高畑充希&門脇麦が楳図かずおの世界へ、ミュージカル『わたしは真悟』出演を語る
(左から)門脇麦、高畑充希
「グワシ!!」の“まことちゃん”なら誰でも知っている楳図かずおの1982~1986年にビッグコミックスピリッツで連載された長編SF漫画『わたしは真悟』をご存知だろうか?これをフランスの気鋭演出家フィリップ・ドゥクフレで舞台化するという壮大なプロジェクトがついに情報解禁した。小学6年生の少年と少女が一瞬にして恋に落ち、2人は子どもを作るため東京タワーから飛び降りる。彼らの子どもとして生まれたのは、産業用ロボットに自我が芽生えた“真悟”……。まるで現代を予言していたかのような人工知能の出現と、荒唐無稽、かつ人間の深部をえぐる衝撃の漫画が三次元の舞台に立ちあがる。演出のドゥクフレは、1992年のアルベールビル冬季オリンピックの開閉会式を31歳の若さで手掛けたことで世に名を知らしめ、2016年6月のシルク・ドゥ・ソレイユの演出も担当している。アクロバティックで神秘的な独特の手腕で、楳図ワールドをどうミュージカル化するのか。想像を絶する“冒険”に挑む少女・真鈴(まりん)役の高畑充希と、少年・悟(さとる)役の門脇麦に話を聞いた。
変な舞台!まったく想像がつかない!いったいどんなミュージカルになるの?!
(左から)門脇麦、高畑充希
――今回の話を聞いた時のお気持ちはいかがでしたか?
高畑:“なんて変な舞台なんだ!”と思いました(笑)。普通は舞台って、演出家、作品、原作、劇場と、なんとなく同じカラーのものが集まるイメージなのに、原作は楳図さん、演出はドゥクフレさんで、なんだこれ、意味がわからない!と。集まりようのない方たちが集まって、凄い化学反応が起こるのでは、という期待感でドキドキしました。今までチャレンジしたことないものをやってみたい! おもしろそう! と、興味が湧いて。
門脇:私もそう。キャストや演出家を聞いて、おおまかなイメージが湧くことが多いけど、これは概要を聞いても何も想像がつかない。いったいどうなるんだろう?と。
――楳図かずお作品に対するイメージは持っていましたか。
高畑&門脇:(同時に)グワシ!!
門脇:まことちゃんしか知らない(笑)。
高畑:この間の深夜ドラマ(『東京センチメンタル』)のゲストに出ていただいて、ツーショットも撮っていただきました。ご縁があるな、と(笑)。すごく可愛いらしい方でした。たまたま雨の日だったのですが、傘の柄まで赤と白のボーダーで極めていて。こんな方からこんな作品が産まれるのか……って。
――原作漫画を読んだ感想は。
高畑:んー! 一人でこっそり楽しむ作品です。人に気軽に勧められないというか、好きか嫌いかわからないけど……とにかく読んでみて!みたいな言い方になっちゃいそう。私が普段読む漫画とはまったく違うタイプでした。普段はグルメ漫画が多くて(笑)。これがミュージカルになるのか……という視点で読みましたが、読めば読むほど全体像がわからなくなって、どう表現するんだろうと。漫画からものすごく圧があるように感じたんです。この圧が舞台でも出せるのかな? 本当に、読んでものすごくエネルギーを使いました(笑)。
門脇:これ、描きながら収拾ついていたのかな、と(苦笑)。スケールがあまりにも大きくて、宇宙規模なんです。80年代の漫画ですけど、ぜんぜん古くなくて、むしろ新しかったです。見たことのない世界観で、……そうか。今の時代だからこれをやるのか、今、腑に落ちました!
高畑充希
――高畑さんは久しぶりのミュージカル、門脇さんは初ミュージカル。どんな期待がありますか?
