あうるの街の夏まつり2016、子供たちのためのアートなお庭に大変身
東池袋にある公共ホール、あうるすぽっとでは「あうるの街の夏まつり 2016」と銘打って、演劇やダンス、パフォーマンスなど家族で楽しめる作品が7月から8月にかけてたくさん上演されている。
今年で3回目を迎え、恒例となりつつあるのが、劇場のホワイエを解放し、アーティストによる展示と関連ワークショップを行う「あうるのまちのあそびばシリーズ」だ。
あうるすぽっとが入居している「ライズアリーナビル」は、豊島区中央図書館などもあるため一般の利用者が行き来はしているが、大企業のテナントも多く、どちらかと言えばビジネスビルの色合いが強い。つまりどことなく入りにくさがあるのだ。そこで、「あうるの街の夏まつり2016」の夏休み期間(8月30日まで)、劇場が開館している時間帯は子どもたちがいつやってきても、開かれた広場としてビル2Fの劇場ホワイエを開放し、無料で自由に遊べるようにと企画されているのが「あうるのまちのあそびばシリーズ」。だからアーティストの作品が置いてあると言っても、遠目から見るだけではなく、触れたり参加したりできるようになっているのがミソなのだ。毎年3000人を超える子供たちが、期間中に遊びに訪れる。今年も子どもたちの歓声が、劇場ホワイエに響いている。ここで遊んだ体験が、次へのステップとして劇場で作品を鑑賞するきっかけにつながるのも一つの狙いだ。
作業中の本濃さん
葉っぱに虫食い穴をつくるpangさん
今年の参加アーティストは、シンガポールのpang、ダンボール彫刻の本濃研太の二人。pangはアートは生活の一部であるという考えから、ミルクや骨のイメージともつながる「白」を基調とした作品を手がけている作家。本濃はダンボール彫刻を中心にした展示や演劇・音楽とのコラボなども行っている。あうるすぽっとのホワイエでは「あうるの森」「シェイクスクピア城」を手がけた。
あうるすぽっと一階「みんないるまち」
まずライズアリーナビルを入ると、『みんないるまち』と題して、「あうるの街の夏まつり2016」で上演される作品のキャラクターたちが出迎えてくれる。ダイナミックでコミカルなタッチ、不思議な動きをした身体の躍動感が相まった、独特の味わいを漂わせる本濃のイラストが、無機質な柱それぞれに作品世界をまとわせている。ふだんはサラリーマンが足早に行き交う空間が、なんだかざわめいているようでもある。
劇場へはエレベーターで、2階に。ダンボール彫刻で作られた数羽のふくろうが、あちこちからトイレなどを案内している。そして嫌がおうにも目に飛び込んでくるのは、ホワイエ奥に鎮座する、やはり本濃の『巨大!はだかの王様』だ! エレベーターを降りた瞬間、巨大ゆえに大人の視界にはすべてが見えないけれど、視点が低い子どもにはまた違った迫力で見えるのかもしれない。「『はだかの王様』は、いまの僕の頂点の作品です(笑)。アンデルセン子供美術館の依頼で作ったものですが、とても現代を風刺していると思っています。子どもさんたちが見て、何を感じてくれるか楽しみですね。できれば怖くて泣いてくれるのがうれしいかもしれない」(本濃)
王様の首を持つ本濃さん
はだかの王様の足元にこんもり盛りあがるのがpangによる『王様はっぱが舞う季節』という、葉っぱの山。これはpangと日本のスタッフが一枚一枚まさに手作りしているもので、すべてが違った表情を持っている。数を維持するため毎日のように作られている。ワークショップでは、子どもたちがこれに自由に色をつけていくのだ。上手にできたからと持ち帰る子どももいれば、また葉っぱの山にまぜていく子どももいる。はたまた、葉っぱだけにユニーク?な使い方をするのもありだ。
「僕たちの作った葉っぱは、虫食いの感じもすごく研究して、ひとつひとつ作りました。白い葉っぱを、自由に色付けしたりしながら、自分だけの葉っぱをつくってください」(pang)。
暑い夏、涼しく過ごすために公共施設に足を運ぼうという運動もあるようだし、あうるすぽっとのホワイエで楽しく遊んでほしい。
こだわりながら葉っぱの山をつくるPangさん
「王様はっぱが舞う季節」のコーナーで遊ぶ子供たち
■日時:2016年7月15日(金曜)~8月30日(火曜)
■会場:あうるすぽっと2階 ホワイエ 他
■入場料:無料
■入場可能時間:10:00~17:00
■問合せ|あうるすぽっと Tel.03-5391-0751
■公式サイト: http://www.owlspot.jp/workshop/160717_detail.html