いきものがかり 「SAKURA」から始まった物語ーーあれから10年、桜の季節に届いたベスト盤にその歩みを見る
いきものがかり。「SAKURA」でメジャーデビューを果たしてから10年、3月15日にベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』をリリースし、アルバムランキング1位となるなど現在好調な売り上げを維持している。この10年、いきものがかりは何を想いどんな景色を見ながら、稀代のポップバンドへと成長して行ったのか、そしてそれを見事に実現させた3人のストロングポイントはどこにあるのか。インタビューでの発言を交えながらその足跡を振り返る。
10周年記念べストアルバム、初動約14万枚を売上げ1位発進!
“さくら ひらひら 舞い降りて落ちて”――叙情感たっぷりに、でもまっすぐに歌う吉岡聖恵の声に心をわしづかみにされたのは2006年3月。当時、いや今でもこの時期になると桜ソングと銘打たれた作品が続々とリリースされるが、いきものがかりのデビュー曲「SAKURA」の発売は、そんな中でも遅い方の3月15日だった。“泣き笑いせつなポップ3人組”というキャッチフレーズを手に、メジャーシーンに飛び出していった水野良樹、吉岡聖恵、山下穂尊の3人=いきものがかりのまさに“名刺代わり”になる一曲になった――あれから10年、いきものがかりがデビュー10年を迎え、それを記念したベストアルバム『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』を3月15日に発売し、初動(1週間)で約14万枚を売上げ、アルバムランキングの1位を記録し、好発進した。大ヒットシングルからアルバム未収録の最新シングル、さらにインディーズ時代の人気曲を新録するなど、初回生産限定盤はなんとCD4枚組60曲、収録時間約5時間というボリュームだ。まさにいきものがかりのヒストリーが全て詰まった大作だ。
いきものがかかりは1999年に結成され、3人の地元である神奈川県・厚木市、海老名市でストリートライヴを精力的に行い、実力を磨いていき、徐々にその評判が広がっていった。自分達に興味がない人たちの足を止め、聴かせる――ストリートで歌っていた彼らがずっとやり続けてきたことだ。ストリートで道行く人の心を掴むには、やはり一瞬で聴き手の耳と心を捉えるメロディと言葉、そして“届ける”力を持った声が必要。そんな、路上で鍛えられた3人の力が最大限に詰まっているのが「SAKURA」なのだ。サビから始まるスタイルはいきものがかりの一つの大きな特長で、一音、ひと言で聴き手に届け、立ち止まってもらわなければいけない、路上での術(すべ)だ。ストリートからメジャーシーンに場所を移しても、10年経ってもやること、気持ちは変わらないはずだ。
デビューシングル「SAKURA」('96.3.15)
しかしデビュー曲が「SAKURA」に決まるまでが大変だったとメンバーは振り返る。「一年ぐらい作業していて、桜ソングの一発屋みたいな見られ方が嫌だったので、タイトルも「SAKURA」じゃないほうがいいんじゃないかという意見もあった。コケないようにするにはどうすればいいか、そればかり考えていた」(山下)。しかし発売後に「DENPO115 東日本エリア」CMソングに起用されるという追い風もあり「SAKURA」はヒット。「他にもデビュー曲候補はありましたが、その後自分たちが進んだ方向からすると、あの曲がスタートラインで良かったです。でも当時は「SAKURA」って曲は聴いたことあるけど、誰が歌っているのか知らないという人がほとんどだったと思うんです。その後、色々な曲をリリースして、バンド名とキャラクターが浸透していったと思いますが、「SAKURA」は曲が一人歩きしていて、それでよかったのだと思います」とリーダー水野良樹はしみじみ語る。まさにいきものがかりという3人組の名刺代わりの一曲になり、進む方向性を指し示してくれた。ここから“泣き笑いせつなポップ3人組”いきものがかりの快進撃が始まった。
初の全国ツアーは東京・大阪はギリギリ満杯、福岡はが十数枚しか売れなかった!?