高畑:私は本当に舞台が大好きなので年に2本はやりたいと決めていたけど、朝ドラや映像が続いてしばらく我慢していたんです。終わったらまた舞台に!という思いがあったのですが、そんな時にいただいたのがこの作品。共演者はみなさん初めてですが、ダンサーさんたちには何人か知り合いがいます。素敵なパフォーマンスをされる方が揃っているので、隅々までクオリティが高いミュージカルになると思います。稽古場で彼らの表現を間近で観られることも凄く楽しみなんです。
門脇:初のミュージカルに、わくわく半分、不安半分。ボイトレもやっているけど、どうなるかまだわからなくて不安が先です。私の歌、大丈夫かしら?を気にしなければ、ミュージカルは凄く好き。ずっとやりたかった。歌えもしないのにやりたいとよく言っていたなと思うけど(苦笑)。バレエをやっていたこともあり、ミュージカルは身近にありました。沁みついているんですね。なので、根っこからワクワクする感じで凄くうれしくて。……というか、観客席からこれ、見たい。
高畑:見たい見たい! 見ておいたほうがいいって感じよね。またとない作品になりそうだから!
私や麦ちゃんを朝ドラや映画でしか知らない方にとっての演劇の入り口になってほしい(高畑)
目撃せよ!体感せよ!って感じです。だって私が客席から見たいくらいだから!(門脇)
―― 一瞬で恋に落ちる少年少女の役ですが、お2人の第一印象は?
高畑:今日、さっきが初対面です(笑)。
門脇:そうそう(笑)。
高畑:共通の知り合いが沢山いて、麦ちゃんの話は相当いっぱい聞いています。それこそ、(柄本)時生くんとか、安藤聖さんから。
門脇:ああ~!
高畑:“きっと仲良くなると思うよ”と言われて、“いつか会えますかね”と言いながら、まさかここまで会えないとは思わなかった。長かった~! やっと会えた感と、前から知っている感が同居しています。だからちょっと照れくさい(笑)。
門脇:私も恥ずかしい(笑)。お互いにいっぱい話を聞いているから、ちょっと知っているところからのスタート。いろいろバレてるんだろうなと。
高畑:友だちが共通しているぶん温度が一緒かも、だね。今回のキャストさんは、みんな同じ匂い、同じ温度な気がしています。新しいのに、安心感もある。舞台と映像の間で活躍している方々が集まっていて、どんな風に絡み合うのか想像できないから、探り探りいきたいです。
門脇:私も(笑)。
門脇麦
――演出のドゥクフレさんについて何か前情報をつかんでいたり?
高畑:真っ白です(笑)。
門脇:シルク・ドゥ・ソレイユくらい(笑)。
高畑:外国の演出家さんは初めてです。ガッツリ染めてもらおうと。自分がこうしたい、はあまり無くて、“私を好きにしてください!”と思っています。
門脇:ミュージカルの話をいただいた時は、歌はいいです(ご遠慮します)、私踊ります、と答えましたけど、どうやら歌うようなのでがんばります。
――それぞれ自分の役に対しては今どんなイメージを?
高畑:とにかく話がぶっ飛んでいるので、今のところ共感という感じではないかも。純粋は一番怖いな、と思いました。いろんなことを知らないゆえの純粋さ。真鈴はまっすぐで、狂気もある。ダーッと走ってバンッと崖から落ちる、そういうギリギリ感は、真鈴に限らず悟にもあるなと。エネルギーだけで行っちゃう感じで居られたらいいなと思います。台本のプロットを聞きましたが、へえ!こんな感じで始まるのか!と驚きました。幕開けのインパクトは強いと思います。
門脇:私もまだ何一つ掴めていなくて。純粋で、端から端、という、その端がどこなのかを知らない2人なのかな。実際に舞台では身体を使って表現して落とし込んでいくのですが、あまりにも未知すぎて、実験的な気持ちでいます。おもしろがって実験しようという気持ちが垣間見えるから、そこに柔軟に乗っていきたいなと。
高畑:私が女の子で、麦ちゃんが男の子。そこに違和感ないし、逆でもよかったかなと。
門脇:うん。でも、私、男の子役は違和感ないの。中身はおじさんみたいだから(笑)。小学生のころから友だちは男の子ばかり。そのほうが楽ちんだったんです。あ、ただ、“おじさん的”って人から言われるだけで、自分では思ってないよ(笑)。でも、女の子らしいことに関心はないかな。おしゃれや可愛いものには興味がない、それより、食!
