welcome to THE 沼!・第三沼『恐怖のRC(ラジコン)沼!』
-
ポスト -
シェア - 送る
「沼」。
皆さんはこの言葉にどのようなイメージをお持ちだろうか。
私の中の沼といえば、足を取られたら、底なしの泥の深みへ・・・ゆっくりとゆっくりと引きずり込まれ、抵抗すればするほど強く深くなすすべもなく息をしたまま意識を抹消されるという恐怖のイメージだ。
一方、ある物事に心奪われ、取り憑かれたようにはまり込み、
その世界にどっぷりと溺れることを「沼」という言葉で比喩される。
底なしの「収集」が愛と快感というある種の麻痺を伴い増幅する。
これは病か苦行か、あるいは究極の癒しなのか。
毒のスパイスをたっぷり含んだあらゆる世界の「沼」をご紹介しよう。。
ラジコンとの出会い〜沼にハマった訳
迂闊にも、またやってしまった。
目の前の「沼」にズボッ…..ズボボボボボボ。。。。とみるみる足を引きづり込まれた。
その沼は不意にやってきた。
3歳になる息子の誕生日プレゼントを何にしようかリサーチをしていた時だった。
私は、彼が最近、超巨大なビッグタイヤを履いた車、いわゆる「モンスタートラック」にハマっているようで、Youtubeなどでアメリカのモンスタートラックの動画ばかり見まくっているのを知っていた。
そこで、何かモンスタートラックのイベントがあれば連れて行ってあげようと、私は密かに調査し始めた。
ところが、モンスタートラックはアメリカで生まれたモータースポーツで、日本にはほとんど上陸していない。
そもそも車検制度が厳しい日本国においては、あんなはみ出した巨大タイヤを装着した車が公道を走行する事など不可能なため、日本では現在までほとんど一部のマニアだけのものだったらしいのだ。
しかーし!私は発見してしまった!!
息子の誕生日の近辺に、アメリカから大きなモンスタートラックのチーム「Monster jam」が日本に初上陸をし、大イベントを行うというのだ!!!
Monster Jamのサイトはこちら
ところが、、、開催場所を見ると「大阪」とある。
東京在住の私からすると、、、ちょっと遠い。
そしてすぐに思考を変え、何か他にモンスタートラックに関係したプレゼントが無いか、片っ端から調べに調べると・・・・・
有った。
その巨大なタイヤを装着し、眩しい黄色いボディーを纏ったモンスタートラック
『ランチボックス』
が画像検索で引っかかったのだ。
このタミヤ「ランチボックス」は、1970年代に実存したモンスタートラック「ローリングサンダー」をタミヤ模型が1/12に縮小し精巧に再現したラジコンカーだ。
実車はDODGE VANをベースに作られており、無類の作業車好きの息子にはコレしか無いだろうという事で早速ポチった。
ランチボックスの駆け込み寺・『タミヤカスタマーサービス』
誕生日の一週間前に届いた「ランチボックス」は思った以上に巨大で、息子に見つからないように隠すのが困難だったため、外箱から出してスタジオの一角にカモフラージュして忍ばせた。
しかし、隠し場所が悪かったのか、仕事中に思わず気になってしまい、もちろん息子に内緒で公園に走らせに行ってみた。
それにしても、オヂサンが公園で一人ラジコンを走らせている姿はとても惨めで恥ずかしく、恐ろしく、異常だ。。。
そんな羞恥心を堪えながら、私はプロポ(操縦機)のスロットルに指をかけた。
すると、想像を遥かに超えた猛スピードで爆走し、
わずか数秒でコンクリートの壁に激突!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その後は何をやっても動かない。
いや、前進、後進はするのだがハンドルが効かないのだ(汗。
焦った私は、速攻で家に戻りインターネットで
「ラジコン」「故障」「ランチボックス」「ハンドル」「オヂサン一人ラジコン」
などのキーワードを検索しまくると、『タミヤカスタマーサービス』なる言葉に行き着いた。
「ランチボックス」の発売元であるタミヤ模型が運営しているサービスだ。
私が沼にハマった訳
早速『タミヤカスタマーサービス』に電話すると、「それは、サーボセーバーが破損してしまったのですね」という。
「サ、、サーボセーバー。。。。。。。。?」
なんだサーボセーバーって???
サーボセーバー・・・。生まれて初めて聞く言葉。
私はそこで一度「タミヤカスタマーサービス」との電話を切り、付属の説明書を隅から隅まで熟読する事にした。
そこで私は驚くべき情報を極多に得る事になる。
まず、私の中でラジコン、または模型という事で、完全に「おもちゃ視」していた誤解が覆った。
驚く事に、このラジコンの説明書を見ると、全て実車同様のパーツ名が使われており、細部まで精巧に作られている事が判明。
つまり、車の機構などチンプンカンプンな私には、説明書など解読不可能な古文書と同様なのだ!
そこで私は沼にハマった・・・
まずはサーボセーバーとはなんぞや。を調べるところから始まる。
サーボセーバーとは、プロポコントローラーからラジコン本体に送信された舵きり信号、
つまりハンドルを左右にコントロールする信号を動力に変える「サーボ」
タイヤを支えるシャフトとを繋げる稼働しながら結んでいる箇所だ。
そしてそれはタイヤからの衝撃が直接サーボに行く前にクッション的な役割を担う重要なパーツ。
これが、コンクリート壁に激突した際にバキっと折れたのだ。
全てを理解した瞬間に私は再び「タミヤカスタマーセンター」へ電話していた。
今学んだ言葉を誰かと共有したかっただけなのかもしれない。
電話の向こうから聞こえる言葉、そして意味が完全に理解できる事の快感に満ち溢れていると、彼はこう続けた。
「説明書の一番後のページに、パーツ名と値段が全て書いてございます。今回はサーボセーバーの交換ですが、他にも必要なパーツがございましたらいつでもご連絡ください。パーツを着払いでお送りさせていただきます」と!
