Kalafinaロングインタビュー 「全てが音楽でつながっているエンターテイメントを作りたい」
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――普段歌のトレーニングはどんなことをされてるんでしょうか? 歌っている時のクールな印象と、ブログなんかで見える可愛らしい雰囲気のギャップも魅力の一つだと思うんですけど、あまり日々のトレーニング的なものは見えない気がしてまして。
Wakana: もうそれぞれなんですけど、私は走ったりするのは得意ではないので、体づくりというより喉のケアを気にしていますね。毎回セットリストを組む時にこの曲の後にコレを歌うなら、自分が一音にどう向き合うかというのは凄く考えます。普段3人でリハーサルをするので、「この曲はこの音をこれくらいの強さで出そうと思うんだけどどうかな?」とかそういう相談もしますし、自分が一人で考えていることより3人でリハーサルすることで変化することが大きいので、同じ曲でもライブごとに変わることは多いですね、歌について考えることは本当に多いです、喉のケアも何が正解かはわからないので、気持ちも前向きじゃなきゃいけないし…でもそれが一番大事なのかなとは思いますね。
――そうですね。
Wakana: いつでも最高のものを見せたいとは思っているので、後悔だけはしたくないですね。最近は毎週末歌わせていただくことも多いし楽しいので、それが半年とか三ヶ月とか続くのは自分たちにとっても良いリズムだと思います。
――先日はNHK『SONGS』にも出演されましたし、谷村新司さんとの共演もありました。スタート地点は『空の境界』だと思うんですけど、新しいフィールドでの挑戦が始まっている気がします。
Keiko: ここ1年半くらいで色々変わってきましたね。それまではカバーもあんまりしないというのがKalafinaのカラーだったんですけど、一方では自分たちの技術を追求しているような部分もあって。梶浦由記さんは私達の声の一番きれいに響く所を考えてハーモニーを創ってくださるんですね。そういう音楽を約8年やってきましたが、最近は他の歌手の方と一緒に歌わせていただいたり、カバーにも挑戦するという機会が増えてきまして、そうなると私達の歌っていた手法だけでは足りないことも出てきたんです。もっと三人の声をユニゾンに寄せないと行けない時もあるし、それぞれの声だけどもっと交わるように歌うとか。個性を出しながら同じパートを歌ったり、そういうものに挑戦する時にワンステップ上の意識の変化が必要だったりすることがあって。また新たな自分たちでも知らなかったものが色んなアーティストさんに見つけていただいた気がしてて。歌い手としては今、とても楽しいですね。
――以前梶浦さんにもインタビューさせていただいたんですけど、インタビュー後に「私今日Kalafinaのライブだからテンション上がっちゃってるのよ!」って凄く楽しそうだったのを思い出しまして。
Hikaru: 言いそう! 梶浦さん言いそうそれ(笑)。
――もう9年近く一緒にやってるのに凄いな! と。
Hikaru: 来るといつもそういう感じで楽しんでいただいてますね。
Keiko: 梶浦さんは普段一人で作曲活動されることが多いみたいで、私達のライブとかで表に出るのを楽しみにされてるみたいですね(笑)。
――皆さんから見て梶浦さんというのはどういう存在ですか?
Hikaru: 師匠……?(笑) 師匠というか先生というか、音楽に対する姿勢が物凄く真面目な方なので、それを見習わないとなといつも思いますね。素晴らしい方にプロデュースしてもらってるなって思うし、音楽を離れると物凄くおちゃめな方だし、そういう姿を見ると「あっ、梶浦さんも一人の人間なんだな」って安心したりしますね(笑)。
撮影=菊池貴裕
――梶浦さんが師匠というお話が出ましたが、みなさまの思い出の曲とか歌うキッカケの曲とかあるんでしょうか?
