「談ス」がストックホルムで「最高の道化作品」と大評判

2016.2.28
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舞台

「談ス」ストックホルム公演


2016年3月1日から3月29日まで、フィジカルパフォーマンス『談ス』(出演:森山未來、大植真太郎、平原慎太郎)の日本全国ツアーが開催される。

これに先立ちスウェーデンはストックホルムのDansens Husにおいて、2月24日から26日まで(現地月日)、同公演が開催され、客席を大いに賑わかせた。地元新聞に載った公演評は次の通り。


「談ス (C/Ompany) 恐れに挑む容赦ない道化」
( 「スヴェンスカ・ダーグブラーデット」の記事より)

スウェーデンと日本を拠点にするC/Ompanyの新しい作品は曲芸的で容赦ない道化と言える。3人のダンサー達はものすごいスピードで互いにぶつかり合い取っ組み合う。

3人のタイトな相互作用は現在のストックホルムのダンス界では勝利的なコンセプトだ。Kenneth Kvarnstromと彼のカンパニーであるKulturhusetでの作品「TRE」が痛いほどに美しい動きと技の融合だとしたら、大植真太郎の新作「談ス」は最高なる道化作品だ。両作とも同様に人間の存在について、不確かな要素や人間関係における可能性やその反動から照らし出される人生などをテーマにしている。

日本人のダンサー兼振付家の大植真太郎は、これまでにC/Ompanyのプロジェクトにおいて肉体的なルールと芸術的な暗号を用いて、ユーモアと暗さのある暴力的かつ曲芸的な振付作品をいくつか発表してきた。「談ス」も例外ではない。ライブカメラによって鳥瞰的に映し出される、象徴的な2体のブリキ製おもちゃの兵隊達は時に喋ったり、時に振付家の役割を果たす。

円形の床とチョークもまたこの作品のコンセプトに重要な役割を果たしている。デュオ、トリオが発する英語、日本語、それぞれが少しずつ混ざったうなり声、うめき声、掛け合いは、武道の様なコンタクト即興とともに豪華な乱交パーティーの様な効果を生み出す。大植真太郎、森山未來、平原慎太郎の3人からはまるで見知らぬ力が押し出されているかのようだ。彼らの身体は、互いにバランスを取りあう面になったり、時には違う物体を想起させたり、また日本のある種“自虐的”なカルチャーを飾らずに取り込みつつ同時にそれを自嘲してみたり。息つく間もないほどの驚きが散りばめられている - ここではみんなが恐れに挑戦するように取っ組み合う - だが終盤に訪れる静寂の前には「攻撃的な」動きや、そこらじゅうに散乱するチョークのオーバードースを少し味わう事も出来る。

終盤、舞台は廃墟を思わせ、床にはBIRD、PLANT、HOPE、LOVEなどの言葉が見られる。最後にはこの剥き出しの大地の中央にトリオが輪になって立ち、互いに大胆に倒れかかる。距離が離れることで相手に受け止められないリスクが増える。人間のパラドクスを力強く、複雑に表している。

「談ス」ストックホルム公演

「談ス」ストックホルム公演


■フィジカルパフォーマンス『談ス』

3人のダンサーが、舞台上で身体全体を使ってその独特な世界観を表現する、これが『談ス』。舞台で組み体操のようなダンスから、チョークと3人の動きを組み合わせたパフォーマンスまで、一つ一つの動きをダイナミックに表現することで見る人の目を惹きつける。2014年に初演した『談ス』は、大きな反響と開催の要望を受けた。今回、日本15都市24公演という、ダンス公演としては異例の規模としての上演に至る。また、初演では無かった小型カメラを用いた新演出を取り込むなど、上演するたびに進化を続ける。ダンスとも演劇ともプロレスとも言えない新しいジャンルのフィジカルパフォーマンス。

 
■出演者プロフィール

【森山未來(もりやま みらい)】
1984年兵庫県生まれ。数々の映画・ドラマ・舞台に出演する一方、ダンス作品にも積極的に参加。近作として「Judas, Christ with Soy -駈込み訴え-」「Vessel」など。文化庁文化交流使として2013年秋より1年間を主にイスラエルに滞在、インバル・ピント&アブシャロム・ポラック ダンスカンパニーを拠点に活動。第10回 日本ダンスフォーラム賞 2015受賞。
 【大植真太郎(おおうえ しんたろう)】
1975年京都府生まれ。17歳で渡独以降、様々なカンパニーでダンサーとして活躍し、2006年より自身の創作活動を開始。2008年C/Ompanyを立ち上げ、柳本雅寛、平原慎太郎と活動。現在はスウェーデンを拠点とし、日本での公演活動の他、オランダ、イタリアでもC/Ompany作品を発表。
 【平原慎太郎(ひらはら しんたろう)】
1981年北海道生まれ。2007年よりフリーランスとして国内を中心に振付家、ダンサーとして活動を行いダンスカンパニーOrganWorksを主宰し、コンドルズ、C/Ompany、瞬project等に参加。劇団イキウメ等の演劇作品にも関わる。2011年韓国国際モダンダンスコンペティション最優秀振付家賞受賞、2013年文化庁新進芸術家海外留学制度研修員としてスペインに滞在。

「談ス」ストックホルム公演直後のダンサー3人


公演情報
「談ス」

◆日時・会場:
神奈川公演 2016年3月01(火)鎌倉芸術館 小ホール
東京公演 2016年3月3日(木)~8日(火) イイノホール
名古屋公演 2016年3月9日(水) アートピアホール
大阪公演 2016年3月11日(金)~13日(日) 大阪ビジネスパーク円形ホール
松本公演 2016年3月14日(月) まつもと市民芸術館 実験劇場
金沢公演 2016年3月16日(水) 金沢市文化ホール
新潟公演 2016年3月17日(木) りゅーとぴあ・劇場
青森公演 2016年3月19日(土) リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)
仙台公演 2016年3月20日(日) 仙台電力ホール
札幌公演 2016年3月22日(火) 道新ホール
京都公演 2016年3月24日(木) ロームシアター京都 サウスホール
広島公演 2016年3月25日(金) 広島市南区民文化センター
福岡公演 2016年3月26日(土) アクロス福岡 イベントホール
大分公演 2016年3月27日(日) 大分コンパルホール
沖縄公演 2016年3月29日(火) 国立劇場おきなわ
 
◆構成:大植真太郎
◆振付・出演:大植真太郎 森山未來 平原慎太郎
◆公式サイト:http://dansu2016.com/