関西の若手演劇集団、劇団Patch4期生”必死のパッチ”のお披露目公演!
左上から時計回りに、Patch4期生の藤戸佑飛、尾形大悟、田中亨、納谷健(撮影/石橋法子)
歌って踊るSF青春劇とお楽しみ企画、握手会も付いて全力でおもてなし!
昨年末、末満健一の脚本を連鎖上演する企画で、瀬戸康史主演Dステ17th『夕陽伝』(岡村俊一演出)に次いで、『幽悲伝』(末満健一演出)を上演した劇団Patch。旗揚げ4年目の若手劇団ながら、当日はDステ版に魅了された人やPatch版では脚本家が演出も兼ねること、大阪限定での上演などがプレミア感を高め、北海道や東京など全国各地から来場者を集め大盛況を納めたのも記憶に新しい。
平均年齢20代前半のメンバーらは、二枚目になりきれない愛嬌と男気を併せ持つ、関西風味な個性派揃い。現在、放送中のNHK連続テレビ小説『あさが来た』では、メンバーの中山義紘が炭鉱夫役、竹下健人が加野屋の手代・弥七役で出演するなど個々の活躍も目覚ましい、今もっとも注目したい若手劇団のひとつだ。そんな中、新メンバーの4期生4人、田中亨(16)、納谷健(20)、尾形大悟(19)、藤戸佑飛(21)がお披露目公演「Patch stage EX Four Contacts よん!ろしくお願いします!! 劇団Patch四期生お披露目祭!!」を2016年2月20日(土)、21日(日)、大阪・HEPホールにて開催する。当日は舞台『The Calling』(作・演出・出演/山浦徹)をメインに、企画コーナーや握手会まで付いたアットホームな内容になる模様。
尚、4期生の納谷健は5月に上演される、人気舞台ストレートプレイ版『刀剣乱舞』に小夜左文字役で出演することが発表された。早くも各方面からお呼びが掛かる注目株を、まずは本イベントでチェックしよう!
あらすじ:ちっぽけな街に暮らす高校3年生のタケル(納谷健)、ユウヒ(藤戸佑飛)、トオル(田中亨)、ダイゴ(尾形大悟)の幼馴染み4人組。互いの友情は卒業後も変わらぬと信じていたが、遠い夏の思い出が彼らの未来と絆に影を落とす。そんなある日、青春、友情、UFO(!?)までをも巻き込んだ事件が起きる。4人は叫び掛ける声を追い求め、”ファーストコンタクト”をめざすのだが……。
◎稽古場レポート
王道の青春劇かと思いきや、予想は早々にはずれた。幕開きは荒廃した近未来、タケルの台詞が大勢の人々の死を連想させ不穏なムードが漂う。これが男子高校生たちの熱血青春劇とどう関係してくるのか、いい意味でまったく想像がつかない! その後、場面は現代の地方都市へ移り物語が動き出す。
高校では幼馴染み4人組が放課後遅くまで、軽音楽部の練習に明け暮れていた。
折に触れて友情を確かめあうタケルたち。高校1年生の時は、不良に絡まれたトオルをタケルが助けたこともあったよね…の回想場面。回し蹴りまで食らわす納谷の立ち回りもスゴいが、50人(!)の不良役を演じ分ける藤戸と尾形の頑張りにもご注目!
また、小学校5年生時の回想シーンでは、UFOを呼び出す遊びに夢中になる4人の姿が再現される。先生を宇宙人だと疑ったり、変な事件はすべて宇宙人の仕業だと噂しあったり、妄想力全開で騒ぎまくる無邪気な子供時代の図。
全編に渡ってとにかくパワフルで表情豊かなタケル(左)と、周りより大人びた表情を見せるダイゴ(右)。
高校卒業間近のある日、突然ユウヒがバンドをやめると言い出し、4人のバランスが微妙に崩れ始める。
無邪気さゆえか、つい余計な一言で周囲の人間を苛立たせてしまうトオル。普段はひょうひょうとしているが、時に思わぬ俊敏さを見せ周囲を驚かせる。そこにも理由があるのだが……。
全力でダメ出しを行う山浦徹の指導に、ニヒルな役柄とは裏腹にほんわかした素の表情で聞き入る尾形大悟のギャップが印象的。その後も稽古は深夜まで続いたが、果たして散りばめられたそれぞれの記憶の断片は、後半どのように集約されるのか。メンバーによると結末には「そうだったのか!」という、驚きと感動が待ち受けているそう!
