安田レイ 歌うことへの真剣な思いがにじみ出たツアー最終日
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
安田レイ TOUR 2016 “PRISM”
2016.5.27(Fir)赤坂BLITZ
「自分の歌声をたくさんの人々の心に届けたい」という思いで、2013年にソロデビュー。その後、さまざまなTVCM、ドラマなどに楽曲が起用され、圧倒的なヴォーカルが話題になっている、安田レイ。彼女が、今年2月にリリースし現在も好セールスを記録している2ndアルバム『PRISM』を携えて、『安田レイ TOUR 2016 “PRISM”』を敢行。5月27日(金)に東京・赤坂BLITZにて最終公演を迎えた。
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
会場に入った瞬間から、現実を忘れさせてくれるような柔らかな光に包まれていた場内。1000人に及ぶオーディエンスが、ステージに熱い視線が注ぐなか、ダンサブルなサウンドが響き渡り、ショーの幕が開く。すると、まぶしい光をバックに、彼女がセンターで観客を迎え入れる。『PRISM』というツアータイトルにあわせ、メイクや衣装にもキラキラな要素をメインにしながらも、レースなどでガーリーな雰囲気も放っている、彼女の持つ明るく華やかなキャラクターが伝わってくるファッションだ。そして衣装に負けないとびきりの笑顔と共に、最新作に収録の「シグナル」さらに、人気アニメ映画の主題歌に起用され幅広いリスナーに親しまれた「Tweedia」をパフォーマンス。ドラム、キーボード、マニュピレーター(DJ)からなるバンドサウンドをバックに、観客ひとりひとりの顔を見つめるような丁寧さがありながらも、特長である天にも届きそうな伸びやかなヴォーカルを響かせ、観客は両手を挙げて大興奮。その姿に「すごい感激! 2曲歌っただけなのにもう泣きそう」と、彼女自身も胸の高鳴りをおさえきれない様子だった。
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
以降も、「(最新作は)ジェットコースターみたいな内容なので、私が先頭になって、みんなと一緒の景色が見たいです!」と語るとおり、楽曲ごとにさまざまな表情をみせ、魅了させていった彼女。自身が作詞した「You COLOR my world」やデビュー曲のカップリング曲「styles」(この曲を歌い終え「もうデビューして3年経つんだ…」とじんわり感動を噛み締める場面も)などでは、R&Bテイストなサウンドで、会場をグルーヴィーに。さらに、前回のツアーで好評だったカバーソング・コーナーも。この日は「私にR&Bの素晴らしさを教えてくれた大切な存在」というアリシア・キーズの2003年発表の大ヒット曲「イフ・アイ・エイント・ガット・ユー」を披露。彼女の妖艶な歌声で、会場は瞬く間にジャズクラブのようなラグジュアリーな空間へと変貌させた。だが、その後には「みんなが大好きなあの曲です!」と、TVCMソングに起用され話題になった「Just for you」をスペシャル・バージョンでパフォーマンス。ステージ上を駆け廻って盛り上げ、観客全員の笑顔の扉を開いた。
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
後半になると、1960~70年代風なレトロ感のあるサマースタイルで登場した彼女(ハートのイヤリングなど、アクセサリーも印象的だった)。途中のバンド紹介のタイミングでは、現在ドラムの練習をしていることを話し、「次、いや<いつか>のツアーでその成果を披露する」と、(半ば強制的に?)約束する場面もあるなど、和気あいあいとした雰囲気に。もうステージとフロアの垣根など、なくなってしまったような状態だ。そして女性ダンサーを従えて小悪魔的な魅力をみせた「恋詩」や、初々しい表情がうかがえたソロデビュー曲「Best of my Love(元気ロケッツREMIX)」、タオルを振り回して騒ぐのがお約束となった「Lots of Love」といったおなじみの楽曲で、さらに会場を盛り上げていく。そして最後には、「いろんな悔しい経験もあったけど、みなさんがいたから乗り越えられた、ここまで来られた」と涙ぐみながら、昨年のレコード大賞で新人賞を獲得したバラード「あしたいろ」を熱唱。感動に包まれたなか、本編は終了する。
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
アンコールでは、5月18日にリリースされたばかりの新曲「Message」を披露。自身が作詞に携わった初のシングル曲、過去の葛藤した経験を元に「夢を持つすべての人へのエールになれば」という思いで作ったというミディアムナンバーだ。歌にこめた思いを伝える力強い歌声に、そこにいたすべての人が目を輝かせるなか、ライヴはついにフィナーレを迎える。彼女自身もステージから離れがたい様子で「本当に最高な1日でした!」と、最後に「Brand New Day」を披露。「この1曲でライヴは終わりじゃない。次また会えるための新しい日がこの瞬間から始まる!」という彼女の思いが伝わってくるようなエネルギッシュなパフォーマンスだった。そして、観客ひとりひとりとハグをするように大きく手を伸ばし、さらに深々とおじぎをしてステージを去っていった彼女。
1曲ごとに表情を変えながらも、彼女の歌うことへの真剣な思いがにじみ出たライヴ。そのひたむきさは、きっと多くの人の心を震わせたはずだ。また、明日からもポジティブに一歩ずつ歩いていけそうなパワーをもらえたような気がする。
撮影=Satoshi Hata レポート・文=松永尚久
安田レイ 撮影=Satoshi Hata
>>【安田レイ インタビュー】ゆっくりと着実に成長中、この春また一つ大きなステップを上るシンガーの飾らない素顔
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1. Message
2. Reflection
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