Brian the Sunがメジャーデビューを目前に新曲からライヴ、そのマインドまで語りまくる
Brian the Sun
精力的なライヴ活動で着実に実力をアップさせ、同時に人気も右肩上がり。そんな注目の大阪発ロックバンド・Brian the Sunが、6月1日(水)にシングル「HEROES」をリリースし、ついにメジャー進出を果たす。さらには自身最大規模のリリースツアーも決定。そこで今回は、同作の制作が終わって間もないメンバーを彼らの地元・大阪でキャッチし、リラックスムードの中、メジャーデビューのこと、新曲のこと、ツアーのこと…なぜか新しい曲の構想(?)まで語ってもらった。バンドの音楽同様に時に熱く、時にクールに、時にポップにと、くるくると表情を変える4人をご堪能あれ。
――2007年の結成から約9年、ついにメジャーデビュー! おめでとうございます。今の心境はいかがですか?
森良太(Vo/G 以下、森):音楽の世界…バンドシーンって、新鮮さが重要視されることがあるじゃないですか? でも、人にものを見せるという分野の仕事で下積みが少ないって……?って思っていて。例えば芸人さんなんて10年、20年の下積み。自分らで試行錯誤する期間があってしかるべきかなって。だから(約9年の時間は)当然かなと思います。今がいいタイミングって感じです。
――実は一度、メジャーデビューを見送ったことがあったとか。
森:それもまったく同じ理由です。土台もしっかりしてないうちにメジャーっていうのは……と思って。(メジャーでやるというのは)自分らも養ってもらえるってことやけど、逆に自分たちが養わないといけない立場になるわけやないですか。その自信がないうちに話を進めてしまうのは誰もハッピーじゃないなって、見送らせてもらったんです。
――今はその自信ができた?
白山治輝(B 以下、白山):すーっごく、わかりやすく言うと……(できた)ね(笑)。
森:すーっごく簡単に言うとね(笑)。ま、この世界で続けてきて、人の動きがわかるようになって、どんな風に音楽で食べていくのかが見えてきた。ま、何するにしても実力がいるんやろうなっていうのは頭の中にあって。そこに今、到達できてるか?って言われるとその自信はないけど、相対的に見てずっとやって来たし、ここで頑張り出さなかったら遅い!って。
――冷静に状況が分析できていて、しかも決意もちゃんとあって。周りの人に愛されていそう。
田中駿汰(Dr 以下、田中):周りが良い人ばっかりです。
白山:事務所の人も、新たにメジャーで入って来てくださった方も。
森:運が良かったね。
小川真司(G 以下、小川):制作チームも今までどおりでいくので、新たにガラッと変わるわけではないですね。全員で(メジャーへ)行くっていう感じ。
――ブレないで進んで行けそうですね。ただファンの幅は広がるし今はSNSもあるから、いろんな意見が増えそう。不安はないですか?
森:目に付く意見がすべてじゃないっていうのはわかってることやし、僕らの音楽を聴いてくれる人には、僕らのライヴが好きで聴いてくれる人もおるし、逆に音源が好きで聴いてくれる人もおる。でもすべてがお客さんやから、例えばどこかにピントを合わせて何かをやる瞬間があってもいいとは思うけど、他はフラットですね。プレイヤーがお客さんの顔色をうかがい過ぎたりとか、売れる売れへんとか…そういうことは大人の考える仕事やからって思うんですよ。物を売る人がこうしてくれたら売りやすいですよってアドバイスを言ってくれて、それで初めて(自分たちが)考え出せばいいかなって。
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――ブレませんね。安心です(笑)。では次は、メジャー第一弾シングルの「HEROES」のことを…。この曲はTVアニメ「僕のヒーローアカデミア」のエンディング曲なんですよね。
森:そうです。話をいただいて、原作を読ませてもらって書きました。
白山:実は関係者以外で聴いた人の感想を聞くのはこれが初体験。ファーストインパクト(笑)! どうでした?
――ハードル上げましたね(笑)。疾走感があって真っ直ぐなイメージでした。サビ始まりですし。
森:アニメで流れるってことを考えると、1分30秒しかないから、そこはもちろん考えました。
――もがいて進んでそれでも最後は全てが花になるという詞の世界観は、ご自身に重なるところがあるのかな?と。
森:フフフ。ま、そういう部分は少なからずあるんで、共感できたからこそ嘘のない言葉になってるし、(原作と自分の)相性が良かったんですかね。
――ストレートな雰囲気ですが、細部は一筋縄ではいかないBrian the Sunらしさが。サビ以外もちゃんと耳に残る、さすがです。
森:やった、褒めてもらった(笑)。ま、単純に僕らが聴いて来たバンドがそういうのが多かったんですよね。それに斉藤和義さんも好きで歌魂みたいなのはそこから学び、ロック魂はアジカンさん(ASIAN KUNG-FU GENERATION)やエルレさん(ELLEGARDEN)、アークティック・モンキーズ、ホワイト・ストライプスから。
白山:バンドは高校の時に組んだんですけど、僕は当時ちゃっきちゃきのロックキッズだったんですよ。良太は、たまとか斉藤和義さんとかベン・フォールズを聴いてた、美メロ少年で……
小川:美メロ少年て!(笑)
白山:で、(自分の好みと)重なった時におもしろいことができたんですよね。僕がアジカンさんとかエルレさんとかのCDを良太に貸して、良太からたまの「さんだる」を貸してもらって、どっちも共感するっていう。
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――じゃ、メンバーの個性が一つに融合されているんですね。現在、曲はどんな風に作っていますか?