◎4期生による座談会
「自分たちの名前と性格が投影されたキャラクターです」(納谷)
納谷:タケルは、4人のリーダー的存在。信頼感があるけどストレートな性格で、怒りも喜びもすごく素直に表現する。そこは自分自身にも重なる部分ですね。
藤戸:自己紹介の台詞があるんですが、ユウヒは「昭和のヤンキー」(笑)。真っ直ぐな性格だけど不器用で上手く内面を表現できず、もどかしさを抱えている。僕の言動によって物語が動いていく部分もあるので、大変ですが面白いですね。
田中:トオルは「ひょろひょろとして、すっとぼけている」という台詞がある通り、僕の見た目そのまんま(笑)。僕も気付くと自分の世界に入り込むので、そこを山浦(作・演出)さんに拾われたんじゃないかな。空気が読めず、思ったことをすぐ言葉にしてしまう性格も、ほぼそのまんまです。
尾形:ダイゴは、物静かでキザで性格が悪いというかニヒルで偉そう。
納谷:今回大悟だけ、普段の性格と役柄が真逆じゃない?
藤戸:そう! 本当に空気が読めなくて、ひょろひょろしているのはむしろ大悟の方だし。
尾形:普段はもう少し、ほんわかしています。
藤戸:小学生時代にUFOを呼ぶ場面では、宇宙人に詳しい大悟がみんなを引っ張っていく設定ですが、普段はまったく頼りにならないから。4期生のオーディションで一緒に受かった時は「こいつと同期で大丈夫か」って本気で思いました(笑)。
納谷:僕とか佑飛は役柄同様、ストレートに思ったことは言うし注意もするので、それでだんだん大悟とも仲良くなって。
藤戸:最近はすごく可愛く思えてきた。
尾形:僕もう19才ですから。でも、精神年齢は亨(16才)が一番大人かも。
藤戸:うーん、おとなしいだけちゃうん?
納谷:確かに落ち着きぶりは半端ない。でもじつは一番突拍子もないのが亨で、大悟はずっときゃぴきゃぴしてるけど、気づいたら亨も一緒にきゃぴきゃぴしてることがあってビックリする。
藤戸:急に面白くなる(笑)。
田中:僕人見知りなんで、普段はおとなしいんですけど、仲良くなったらよくしゃべる。だから、たまにボケるとそのギャップが面白いってよく言われる。ちなみに、劇中でトオルが大人しく見えるのは、物語の伏線でもあるんです。
納谷:前半に引っ掻き回されて未回収やった部分が、後半のタケルとのシーンで全てが回収されていく。誰もが「え、そうやったん!?」って、なると思う。
藤戸:だから、あからさまに周りの空気が読めなかったのか!と。最後に美味しいところを持っていかれる(笑)。
尾形:そういう意味では、ダイゴも前半と後半では、ガラリと雰囲気が変わりますね。
納谷:タケルはダイゴにも振り回されるんですけど、それによってダイゴが豹変する。
尾形:前半ではあまり中身が見えない、自分を隠しているキャラクターなので、後半にはすべての違和感が府に落ちる気持ちよさがあると思います。
「これまでのPatchにはない、新しいものが表現できれば」(藤戸)
納谷:当日は握手会で感謝の気持ちを伝えたり、自己紹介的な企画コーナーもあるので、より素顔の僕らを知ってもらえると思います。
藤戸:芝居でも山浦さんに僕らのやりたいことを汲み取っていただいて、今回4人でバンド演奏を披露します。僕はボーカル担当。
田中:僕は中学生のときにバンドでドラムを担当してたので、今回もドラムを演奏します。
納谷:僕と大悟はバンド未経験ですが家に楽器はあって、それがたまたま僕がギターで大悟がベースだった。偶然にも全パートが揃ったので実現することができました。
尾形:芝居、ダンス、生演奏まで、舞台でできるパフォーマンスを最大限に詰め込んだ内容になっていると思う。
藤戸:経験や特技を活かして、これまでのPatchにはない新しいものが表現できれば。
納谷:ダンスはPatchの中でも俺が引っ張るぞ!という意識は持っている。4期生の中では僕が唯一の演劇経験者なので、みんなの力を底上げするのも自分の課題だと思って頑張りたい。
藤戸:僕の特技はもちろん歌ですね。ボーカルとしてはステージ経験もあるので、今回も本番では堂々とやろうと思う一方、演技やダンスはまだまだ表面的な部分しかできていないので。もっとみんなで芝居や役柄について話し合って、本番までブラッシュアップを続けていきたいですね。
田中:特技は料理です。先日も、蔵庫にあるもので調理しておとうさんに出したら「美味しいやん」って言ってもらえました。
納谷:嬉しかった話、聞いてるんとちゃうねん(笑)! うーん、料理というか、人を喜ばせるのが得意なんかな?
