ついに最終会場へ……大盛況『アンドリュー・ワイエス展』大阪会場のこだわりを学芸員が解説【オフィシャルレポート到着】
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『アンドリュ・ワイエス展』
あべのハルカス美術館で2026年12月6日(日)まで開催中の『アンドリュー・ワイエス展』から、担当学芸員によるオフィシャルレポートが届いた。同展は東京都美術館、豊田市美術館を経て、巡回の最終会場となる。アンドリュー・ワイエス(1917-2009)は、戦後アメリカ美術の前衛的動向からは距離を置き、主に自分の身近な人々と風景を描き続けた作家である。20世紀のアメリカを慎ましく生きた人々の息遣いと、そこに確かに存在した時間を精緻な技法で描写する。今回は没後、日本初となる回顧展として100点が展示されている。アートファンは見逃さないようにしたい。
担当学芸員・浅川氏が語る、大阪展ならではのこだわり
みなさんこんにちは! 『アンドリュー・ワイエス展』担当、あべのハルカス美術館学芸員の浅川真紀です。東京、愛知と巡回してきたこの展覧会も、いよいよ大阪展でファイナル。しかとトリを務めるべく、大阪展ならではの展示に徹底的にこだわりました。今日はその「こだわり」についてご紹介したいと思います。
光と風を体感する、“布”の素材に託した空間演出
展示風景
展示計画を立てる際、学芸員はまず展示室に並べる作品の順番や部屋割りを図面に落とし込むことから始めます。館によって展示室の面積や構造も異なるので、さまざまな物理的条件をクリアしつつ、作品が観やすく、流れもわかりやすい配置を工夫します。図面の原案ができたら、専門の施工業者さんにコンセプトを説明し、展示計画をブラッシュアップしていくのですが、今回のワイエス展で業者さんにお伝えしたコンセプトは「派手ではないが寂しくならない」「大仰ではないがメリハリがある」「壁はマット系かつテクスチャーのあるもの、色味はライトめで」「光と風を感じられる空間」といったものでした(かなり抽象的!)。
展示風景
ワイエスの世界観、そして大阪展のキャッチコピー「境界に射す光/境界に吹く風」を体感していただけるような展示室にしたかったのです。そんなリクエストに応えるべく、さまざまなご提案をいただく中でみつかった理想の素材が「メタリック・オーガンジー」という、薄く軽やかな半透明のオーガンジーにメタリックな加工を施した布です。ちょっとした風でふわりと揺らめき、光を受けてデリケートに輝くその素材を使って、さて、どのような光と風が生まれたかは、ご来館されてのお楽しみ! そのほか、館の既存の壁のテクスチャーを透かし見せながらも、マットで絶妙な色味を演出する「スパンボイル」という布の使用も要チェックポイントです。
舞台美術チームが完全再現! 第3章からは撮影も可能
展示風景
展示風景
あわせて、ご来館のみなさまにフォトスポットとしても楽しんでいただけているのが、作品の中に登場するドアや窓を完全再現した設え。劇場の舞台美術を手がけるチームによる制作で、完成度の高さには目を見張ること、まちがいなしです! 展示室第3章以降は撮影OKですので、ぜひ思い思いのショットをカメラにおさめていただければと思います。
大阪展限定パネル「ファインディング・ワイエス」で絵画の世界へ
展示風景
最後に、大阪展オンリーのパネルもご紹介。「ファインディング・ワイエス」という、子どもから大人まで楽しんでいただける解説パネルを特別にご用意しました。細部にわたって描きこまれたワイエスの絵は、観るほどに新しい発見があります。これを読んでいただければ、うっかり見過ごしそうなディテールもしっかりチェックできて、ワイエスの世界にますます没入できること、請け合いです。
そんな「こだわり」のつまった大阪展は12月6日(日)まで。みなさんどうぞくれぐれも、お見逃しなく!
展示風景
公演情報
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
会期:2026年10月3日(土)~12月6日(日)
開館時間:火~金 / 10:00~20:00、月土日祝 / 10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
協賛:DNP大日本印刷
特別協力:丸沼芸術の森、ユニマットグループ
協力:ワイエス財団、日本航空
後援:アメリカ大使館