中谷美紀が魅せる三人の女たちの想いとは。舞台「猟銃」公開ゲネプロ・記者会見

レポート
2016.4.2
中谷美紀、ロドリーグ・プロトー、フランソワ・ジラール/舞台「猟銃」

中谷美紀、ロドリーグ・プロトー、フランソワ・ジラール/舞台「猟銃」


2011年に中谷美紀が舞台初挑戦にして主演を務めた「猟銃」。本作が再演されることになり、初日を目前にした4月1日(金)、パルコ劇場にて記者会見、並びに公開ゲネプロが催された。

中谷美紀、ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

中谷美紀、ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

ひとりの男の13年間にわたる不倫の恋を、妻・みどり、愛人・彩子、愛人の娘・薔子からの三通の手紙によって浮き彫りにした井上靖の恋愛小説「猟銃」。この三人の女性を一人の女優が演じることによって、三人の女性の中に秘められた“男”への想いの共通項を浮かび上がらせる。

演出のフランソワ・ジラール、俳優のロドリーグ・プロトーとともに会見に姿を現した中谷は、髪を三つ編みに結んだ20歳の「薔子」の姿。一人で3人の女性を演じることについて「魂を込めてこの三役を浮かび上がらせたい」と想いを言葉にした。

中谷美紀/舞台「猟銃」

中谷美紀/舞台「猟銃」

90分間独白形式という過酷な舞台の再演を決意した背景について、中谷は次のように語る。
「情景の描写、説明的なセリフが多くて大変覚えづらく、初演の際は1カ月かかった。今回は時間がなく10日で憶えなければならなかったが、途中で挫折しそうになった。『(上演を)やめようかな、延期しようかな、どうせパルコ劇場は閉まるんだし…この一作がなくても大丈夫だろうし…美輪明宏さんにこの舞台を演じていただければいいじゃない…』などと思ったのですが、パルコのプロデューサーから『あなたが演じないのならもっとほかにいい女優がいくらでもいるから、他の女優で再演する』と言われたんです。さらに、舞台で使うセットを5年間倉庫で保管してくださっていたんですが、『保管料を回収しないとならない』と首根っこを掴まれまして…有無を言わさず再演させられました(笑)」 …と、かなりリアルな裏話をする中谷の話に、この日の司会を務めていた当のプロデューサーが身をよじりながら苦笑い。

「でも、5年も経つと私も人間的にいろいろな成長をしたと思う。人生の中でたくさんの経験をして、3人の女性の悲しい人生をより深く味わえるようになってきた」と改めて再演に挑むことになった決意のほどを語っていた。

中谷美紀、ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

中谷美紀、ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

ちなみに劇中でいちばん心に突き刺さったセリフは「『あなたは愛することを望みますか? あるいは愛されることを望みますか?』これって人が生きていく上で永遠のテーマだと思うんです。いまだにその答えを探している最中です」と語る。また、自身が演じる三人の女性のうち、愛人・彩子について「初演のころはなかなか理解することに苦しんだ。自分のいとこの夫と不貞な関係にありながらも、結果的にその男を愛していなかった。それがこの女性の罪深さだと思っていた。でも年齢とともに周囲の様々な人々の生き方に接する中で、彩子という女性のタイプも多くいらっしゃるんじゃないかなと思うようになった」と語り、今は三人の女性それぞれに共感できるようになったと打ち明けていた。

中谷美紀/舞台「猟銃」

中谷美紀/舞台「猟銃」

中谷美紀/舞台「猟銃」

中谷美紀/舞台「猟銃」

限りなく暗闇に近いステージの中央には玉石が敷き詰められた水辺が作られ、そこには浮草のような葉が浮かんでいる。薔子、彩子、そしてみどりがその水辺を歩くたびに、水音や小石がぶつかり合う音が場内に響き渡る。演じているのは中谷一人だけだが、三人の女性それぞれが出す音は不思議と異なり、まるでセリフとは別の「心の声」を放っているよう。そしてステージの奥で三人の女から手紙を送られた男が一言も発せず、だが身体の動きだけで“男”を演じているのが印象的だった。

ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

ロドリーグ・プロトー/舞台「猟銃」

「限りない深みのある作品なので、探求は終わらない。中谷やロドリーグのおかげでより深く掘り下げることができた」とジラールが語る舞台「猟銃」。傑作だからこその再演にぜひ触れていただきたい。

フランソワ・ジラール/舞台「猟銃」

フランソワ・ジラール/舞台「猟銃」

公演情報
舞台「猟銃」

■日時・会場:
【東京】2016年4月2日(土)~24日(日)パルコ劇場
【新潟】2016年5月4日(水・祝)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場 
【京都】2016年5月7日 (土) ~9日 (月) ロームシアター京都 サウスホール  
【愛知】2016年5月14日 (土) ~15日 (日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール 
【兵庫】2016年5月21日 (土) ~22日 (日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール 
【福岡】2016年5月27日 (金) ~29日 (日)北九州芸術劇場 中劇場 

■原作:井上靖「猟銃」
■翻案:セルジュ・ラモット
■日本語台本監修:鴨下信一
■演出:フランソワ・ジラール
■出演:中谷美紀、ロドリーグ・プロトー

■公式サイト:http://www.parco-play.com/web/play/ryoju/


 

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