ダンス、ダンスの魅惑の舞台『CRYSTAL PASSION 2016~情熱の結晶~』で主演! OSK日本歌劇団 真麻里都インタビュー

2016.7.24
インタビュー
舞台

OSK日本歌劇団 真麻里都


7月に東京新橋演舞場でのレビュー『夏のおどり』を大盛況のうちに終え、ますます意気上がるOSK日本歌劇団が、「ダンスのOSK」と讃えられる劇団の中から選りすぐった精鋭ダンサーを集め、洋舞ショー2本立ての公演『CRYSTAL PASSION 2016 ~情熱の結晶~』を上演することになった(大阪・近鉄アート館にて8月27日~9月4日、東京・三越劇場にて9月9日~11日)。

「踊って、歌って、踊って、踊る!日本を夢中にさせるため、さあ踊ろう!It's SHOW&SHOW TIME」と謳われたこの公演。振付家として、ミュージカル、レビューの世界で大活躍を続けている麻咲梨乃を作・演出・振付に迎えた第1部「Higher ~空へ~」。ジャズ、シアタージャズの優れた踊り手であり、また振付家でもある三井聡が作・演出・振付を手掛ける第2部「BLACK AND GOLD」。「洋舞×洋舞」の2本立てという珍しい、そして贅沢な内容となっている。ダンスのOSKの魅力があますところなく発揮された公演になることは間違いない。

そんな作品で主演を務める、OSK日本歌劇団屈指のダンサーとの呼び声も高い男役スター真麻里都が、公演への意気込み、舞台人として目指すもの、またOSKの未来に賭ける想いまでを語ってくれた。

「ダンスのOSK」の真髄を届ける公演

──洋舞のショー2本立てという形は、近年のOSKでも珍しい構成だと思いますが、この企画はどのように?

ここ2年ほど、OSKはミュージカル公演を上演することが多かったんです。ミュージカルは作品のタイトルだけで、お客様に公演内容をイメージして頂きやすく、また若い年齢層のお客様にも多く受け入れて頂けることもあって、私達も毎公演、力を入れて取り組んで来ておりました。その一方で、私も含めて団員の中には、「もっと踊りたい!」という気持ちも多くあって、OSKには本当にダンスが大好きなメンバーがたくさん集まっていますから。今回は、その気持ちを劇団側が汲み取ってくれて、松竹座や新橋演舞場などでの「日舞×洋舞」のレビューとはまた違った、「洋舞×洋舞」のショーで、とにかく最初から最後まで踊り続ける舞台を創ろう!ということになりました。私達は入団して8年目までは、洋舞、日舞、演劇、歌唱の4つで審査される「序列試験」というものを、年に1回受けて、先輩、後輩関係なく序列が決まっていくのですが、今回は洋舞の成績の良いメンバーばかり集まりましたので、1部、2部を通して踊って踊って、お客様にレビューの楽しさ、またダンスのOSKの真髄をお見せできたらいいなと思っています。

──そうした公演でセンターを務められる訳ですが、真麻さん自身ダンスについてはどんな思いが?

ダンスは小さい頃からしていたことですし、更に言うと、私は踊りのことしか考えていない(笑)という子供でもあったので、ダンスを全面に出す公演で主演させて頂けるのは、本当に光栄で嬉しいですので、今はひたすら頑張りたいという気持ちです。

──ダンスショーの魅力というのを言葉にすると、どんなものですか?

ミュージカルとの一番の違いは、60分を通して物語が構成されているのではなく、1曲、1曲、約3分間の中にそれぞれの物語があることです。でも、最近私が感じるようになったのは、ミュージカルにしてもショーにしても物語を演じる、芝居であることには変わりはないなと。以前、南座の公演でパントマイムをさせて頂いたことがあって、その時にも思ったのですが、言葉がない中で物語を伝える、パントマイムもダンスも身体で表現する芝居なんです。ただ踊っている、ただ動いているのではなくて、3分間の物語を演じている。ですから、60分のショーの中で、次々と場面が変わり、新しい物語が観られることがショーの醍醐味だと思います。ですから、ミュージカルがお好きな方でしたら、ショーも絶対に楽しんで頂けると思いますし、そこに男役と娘役がいる歌劇独特の魅力も感じて頂けるのではないかと思います。

