今週末はいよいよサマソニ! まずはサマソニの歴史をヘッドライナーで振り返る
夏フェス王道中の王道。
音楽好き、夏フェス好きのみなさんには。それぞれご贔屓のフェスがあると思う。自然派だったら朝霧やSLS等々、地方だったらモンバスやライジングサン、がっつりラウド系ならラウドパークにオズフェス、……。
数々の音楽フェスがそれぞれの魅力を打ち出し、多くの観客を集めるこのご時世。
そんな中でも、音楽に詳しくない人でも一度は耳にしたことのある、夏フェスのツートップが存在する。
ひとつは先日終わったばかりのフジロック。SPICEでも特派員を現地入りさせ、リアルタイムにレポートを展開させていただいたこのフェスは、外界から隔絶された山の中で3日間にわたって音楽漬けの毎日を送れたり、ほぼキャンプ状態の大自然と音楽の調和を楽しめたり、ときには悪天候に見舞われて逆に伝説となったステージがあったりと、多くのファンを魅了してやまない。難点を言えば、都市圏から遠いことと洋楽多めなラインナップか。3日間をフルに満喫しようとしたら、有給消化は不可避!という方も多いはずで、普段邦楽メインに聴く方にとっては渋すぎるメンツの年もある。
そんな「フジは敷居が高い」と感じる層の受け皿にもなり、フジロックからの連戦組も多く参戦するのが、夏フェスツートップのもう一方、サマソニだ。
「都市型夏フェス」を謳っているように東京・大阪の2大都市で開催され、アクセス面と手軽さはフジロックの比ではない。ラインナップも洋・邦バランスよく入り混じっており、近年ではロックのみに留まらないバラエティ豊かなラインナップで、「俺はロックが聴きたいんじゃ!」という層からは多少の恨み節も聞こえるものの、ライト層や夏フェス初挑戦にはとっても優しいのが、都市部で身近で行われるサマソニならではの魅力ではないだろうか。
そんなサマソニの季節がやってきた。『SUMMER SONIC 2015』と題され、8月の15・16日に幕張と舞洲で行われる今年のサマソニも、例年に劣らず熱く豪華なラインナップとタイムテーブルがすでに発表されている。
SPICEではサマソニにも編集部ほぼ総出で取材を敢行、会場の様子やライブアクトを、タイムリーに、そして若干の(だいぶ?)主観をもってレポートする予定である。
もちろん僕も現地組で、主に邦楽勢をレポする予定なので、「MONOEYESとRADの裏に斉藤和義」という鬼畜なタイムテーブルに泣き言を言い、夏フェスならではの贅沢な悩みと向き合っている最中。準備段階のワクワクも含めてフェスの醍醐味なのである。
そんなサマソニの、フェスの楽しさをお伝えするだけでなく、「今年初めて行く」「まだ迷っている」という方にも参考になる記事をお届けしたいということで、開催まで一週間を切った今週から、サマソニに向けた記事をいくつか書いていきたいと思う。
そこでまずは、サマソニの歴史を振り返ってみる。
とはいっても小難しいことではなく、その年ごとのヘッドライナーをご紹介、思い出に浸ったり、新たな発見をしていただき、本番へのモチベーションとコンセントレーションを高めていただきたい!という趣旨である。念のため説明しておくと、ヘッドライナーとは複数のアーティストが合同で行うフェスなどにおいて、主役を務めるアーティスト、 特にメインアクトの中の最終出演者を指す。サマソニの場合はマリンステージのトリを務めるアーティストだ。
2000年
ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン / グリーン・デイ
記念すべき第一回目。なお、この年のみ山梨で開催。今年も出演するジョンスペがヘッドライナー。コールドプレイやミューズも出演していたが、まだメインアクトではないあたりに時代を感じる。また、サマソニの帝王・グリーン・デイは第一回からヘッドライナーを務めていた。
2001年
ベック / マリリン・マンソン
この年から幕張に。王子様ベックが降臨。そして今年もマウンテンステージのトリを飾り、ソニックマニアにも出演するマリリン・マンソンも初登場。裏もプライマル・スクリームやスリップノットなど、ビッグネームがズラリ。
2002年
ガンズ・アンド・ローゼス / オフスプリング
ステージが増加、アクト数も大幅増。まさかのガンズ登場、メタルファン歓喜の年。同時にパンク系のアクトが多数出演し、その代表としてヘッドライナーを務めたのがオフスプリングだ。やはり明るいメロディック・パンクのサウンドはフェス適性高し。
2003年
ブラー / レディオヘッド
初めてがソールドアウト!活動休止前最後の来日となったブラーの姿に感動、そしてなんといっても伝説となっているレディオヘッドの「Creep」に多くのファンが涙したのがこの年。それを生で見た友人に自慢され、翌年の参戦を固く心に誓ったのがこの年(個人的感想)。
2004年
グリーン・デイ / ビースティ・ボーイズ
5ステージに増加し、邦楽勢も多く出演するようになった年。シャトルバスが走るようになったのもこの年からだそう。前年の決意を胸に筆者が初参戦したのもこの年。2度目のヘッドライナーとなったグリーン・デイに、レアなビースティとこの年も豪華ラインナップ。解散前のリバティーンズが飛び入り演奏したのが個人的ハイライト。
2005年
ナイン・インチ・ネイルズ / オアシス
USオルタナ・ヘヴィの代表格のナイン・インチ・ネイルズとUKギターロック、ブリットポップの象徴であるオアシスという非常に対照的なヘッドライナー。それ以外の出演者もスリップノットやウィーザー、カサビアンなどが名を連ね、ラウドファンもUKファンも大満足の年。
2006年
メタリカ / リンキン・パーク
前年とは打って変わって、両日ともラウドなヘッドライナーとなった年。もともとラウド系・パンク系の出演者が多めのサマソニの中でも相当ゴリゴリな顔ぶれであった。ちなみに若き日のアークティックが初登場した年でもある。そして翌年……!
