後世に残したい名作ゲーム第3回 RPGのスクウェアとアクションの任天堂が見事な融合を果たした「スーパーマリオRPG」

コラム
アニメ/ゲーム
2015.8.12
 ©1995 Nintendo/SQUARE ENIX CO.,LTD

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8月6日 wiiU版バーチャルコンソール配信開始

 人は皆誰しも生きていく上で究極の選択を迫られる瞬間があります。私にとってのそれは、発売日が近かった「スーパーマリオRPG」と「星のカービィスーパーデラックス」のどちらを買うかということでした。任天堂のゲームが大好きな私としては、どちらも大変魅力的なタイトルなため、正直どちらも諦めきれませんでしたが、当時小学生だった私にはスーパーファミコンのソフトは高い買い物で、どちらかを諦めざるを得ませんでした。結局私が選んだのは、2週間ほど早かったマリオRPGでしたが、その後、このゲームにドハマりした私は、1年に1度くらいのペースで再度プレイし、気づけばこのゲームとも20年来の付き合いとなりました。ちなみに後ほど友人が「星のカービィスーパーデラックス」を購入していたため、どちらもすぐにプレイ出来ました。持つべきものは友人ですね。

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 というわけで、第3回のテーマは、私にとって思い入れの深いスーパーファミコン用ソフト「スーパーマリオRPG」です。本作は1996年に任天堂から発売されたアクションRPGで、任天堂とスクウェアが共同開発したタイトルした、マリオシリーズとしては初の大きなストーリー性を持ったゲームです。「マリオストーリー」や「マリオ&ルイージRPG」などその後のマリオ系RPGシリーズの基礎になった作品といえるでしょう。そんな本作の魅力を紹介します。

全編明るくコミカルに展開するストーリー

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 本作は冒頭こそクッパがピーチ姫を誘拐し、それをマリオが助けに行くというマリオシリーズの王道展開ですが、城の中に謎の巨大な剣型の侵略者が襲来し、皆がバラバラに飛ばされてしまうという普段のマリオとは少し異なった展開で、シリーズとしてはかなり珍しい、クッパ以外の存在が敵になっています。それどころか、中盤からはその宿敵クッパ、そしてピーチ姫とも一緒に冒険することになるという、かなり異質の展開を見せています。宿敵同士が手を組んで、より強大な敵と戦う展開は、マンガではよくあるややベタな王道展開ではありますが、それをこのマリオシリーズという、お約束があまり破られることが少ない世界で見られたことは嬉しく、胸熱な展開だといえると思います。また、クッパやピーチといったキャラクターの細かな描写は、アクションゲームだったいままでのマリオシリーズでは描かれておらず、このゲームで初めて描かれました。それが、この後の作品のクッパ像に大きく影響しています。実際に後に販売した「スーパーマリオ64」や「スーパーマリオサンシャイン」におけるクッパのしゃべり方は、かなり近い口調になっています。

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 本作のストーリーは、全編通してコミカルに描かれ、登場キャラクターも全体的にギャグキャラ的なキャラクターが多めです。特に、空から飛んできたピーチを運命の花嫁と勘違いして求婚するブッキータワーの主ブッキーや、沈没船に君臨する男の中の男ジョナサンなどは、プレイヤーに強い印象を残していくことでしょう。また本作の敵集団であるカジオー軍団にしても、かなりの悪事を働きながらも、どこか憎めない部分を持っている敵が多く、敵味方関係なく、新しい人物に出会うことが楽しみになります。

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 また、本作のマリオはなぜか一言も喋らず、全てをジャンプやアクション、時には変身能力を駆使して身振り手振りを駆使して会話するさまはとても愉快で、さながら伝説の番組「Mrビーン」を思わせます。特に、仲間が全員揃った後の5人協力しての演技などは、本作の大きな見所の一つでしょう。クッパがマリオに協力して、マリオにおもいっきり踏みつけられるシーンは必見です。

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マリオらしく、アクション要素をうまく活かしたフィールド

 本作のジャンルはアクションRPGですが、基本的にはRPGで、ゼルダの伝説のような通常言われるようなアクションRPGではありません。ですが、戦闘やダンジョンなど、あらゆるものにアクション要素が盛り込まれているため、アクションRPGということになっているのだと思われます。