この年は早くも「HANABI」「コイスルオトメ」「流星ミラクル」という4枚のシングルをリリースし、11月には初の全国ツアー(7か所)も敢行した。しかし「たぶん東京と大阪しか埋まってなかったと思います。それもぎりぎりだったはずです(笑)。札幌も福岡も埋まらなくて、福岡は自虐的に言うネタなんですけど、十数枚しかが売れていませんでした」(水野)という結果だった。「SAKURA」が流れる「DENPO」のCMは、東日本地区以外ではオンエアされていなく、思ったほど浸透していなかったのだ。でもそんな状況も「このタイミングでツアーをやってよかった。大変でしたけど、鍛えられましたし、初めての事ばかりで楽しかったです」(同)と前向きに捉え、まずはしっかりと足腰を鍛え、次のステップへと進んで行った。
1stアルバム『桜咲く街物語』('07.3.7)
翌2007年3月には1stアルバム『桜咲く街物語』をリリース。それを引っ提げての全国ツアーを行った(11公演)。「アルバムを出して初めてのツアーで、「SAKURA」のおかげでちょっとだけ名前を知ってもらうことができました。シングルの売上げからすると、アルバムはすごく売れたと思います。アルバムが色々な人に受け入れてもらえたことがすごく大きかった」(山下)と言うように、「SAKURA」のスマッシュヒットがやはりエネルギーになり、その後もコンスタントにシングルをリリースし、徐々にいきものがかりという一風変わったアーティスト名と世界観が浸透していった。学園祭ツアーも12公演行い10~20代のファンが着実に増えていっていた。
2008年「紅白歌合戦」初出場。シングル5作、アルバム2作、怒涛のリリースラッシュが波紋を呼ぶ!?
今や『NHK紅白歌合戦』の常連といってもいい彼らも、初めて出場したのは2008年だった。歌ったのはデビュー曲「SAKURA」。ここでようやく3人と3人の歌が“全国区”になったといってもいい。そして多忙を極めていた。この年はシングル5作に加えて『ライフアルバム』『My song Your song』という、オリジナルアルバムを2作リリースするという怒涛のスケジュールだった。これについてはこの“いきものペース”がレコード会社内では普通のことになりつつあり、他のアーティストから(冗談で)迷惑だとクレームが来るという裏話もある。一年でシングルを5枚も出すバンドなんて聞いたことがない。昔のアイドル並のペースだが、それもいきものがかりの歌が求められていたからにほかならない。タイアップが増えていた。「『My song Your song』あたりが、一番何をやっているかわからない時期でした(笑)」(水野)というように、殺人的なスケジュールをこなしつつも、少しずつ大きくなっていく自分達を実感できる充実していた時期でもある。それは作品にも表れている。『NARUTO-ナルト- 疾風伝』(テレビ東京系)のオープニングテーマになった「ブルーバード」、ドラマ『セレブと貧乏太郎』(フジテレビ系)の主題歌に起用された「気まぐれロマンティック」は、アップテンポで、キャッチーなメロディが印象的だがどこかほのかに感じる切なさという、いきものがかりにしか書けない作風が受けた。さらに「帰りたくなったよ」(映画『砂時計』主題歌/「アイフルホーム」CMソング)は、これも彼ら独特の、ベタすぎない心地いい郷愁感を感じさせてくれるバラードで、シングルでしっかりと“いきものがかりである証明”を積み重ね、それがどれも聴き手の心に突き刺さっていた。
15th両A面シングル「YELL/じょいふる」('09.9.23)
いきものがかりの強さは3人が曲を書けるということ。特に水野、山下はポップスの名手として、狭い場所に目がけて書くのではなく、幅広い層のあらゆる人達に向けた、大衆の琴線に触れる愛される曲=ポップス、を書くことができる。しかも量産できるという強みがある。それが大きく花開くタイミングを10年間のうちに何度も経験しているが、2009年にリリースした「YELL」がその最初だったのではないだろうか。「第76回NHK全国学校音楽コンクール」中学生の部・課題曲に選ばれ、あらゆるシーンでこの曲が取り上げられた。初出場した「紅白」の楽屋で、ただでさえ緊張しているのに、水野は「YELL」についての打合せをNHKのスタッフとしていたという。「「YELL」の打合せをしたのを覚えています。3月には全国の中学生に渡さなければいけなくて、そのためには年明けには吉岡の仮歌が必要なのに、このタイミングでNHKのスタッフから新しいリクエストがあって、それを初出場の「紅白」の時に打合せしていました(笑)。正月もその作業をやっていました」と、この時の3人の忙しさを物語るエピソードを教えてくれた。2009年9月にリリースされた「YELL」は大ヒット。この時両A面だった、「ポッキーチョコレート」(江崎グリコ)CMソング「じょいふる」も、本人達出演のCMと共に大きな話題を集め、今でもライヴで欠かすことができない盛り上がりソングだ。