田中:自分の作った料理で嬉しいといってもらえたら、嬉しいですよね。
納谷:ひとつ言えるのは、今回のイベント内に料理コーナーは断じてありません!
尾形:僕は自分で言うのも何ですが、気楽なふんわりした性格なので、このキャラは他の誰ともかぶってないと思う。あと、映像編集が得意です。
納谷:大悟は良くも悪くも一人でその場の空気を変えられるのがすごい。脳みそにいろんな滞りがないんやろうなと(笑)。
藤戸:突拍子もないことをするのではずれも多いけど、いつかすごいことをするんじゃないかという可能性を秘めている。
納谷:俺は大悟としゃべってたら、怒るか突っ込むかやもんね。
藤戸:基本、怒られている。
納谷:みんな失敗して学んでいこう(笑)。脚本、美術、振り付けと、たくさんの方々が100%の土台を作って支えてくださっているので、あとは僕らがその良さを120、150%と最大限に表現してお客さんに伝えられるように頑張るだけ。ツイッターやブログでも情報を発信しているので、何とか僕らに興味を持っていただき、舞台を見に来ていただけたら嬉しいですね。
全員:劇場でお待ちしています!
◎舞台『The Calling』作・演出:山浦徹インタビュー
ーーーお披露目公演ということもあり、脚本には彼らのアイデアも反映させたとか。
それぞれの持ち味が一番活かされるよう事前にヒヤリングを行い、半分あてがきをしながら書き進めました。ダンスや立ち回りなどの特技を活かしたり、今回リクエストがあり、彼らを新人バンドに見立ててバンド演奏も披露します。全てにおいて経験が少ないとはいえ、お客様に恥ずかしいものはお見せできない。クオリティの高いものをお見せするんだ!という覚悟をもって、取り組んでもらおうと思っています。
ーーー荒廃した近未来的な幕開けが、青春劇に収まりきらない壮大さを感じさせます。
役柄やストーリーの軸となる彼らの強みは”若さ”ですが、ただそれだけだと等身大の学園ドラマにしかならない。そこから世界や宇宙にまでイメージを広げることで、彼ら自身もスケールアップする姿を描きたかった。
ーーー4名それぞれの個性や伸びそうな部分は?
納谷健は立ち回りや芝居ができる即戦力タイプ。まだまだ伸びしろがあるので、努力を怠らず成長してほしい。藤戸佑飛は全然違う畑からきたやつですが、熱意もあるし足りないものは努力で補えるので、持ち前のアクの強さだけは無くさず大事にしてほしい。第4回Patch オーディショングランプリの田中亨が、まさかあんなにぽわーんとしたキャラだったとは驚きでした! ある意味大物ですね(笑)。尾形大悟は、華がある。手足も長く笑顔も似合うので、それは大いに活かして欲しいなと思います。ただみんなに言えることですが、成長のための努力は必要なので、今後もを怠らずに頑張ってもらいたいですね。
ーーー最後にお客さまにメッセージを。
4期生4人がこんなにも大々的なお披露目イベントを開催します。スタッフ陣も本気のメンバーが集まっていますし、彼らも本気の芝居をしますし、させます! 足りないモノ、まだ持っていないものはたくさんありますが、それを補って余りある若さ、体力、ダンススキル、ルックス、何より意欲と熱意は持っているので、本番ではプロらしい公演をお見せできると信じて稽古中です。『フォアコンタクト』は、彼らとお客様との”ファーストコンタクト”でもあるので、新人の今だからこそ放たれる瑞々しさを見届けに来ていただけたらと思います。
■日時:2016年2月20日(土)、21日(日)
■会場:HEPホール
■企画立案:末満健一(ピースピット主宰)
■舞台作・演出:山浦徹(化石オートバイ主宰)
■出演:田中亨、納谷健、尾形大悟、藤戸佑飛、山浦徹
■料金:前売4,000円、当日4,500円(税込・全席指定)※未就学児入場不可
■問合せ:【公演に関して】ワタナベエンターテインメント関西事業本部06-6941-5250 【に関して】キョードーインフォメーション0570-200-800