青海亮太プロデューサー&庄知彦ディレクターに聞く! ゲーム『ドラゴンクエストヒーローズⅡ』発売1ヶ月後の今とこれから

インタビュー
アニメ/ゲーム
2016.6.28


——楽しみにしています。質問を変えて、シナリオプロットの徳永富彦氏の起用で、どんなところが変わりましたか?

:変わったという話ではないですが、スピード感には驚かされました。当初はプロットが固まるのに時間がかかると予測していたんです。それが、驚くほどスムーズに作り上げることができました。堀井さんも納得のプロットとなり、開発のスピードアップにもつながりました。

青海:堀井さんのOK&ゴーサインが、一発で出ましたからね。

:徳永さんがいなかったら、もっとおして、音の収録も間に合わなず、30周年の記念日にお届けすることができなかったかもしれません。

青海:やはり、『ドラゴンクエスト』は物語が核ですからね。そこは、今回のサブタイトルにも影響しているところですが……。富永さんのおかげで、芯がスッと一本通りました。
 

——また、堀井雄二氏からは、どんなコメントがありましたか?

:前作のときと同じく「わかりやすく、すんなり遊べるのが『ドラゴンクエスト』。そこに気を付けて」というお話がありました。ユーザーさんが難しくて引っかかるところはアップデートで対応していく、という今の方針も、この堀井さんのお考えがあればこそですね。

青海:ゲームが苦手でも、時間をかけて経験値をため、レベルアップで成長させればクリアできるのが『ドラゴンクエスト』。アクションになっても「そういうゲームにしていこう」と仰っていました。

:堀井さんは一貫して、遊んでいるプレイヤーの意識で作っているので、勉強になります。

青海:僕ら制作サイドは、どうしても作り手側の視点になりがち。でも堀井さんは常にユーザー目線。お話していると、ハッと気づかされます。

:堀井さんがレベル99だとしたら、我々はまだ40くらい?(笑) 堀井さんとお仕事すると、学べることがたくさんあります。

堀井さんに比べたら……

堀井さんに比べたら……

――たとえばどんなことを学びましたか?

青海:60歳を超えるって、普通は定年の年ですよね。でも堀井さんは、考えが本当に若いんです。我々と話していても、話が合わないことがない。年をとっても、遊び心を忘れていないんです。ずっと少年のまま、お茶目さやイタズラ心、面白いもの、珍しいものに飛びつく心を持っている方なんです。

:あと、普段からとても優しい。人を喜ばせよう、という気持ちにあふれていてすごい。私もそうなりたいなと思います。

青海:喜ばせよう、ビックリさせよう、という気持ちは、『ドラゴンクエストⅠ』からこれまでの作品のなかにも、ずっと表れていますよね。

:『ドラゴンクエスト』は人を楽しませようとしてできあがったゲームなんですよね。

青海:だから、「ドラゴンクエストはあたたかい」と言われる。堀井さん自身があたたかいからこそ、幅広い層に受け入れられて、30年続いてきたなと思います。堀井さん=『ドラゴンクエスト』なんだと、一緒に作っていて改めて感じます。
 

——その『ドラゴンクエスト』が30周年ということで、コメントをお願いします。

:『ドラゴンクエストⅠ』からリアルタイムで遊んできた1ユーザーとして、純粋に感動しています。今の自分が『ドラゴンクエスト』に関わっていることを、当時の自分に教えてあげたい(笑)。30周年という節目に、『ドラゴンクエスト』というコンテンツ作りに携われたことが、本当にうれしいです!

青海:『ドラゴンクエスト』といえば、小学校6年生のときに『ドラゴンクエストⅣ』を量販店で長い時間並んで買ったのを思い出します。それが今、こうして作る側にいるのが、不思議ですが。あのときの熱量があったから、今ぶつけられるんだと思います。『ドラゴンクエスト』を未体験の子ども達にも、「『ドラゴンクエスト』っていう、こんなに面白いゲームが世界にあるんだよ!」と伝えたい。『ドラゴンクエストヒーローズ』をきっかけにして、『ドラゴンクエスト』の面白さを伝えられたらいいですね。
 

――ありがとうございます。そもそも、お二人がゲームクリエイターを目指したきっかけとは?