森:僕が一人で作る時もあるし、メンバーの色をいかしてそれを前に出したい時はみんなで作りますね。今回(「HEROS」)は割と歌重視ですかね。でも、いろいろ混じってます……ハイブリットです(笑)。
小川:昔から、ふり幅はめっちゃ広く作って来てますね。だから、何やっても大丈夫っていう安心感はありますよ。例えば、売れ線の曲を書いても、めっちゃ激しい曲を作っても、どっちも昔からやってたしって。その(幅の)分、自由にできてると思います。
白山:ちゃんと、たまとアークティック(の要素)を。
森:まだ、KICK THE CAN CREWもあるし(笑)。
小川:エミネムも入ってるし、ドヴォルザークも(笑)。
森:そっちも行く!?
――立体的(笑)。でも、バンドが長続きしそうですね。
小川:飽きることはないですよね。激しい曲って僕ら50歳になったらできんし。
森・白山・田中:ハハハハ!
森:考えてるな~、50歳のこと(笑)
小川:「(テンポが)速いよ~」って言いながら(笑)。
――大丈夫じゃないですか(笑)。
小川:できますかね? でも、ポップなこともやりたいし…とにかく長くやりたい。楽器とかも、これを使って…とか、そういうのもこだわりたいんですよ。いろんなことがしたい。
――期待が高まります。期待と言えば、6月から始まる今作のリリースツアー! 過去最大規模ですね。
小川:全18公演で、ワンマンが11か所。鹿児島とか行ったことのない所に行けるのでうれしいですね。
白山:こんだけやってても、まだ行けてない所があるっていう。
――ライヴに地域性は感じますか?
田中:曲を聴く感じとかね。
森:お客さんは似た感じの人が多いかも?
白山:でも、おもしろいと思うのは、いろんなシーンの人が来てて…例えばTOTALFATって書いてあるTシャツを着てたり、ディッキーズだったり。僕たちのライブってモッシュもダイブもないんですよ。それでもステージから見てると、顔はすごく満足してくれてるように見えるんです。
森:良い顔してるね。
白山:汗もかいてへんし、終わってから着替えてへんけど(笑)、僕たちには満足して帰ってくれるように見えるから…やっぱいいお客さんたちやなって。
小川:普段はアイドルのライヴに行ってるような人も来てるもんな。いろんな人がおる。年齢も上から下まで。
白山:毎回お手紙をくれる人がいて、僕らと同じ年の子供がいるんですって。
森:音大生もおるし。
小川:間口、広過ぎやわ(笑)。
森:たぶん、僕らに“こうやろう!”っていうのがないからやと。“こう聴け!”っていうのがないんですよ、ほんまに。“好きにしてていいよ”ってライヴなんで。
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――先日拝見したライヴ(「マタタビ ツアー 2015⇒2016」ファイナル)も自然体でした。
森:それこそ途中でお茶飲みに行ってもいいぐらいの緩さ(笑)。
白山:強要する感じは少ないバンドやと思う。お客さんの中でも、普通“このバンドはこう”っていうのがあると思うんですけど、それも少ないんやと思う。
――みんなが自己完結している?
森:そうかもしれない。でも、その代わり爆発力とかはないんですけどね(笑)。
――ハハハ。でもメリハリのあるライヴでしたよ。
小川:前回のツアーのおかげです。ツアー中にいろいろ話をしたんですよね。
森:でも、もっともっと詰めたら、もっともっとプロフェショナルなライヴもできると思う。ただ、段階っていうのがあると思うし、自分の背丈にあったことをやらないと。背丈よりちょい高めのことをやるのが一番(良い)。見る側からしてもしんどいじゃないですか、全然できへんことを無理やりやらされてる感じがあるバンドって。俺は、フツーに見たいんですよ。フツーに来て、フツーに見たいです。フツーでいいんですっ!
