人気漫画の舞台化『インフェルノ』でノエルを演じる!平野 良インタビュー

インタビュー
2016.8.22
平野 良 (撮影/大倉英揮)

平野 良 (撮影/大倉英揮)


舞台『メサイア』の原案や『魔界王子 devils and realist』などの漫画原作で人気の高殿 円と、『アルカナ・ファミリア』のRURUという豪華コンビによる漫画『インフェルノ』は、講談社ARIAで絶賛連載中だが、その作品が早くも舞台化される。

皇歴235年、かつての東京は今では"ラージ・プリズン"と呼ばれ、巨大な暗黒街と化していた。コーザ・ファミリーの御曹司・リッカ、血とワインと短剣の儀式でリッカの"息子"となり、彼の傍らに仕えるノエル。2人の血より濃い"絆"の物語が始まった……!!

親子の契りを結んだ2人と、それを取り巻く世界の抗争を描く近未来サスペンスアクション劇で、リッカを植田圭輔、ノエルを平野 良が演じる。その舞台を前に、平野 良に作品世界と役柄への抱負を語ってもらった。

平野 良 (撮影/大倉英揮)

平野 良 (撮影/大倉英揮)

リッカとノエルが大事にする人と人との繋がり、絆

──とても人気がある漫画ですが、この作品の印象から聞かせてください。

高殿(円)先生の描かれる作品は、いつもエンターテインメント性が豊かで、今回もアクションはもちろん、マフィアの抗争とか権力争いとか、男同士の闘いとか、良い意味で漫画的な要素を強く打ち出していると思います。そして、実は芯のところでは人間ドラマをすごく描いていて、先生が以前話してくださった言葉によれば、「環境が変わると人は変わってしまうのか?」ということがあって、確かに貧富の差が激しい世界が出てきたりしますから、そういうテーマを根底に置いて描かれているのだと思います。

──演じるノエル像についてのイメージは?

ノエルは正直言って、連載の今の段階ではまだ謎が多い人物で、どこの出身なのか、何を抱えているのかということなどは見えてないんです。ただ、この舞台で僕が演じることで、ノエルのその部分の可能性が狭まるのだけは嫌だなと思っていて、やはり僕がノエルを演じたからこそ生まれるものがあればいいし、今後のストーリーに広がりを添えられるように、深みを持たせて演じられたらと思っています。キャラクター的には、リッカに従順であると同時に人間らしい面もあり、深みのある人物というところだけは押さえながら演じたいと思っています。

──リッカとの関係性はとても大きな見どころですが、その他にも色々な切り口で問題を考えさせる作品ですね。どこか日本の近未来も映しているのかなと。

近未来でもあるし、今現在の発展途上国ではあり得るようなことにも思えます。同じ国だから全員がうまくいくかというと、そんなことはないわけで。そういう中でリッカとノエルが支え合って生きていく。そのシンプルで同時に奥深いテーマがとても大事だし、その根底にあるものを崩さずに、アクションなどの演劇的な見どころの中で見せていく、それが『インフェルノ』の、舞台ならではの魅力かなと思っています。

平野 良 (撮影/大倉英揮)

平野 良 (撮影/大倉英揮)

植田リッカとなら違和感なく関係性を作れる

──ノエルにとってリッカが年下でも「親」というのは、マフィア的な絆からきているのですね?

そうですね。盃を交わして「親子」の契りを結んだ仲ということで。ノエルは孤児で拾われて、リッカの「息子」に抜擢されて、最初は敬語を喋るのも恥ずかしかったのが、どこか似たような寂しい心の持ち主同士だとわかって、お互いにどうすれば幸せになるかわからないまま、探りながら一緒に生きていく。年齢とか関係なく惹かれ合って、お互いを支えていく関係なので、その間柄をいかにお客様に感じていただくか、息づかいとか鼓動で、そういう内面をうまく表現できたらいいなと思っているんです。

──そのリッカを演じる植田圭輔さんとは、何回か同じ作品に出ていますね?

ただ、『ハンサム落語』などもそうでしたが、一緒の公演には出ているのに、同じ板の上でがっつり共演するのは初めてで、お互いにそのことにびっくりしたんですが(笑)。

──稽古場などで見ていた植田さんの印象は?