2007年
ブラック・アイド・ピーズ / アークティック・モンキーズ
前年デビューしたばかりのアークティックがなんとヘッドライナーに大抜擢!!2年目、21歳でのヘッドライナーは未だに破られていない記録である。また、ブラック・アイド・ピーズがヘッドライナーを務めることで、より一層サマソニの「ロック」に限らない側面が色濃くなった。
2008年
ヴァーヴ / コールドプレイ
UKファン、そしてオールドファン歓喜の年。ついに初来日となったヴァーヴ、名実ともにトップクラスとなったコールドプレイをメインに、ポール・ウェラー、ジザメリ、さらにはピストルズまで!リアルタイムで経験できなかったビッグネームのステージが観られるのもまたサマソニの魅力である。
2009年
マイ・ケミカル・ロマンス / リンキン・パーク / ビヨンセ
10周年記念イヤーということで、初の3日間開催となった年。総勢180組以上という凄まじい規模で行われた。勢いに乗る若手代表マイケミと2度目のリンキン、そして意外すぎるビヨンセという顔ぶれはまさに豪華!他にもB'zが出ていたり、深夜枠にレディー・ガガが出ていたりしたのもこの年。
2010年
ジェイ・Z / スティービー・ワンダー
前年のビヨンセも驚きだったが、この年のヘッドライナー2組にもビックリ。なんせいわゆる「ロック」ではないジャンルのアーティストである。ただリンキンらとのコラボを果たしているジェイ・Zや、ロック畑のアーティストにも多大な影響を与えるスティーヴィーというメンツはよく考えれば納得。そしてしっかり日本の「ロック」代表、YAZAWAがキメてくれた。
2011年
ストロークス / レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
名実ともにロックシーンを代表する存在でありながら、これまでヘッドライナーになっていなかった(意外!)2組が登場した年。どちらかというとフジロックに出ているイメージの両者だが、この年のサマソニは前年とは打って変わってロック色を強く打ち出してきた。X JAPANの出演も記憶に新しい。
2012年
グリーンデイ / リアーナ
さきほどサマソニの帝王と書いたが、3回目のヘッドライナーとなったグリーン・デイ。円熟味を増したエンターテイナーぶりとしっかりパンクロックしている部分のバランスはやっぱり絶妙。そしてもう一組は若き歌姫・リアーナ。ロックと他ジャンルが違和感なく同居するサマソニらしさがここに極まれりといった年。
2013年
メタリカ、リンキン・パーク / ミューズ、Mr.Children
ダブルヘッドライナーという試みがなされた、この年。言わずもがなメンツは超豪華!そして日本のアーティストとしてヘッドライナー扱いとなったのがミスチルである。ただでさえメインの裏も豪華で悩ましいサマソニにおいて、メイン級が2組づつ出るというのは大変なことであったし、メイン会場でも陽の高いうちからスマパンが出るという何やら凄いことに。
2014年
アークティック・モンキーズ / クイーン&アダム・ランバート
まだ記憶に新しい去年。前回のヘッドライナー時と比べて、見た目も音もグッと風格を増して帰ってきたアークティックと、アダム・ランバートを加えてついにステージに立ったレジェンド、クイーン。新旧のスターがメインを務めたこの年は、さながらロック史そのものを観ているかのようだった。
と、サマソニ15年間の歴史、と一言で言うのは簡単だが、書いていて途中で心が折れそうになるほど濃密で、様々なアクトによる様々なステージで彩られてきた。まだ体験していない方も、久々の方も、皆勤賞の方も、ぜひ足を運んでみてほしい。今年のサマソニは今年しか観れないのである。
2015年のヘッドライナーは、ケミカルブラザーズとファレル・ウィリアムス。どちらも初のサマソニでのヘッドライナーだ。
もちろん、彼ら以外にもラインナップは魅力的なアクトばかり。
きっとまた胸を打たれるシーンや熱く燃え上がるシーン、のちのち伝説として語られるシーンがたくさん、たくさん生まれるに違いない。
だから、今年も僕らはサマソニに足を運ぶのだ。