確認すると、ほぼ全てのパーツが供給可能で、どれも数百円という低価格。
息子の誕生日までに直さなくてはいけない思いもあり、電話口ですぐに注文!
数日後、タミヤカスタマーセンターから「サーボセーバー」が郵送されてきた。
車の仕組みを全く知らない老眼のジジイに、このサーボセーバー交換という大修理が果たして可能なのかという不安でいっぱいな私は、思い切ってランチボックスのボディー、タイヤ、足回りを分解し始めた。。。。。。。。
すると30分程の格闘の末、なんと私はこの修理を見事に事に成功させたのだ!
普段絶対に目を通す事の無い家電や楽器の説明書であるが、このラジコンの説明書というものは非常に楽しい!
また、一度説明書を熟読した上、ボディーをバラすという作業をしたため、この車がどのような構造で組み立てられているかという事を立体的に理解する事が出来たのだ。
また、タミヤ模型が我々を沼におびき寄せるかのような
「簡単でも無く、難しくも無く」という絶妙な難易度に設定された修理作業は、さらに人々を虜にさせる要因の一つだろう。
こうなると、完全に沼の底リミットが外れる事は言うまでもない。
底なし沼のオプション・パーツ
そしてさらに私は、説明書のとある箇所を見逃さなかった。
それは、「OPTION」パーツの存在だ。
もともと、このランチボックスというラジコンは、ウイリーしたり、ピョンピョン跳ねたりとコミカルな動きをするのが特徴だ。
そのためボディーとタイヤの間にショックを吸収する「サスペンション(ダンパー)」機構が設けられている。
このサスペンションは標準で付いてくるものが非常にプリミティブなバネを中心とした構造である。
しかし、この「OPTION」の項を見ると、別売りのオイルダンパーに交換すれば、さらなる衝撃の吸収と、安定走行が可能になるという、、、。
サーボセーバーの修理を終えた瞬間、私は再度「タミヤカスタマーセンター」へ
入電していた。
もちろん、オイルダンパーを注文するためだ。
オイルダンパーが到着すると、まるでベテランのカーエンジニアの如くカスタム作業を完成させてしまった。
次に「もっとスピードを出したい」という欲望のもと、ワンランク上のモーターを注文。
それに伴い、標準のプラスティックベアリング(タイヤとシャフトの間に装備されている摩擦を軽減するパーツ)では、スピードアップする事によって、摩擦が大きくなるため、アルミのベアリングへ交換。
この時すでに私は、街のカスタムカー屋さんのチーフにでもなった気分であった。
この後も、ランチボックスのカスタム沼は加速するばかりである。
下記がおおよそ一週間で行ったカスタムだ。
- CVAオイルダンパー化
- フルベアリング化
- トリプルダンパー化
- フロント/リア タワーバー設置
- リアアルミハブ搭載
- アルミアンダーカバー搭載
- アルミサーボセーバー搭載
- オリジナルマフラー製作
- アルミリアハブ装着
- タイヤ接着
- LEDライト(ヘッド、テール、マフラー、
- バンパーマットブラック化
- アルミフランジホイールナット
- ヒートシンク
- tfu01搭載
- 540スポーツチューンモーター
パーツを注文する時に毎回自分に言い聞かせる言葉は
「息子のための誕生日のプレゼント」である。
常套手段だ。
自分オリジナルのカスタムを施し、自ら底なし沼へダイブ!
さらに私は、ランチボックスは他のラジコンカーに比べるとオプションパーツが極端に少ないという情報をキャッチしていたため、何かオリジナリティーのある改造ができないものかと試行錯誤した。
まず「息子が喜ぶ」という名の下に最初にやったバカ改造が、二体のZOMBIEを乗車させる事だ。
これはGeorge Andrew Romero好きにはたまらない仕様だろう。
なにしろ、事故る前から目玉や内臓が飛び出し、血だらけなのだ。
そして、次に行ったのがGoProカメラをルーフトップに脱着可能にする改造。
これでものすごいスピードで地を這うランチボックスからの走行動画が撮影可能だ。
さらには、パンキッシュな要素を加味するため、本体にスタッズ、そしてプロポもF●CK改造を加えた。
これには公園で走らせている時に、近所のママさん達もドン引きしていた。
そして、誕生日当日。超絶フルカスタム仕様のランチボックスが無事に息子に手渡された。
息子はおもいのほか興奮し、喜んでくれたのだ。。。。。。。が。
3歳の子供に、この超絶カスタムモンスターランチボックスを操縦する事は、まだ難しかった。
何度かトライしたが、すぐに壁に激突させ、ヒックリ返しを繰り返す息子はそのうち「操縦はパパがやって」と言い、彼は私の操縦するランチボックスと戯れるという、半分予想していた通りの展開になったのであった。
そして一ヶ月後、新たなランチボックスがもう一台届いた。
「つや消しブラック」のタミヤカラースプレーと一緒に。
なぜなら、息子が「黒いのがいい」と言ったからだ・・・w。
さらに現在でもその改造はとどまることを知らず加速の一途をたどる。
ランチボックスにTR808やアウトドアグッズを積んで妄想キャンプに出かけるため、ルーフトップにライトとラゲッジを取り付けた。
最後に記しておこう。
とにかく、今回の記事だけは、絶対に妻には見られたくない。
命が無くなる危険があるからだ。
沼の入り口が大きな口を広げてあなたを待ち構えている。
あなたもまだまだ遅くは無い。
一緒に沼の住人になろう。
筆者によるラジコン沼動画がこちらよりご覧になれます。