全く異なる世界が構築される2つのショー

──今回、第1部を麻咲梨乃さん、第2部を三井聡さんが作・演出・振付をされるということですが、それぞれの魅力を教えてください。

麻咲先生は、振付もお人柄も大好きな先生で、劇団員のことをわかってくださっていて、それぞれの良いところを引き出してくださいます。何よりも曲の捉え方が素晴らしくて、個人的にも大尊敬しています。今回もきっと先生は、出演者それぞれの持ち味を生かしてくださると思うのでとても楽しみです。三井先生は、初めて振付をしてくださった時に、コンテンポラリーが入った振りをつけてくださって、それがこれまでのOSKにはあまりないものだったので、とても新鮮でした。コンテンポラリーもバレエから来ているものですが、表現方法が異なるので、今回しっかりご指導頂き、全員がコンテンポラリーの表現も深く持てるようになれば、より幅が広がると思います。お2人の先生が全く違う世界を構築してくださると思うので、私達もとても楽しみにしていますし、お客様にも是非楽しみにして頂けたらと思っています。

──ダンスの精鋭メンバーということですが、共演者の皆さんについてはいかがですか?

『カンタレラ2016~愛と裏切りの毒薬』や『狸御殿』で共演している子たちが多くて、言うなれば勝手知ったるメンバーなんです。彼女たちがどういう表現が得意かというのもだいたい把握しているので、今回はさらに新たな面が見えるステージになったらいいなと思っています。楊(琳)と恋羽(みう)は1期下なので、きっと色々動いてくれると思いますし、皆に期待しています。

──真麻さん自身が挑戦してみたいことはありますか?

やってみたいことは色々あるのですが、もし叶うなら壮大な曲でソロダンスを踊ってみたいです。舞台上で1人だけでというのは、すごく難しいことだと思うのですが、でもだからこそ、やり遂げられた時には大きな自信にもつながるかと思うので、いつかさせて頂けたらいいなと思っています。

歌劇の世界でしかできない男役に魅せられて

──先ほど、幼い頃から踊りのことしか考えていなかったというお話がありましたが、やはり踊りたいという気持ちが、OSKを目指した動機でしたか?

そうです。母親がOSKの舞台を観ていて「ダンスのOSK」と呼ばれていることも知っていたので、それが私の舞台に立ちたいという想いと一致して、受けてみようと決めました。

──そこから男役に進まれたのは?

男役に対する憧れと、なんと言っても男役は歌劇の世界でしかできないものだというところに惹かれました。とにかく踊りが好きだったので、もし外の舞台に立っていたとしたら、たぶん女性ダンサーになっていたと思いますが、せっかくOSKに入ったのだから、歌劇でしかできない男役をやりたいと思ったんです。娘役さんももちろん素敵なのですが、私は観客の時から男役の皆さんのカッコよさに魅せられていて、自分も男役になる!と入る前から決めていたところがありました。ですから実際に今、男役として踊り、演じさせて頂いていて、充実した幸福感を感じています。

──その中で、理想としている男役像などはありますか?

男役の理想というよりも私自身の理想になるのかな?と思いますが、トップスターの高世麻央さんがいらして、桐生麻耶さんがいらして、その次に私が続かせて頂いた時に、お2人に追いつくことは絶対にできないのですが、それでも高世さんを真ん中に、桐生さんと私が両脇に立たせていただくことが、不自然になりたくないという思いが一番にあります。それが、男役を越えて舞台人としての理想です。

──新橋演舞場での『夏のおどり』の「ジャストダンス」のシーンなども、トップ3として立派に務めていましたが、やはりそう在る為の責任感ですか?

それを今、強く感じています。桐生さんと私の間には学年差もあるので、そこを埋めることはできませんが、ではその代わりに何をすればいいのか?を日々考えて精進しています。

OSK100周年に向かっての目標、そして未来

──今後やってみたい役などはどうですか?

私は、これまでミュージカルもたくさんさせて頂いているのですが、悪役や人間ではない役のほうが多かったので(笑)、外国人の普通の男性役をやってみたいです。海外ミュージカルになりますが『ミー&マイ・ガール』は大好きな作品で、主人公のビルを中心に明るい物語が構成されているので、ああいう役をやってみたいなと。

──コメディ作品がお好きですか?

