『メアリー・カサット展』何が見どころなの?鑑賞前におさえておきたい3つのポイント
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《桟敷席にて》1878年、 油彩・カンヴァス、81.3×66.0cm、ボストン美術館蔵 The Hayden Collection―Charles Henry Hayden Fund, 10.35. Photography ©2015 Museum of Fine Arts, Boston
横浜美術館では、2016年6月25日(土)~9月11日(日)にかけて『メアリー・カサット展』が開催される。
本展は、さまざまな困難を乗り越えて画家となる意志を貫いた印象派を代表する女性画家、メアリー・カサットの初期から晩年にいたる画業の全貌に焦点をあてた、35年ぶりの回顧展だ。アメリカからパリに渡り、印象派に参加し、女性画家のパイオニアとして生きたカサットの、強く、エレガントな人生の魅力を堪能することができる。
今回は、開催に先駆けて本展をより楽しむための3つのポイントをご紹介する。
Point 1■ボストン美術館から初来日!名作「桟敷席にて」
《桟敷席にて》1878年、 油彩・カンヴァス、81.3×66.0cm、ボストン美術館蔵 The Hayden Collection―Charles Henry Hayden Fund, 10.35. Photography ©2015 Museum of Fine Arts, Boston
劇場は、ドガやルノワールら印象派の画家たちが好んだ題材のひとつだ。
カサットも、1878年から1880年頃にかけて華やかな劇場の桟敷席を描いた。オペラグラスで一心に舞台を見つめる女性。向こうの客席から身をのりだすようにこちらを見ている男性。そして、その場面を眺める私たちの視線。三つの視線が交錯するスリリングな画面構成のなかで、男性に見られる存在である女性が、見る主体として堂々と描かれており、カサットの革新的な女性像の表現への意欲を伺うことができる。
Point 2■カサットの代表作、母子像
《眠たい子どもを沐浴させる母親》1880年、油彩・カンヴァス、100.3×65.7cm、ロサンゼルス郡立美術館蔵 Digital Image ©2015 Museum Associates LACMA. Licensed by Art Resource, NY
「母子像の画家」とも言われたカサット。カサットが描いたのは、19世紀後半のパリに暮らすブルジョワジーの女性たちの日常だった。彼らと同じ空間で暮らし、同じ時間を過ごした女性画家だからこそ描けた、人のぬくもりや生活の気配が、見る者を画面の中の世界に引き込む。すべてを包み込むように受け止める母親の優しい眼差し。カサットの描いた母子像からは、静かに話しかける母親の声が聞こえてくるようだ。
Point 3■多色刷り銅版画のシリーズ(通称「The Ten」)10点を揃って公開!
《沐浴する女》1890-91年、 ドライポイント、アクアチント、36.7×26.8cm、ブリンマー・カレッジ蔵 Courtesy of Bryn Mawr College
カサットが優れた版画家だったことは、あまり知られていない。カサットは、ドガやピサロらとともに銅版画の技法を研究し、新しい表現に取り組んだ。腐蝕銅版画の一種であるアクアチントによる光の表現や、ドライポイントの素早い線で捉えた人物の一瞬の表情が見どころ。本展では、日本初公開作品を含めた約50点が紹介される。なかでも、近代版画の傑作と言われる10点組の多色刷り銅版画のシリーズ(通称「The Ten」)が全点揃っての公開は、非常に貴重な機会だ。
印象派画家の中でも珍しい女性画家として後世に名を残したカサット。彼女の画業を振り返りつつ、彼女の画家としての息吹きを感じることができる回顧展となるだろう。気になる方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
会期:2016年6月25日(土)~9月11日(日)
会場:横浜美術館 〒220-0012横浜市西区みなとみらい3-4-1
開館時間:10:00~18:00(入館は17:30まで) ※2016年9月2日(金)は20:30まで(入館は20:00まで)
休館日:木曜日 ※ただし2016年8月11日(木・祝)は開館
お問合せ:ハローダイヤル 03-5777-8600
ウェブサイト:http://cassatt2016.jp/