ステージへの帰還を果たす中村紘子
舞台への登場は昨年8月以来となる © Hiroshi Takaoka
大腸がんの療養のため演奏活動を休止していた日本を代表するピアニストの中村紘子が、このゴールデンウィークに開催される演奏会でいよいよステージに復帰する。
以前から演奏活動と平行して療養を続けていたがんの治療に集中するため、昨年の8月に演奏活動の休止を発表した中村紘子は、予定していた2015年内の復帰をとりやめて療養に集中していた。活動休止の長期化により、サントリーホールでのリサイタルや、長年恒例となっていた演奏会への出演も取りやめざるをえなかった彼女の心中は如何ばかりであったことか。
いよいよ実現する彼女の復帰の舞台となるのは、4月30日(日)に開催されるミューザ川崎シンフォニーホールの名物シリーズ「名曲全集」2016年度の開幕公演だ。奇しくも37年間にわたってニューイヤーコンサートで共演を重ねてきた東京交響楽団との共演で復帰を果たすのも、縁というものなのだろう。すでに28日にミューザ川崎シンフォニーホールで行われたリハーサルに、中村紘子は元気な姿で登場した。待望の日はもうすぐである。
彼女が今回演奏するのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第二四番、彼のピアノ協奏曲の中でも数少ない短調の協奏曲はベートーヴェン的とも評される、力強く印象的な作品だ。この選曲は長い闘病を強いられた中村紘子の心情を映すものだろうか……
この「名曲全集」に続いて、同じプログラムで5月4日(水)にオリンパスホール八王子で開催される東京交響楽団の八王子定期演奏会にも中村紘子は登場する。名曲全集の開幕コンサート、そして新シリーズ第1回となる公演と、彼女の復帰は祝賀ムード漂うものとなるだろう。そしてここからやっと、「中村紘子の2016年」が始まることになる。皆さまもぜひ、誰よりも彼女自身が待ち望んでいた”帰還”を出迎え、祝福していただければと思う。
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さらに、5月1日(日)に放送を予定しているテレビ朝日「題名のない音楽会」には、中村紘子のゲスト出演が決まっている。ゴールデンウィークにはコンサート会場で、そしてテレビで彼女の復帰を祝うことができるわけだ。今のところ、5月8日に洲本市文化体育館(兵庫県)で開催される若きピアニストたちとの共演以降のスケジュールは発表されていない中村紘子だが、ぜひ体調との兼ね合いを見つつ、これからも各地で演奏を聴かせていただきたいものである。
2016年4月30日(土) 14:00開演
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
東京交響楽団 第1回 八王子定期演奏会
2016年5月4日(水) 14:00開演
会場:オリンパスホール八王子 ホール
指揮:飯森範親
ピアノ:中村紘子
管弦楽:東京交響楽団
モーツァルト:
交響曲第五番 変ロ長調 K.22
ピアノ協奏曲第二四番 ハ短調 K.491(ピアノ独奏:中村紘子)
ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14