Wakana: 私は母親が音楽の先生をやっていたこともあって、音楽に触れる機会は多かったんです。よく母が聞いていた中で私が好きだったのはニール・セダカとかだったんです。わかりやすい音楽を好んでいたんですけど、どうせ音楽が好きなら歌える環境に入れてあげようってことで親が合唱団に入れてくれたんです。それで高校の時に洋楽を聞くようになって、それがホイットニー・ヒューストンだったんです。一人の女性として、歌手として感動したのはホイットニーだったんです。そこからクリスティーナ・アギレラとかセリーヌ・ディオンを聞いて、私も本当に歌手になりたい! って思ったんです。
Keiko: 私は尾崎豊さんですね。一番好きなのは「ダンスホール」って曲なんです。知った時には尾崎さんはもう亡くなられていたんですけど、音楽に乗せればこんなに思いを伝えることが出来るんだって思ったんですよね。尾崎さんのルーツを追っていく中で、こんなに若いのに凄い歌詞を書いていたんだな、と思って。普通じゃない研ぎ澄まされた感覚を持っている尾崎さんが魅力的だったんですね。でも最初に響いたのは声かなぁ……魂の叫びというか。
Hikaru: 物心付いた時から歌が好きで、本当に小さい時はアニメで流れていた曲をカラオケで歌ったり、J-POPを聞いて育ってきたって感じがしますね。高校生の時に初めてビヨンセのライブDVDを見て、「ああ……世界にはすごい人が居るんだんぁ……」と思って(笑)。 歌うだけではなくて、ライブの凄さというか、演出の魅力を感じたんですね、人の前で歌うということをそこで意識した気がしますね。
――みなさんそれぞれにルーツがありますね。さて、改めて9月にはアリーナツアー『Kalafina Arena LIVE 2016』が控えておりますが。意気込みなどあれば。
Wakana: 武道館2daysを以前やらせて頂いて、またあそこに立たせて頂けるのは本当に幸せだと思いましたし、神戸ワールド記念ホールは実はKalafinaとしては3人で立ったことがないんです。Hikaruが加入する前に一度、私とKeikoは立ったことがあるんですけど(※)、3人であそこに立てるっていうのは喜びがありますね。あの時は右も左も分からなかったので、二日間も出れるという喜びもあるし、海外の方が来て頂いても楽しめるものになると思います。私達のハーモニーを生で聞いてもらいたいですね。
(※)Revo&梶浦由記Presents Dream Port 2008 神戸公演
――Hikaruさんが立たれてなかったのは意外です。
Hikaru: そうですね、気持ち的にはその時一緒に立ちたかったなぁというのはやっぱりあるので、その思いもぶつけたいですね。
――勿論以前から見させていただいておりますが、もうHikaruさんがいないのは不思議な感じしますもんね、今では。
Keiko: 私達もそうですよ、なんか最初から3人でやってるような気がします(笑)。
――仲いいですよね、本当に。
Wakana: よく言われるんですよ! みなさん仲悪くしたいのかなぁと思うくらい言われるんですけど!(笑)。
――とても女子感強いですよね。
Keiko: 普通なんですけどね……(笑)。
――Kalafina自体がクールな印象あるからなんでしょうかね?アルバムのジャケットとかとてもかっこいいじゃないですか、いつも。
Keiko: ジャケ買いされちゃうとたしかにそういう印象あるかもしれない(笑)。
Hikaru: おちゃらけもするしねえ。
Wakana: いつも楽しいのに(笑)。
――それが魅力なんでしょうね、スイッチが入った時のKalafinaには誰も追いつけないというか。
Keiko: 曲が凄いので、このままだと歌えない所はあるかもしれないですね(笑)。 そのままいくぞー!っていうのは、無理ですよね。
Wakana: いつもMCでみんなで大笑いした後にKeikoが「さて……」って仕切りなおすんですよ、ありがとう……っていつも思ってるよ(笑)。
――グッズ紹介のコーナーも楽しいです。
Hikaru: あれは素ですね、本当にアドリブで何も考えてないです(笑)。
Keiko: 何も事前に聞かないで私達も楽しんでいるので、お客さんと一緒ですね、あそこだけは。
――本当に、いろいろな人にKalafinaを伝えられたらなぁとは思いますね。緊張しないで見てもらいたいというか。
Keiko: そうですね! 私たちは音楽エンターテイメントみたいなモノを作りたいと思っていて、楽器が歌と同じ主旋律を奏でていることとか、歌から楽器にメロディを引き継ぐようなものが凄く多くて、歌も楽器の一部みたいな捉え方をしている部分もあるんです。なので、今回のアリーナの大きな会場でも音のクオリティは絶対に落としたくない、そこにこだわったものになると思います。歌が奏でる音楽、楽器が奏でる音楽、照明が奏でる音楽、映像が奏でる音楽、全てが「音楽」でつながっているエンターテイメントにしたいんです。見に来てくれた人が「こんな所でも音楽が響いていたんだ」っていうのを聴覚だけで無く視覚でも感じられるものにしたいので、怖がらず初めましての人も見に来てもらえたらと思いますね。
Kalafina 撮影=菊池貴裕
撮影=菊池貴裕 インタビュー・文=加東岳史
9月10日~9月11日 神戸ワールド記念ホール
9月16日~9月17日 日本武道館
先着先行
2016年6月25日(土)12:00~7月11日23:59まで
Kalafinaライブ情報専用サイト http://www.kalafinalive.com