好きです。『夏のおどり』のスリの場面なども大好きでした。ああいう小芝居も好きで、明るい作品がやってみたいです。タップが好きなので『雨に唄えば』も本当に好きですし、『ガイズ&ドールズ』『十二夜』なども大好きです。

──王道のブロードウェイミュージカルや、シェイクスピアですね。シェイクスピアと言えば11月~12月に上演される『ROMEO&JULIET』にも特別出演が決まっていますね。

はい。とっても嬉しく、今からすごく楽しみです。

──『カンタレラ2016~愛と裏切りの毒薬』を作られた上島雪夫さんの作・演出・振付ですから、あの時のとてもクールで素敵だったサヴォナローラ役の真麻さんとはまた違う一面が見られるか、皆さん楽しみにされていると思います。

どんな役で、どんな振付をして頂けるのかまだわかりませんが、自分なりに最大の魅力を出せるように頑張ります。

──今後ですが、OSKには100周年という大きな節目が控えていますが、そこに向かっての目標などは?

技術向上は勿論なのですが、私は歌にしても踊りにしても、表現力を身に着けたいと思っています。更に節目に向かっては下級生の層をもっともっと厚くしていかなければならないと思うので、自分にできること、どう下級生を指導し、引っ張っていけば良いのか?を、私自身が上級生から指導して頂いたことを軸に、考えていきたいです。今回の『CRYSTAL PASSION 』にも初舞台生が2人入っていますから、彼女たちにとって密度の濃いお稽古ができたらいいなと思っています。100周年を迎える頃には彼女たちが自立した舞台人になれているように、私自身も努力していきたいですね。

──では改めて、ダンス満載の舞台『CRYSTAL PASSION 2016~情熱の結晶~』に臨まれる意気込みを。

OSKは「ダンスのOSK」と名高い劇団です。出演者一丸となって、「これぞOSK!!」という舞台をお届けいたします。東京公演もありますので、「大阪のOSK日本歌劇団」を1人でも多くの方に知って頂ける機会になるよう頑張りますので、是非観にいらしてください。

まあさりと○京都市出身。06年『春のおどり』で初舞台。日舞、洋舞共に優れたOSK屈指のダンサーとして、また演技力にも優れた男役スターとしてOSK日本歌劇団次世代を牽引する主力スターの1人。13年松竹座公演『春のおどり』では、「三番叟」のメインを務め、三名の共演者と共に三面鏡に映っているとしか思えない舞を披露し、観客を驚かせた。指先にまで神経の行き届いた洋舞でも、キレの良いダンスで注目を集め、特にタップダンスを得意としている。『カルディアの鷹』『カンタレラ2016~愛と裏切りの毒薬』では、色の濃い個性的な役柄を巧みに演じ、評価を高めた。11月~12月『ROMEO&JULIET』の特別出演が控えている。

〈公演情報〉


『CRYSTAL PASSION 2016 ~情熱の結晶~』
第一部 Higher ~空へ~
 作・演出・振付◇麻咲梨乃
 音楽◇竹内一宏
第二部 BLACK AND GOLD
 作・演出・振付◇三井聡
 音楽◇麻吉文
出演◇真麻里都、楊琳、恋羽みう、愛瀬光、舞美りら、遥花ここ
翼和希、麗羅リコ、千咲えみ、壱弥ゆう、柚咲ふう、雅晴日
●8/27~9/4◎近鉄アート館
〈料金〉SS席 7,500円 S席 6,000円 A席 4,000円/学割(A席) 2,000円(小学生~大学生・専門学校生)U-25(S席)5,000円(25歳以下の方がご利用になれます)※当日券は前売価格に500円が加算されます。
〈お問い合わせ〉
OSK日本歌劇団 06-6251-3091(10時~17時)
近鉄アート館センター 0570-023-300(10時~18時)http://cncn.jp/art-kan/  
●9/9~11◎三越劇場
〈料金〉7,500円(全席指定)
〈お問い合わせ〉
OSK日本歌劇団 06-6251-3091(10時~17時)
三越劇場 0120-03-9354(10時30分~18時)http://mitsukoshi.mistore.jp/bunka/theater/  
〈OSK日本歌劇団HP〉http://www.osk-revue.com/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】
  • イープラス
  • OSK日本歌劇団
  • ダンス、ダンスの魅惑の舞台『CRYSTAL PASSION 2016~情熱の結晶~』で主演! OSK日本歌劇団 真麻里都インタビュー