2010年「ありがとう」の大ヒットで″国民的バンド″へ。日本を代表するアレンジャー陣が作り出すいきものがかりのエバーグリーンな音楽
2010年はいきものがかりにとって大きく飛躍した、キャリアの中でも特筆すべき年になった。18枚目のシングル「ありがとう」が「NHK朝の連続ドラマ『ゲゲゲの女房』」の主題歌に起用され、大ヒット。一気に新規ファン、しかも幅広い層のファンを獲得し、“国民的バンド”になっていった。「全都道府県ツアーやって、それプラス、アリーナだったので、71本と一番ライヴをやった年です。「ありがとう」のヒットがやっぱり大きかった。ドラマの視聴率がどんどん上がっていくにつれ「ありがとう」が浸透していっているということを、ツアー中に実感しました。ツアーの最初の方は「ありがとう」を演奏しても、何あの曲?って感じでしたが、ツアーの最後のほうは“ゲゲゲの曲”として認知されました」(山下)。作詞・曲は水野、そしてアレンジは本間昭光。印象的なイントロから、この曲もサビから始まるいきものがかりらしい一曲だ。歌い出しのサビのメロディに絡むストリングスのせつなくもキャッチーな旋律に、全ての人が引き込まれてしまう。誰もがスッと感情移入できるわかりやすいアレンジも、この曲を名曲に至らしめる大きな力になっている。「プロデューサーの本間昭光さんに出会ったことが、グループにとってはすごく大きかったですね」と水野が言うように、本間はいきものがかりの音楽にさらに奥行きを与え、本間がバンマスとしてツアーに帯同するようになって、ライヴでの音もガラッと変わった。厚くなり、吉岡の歌がより力強く、印象的に伝わるようになった。
18thシングル「ありがとう」('10.5.5)
いきものがかりの音楽作りには、本間を始めJ-POPを作る職人たち、素晴らしいプロデューサー陣が参加している。ちなみにデビュー曲「SAKURA」は島田昌典、そのカップリングの「ホットミルク」は亀田誠治と、デビューシングルから最強の布陣で臨んでいる。他にも松任谷正隆、蔦谷好位置、江口亮、鈴木Daichi秀行など、日本を代表するアレンジャー陣が力を注いでいるいきものがかりの音楽は、やはり“強い”し、永く聴かれている曲ばかりだ。
2011年初のスタジアムライヴは、地元・横浜スタジムで2日間で6万人動員
'11年7/23,24「いきものまつり2011 どなたサマーも楽しみまSHOW!!!〜横浜スタジアム〜」
いきものがかりの人気はとどまるところを知らず、2011年には地元・横浜スタジアムで初のスタジアムライヴを行い、2日間で6万人を動員した。「私達の地元ということで、全国からファンの皆さんが集まる場所でもあるんですよね。皆さんが遠くから来てくれる特別な場所なんです」(吉岡)。ファンを楽しませるために、当時はまだ見る機会が少なかったプロジェクションマッピングを駆使した映像で驚かせた。もうひとつ、巨大なスクリーンを通して人々に感動を与えていたのは、吉岡の歌う表情だ。その目まぐるしく変わる表情を観ているだけ感動する。歌を一生懸命伝えようとする気持ちがマイクからだけではなく、スクリーンを通しても伝わってくる。吉岡は決して高度なテクニックを駆使するタイプのシンガーではない。奇をてらうことなく、聴き手の心に真っ直ぐ届けようとする。その真摯な“想い”と姿勢が伝わってくるからライヴに行ったファンは感動するのだ。
2012年「リーダーが人生をかけて書いていると感じた」(吉岡)シングル「風が吹いている」がNHKロンドン五輪放送のテーマソングになり、日本中に感動を与える
ノッているアーティストは、運もツキも引き寄せる。2012年「NHKロンドンオリンピック2012放送」のテーマソングに「風は吹いている」が起用され、代表曲がまた1曲生まれた。吉岡が「リーダーが曲作りしているところを見ていて、本当に人生かけて書いているんだなということを勝手に感じていました」というように、作者の水野は何度も何度も練り直し、言葉を推敲し、震災直後のオリンピックという、特別な想いを胸に臨む選手たち、それを応援する人々の心に寄り添う壮大な曲に、音楽プロデューサー亀田誠治と共に仕上げた。「震災後初のオリンピックということで、どの角度で接するかをすごく考えました。こういう機会を与えていただけるのは、人生に一度あるかないかのことだと思い、いい意味でも悪い意味でも力が入っていたかもしれないですね。それが7分40秒という一曲になりました」(水野)。改めていきものがかりの歌の素晴らしさを、日本中に知らしめた。
