華麗なる山田姉妹がサンデー・ブランチ・クラシックに再登場! ついにCDデビュー

レポート
クラシック
2016.8.11
山田姉妹 (左から)山田 華、山田 麗 (撮影=寺坂ジョニー)

山田姉妹 (左から)山田 華、山田 麗 (撮影=寺坂ジョニー)

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選曲のテーマは “言葉” 。 双子のソプラノ歌手・山田姉妹が再登場! 第34回“サンデー・ブランチ・クラシック”7.10ライブレポート

7月10日、夏を感じさせる日差しが強まってきた。LIVING ROOM CAFE(リビングルームカフェ)by eplusは、美味しい食事と涼しい空間、そして素敵な音楽でお客様をお迎えする。この日は、華麗なるデュオ・山田姉妹が1月ぶりに『サンデー・ブランチ・クラシック』に再登場。重大発表とともに、華麗なるステージで会場を盛り上げてくれた。

この日の華と麗は、いつものドレス姿とはちょっと違った、膝丈ぐらいのワンピース姿での登場となった。お揃いだけど、華は緑、麗はオレンジという色違い。二卵性の双子なので、二人の顔立ちは似ているが、丸っきりそっくりというわけではない。もちろん、声も似ているようでちょっと違う。そんな二人のちょっとした違いが生み出す唯一無二のハーモニーが、存分に楽しめる30分が幕を開けた。

1曲目は、映画『サウンド・オブ・ミュージック』のメドレーを披露。タイトル曲「サウンド・オブ・ミュージック」、「ドレミの歌」、「私のお気に入り」、「ひとりぼっちの羊飼い」、「エーデルワイス」を歌い継いでいく。映画のダイジェストを見ているように、曲ごとにくるくると変わる表情と伸びやかな二つの歌声が絡み合う様は、非常に心地いい。

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

歌い終えると、「皆様、本日はお越しくださり誠にありがとうございます」とマイクを取った華が、それぞれの自己紹介と、ピアニスト・長篠央子の紹介を終えると、「次は、2曲続けてお聴きください」と再び歌う姿勢に。

歌われたのは、イタリア語ばりばりのクラシック曲だった。まずは、“ポンテ・ヴェッキオ”=ヴェッキオ橋というイタリア・フィレンツェ最古の橋の名前が出てくる「私のお父さん」(プッチーニ作曲の歌劇『ジャン二・スキッキ』より)を伸びやかに歌い上げた。続いて、イタリアの大衆歌謡曲「フニクリ・フニクラ」を披露。日本でも馴染みの深い軽快なメロディに、会場からは手拍子が沸き起こる。二人も、手を叩きながらゆっくりとステージを降り客席の近くに来てくれた。クラシックの歌手の歌声は、ステージで聴いていても迫力満点なのだが、目の前で聴くとさらに肌がビリビリするような威力がある。これはコンサートホールではなかなか味わえない、“カフェ”という空間の近さならではの感覚だ。

「手拍子、ありがとうございます! とっても嬉しいです」と麗がニコニコと笑顔で会場を見渡す。麗の次の言葉を待っていた華だが、「……ここは麗がMCをするはずなんですけれど(笑)」と早くも助け舟を出す。しっかり者の華と、マイペースな麗のゆる~いやりとりも、山田姉妹の魅力のひとつである。

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

慌てて麗が「続いては、『からたちの花』、そして、今の季節にぴったりの曲『浜辺の歌』を続けてお届けします。声が似ている部分とそうでない部分、どちらも楽しんでください!」と曲紹介。そこに華が補足をするように「私たちは二卵性の双子ですが姉妹なので、やっぱり声帯が似ているんですね。そういうところの違いを楽しんで頂きたい、と言いたかったんだと思います」と、麗の言葉を的確にフォローする。姉妹ならではの以心伝心なやりとりに、会場には和やかな笑いが溢れた。

日本語で歌われたこの二曲では、二人の透明感のある声がそれぞれの情景を呼び起こす。「からたちの花」の放つ清廉さや、「浜辺の歌」の寄せては返す波を横目に浜辺を歩いているような、そんな日本の風景の美しさを、日本語の持つ響きの柔らかさと共にしっかりと届けてくれた。

「クラシックには色々な種類があるので様々な言葉で歌って、その良さを知って頂けたらと思います」と、この日二人が選曲のテーマにしていたのは、“言葉”。そんな中、楽屋で繰り広げられていたおもしろエピソードが飛び出す。

長篠央子(ピアノ)、山田 華、山田 麗 (撮影=寺坂ジョニー)

長篠央子(ピアノ)、山田 華、山田 麗 (撮影=寺坂ジョニー)

『サンデー・ブランチ・クラシック』では、事前に予約頂いた方のために「リザーブ席」を設けているのだが、麗はそれを間違えて「レシーブ」と読んでしまったそう(笑)。そこで、アメリカ帰りのピアノの長篠から「Reserve」の正しい英語のレクチャーが行われる一幕も。そんな英語の話題に続いて歌われたのは「アメイジング・グレイス」。歌の英語は、長篠のお墨付きでばっちりだった。

