京都の老舗 ミシュラン獲得日本料理店が『フジロック』に出店するロックな理由

コラム
音楽
2016.7.5

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フェスごはん、フェス飯。
これらの存在が定着して久しいが、そのメニューの幅広さは年々拡大され続けている。

タイムテーブルと最終ラインナップ・総勢223組にも及ぶ豪華な出演者が同時に発表(http://spice.eplus.jp/articles/64765)になったばかりの『FUJI ROCK FESTIVAL'16』(以下、フジロック)は、日本における音楽フェスを20年間牽引し続けているフェスの元祖。ということは、フェスごはんの元祖とも言えるだろう。

フジロックのごはん処は、世界の料理を味わえるワールドレストランや地元・苗場の食材を扱った店などがある場内最大のホスピタリティエリア・OASISをはじめ、旧オレンジコートエリアが「ORANGE CAFÉ」となり、フジロック史上初の屋根付きフードコートとして蘇るなど、場内各所に点在する上、入場ゲートの外エリアにも多数の店があるのでバラエティに富んだ食事を存分に楽しむことができる。

そして、今年のフジロックの“フェスごはん”ラインナップが一挙公開されたフジロックのオフィシャルサイトの中に、目を疑う店名を発見した。それは京都の老舗「日本料理店櫻川」だ。

京都櫻川は、京都で38年営んでいる日本料理店で、ミシュランガイドで毎年一ツ星を獲得する店。フジロックにはミスマッチに思える「日本料理」「ミシュラン」「京都の老舗」というワードを持つ櫻川が出店するに至ったのは一体なぜなのだろうか。その理由を追及するため、取材を決行した。

■出店するのに7年!

インタビューに答えてくれたのは「日本料理店櫻川」の沼田壱さん(39歳)。出店に至るまで、気が遠くなるほどの時間を要したという。

「7年前にフジロックでの出店を決意してからというもの、店の山本大将にアピールし続けてきました。フジロックを説明し、そこで日本料理を出せたら面白いはずだということを懇々とお願いして昨年ようやくそのお許しをいただけたんです」

他に音楽好きな人がいたわけでもなく、沼田さんはフジロック出店計画を一人粛々と進めていたという。しかし、生まれも育ちも京都の沼田さんだが、もともと京料理界に入ろうと思っていたわけではなかったらしい。

「自分はギターをやっていて、ミュージシャンを目指していました。だからフジロックも出店ではなく、ステージに立ちたいと本気で思っていたんです。それで京都にある特殊な専門学校へ入ろうと学費を貯めるためにアルバイトを始めたのが日本料理の世界に入ったきっかけでした」

老舗の日本料理店であるとは知らずに気軽に応募したアルバイト。先輩に可愛がってもらえたこともあり、心では音楽を忘れていなかったものの、料理人としての経験を日々積み上げていったという。

そんな日々を送っていた3年前のある日。櫻川にある男性客がやってきた。その出会いもまた、今回のフジロック出店への大きな助けになったという。

■映画監督との出会い

「カウンターで調理をしていたら、目の前のお客様が「ATOMS FOR PEACE観に行けなかったんだよね」と話していらっしゃって。そのライブを観ていた僕がそれを聞き逃すはずもなく、そこから音楽話が始まったわけです。ひとしきり盛り上がった後でお客様が席を立たれた時に、お連れ様に「あの方は何をされているんですか?」と聞いたら「映画監督の豊田利晃さんですよ」と言われて驚きました(笑)。今でも仲良くさせてもらっています」

映画『クローズEXPLODE』の監督でもあり、中村達也らと活動中のバンド・TWIN TAILでは映像メンバーでもある豊田利晃の助けがあったこと、時を同じくして山本大将からの許しもようやく得られたことが重なって、フジロックへの道が開けたという。

■音楽ではなく、日本料理でフジロックのステージに

話を聞く中で、沼田さんはどの時点でミュージシャンではなく板前として生きていこうと思ったのかが気になったので、率直に聞いてみた。

「本当に最近ですよ。3年ぐらい前です。当時は祇園にも店舗がありまして、そこでは料理長として板場に立たせてもらえたりもして料理人としての経験は積み重ねていたものの、心では“ミュージシャンになってやる”という気持ちをずっと持ち続けていたんです。でも実際には好きなギターに触る時間もないほど忙しくて。そうこうしているうちに12年も経ってしまったある日、いつものように板場に立ってお客様に料理を出していたとき、目の前にいたお客様が自分の作るものを美味しいと心から喜んでくださっていたのを見て、自分は音楽ではなく料理人として生きていこうと決めました。ですから、フジロックという大舞台では料理人として日本料理を多くの人に知ってほしい、気軽に食べて欲しいと思っています」

