1/31深夜に「ピエール・ブーレーズをしのんで」放送
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若者たちを指導していたブーレーズの死をルツェルン音楽祭は悼んでいる(公式サイトより)
ルツェルン、そして日本での晩年の活動を
SPICEでも既報のとおり、2016年1月5日に作曲家、指揮者のピエール・ブーレーズがドイツのバーデン=バーデンで亡くなった。彼を桂冠指揮者としていたシカゴ交響楽団からのリリースには、長い闘病の末の死であることに触れられている。昨年に生誕90年を世界的に祝われて後の逝去は大往生とは思うけれど、その眠りの安らかなることを切に祈りたい。
さて、彼を悼んで世界各地の放送局やWebサイトでは遺された彼の作品、演奏が放送、配信されている。日本でもNHK FM、Eテレですでにいくつかの演奏が放送されているが、31日深夜のNHK BSプレミアム「プレミアムシアター」では「ピエール・ブーレーズをしのんで」としてドキュメンタリー、そして演奏会の模様が放送される。
まず前半は「ピエール・ブーレーズ IN ルツェルン」、彼が晩年に注力した後進育成活動に焦点を当てた番組だ。2009年のルツェルン音楽祭におけるルツェルン音楽祭アカデミーでの指導ぶりは、彼の明晰な音楽作りの過程を見られる貴重な機会となることだろう。また、指導の成果として行われた演奏会から、ライヴエレクトロニクスを駆使した傑作「レポン」(1981-86)が放送されるのは喜ばしい(残念ながら、この作品の特長を存分に味わえるサラウンド音声ではないのは惜しいところだが)。
そして後半には指揮者ピエール・ブーレーズ最後の来日公演となったグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団と演奏会の模様が放送される。
IRCAMでの活動に注力するようになり、指揮活動を控えたことから1975年以降来日の途絶えていたブーレーズだったが、1995年には彼の生誕70年を祝う大規模なブーレーズ・フェスティバル、2002年にはポリーニ・プロジェクトにおいてロンドン交響楽団と、そして今回放送される2003年のグスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団とのツアーと、8年間の間に三度の来日公演を行った。
最後のツアーのうち、この日の放送にはベルク、ウェーベルンと彼が得意とした新ウィーン楽派の「小品」、そしてブーレーズが晩年積極的に取り組んだマーラーの交響曲から第六番によるプログラムの、2003年4月21日にサントリーホールで開催されたコンサートが選ばれた。若き音楽家たちによる大オーケストラを見事に統率するブーレーズの生前の勇姿をぜひご覧いただきたい。
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2003年のツアーの後、80歳を超えてからの来日はただ一度、2009年に京都賞を思想・芸術部門で受賞した時だけだった。最晩年の活動においては演奏会のキャンセルも少なくなく、教育活動を中心にしていたように思われる。作曲に著作に、そして演奏に教育にと、彼が遺してくれたものは非常に多く、我々聴き手はこれからも彼の教えを、影響を受けていくことだろう。
(ピエール・ブーレーズ(京都賞2009受賞者)からのメッセージ/稲盛財団チャンネルより)
なお、この日の番組冒頭には「追憶のブーレーズ ~現代音楽の巨匠をしのぶ~」として、彼をよく知る二人の作曲家、野平一郎と藤倉大が出演して友人ならではのブーレーズ像が示されることだろう。放送は31日深夜24時20分から、くれぐれもお見逃しなく。
2月1日(月)【1月31日(日)深夜】午前0時20分~3時45分
◇追憶のブーレーズ ~現代音楽の巨匠をしのぶ~(0:20:00~0:32:30)
<出 演> 野平一郎(作曲家・ピアニスト) 藤倉大(作曲家)
<曲 目>
1.「遊戯」から ドビュッシー 作曲
2.「ノタシオン オーケストラ版」から ブーレーズ 作曲
3.「レポン」 ブーレーズ 作曲
<出 演>
管弦楽: ルツェルン音楽祭アカデミー管弦楽団
指揮・インタビュー出演: ピエール・ブーレーズ
収録: 2009年9月3日、10日
ルツェルン文化会議センター コンサートホール
◇ピエール・ブーレーズ指揮
グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団演奏会(1:44:30~3:45:00)
<曲 目>
1.管弦楽のための3つの小品 作品6 ベルク 作曲
2.管弦楽のための6つの小品 作品6 ウェーベルン 作曲
3.交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」 マーラー 作曲
<出 演>
管弦楽: グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団
指揮: ピエール・ブーレーズ