不朽の名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』ついに開幕! 真飛聖インタビュー

インタビュー
舞台
2016.7.16
真飛聖 (撮影:岩村美佳)

真飛聖 (撮影:岩村美佳)

ヒロイン・イライザをWキャストで演じるもう1人は真飛聖。
 
宝塚では男役でありトップスターとして活躍した彼女が、愛らしく美しい女優に変貌した姿は、まるで劇中のヒロインそのまま。
そんな彼女が、再び挑むイライザ役、また作品に賭ける思いを話してくれた演劇ぶっく8月号の記事を別バージョンの写真とともにご紹介。
 
真飛聖 (撮影:岩村美佳)

真飛聖 (撮影:岩村美佳)

Wキャストだからこそ感じられた魅力
 
──再び『マイ・フェア・レディ』のイライザを演じるということで、どんな思いが?
 
とても著名な作品で、観ていた時には「シンデレラ・ストーリー」として捉えていたのですが、実際に演じてみると、真っ直ぐで、ピュアで、一生懸命に生きている女の子が、ヒギンズ教授から色々なものを学び、大人の女性に成長していく深いお話だと思いました。特にWキャストなので、霧矢(大夢)さんが実際に演じている姿を客観的に観させて頂くと、イライザってなんてチャーミングなんだろうと。思ったことをすぐ口に出してしまって、言葉遣いも乱暴だけれども、それはたまたまそういう育ちだったからであって、少しも悪気はないし、むしろ、だからこそ応援してあげたくなるキュートさにあふれた役柄だと思えたのは、Wキャストならではでした。特に、お稽古場ではなくて実際の舞台を客席から観られることによって、自分が演じている時には想像するしかない、セットの中での様子、たとえばイライザの後ろで芝居をしている人たちの表情や動きを知ることができるので、じゃあ今度は自分がこう動いた方が周りの方とのお芝居がより引き立つかなど、アイディアも浮かんできました。Wキャストは初めての体験だったのですが、勉強になるのはもちろん、素晴らしい作品を楽しんで観ることができる貴重な機会だなと。初演でも、今の稽古場でもそれは思っています。
 
──そのWキャストの霧矢さんとは、役柄について相談されたりもしているのですか?
 
もちろんご相談もしますが、お互いにイライザに対して解釈が違うところもあるので、そこは尊重して。演出のG2さんも振付の前田清実さんも2人の違いを大事にしてくださいますし、ソロナンバーなどは自由に動いていいと。そういう意味でもお互いに刺激をもらえる存在です。
 
真飛聖 (撮影:岩村美佳)

真飛聖 (撮影:岩村美佳)

王道のミュージカルならではの音楽の力
 
──ミュージカルナンバーも名曲揃いですね。
 
皆さんの耳に馴染んだ、口ずさみやすい感じのよく知られたメロディだと思うのですが、実は本気で歌おうとすると微妙な音階が入っていたりして、相当難しいんです。でもそれを感じさせずに、いかに綺麗なメロディを心地よくお客様にお届けするかに、改めて取り組んでいます。私のパパ(ドゥーリトル役・松尾貴史)が歌う曲なども本当に楽しくて、稽古場でも手拍子が出るくらいなんです(笑)。その音楽の力に「王道のミュージカル」の素晴らしさを感じています。
 
──再びの共演となる寺脇康文さんのヒギンズ教授の魅力はいかがですか?
 
とても可愛らしい、茶目っ気がおありですね。イライザにとっては先生なので、口調は結構強くて凜としているのですが、その合間、合間に出るアドリブだったり、表情だったりの中に、本来の寺脇さんの人間らしい部分がふと滲み出るのがとても魅力的です。前回は「初めまして」でしたから、寺脇さんという人を知りながらの稽古でしたが、今回はもうそこはわかっているので、より深く寺脇さんのヒギンズと自分のイライザの関係性を掘り下げられる気がします。他のキャストの方に対してもそれは同じで、より深めていっています。
 
──3年ぶりの再演ということで、新たな取り組み方も?
 
前回、2013年は、大地真央さんが長年大切に演じられてきた作品と役柄のバトンを、私達が引き継ぐという思いがありました。また、霧矢さんも私も男役出身で女子不慣れな(笑)ところから、女子として成長していく過程が、レディになっていくイライザに重なる部分があったんです。でも今回、そこから3年が経ち、私自身その間に積んできた経験から、前回感じなかったことを新たに感じられる喜びがあります。新しいキャストの方が吹き込んでくださる風もあるので、再演という言葉は使いたくないですし、使えないという気持ちです。この作品に限らないのですが、私が常に大切にしているのは、どこまで相手と目を合わせて心を感じて向き合えるかで、心に素直に周りと向き合い、イライザとして生きることで、2016年版の『マイ・フェア・レディ』が生まれると思います。とにかく演じていると自然に涙が出てくるくらいイライザが大好きですし、前回をなぞるのではなく、新たなものを生み出そうとしているカンパニーなので、私も霧矢さんも前回とは違う新しいイライザになると思います。そういう意味でも前回ご覧になった方にも、初めての方にも楽しんで頂けると思うので、この夏をハッピーに過ごすために是非劇場にいらしてください。
 
真飛聖 (撮影:岩村美佳)

真飛聖 (撮影:岩村美佳)

まとぶせい○神奈川県出身。95年宝塚歌劇団入団。07年花組トップに就任、11年4月に『愛のプレリュード/Le Paradis!!(ル パラディ)~聖なる時間~』を最後に宝塚を退団。12年4月『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』(関西テレビ)でドラマデビュー。近年の主な舞台に、『ON THE TOWN』『スタンド・バイ・ユー 家庭内再婚』『もとの黙阿弥』『恋と音楽 FINAL~時間劇場の奇跡~』など。ドラマとしてはWOWOW連続ドラマ『トクソウ』『しんがり~山一証券最後の聖戦~』NTV『Dr倫太郎』EX『遺産相続』TBS『わたしを離さないで』など。また、未公開映画2本が秋から年明けに予定として控えている。

〈公演情報〉

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ミュージカル『マイ・フェア・レディ』
 
脚本・作詞◇アラン・ジェイ・ラーナー
音楽◇フレデリック・ロウ 翻訳・訳詞・演出◇G2
出演◇霧矢大夢/真飛聖(Wキャスト) 寺脇康文 田山涼成
松尾貴史 寿ひずる 水田航生 麻生かほ里 高橋惠子 他
●7/10~8/7◎東京芸術劇場プレイハウス
〈料金〉S席¥12,500 A席¥8,000(全席指定・税込) 
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777
●8/13~14◎愛知県芸術劇場大ホール
〈お問い合わせ〉キョードー東海 052-972-7466 
●8/20~22◎梅田芸術劇場メインホール
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場メインホール 06-6377-3800
http://www.tohostage.com/myfairlady/ 


【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】
演劇キック - 宝塚ジャーナル
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