青海:まさに『ドラゴンクエスト』です。『ドラゴンクエストI』との出会いが小学校3年生のときで、リアルタイムでプレイしていました。その頃から「ゲームを作る側になりたいな」と思っていたのが、今につながっています。

:私は小学生のときゲームウォッチが爆発的に流行して、それが最初にハマったゲームでした。小学校の卒業文集に「夢はゲームを作ること」と書いていて、高校や大学もその意識で選んで、そのまま今に至ります。子どもの頃のワクワクを持ったまま、大人になっちゃった感じですね(笑)。

青海:子どもの頃って、ゲームを作る人が神様に見えませんでした? 「これ作れる人、すごい!」って。

:堀井さんは、ゲームが好きな子どもたちにとっても私たちにとっても、まさしく神ですよね。

青海:本当に、神様に見えたなあ。

「人に喜んでもらうにはどうしたらいいか?」

「人に喜んでもらうにはどうしたらいいか?」

——今、『ドラゴンクエストヒーローズ』をプレイしている子どもにとっては、お二人も憧れられる側になっているわけですが、ゲームクリエイターになる秘訣を、子どもに伝授するとしたら?

青海:普段から面白いことを考える。あそびやイタズラを考え付く脳が大切だと思います。ゲーム作り=人を驚かせることですから。人をびっくりさせる仕掛けは、身につけるものというより、感覚かもしれないけれど。その感覚を、普段から鍛えることですね。そして、子どもの心を、大人になってもずっと忘れないことです!

:真面目な話をすると、感動体験をたくさん蓄積することが大事だと思います。感動をどれだけ貪欲に求めるか。そして、「人に喜んでもらうにはどうしたらいいか?」を普段から意識すること。その二つの意識が重要ですね。

青海:そのためには、いっぱいあそぶことですよね。たくさんあそんで、たくさん楽しい思いをした人が、楽しいゲームを実現できる。今なら、それがわかります。

:楽しんだ記憶や体験がない人に、人を楽しませることはできませんからね。
 

——では最後に、今後もアップデートや追加コンテンツが期待される『ドラゴンクエストヒーローズ』について、メッセージをお願いします。

:アップデートで前作登場キャラクターの追加参戦や、竜王とのバトルを追加します。7月上旬予定アップデートでは、対戦モードを追加します。『ドラゴンクエスト』の対戦をどうやったら楽しんでもらえるか? みんなで考えながら、鋭意開発中ですので、長く遊んでください!

青海:最後の目玉が、対戦です。対戦というと、プレイヤー同士が戦う殺伐としたイメージがあるかもしれませんが、『ドラゴンクエスト』ではそうならないように工夫します。

:具体的には、モンスターコインを使ったバトルになります。みんなでワイワイ、バトルできる。『ドラゴンクエスト』らしく、ライトに楽しめるものを目指しています。

青海:そもそも、発売後にここまで無料で配信を続けるゲームも、他にありませんから。ぜひ、末長く遊んでもらいたいですね!

:30周年記念、ということで!(笑)

ありがとうございました!

ありがとうございました!



撮影=原地達浩 インタビュー・文=荒川陽子

製品情報
『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』​

ジャンル :アクションRPG
対応機種 :PlayStation®4、PlayStation®3、PlayStation®Vita
プレイ人数 :1人、通信時最大4人
発売日 :2016年5月27日(金)
価格 :PlayStation®4版 7,800円+税
PlayStation®3版 6,800円+税
PlayStation®Vita版 6,800円+税
年齢別レーティング(CERO) :B区分(12歳以上対象)
<制作スタッフ>
ゼネラルディレクター :堀井雄二
キャラクターデザイン :鳥山 明
音楽 :すぎやまこういち
開発 :株式会社コーエーテクモゲームス ω-Force
制作・販売 :株式会社スクウェア・エニックス
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