「フジロックでは日本料理を広める以外にも、秘めた野望があるんですよ(笑)」と話してくれた沼田さんからは、日本料理という響きが持つ敷居が高そうな、近寄りがたいイメージを微塵も感じなかった。さらに驚いたのは、日本料理櫻川ではコース1万円~食事を楽しむことができるという。それなら手が届かないこともないだろう。

なお、フジロックでの櫻川は、京都ならではの鱧を使った「炙り鱧にゅうめん」「炙り鱧だし茶漬け」「鱧梅しそ天ぷら」を提供する予定。茶漬けは温・冷から選べるそうだ。こんな上品なお料理を屋台で、フジロックでいただけるというのが面白いではないか。

「京都の夏の代表である鱧をお楽しみいただきたいと思い、これらのメニューをこだわって作りました。鱧の骨で取った出汁を使った薄口で優しい京都らしい味付けのお料理です。夏の山の中で京都を感じていただければと思います」(日本料理櫻川・山本料理長)

100店舗もの出店数を誇るフジロックのフェスごはん。あなたが並ぶ屋台が出店されるまでにはそれぞれのストーリーがあるだろう。

今回ご紹介した日本料理櫻川では、沼田さんというミュージシャン志望だった過去を持つロックな料理人がいたおかげで、フジロックと日本料理が融合し、オーディエンスの胃袋までも楽しませてくれることになった。やはり音楽はいろんなものをつなげてくれる。

ジャンクからミシュランのお墨付き料理まで、音楽の力で引き寄せられたフェスごはんが集うフジロック。今年もライブに、ごはんに、すべてをまるごと楽しもう!

「日本料理櫻川」
FUJI ROCK FESTIVAL'16/出店エリア:ORANGE CAFÉ

炙り鱧にゅうめん

炙り鱧にゅうめん

炙り鱧だし茶漬け

炙り鱧だし茶漬け

鱧梅しそ天ぷら

鱧梅しそ天ぷら

炙り鱧にゅうめん 提供予定価格 ¥1000
炙り鱧だし茶漬け 提供予定価格 ¥800
鱧梅しそ天ぷら 提供予定価格 ¥500

住所:京都市中京区 木屋町 通二条下がる上樵木町491
電話:075-255-4477
営業時間:12:00〜21:00

その他、すべてのフジロック‘フェスごはん’の出店詳細は、オフィシャルサイト(http://www.fujirockfestival.com/)でチェック!

取材協力・写真=日本料理櫻川
文=早乙女‘dorami’ゆうこ

イベント情報
FUJI ROCK FESTIVAL'16
日時:2016年7月22日(金)・23日(土)・24日(日)
会場:新潟県湯沢町苗場スキー場

 

<チケット一般発売>発売中
お得な2日券もあり! チケット配送を選ぶとリストバンドを事前発送! 中学生以下無料!
 
■イープラス http://eplus.jp/frf (ウェブサイト、モバイルサイト)
※手数料無料、オフィシャル特典付き
※チケットの種類については公式サイトチケットページをご確認ください。
 

 

リリース情報
『FUJI ROCK FESTIVAL 20TH ANNIVERSARY COLLECTION (1997-2006)』
発売中
UICO-4051 ¥2,500+税
CD及びデジタル・アルバムとして発売(収録楽曲はCD、デジタルによって異なります)
発売元: ユニバーサル ミュージック合同会社
URL www.universal-music.co.jp/p/uico-4051/

『FUJI ROCK FESTIVAL 20TH ANNIVERSARY COLLECTION (2007-2016)』
発売中
WPCR-17388 ¥2,500+税. 
CD及びデジタル・アルバムとして発売(収録楽曲はCD、デジタルによって異なります)
発売元:株式会社ワーナーミュージック ジャパン
URL wmg.jp/artist/fujirock20th/

 

書籍情報
『フジロック20thアニバーサリー・ブック発売決定
発売中 / 価格:¥2,000+税 / B5判 / 176頁
・1997年から2015年まで、過去19回の全軌跡総括
・合計200アーティスト以上のフジロック名場面を掲載
・忌野清志郎、甲本ヒロトが語るフジロックの魅力とは?
・事件、データ、舞台裏までフジロック・トリビア

フリーペーパー『FESTIVAL ECHO / フェス・エコ』完成・配布中
毎年大好評のフリーペーパー「FESTIVAL ECHO / フェス・エコ」が今年も完成。発行後すぐに品切れになってしまうフェス・エコ。今年も出演アーティストをはじめとするフジロックには欠かせない人たちのインタビューや対談が盛りだくさん。さらに、1,000人インタビューを敢行した「おしえて!みんなのフジロック。」は、初めて参加するビギナーからベテランまで必読の内容。

※フェス・エコは、“フジロックの森プロジェクト”の一環である、新潟・湯沢の森林から出る間伐材を活用し、新潟県産材を原材料とした紙「フジロック・ペーパー」を使用しています。「 FUJI ROCK DAYS」でも配布予定。

 

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