負けず嫌いですね。それは自分に対してなのですが、絶対に泣き言を言わない。いつも真摯に自分に向き合っていて、もっと出来るもっと出来ると自分の可能性を信じているし、その努力を惜しまない。そういう面でとてもストイックです。でもそれを人に見せるわけでなく、すごく柔らかに周りと向き合っている。刃を自分には向けても決して人には向けない。とても信頼できる役者さんです。

──そこまで植田さんを理解している平野さんは、リッカを支えるノエルとしては最適ですね。

(笑)たぶん違和感なくリッカとの関係を作れる気がします。

──周りを固める俳優さんたちも豪華ですね。2.5次元の作品ではお馴染みの方ばかりで。

主演級の方が沢山いらっしゃいます。皆さんそれぞれ世界観を作れる方ばかりですし、なおかつ小劇場の演劇などでも活躍されていて、「ザ・演劇」の好きな方たちばかりです。そんな方々が、この『インフェルノ』という1つの世界観の中で、それぞれが個性を発揮して、作品世界をより厚みのあるものにしてくれるので、僕自身もとても楽しみです。

平野 良 (撮影/大倉英揮)

平野 良 (撮影/大倉英揮)

作品世界に忠実に、個々の役者として生き生きと

──平野さんもフィールド広く活躍していて、役柄によって劇的な変化を見せてくれる俳優さんだなと。

舞台は8年くらいになるのですが、主演をやらせていただいたりという経験の中で、次第に考え方が変化してきています。以前は自分がああしようとかこうしようとか考えていたのですが、今は、周りの方たちに形作られて役を演じてきたと思うようになりました。主演でなくても、共演者の方たちやスタッフの方たち、そういう皆さんの、例えば今回ならノエルのイメージがあって、みんながノエルを作ろうとしてくださっている。その皆さんの力に型どられて、ノエルが出来上がっていると思うんです。皆さんのそういうノエル像を引き受けるのが僕の役割りなのだと。

──引き受けるのも簡単ではないとは思いますが。

そうですね(笑)。やはり観てくださるお客様に嘘をつきたくないし、演じている僕自身も嘘をつきたくないので。それにもし僕があるイメージにこだわりすぎて、周りの世界観とずれてしまったら、お客様にこの作品世界が伝わらなくなる。ですから、まず作品世界に忠実に生きる、それをしたうえで個々の役者が生き生きできたら最高だなと。やはり作品世界をしっかり伝えることが、なによりも大事だなと思っています。

──今、まさに生き生きしている平野 良さんですが、俳優であることで一番面白いことは?

やはり毎回、作品や役柄をクリエイトできることは楽しいですね。それに僕自身は人に感情を直接ぶつけられない人間で、わんわん泣いたり、怒ったりできないほうなのですが、お芝居をしているときはそういう感情の抑制などしないで、気持ちのまま真っ直ぐに生きられるのがとても嬉しいことで、普段は出せないような感情を、芝居では生きられるのが幸せだなと。

──正直な平野 良を生きられる場所なのでしょうね。では最後に、観に来てくださる方たちに意気込みを。

原作のファンの方、そして出演する役者たちのファンの方も多いと思いますが、このメンバーなのでその期待は裏切らないと思います。アクションも楽しめますし、ビジュアルも楽しめます。カッコ良さも萌えも、考える要素もある、目にも心にも頭にも面白い作品になると思います。色々な方向から楽しめる世界があると思いますので、ぜひ期待して観にいらしてください。

平野 良 (撮影/大倉英揮)

平野 良 (撮影/大倉英揮)

ひらのりょう○1984年生まれ。神奈川県出身。1999年テレビドラマ『天国に一番近い男』(TBS)でデビュー。08年ミュージカル『テニスの王子様』に出演、以来、舞台を中心に活躍中。最近の出演舞台は、『殺意の衝動』(主演)『SONGWRITERS』『メサイア』シリーズ『ハンサム落語』『BOY BAND』『夜の姉妹』ミュージカル『さよならソルシエ』ムッシュ・モウソワール『レッド・ジャケット』ミュージカル『ふしぎ遊戯~朱の章~』ジョー&マリ プロジェクト『熱闘!!飛龍小学校☆パワード』(主演)『THE BAMBI SHOW~1st STAGE~』など。

【取材・文/榊原和子 撮影/大倉英揮】


〈公演情報〉

『インフェルノ』
原作◇高殿 円
漫画◇RURU(講談社「ARIA」)
脚本◇高殿 円
演出◇西森英行(Innocent Sphere)
出演◇植田圭輔、平野 良、藤田 玲、山内圭輔、桑野晃輔、藤原祐規、唐橋 充、中村龍介 他
●9/3~11◎シアターG ロッソ
〈料金〉プレミアム席10,800円[前方エリア・特典:非売品グッズ]、一般席6,900円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉CLIE 03-6455-4771(平日11:00~18:00)
〈公式サイト〉http://www.clie.asia/inferno/
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