高畑:私も! 美味しいものを食べに行こうね、わたしもそこに一番お金をかけたい(笑)。
(左から)門脇麦、高畑充希
(左から)門脇麦、高畑充希
――映像と舞台の違いは稽古があること。稽古に対しての期待は
高畑:みんなでいろいろ試せて、一番いいものを選べるところが、舞台の稽古。映像では、初めましてでいきなり演技して、ほかの選択肢を選ぶ余裕がないこともあるけど、舞台は、稽古でいっぱい失敗して心がボキボキに折れてきて、やっぱりこれだ!というのが見えてくる。お客さんが入ればまた違うものになる。毎日カンパニーが進化していく感じが凄く好きですね。今回は毎日がワークショップみたいになりそう。私、だいたい平均して2回心が折れるんですよ。稽古の序盤で、ほんと自分クズだわ!と折れて、本番前に、こんなので本番に立てると思ってるのか自分!で2回目。その壁をどう乗り越えていくか。がんばります!
門脇:私はまだ稽古というものがそれほどわかっていないんですけど……、早く終わればいいのにと思っちゃう(笑)。稽古場の初日は本当にお腹が痛くて、うーうー言いながら本読みして、1週間くらいは続いて。そこから徐々に慣れて、ズドーンと進んでいって、早く本番になってくれ!と。
高畑:美味しいものを食べて乗り切ろうね。食べないと動けないもん!
門脇:うん、肉、行こう(笑)。
高畑:今回は地方公演で、浜松、富山、京都。まるで美味しいもの基準に選んだみたい(笑)。
門脇:そこ、楽しみだよね。
――朝ドラや映画の印象が強い人も多い中、どんな風に見てほしいですか?
高畑:楳図さんファンや、ドゥクフレさんファン、いろんな取っ掛かりで様々な方に見に来てほしいです。今まで見たことがないものになる、という確信があります。もしかしたら演劇初心者向けじゃないかもしれない、でも、演劇が初めてという人にこそ見ていただいたら。私や麦ちゃんを朝ドラや映画でしか知らない方にとっての演劇の入り口になってほしいです。目で見ても飽きない作品になるはずですし、歌も身体表現もある。ぜひ見逃さないでほしい!
門脇:目撃せよ! 体感せよ!という感じです。衝撃的で、インパクトが強くて、怖いもの見たさもある感じで。正直、私も怖いものみたさ。演じる私も、目撃者、体感者になるんだと。ほかの舞台とはちょっと違うんですよ、ぜひ見てくださいと言うより、見てみたくない? 見ておいたほうがよくない? とお誘いしたい。だいたい私が客席から見たいですもん(笑)。
高畑:本当にそう思う! 私も見たい!
(左から)門脇麦、高畑充希
高畑充希
スタイリスト 大石裕介(DerGLANZ)
衣裳協力
・ワンピース・・・YOSHIYO (ピーアールエヌジャポン 03-5778-4691)
・ピアス&リング・・・simmon(03-6455-3467)
・シューズ・・・DESERT ROSE (デザートローズ ブリーゼブリーゼ店 06-6451-0366)
スタイリスト 佐伯敦子
日時:2016年12月2日~3日
会場:KAAT神奈川芸術劇場
料金:S席 ¥9,500、A席 ¥6,500、B席 ¥5,000(全席指定・税込)
■静岡公演
会場:浜松市浜北文化センター 大ホール
料金:S席 ¥10,800、A席 ¥9,800(全席指定・税込)
日時:2016年12月15日(木)13:00公演/18:30公演
会場:富山市芸術文化ホール (オーバード・ホール)
料金:S席 ¥10,800、A席 ¥7,500、B席 ¥5,500(全席指定・税込)
料金:S席 ¥10,800、A席 ¥7,500、B席 ¥5,500(全席指定・税込)
日時:2017年1月8日(日)~26日(木)
会場:新国立劇場 中劇場
料金:S席 ¥10,800、真悟シート(学生限定・当日引換) ¥4,500(全席指定・税込)
<出演者>
高畑充希、門脇 麦/
小関裕太、大原櫻子/成河
田鍋謙一郎、奥村佳恵、斉藤 悠、宮 菜穂子、水野栄治、江戸川萬時
清家悠圭、加賀谷一肇、碓井菜央、工藤広夢、引間文佳、鈴木 竜
原作:楳図かずお『わたしは真悟』(小学館刊)
脚本:谷賢一
演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ
音楽:トクマルシューゴ/阿部海太郎
演出協力:白井晃
S席 12,000円
(通常:CD代2,900円+代10,800円=13,700円)1,700円もお得!!
■販売期間
11月2日(水)12:00~予定枚数終了次第販売終了
※お申込み後のキャンセル・変更はお受けできません。
※未就学児は入場不可。