24thシングル「風が吹いている」('12.7.18)
毎年コンスタントにシングルとアルバムをリリースし続け、全国ツアーを行い全力疾走で10年の月日を駆け抜けた3人。2014年は初めてツアーを行わなかったが、作品はリリースし続けた。3人は10年間を「あっという間でもあったし、改めて振り返ると本当に色々あった」と口を揃える。「「SAKURA」を出したときは、こうして31枚のシングル出して、オリジナルアルバムを7枚も出すということは、空想はしていましたが現実的なものとしては捉えてなかったでしょうね」(水野)。これまで自分達の軌跡を、ゆっくり振り返る時間もタイミングもなかったが、一瞬だけ立ち止まって振り返ることができた今、国民的バンドとまで言われるようになった自分達の姿は、3人の目にどう映っているのだろうか。
新曲4曲、人気の曲の新録を入れ、コアファンも新しいファンも満足できるベスト盤に
今回の『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』は、2010年『いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜』、2012年のバラードベスト盤『バラー丼』に続いて、3枚目のベストアルバムになる。メモリアル的な要素も多分に含みつつも、これからのいきもがかりをしっかりと提示すように、新曲が4曲も収録されている。さらにインディーズ時代の人気曲を新録し、コアファンも新しいファンも納得、満足できる内容になっている。
3rdシングル「コイスルオトメ」は、「ライヴで育っていった曲」(山下)だという。「私はその曲をライヴであまり変えて歌おうと思わないタイプで、ファンは原曲に近い感じのものを聴きたいのでは?と思っていて。でも「コイスルオトメ」はすごくアレンジも変わっていって、ライヴでやる回数も多いので、お客さんの前で変わっていった曲なんです」(吉岡)と、ライヴの定番でもあるこの曲を「コイスルオトメ-激情編-」として新録した。
「真夏のエレジー」はインディーズ時代からある人気のある作品で、コアファンの間では以前からCD化を望む声がメンバーの元にも寄せられていた。「コアなファンの方から「いつ出すんですか?」ってすごく言ってくれていたのですが出すタイミングがなく…。ベスト盤って、やっぱり今までリリースした曲ばかりになってしまって、昔からのファンの方には喜ぶポイントが少ないアイテムだと思いますので、そういう部分で喜んでもらうためには「真夏のエレジー」を入れようと思いました。やっぱり成仏させたかったというか(笑)、ちゃんと形にしてリリースしたかったんです。アレンジの本間(昭光)さんがその意図をくんでくれたアレンジというか、時代背景を感じるものにしてくださいました」(水野)。さらに「吉岡の年齢も歌の世界観に無理のない年齢になってきて、この曲を作ったときは確か19~20歳ぐらいでした」と、当時は大人っぽすぎた楽曲に、よりその世界観が匂い立ってくるようなアレンジを施し、「当時はすごく生々しい、エロい感じに捉えていましたが、今は物語を歌うような感じで、客観的になれ、表現できました。声色も工夫うし、綺麗に歌うのではなく、意味ありげに歌いたいという感じでした」(吉岡)と言うように、“大人”の吉岡が歌い、今のいきものがかりの曲として、きちんと表舞台で披露した。
様々な種類のタイアップが付いている新曲。変わることなく″求められる″いきものがかりの音楽
新曲にはどれもタイアップがついていて、いずれも山下作品3作、水野作品が1作。昨年の「マイステージ」に続いてJRAのCMソングに起用されている「いこう」は「競馬をモチーフにはしていますが、あえてあまりそれを匂わせないようにして、追いかけたり抜かれたり、勝ったり負けたりみたいなことを、日常生活の中の何かと重ねて書けたらと思った」(山下)。「翼」はSMBC/三井住友銀行2016年CMソングになっていて、この枠は桑田佳祐が手がける曲が起用されていたことでも注目されていた。「2011年にこの枠で桑田(佳祐)さんの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」が使われていて、それがすごく良くて、あのイメージが強く残っていましたので、逆にそこに寄りすぎないように気を付けました」(山下)。「Sweet!Sweet!Music!」は中谷美紀と藤木直人出演のドラマ『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)の主題歌になっていて、ノリノリのハジけた楽曲。「ドラマがシニカル&ファニーという感じなので、変に暗くなるとドラマの意味がなくなる感じがして。すごくはっちゃけた曲で、言葉遊びを楽しんで欲しいです」(山下)と語り、これを歌う吉岡も「楽しく気楽に歌える感じです。逆に真剣に歌っちゃうとまずい曲というか。本当におバカになれる感じだと思います」と、言葉数が多く、言葉遊びが楽しいこの作品を、ハジけながら歌っている。
