小澤征爾がベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の名誉団員に
久しぶりの定期演奏会を前にオーケストラから思わぬ「プレゼント」が贈られた
2016年4月7日、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は「小澤征爾を名誉団員に迎える」と発表した。近年では、2014年にはニコラウス・アーノンクールが名誉団員として迎えられている。
ズービン・メータの代役として8日、10日の二回、久しぶりに同団の指揮台に登場する小澤征爾は、カラヤン時代の1966年から50年に及ぶ共演を通じてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団と音楽的関係、そして友情を築いてきた。定期演奏会への登場こそ1982年からだが、定期的に招聘されるようになると「カラヤンの後継者候補」とも噂されたほどだ。
小澤征爾のキャリアはご存知のとおりボストン交響楽団、そして新日本フィルハーモニー交響楽団、ウィーン国立歌劇場、そしてサイトウ・キネン・フェスティバル(現在はセイジ・オザワ 松本フェスティバル)でのポストを中心に築かれたものだが、ベルリン・フィルともプロコフィエフの交響曲全集の録音を残すなどその関係は深い。2009年以来となる小澤征爾の定期演奏会への登場の機会に、団からの敬意と友情が名誉団員というかたちで示されたわけだ。
オーケストラは過去の共演の中から、1982年のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団100周年、2008年のカラヤン生誕100年、そして2003年に小澤征爾の盟友となったマーカス・ロバーツを引き連れて共演したヴァルトビューネコンサートを彼らの共演のハイライトとして紹介している。
小澤征爾の復帰をベルリン・フィルは歓迎する(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 公式サイトより)
2009年以来となるベルリン・フィル定期演奏会で、小澤征爾は彼が長年の演奏活動の中で最も大事にしてきたドイツ音楽から、ベートーヴェン作品を二曲指揮する。病後のこれまでの演奏会がそうであったように今回も演奏会後半の指揮となるが、親友ピーター・ゼルキンを迎えて演奏する大曲「合唱幻想曲」は注目が集まるところだ。幸いなことに、10日の演奏会は「デジタル・コンサートホール」での配信が決定しているので(ライヴ&アーカイヴ配信)、世界の音楽ファンが小澤とベルリン・フィルによるベートーヴェンを楽しむこととなるだろう。80歳を超えてなお、小澤征爾の活躍は続く。