 そんな本作の戦闘は、フィールドの敵に触れると戦闘に入るシンボルエンカウントのコマンド選択式ですが、攻撃や防御時にタイミングよくボタンを押したり、特定のコマンドを入力すると効果が上がるアクションコマンドという、独特のシステムを採用しています。このおかげで、戦闘中に漫然とコマンドを選択するだけではなく、アクションコマンドの成否で状況が変わってしまうため、戦闘に緊張感があり、作業感を軽減しています。ただし、ボス戦などの厳しい戦闘では、そのせいで全滅することもあるので、その点はアクションが苦手な人には厳しく感じるかもしれません。

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 その他、相手を倒すとたまに倒したキャラクターがボーナスをもらえたり、戦闘終了後に入手経験値やお金が0~2倍になるギャンブルに挑戦出来たりと、戦闘に変化をもたせ、作業にならないように工夫されているといった印象です。

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 また、本作のフィールドは高低差のある3Dで構成されています。その中で、ダッシュやジャンプといったアクションも可能で、これを駆使して動く足場やスイッチなど、各ダンジョンに用意されたギミックを駆使して先に進む、従来の任天堂らしいアクションも楽しめます。

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合間に用意された豊富なやりこみ要素とミニゲームの数々

 アクション要素が多めの本作ですが、冒険の合間にはアクション要素を含めたたくさんのミニゲームが用意されていることも大きな特徴です。これがなかなか面白く、また、繰り返し遊ぶことが出来る他、それらの結果が記録されるため、つい冒険そっちのけで遊んでしまう魅力があります。

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 このミニゲームの中で、私の個人的なオススメは、「バクレツカブトムシ」です。バクレツカブトムシは、物語をある程度進めると、キノコ城の城下町の宿屋に住むゲーム好きの少年から購入できるゲームで、カブトムシを操作し、星を発射して空から甲羅を撃ち落とすゲームです。甲羅は破壊するときに一定範囲を巻き込む特性があり、それで他の甲羅を巻き込むと得点がアップします。このまとめて甲羅を破壊するのがとても気持ちよく、何度でもプレイしたくなる妙な中毒性があります。999コインしか持てないこの世界で500コインという、決して安い買い物ではありませんが、とても面白いため、強く購入をオススメします。ゲームの進行が著しく遅れること間違いありません(笑)。プレイする際は、あまり甲羅を溜めすぎて自分が甲羅の破裂に巻き込まれないように注意しましょう。

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 その他に、このゲームにはいたるところにやりこみ要素が散りばめられていることが特徴です。例えば、特定の条件を満たすと戦える隠しボスの存在や、あるダンジョンに隠されて隠しカジノ、世界中に散りばめられた隠し宝箱の存在。必殺技のウルトラジャンプ(タイミングよくボタンを押すと、最大100回まで攻撃できる)で100回を達成するとアイテムがもらえるなど多岐にわたります。それ以外にも、色々な隠し要素やおまけなどがあるため、全て探し出してみるのも面白いかもしれません。特に、隠しボスはBGMがFF風味になるほか、世界観が完全にマリオではなく、FFのそれになるため、一度あってみることをオススメします。ただし、その強さはラスボス並かそれ以上になるため、戦う際は事前にしっかり準備しましょう。

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再び奇跡のコラボはなるのか?

 このように、スクウェアと任天堂の各ジャンルのスペシャリストが集まり、傑作RPGとなったのがこの「スーパーマリオRPG」です。ですが、後にプレイステーションにまつわる騒動で2社の関係が悪化したため、本作のようなコラボはもう無いだろうと言われてきました。ですが、今日になって、「マリオバスケ3on3」など、2社が再び協力したソフトも販売されており、以前よりは続編の可能性は見えてきていると思います。あの「シェンムー」の続編が発表されるなど、かつての名作のまさかの続編発表がゲームファンを沸かせた昨今、かつて皆が諦めた2社が協力した「スーパーマリオRPG」の続編の登場もありえるのではないでしょうか。そんな日が来ることを、私は心待ちにしています。

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