最後は、プッチーニ作曲『魔笛』より「夜の女王のアリア」が歌われた。歌う前に、この曲の中に出てくる本日最も高い音を麗が実演して見せ、そのあまりの高さに会場はどよめいた。本来、夜の女王は一人だが、二重唱にバージョンで迫力の高音を響かせた。

二人に贈られる惜しみない拍手。アンコールは「踊り明かそう」(ミュージカル『マイ・フェア・レディ』より)で応え、客席から手拍子も沸き起こり、華やかにステージを終えた。

このほか、第2部では「恋とはどんなものかしら」(モーツァルト作曲『フィガロの結婚』より)、アイルランド民謡「庭の千草」などが歌われた。また、第2部では重大発表も! なんと、2017年2月20日(発売日は予定)に日本コロンビアよりCDの発売が決定したという。前回、『サンデー・ブランチ・クラシック』に登場してくれた時、「CDを出すこと」が目標と話してくれていた二人の念願が叶った形だ。詳細は、後日発表があるので、楽しみに待ちたい。

山田 麗、山田 華、長篠央子(ピアノ) (撮影=寺坂ジョニー)

山田 麗、山田 華、長篠央子(ピアノ) (撮影=寺坂ジョニー)

終演後、「2回目だけど、やっぱりドキドキしました。でも、前回よりは落ち着いて歌えたかなと思います」と振り返った華。麗は前回かなり緊張した様子だったが、今日はリラックスした表情で「お客様の表情がダイレクトに見えました。トークも、漫才を見ているみたいにお客様がいい反応をしてくださって(笑)」と笑顔を見せた。

今回が山田姉妹との2度目の共演だった長篠は、二人について「ご一緒して、すごく楽しいお二人です。楽屋でもステージでも、二人の役割が決まっていて、それもおもしろいんです(笑)」とその魅力を語ってくれた。

2部で発表されたCDデビューについては、「今ちょうど、曲を選んでいるところ」だと言う。今回のプログラムも“言葉”にこだわった選曲となっていたが、CDはさらに“日本語”に焦点を当てたものとなる予定とのこと。華は「少し昔の、多くの方に馴染みのある名曲を歌いたいなと思っています。日本語の美しさを伝えたいです」と構想の一部を明かしてくれた。

最後に「お客様の表情が優しくて、歌っていて幸せだなと感じました。拍手もたくさん頂いて、本当にありがとうございました!」と麗が、そして華が「お客様と一緒に、一つの音楽を作れました。来年は、CDも出せるので、また違う方法で皆さんに恩返しができたらなと思っています」とそれぞれメッセージをくれた。

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

山田姉妹 (撮影=寺坂ジョニー)

山田姉妹の今後にも大注目だ。次回は、どんなアーティストがどんなライブを繰り広げてくれるのか。お楽しみに!

プロフィール
山田姉妹(山田華、山田麗)
神奈川県逗子市出身の双子ソプラノデュオ。2013年、藤沢市民オペラ『フィガロの結婚』花娘役。2014年、オペラ『電話』にて双子役ルーシー役とファンシー役(オリジナルキャスト)。同年逗子市と表参道に於いて華麗リサイタルを開催。『ららら♪クラシック』で司会を務めている加羽沢美濃と石田衣良が送る『名曲モーツァルト』に出演。現在BS-TBS『日本名曲アルバム』出演中。二期会オペラ研修所マスタークラス修了時、共に優秀賞を受賞。姉の華は、東京藝術大学声楽科卒業。在学中に安宅賞を受賞。2011年度ミス鎌倉。 妹の麗は、国立音楽大学声楽科、オペラソリストコース、共に首席卒業。卒業時に武岡賞を受賞。女優として『3年B組金八先生』などに出演。

長篠央子(ピアノ)
東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業、同大学大学院修士課程修了。4歳よりピアノを始め、第1回ショパン国際コンクール in Asia第2位など、幼少の頃から数々のコンクールで入賞。愛知などでソロリサイタルを行う。2010年、1966カルテット初代ピアニストとしてデビュー。2011年より米国セントルイスに滞在。コンサート活動を行う。2015年に帰国し、現在東京を拠点に活動中。

 

サンデーブランチクラシック情報
8月14日(日)
長谷川陽子/チェロ
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
MUSIC CHARGE: 500円
 
8月21日(日)
鈴木愛理/ヴァイオリン&阪田知樹/ピアノ
第1部 13:00~13:30 / 第2部 15:00~15:30
MUSIC CHARGE: 500円
 
9月4日(日)
仲田みずほ/ピアノ&ロー磨秀/ピアノ
13:00~13:30
MUSIC CHARGE: 500円
 
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