「ぼくらのゆめ」は水野からメンバーへの″手紙″
「爽健美茶」のCMソング「ぼくらのゆめ」は水野が、初めての試みにチャレンジしている。「10周年だし1曲ぐらい自分たちを振り返るような曲を書きたいなと思い、メンバーに対する手紙のような感覚で書きました。そういうことをこの10年間一回もやったことなかったのですが、いきものがかりのストーリーを楽しんでもらうという意味ではいいかなと思いました。手紙を贈る相手に歌ってもらうというのも変な感じなんですが(笑)。でも明るくて軽やかな感じになったのでそこは良かったです」(水野)。“また一緒に歩こう”“また僕らで歌おう”というメッセージは、ここまで苦楽を共にしたメンバーへ、そしてスタッフ、愛し続けてくれているファンに向けての感謝の気持ちとともに、まだまだ続く“これから”へ向けて新たな一歩を踏み出したしるしでもある。
初回生産限定盤にはボーナスディスクが付き、メンバーそれぞれの「泣きの一曲」が収録されている山下は「自分が作った曲の中で、オリジナルアルバムのタイトルソングが唯一これで、全国でずっと歌ってきた」という思い入れがある「ハジマリノウタ~遠い空澄んで~」をチョイス。吉岡は自作の「白いダイアリー」。「この曲は物語を作っていきものがかりのボーカルに歌わせるという気持ちでした。とにかく大変で、泣きそうになりながら作った」という生みの苦しみを味わった曲を選んだ。水野が選んだ曲は「ノスタルジア-Original Lyrics ver-」。インディーズ時代からあった曲で、デビュー後、ワンフレーズだけ歌詞を変えてリリースしたという経緯がある。「僕は納得して変えましたが、でもコアなファンの方だったり、インディーズ時代から応援してくれている友人たちに「なぜあそこを?」と言われ続けまして…。こんなタイミングじゃないと出来ないので元の歌詞でやってみたらどう?って提案したら結構みんなもノッてくれて、歌い直してもらいました」(水野)。メンバーそれぞれが、抱えきれないほどの想い出を抱えて、このベスト盤の制作に臨んだのだから、想いがこもった一枚になっているのは当然だ。
ポップスの名手達と稀代のポップスシンガーが紡ぐいきものがかりの歌。聴き手に寄り添い、安心感を与えてくれる
3月15日のデビュー日に、地元・神奈川県海老名市の「ビナウォーク」でデビュー&リリース記念イベントを行い、約7000人のファンが集結
水野、山下という異なる個性のポップスの名手が作る楽曲を、稀代のポップスシンガー吉岡が歌うことで、いきものがかりのポップスとして成立させている。ポップスというのはいい意味で、決して洗練されすぎたりカッコよすぎたりしないものだ。そうじゃないと子供から大人まで幅広い層から愛されない。その“塩梅”がいきものがかりの歌は最高にイイ。そして、3人の佇まい。いい意味でオシャレすぎず、カッコよすぎず、これまたその“塩梅”がいい。歌の雰囲気と歌い手の雰囲気とががっちりリンクしていて、その世界観が1ミリもブレることなく聴き手に伝わるから“安心感”を与える。今までも、そしてこれからもいきものがかりは上質のポップスを歌い続け、多くの人の心に寄り添い、元気や勇気を与え、また慰めてくれるはずだ。「SAKURA」から始まったいきものがかりの10年ストーリーは、桜の季節に、また新たなストーリーを紡ぎ始めた。
『超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~』('16.3.15)
地元海老名・厚木を舞台に、2か所4公演のみで行われるプレミアムかつアニバーサリーなライヴイベント。
会場は海老名運動公園(神奈川県海老名市)と厚木市荻野運動公園(神奈川県厚木市)の2か所。
いきものがかりにとって、初の野外陸上競技場でのワンマンライヴとなります。
8月27日(土)海老名運動公園(神奈川県海老名市)
8月28日(日)海老名運動公園(神奈川県海老名市)
『超いきものまつり2016 地元でSHOW!! ~厚木でしょー!!!~』
9月10日(土)厚木市荻野運動公園(神奈川県厚木市)
9月11日(日)厚木市荻野運動公園(神奈川県厚木市)
『超いきものまつり2016 地元でSHOW!! ~海老名でしょー!!!~ / ~厚木でしょー!!!~』特設ページhttp://ikimonogakari.com/cho-matsuri/