――フツー、大事です。基礎があるからフツーができる。
森:そうやと思います。
――今度のツアーも肩肘張らず、Brian the Sunさんの世界をたっぷり楽しめそうですね。ワンマン公演も多いですし。
白山:僕たち、ワンマンで長い時間見てもらえた方がいいバンドやと個人的には思う。
小川:そやね。30分で爆発力!とかよりかはね、2時間でいろんな面を見てもらえる方がね。
――少なくとも50歳まではバンドは続くし、いろんな意味で長距離系(笑)。
白山:そう、マラソン系バンド(笑)。
森:新しいね。マラソン系バンドいいやん、それ(笑)。でっかく書いておいてください!
白山:でもあんまカッコ良くない(笑)!
森:遅そうやな(笑)。
白山:ま、でも、しっかり見せられたらいいね。新曲もアニメでオンエアされて、新しいお客さんも増えるだろうっていう期待もあるし、そういう人たちに対して“間口広いよ!”っていうのを見せられる空間になればいいなと思いますね。
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――そして今回ツアーファイナルは、地元・大阪。
白山:前は東京ファイナルが多かったんですけどね。
森:“大阪捨てたんか?”って感じやったもんな(笑)。
白山:こないだのツアー(『マタタビ ツアー 2015⇒2016』)は、大阪がファイナルに。僕たちはうれしいです。
――大阪、捨ててないアピール(笑)!?
小川:でもほんま、帰って来た感じするよね。入り前によしもと新喜劇を見て……
森:涙が。
白山:「まだ乳首ドリルしてる~」って(笑)。
小川:「あのネタまだやってた~! やめてなかった!!」って(笑)。
森:そういうバンドでいたいよね。ピュアさをね、持ち続けたい(笑)。
――今度のツアーは長丁場なので、ファイナルはきっと感動もひとしおです。1曲できるのでは?
白山:ロックバンドは「東京」と言う名曲を残しがちなんで…「大阪」っていう曲を作ろう!
森:心斎橋!とか(笑)。
白山:45歳ぐらいで15枚目のアルバムに入れたいね(笑)。
森:え~、俺は27歳ぐらいで燃え尽きるつもりやねん!
――ハハハ。以前、名古屋出身のバンド・ミソッカスさんも、「名古屋」という曲を作りたいと言っていました。
森:東名阪で3枚組にしよ!
白山:それヤバい(笑)!
小川:47曲入りで「JAPAN」とか(笑)。
――ではツアー終わる頃には、名曲「大阪」が……。
森:……できているのか!?(笑)
――楽しみです。では最後にツアーへの意気込みを…これまで静かだった(笑)、田中さんに締めていただきましょう。
小川:締め担当(笑)。
――無茶ぶりしてごめんなさい(笑)。でもライヴ中の田中さんのニコニコした表情がとても印象的で、いい人そうだなと思ったので。
森:いい人ですかね(笑)?
白山:一番キレますよ(笑)。
田中:短気らしいです…僕。
小川:言わんでええねん(笑)。
森:……でもさ、最近めっちゃスタジオ入ってるやん。何か心境の変化があるの?
田中:まぁ、(メジャーデビューして)ステップが上がるじゃないですか。周りのバンドとか環境とかが一段上に。だからこのまんまじゃヤバいと思って、今、必死に頑張ってます。蓄えておかないと。ツアーの向けてとか、これからもっと音楽性も広げていきたいから。今のうちにできることをやっておこう…と。
小川:引き出しを増やさんとな。
田中:そうそうそう、だから今必死です。
――締めてる場合じゃなかった?(笑)
白山:「締めてるくらいなら俺はスタジオにいきたいんだ!」と(笑)。
田中:じゃ、今からスタジオに行ってきます(一同爆笑)。
インタビュー・文=服田昌子
Brian the Sun
2016年6月2日(木) 神戸VARIT. [ワンマン]
2016年6月5日(日)KYOTO MUSE [ワンマン]
2016年6月8日(水)札幌COLONY [ワンマン]
2016年6月11日(土)長野ライブハウスJ [ワンマン]
2016年6月12日(日)新潟CLUB RIVERST [ワンマン]
2016年6月14日(火)秋田 LIVE SPOT2000
2016年6月16日(木)仙台 enn 2nd [ワンマン]
2016年6月18日(土)渋谷クラブクアトロ [ワンマン]
2016年6月23日(木)横浜BAYSIS
2016年6月25日(土)富山soul power
2016年6月26日(日)名古屋 ell.FITS ALL [ワンマン]
2016年6月30日(木)岡山CRAZY MAMA 2nd Room [ワンマン]
2016年7月2日(土)松山サロンキティ
2016年7月3日(日)高松DIME
2016年7月6日(水)宮崎 SR BOX
2016年7月7日(木)鹿児島 SR HALL
2016年7月9日(土)福岡Queblick [ワンマン]
2016年7月10日(日)梅田クラブクアトロ [ワンマン]
■『Brian the Sun TOUR 2016』OFFICIAL WEBSITE先行特設ページ
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