経過した現代の世界情勢をも連想させる。
 
トロイラスとパンデラス 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

トロイラスとパンデラス 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

 
せり出した舞台は客席と地続きになっており、登場人物たちは客席の間を縦横に動きまわり、我々観客に対しても語りかける。さらに全編を彩る打楽器の音色がめくるめくシーンにぴたりと寄り添い、時に恋人たちの胸の高鳴りを増幅させ、また時に戦場で激突する将軍たちの格闘を鼓舞しながら、舞台と客席を包み込み臨場感を何倍にも高める。
 
へクター(吉田栄作)、父王のプライアム 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

へクター(吉田栄作)、父王のプライアム 【写真提供/世田谷パブリックシアター】

 
読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞後、初のストレートプレイへの登場となる浦井健治を始め、総勢26名の出演陣の熱演と、重厚かつ軽妙なスタッフワークにより、本作は紀元前のトロイ戦争の時代と、400年以上前のシェイクスピアの時代、そして現代の接点が鮮やかに浮き彫りになる。
シェイクスピア劇の醍醐味を十二分に味わえる興奮のエンターテインメント作品となっている。
 
《 初日コメント 》
 
鵜山 仁(演出)
「問題劇」といわれているだけあって見どころが多く、ラブストーリーとしてもグロテスクな喜劇としても受け取ることができる作品、条理と不条理、笑いと涙が混在している芝居なのだとお客様に教えていただきました。矛盾したものがぶつかり合うと芝居は弾んでいくもので、この先も右肩上がりに良くなっていくと思いますので、ぜひ皆さんにご覧いただきたいです。
 
【写真提供/世田谷パブリックシアター】

【写真提供/世田谷パブリックシアター】

 
浦井健治(トロイラス トロイ王の末息子)
キャスト全員で鵜山さんの演出を信頼し、稽古してきた毎日でした。一致団結してやってきたチームワークがお客様にメッセージとして届き、想像以上の反応をキャッチボールのように返していただけたことに、役者もスタッフも高揚しています。お客様に必ず何かしらの満足していただけるプレゼントができるように、メンバー誰一人欠けることなく千秋楽までやり切りたいです。
 
ソニン(クレシダ トロイの神官の娘)
私たちは鵜山さんの演出のもと、カンパニーとしてこの作品のメッセージを発信していますが、最終的にはその日のお客様がどう捉えるかによって、この作品の「色」が決まるのだと感じました。この作品ほどそのように感じたことはありません。毎日初日を迎える気持ちでゼロから始めて、その日のお客様と対峙し、この作品を作り上げていきたいと思います。
 
岡本健一(ダイアミディーズ ギリシャの将軍)
全身全霊で稽古をやってきたので、お客様に良い反応をいただけて嬉しいです。登場人物の1人1人が主役になりうる、つかみどころがたくさんある作品で、作品の核となるものはお客様それぞれが決めるものだと思います。この作品の終わりがないというところが人生とも似ているなとも感じました。観るたび琴線に触れる部分が違う作品に仕上がっていると思うので、千秋楽まで非常に楽しみです。
 
【写真提供/世田谷パブリックシアター】

【写真提供/世田谷パブリックシアター】

 
渡辺 徹(パンダラス  クレシダの叔父)
以前から、文学座の先輩方にも最終的な演出家はお客様だと言われてきましたが、初日を迎えて最後のエネルギーが注入されたという気がします。改めて作品の面白さを実感しています。お客様に心から楽しんでいただき、最後に何かが残るという演劇の理想的な形だと思います。良い作品、そして良いお客様にめぐりあえて感謝しています。
 
今井朋彦(ユリシーズ  ギリシャの将軍)
今回ほど、お客様が僕たちの予想を裏切る反応をしてくださる芝居はそれほどありません。字面で読んでいては見過ごすような部分までしっかりと理解してくださったことに感動しました。鵜山さんは台詞ひとつひとつに含まれているものを追求する大切さを役者に思い出させてくださる演出家です。今回のような複雑な作品では特に、そこまでしないといけないということを、演出の中で伝えてくださいました。
 
【写真提供/世田谷パブリックシアター】

【写真提供/世田谷パブリックシアター】

横田栄司 (アキリーズ  ギリシャの将軍)
「稽古は裏切らない」と感じました。鵜山さんの演出のもと粘り強く稽古を積み上げてこられたのは誇りですし、初日ではその積み重ねがまだ小さいながらも実ったと思います。アキリーズという破天荒な人物を演じるにあたり「舞台に出たからには爪痕を残して来い」という文学座の伝統的な教えの意味が今ようやく分かってきました。これから他の役との掛け算でもっともっと良くしていきたいです。

吉田栄作(ヘクター  トロイの王の長男)
ある種、難解なシェイクスピア作品の中から鵜山さんが今に通じるメッセージを拾い上げてくださったと思います。舞台美術や照明、音楽の力も絶大で、様々なシチュエーションを成り立たせてくださいましたので、役者は自分の役割をしっかりと果たせばよいという信頼がありました。この初日の成功は、総合演出の勝利に他ならないと思います。
 
公演情報
世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター
『トロイラスとクレシダ』
【写真提供/世田谷パブリックシアター】

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期間:7/15~8/2 会場:世田谷パブリックシアター(他 石川・兵庫・岐阜・滋賀公演あり) 作:ウィリアム・シェイクスピア 翻訳:小田島雄志 演出:鵜山仁 出演:浦井健治/ソニン/岡本健一/渡辺徹/今井朋彦 横田栄司/鵜澤秀行 斎藤志郎 高橋克明/櫻井章喜 石橋徹郎 鍛治直人/松岡依都美 荘田由紀 吉野実紗/木津誠之 神野崇 内藤裕志 宮澤和之/廣田高志 若松泰弘 植田真介/浅野雅博 小林勝也/吉田栄作/江守徹 演奏:芳垣安洋 高良久美子 お問い合わせ:世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515(全日10時ー19時)
公式HP: http://setagaya-pt.jp/theater_info/2015/07/post_405.html

 
 
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