片岡愛之助「今回はパワーアップしたフラメンコを」 十月花形歌舞伎『GOEMON』製作発表レポート

ニュース
2016.9.4
十月花形歌舞伎「GOEMON」石川五右衛門/片岡愛之助

十月花形歌舞伎「GOEMON」石川五右衛門/片岡愛之助

画像を全て表示(3件)

新橋演舞場十月公演は、『GOEMON 石川五右衛門』が上演される。『GOEMON 石川五右衛門』(水口一夫作・演出)は、2011年に徳島県で初演され、誰もが知っている稀代の大泥棒・石川五右衛門が、実はスペインの宣教師の血をひくハーフで、 フラメンコも踊れるという奇想天外な設定が話題を呼び、今回、東京にて待望の初上演となる。 

五右衛門を演じるのは、初演からお馴染みの片岡愛之助。 そして、タッキー&翼の今井翼が五右衛門の父、カルデロン役と、今回新しく登場する霧隠才蔵役との二役を演じる。愛之助と今井翼が再び歌舞伎で競演する注目の舞台でもある。そして、豊臣秀吉役に昨年上方歌舞伎の大名跡を襲名した中村鴈治郎をはじめ、 出雲の阿国役に中村壱太郎、加藤虎之助役に中村種之助、 石田局・名古屋山三役に上村吉弥、小早川隆景役に中村寿治郎という配役も非常な豪華だ。また、五右衛門のキーポイントでもあるフラメンコは気鋭のフラメンコ舞踊家・佐藤浩希が担当。

8月30日に行なわれた製作発表と囲み取材には作・演出の水口一夫と、五右衛門役を演じる片岡愛之助が登壇した。

■製作発表にて
作・演出:水口 一夫
この『GOEMON 石川五右衛門』は今までに4回も上演させていただく作品となりました。今回の東京では、前回よりさらにパワーアップした本作を皆様にお見せしたいと思っております。宣教師・神父カルデロンと、明智光秀の家臣の娘・石田局との間にできた子どもが石川五右衛門という設定です。石川五右衛門の師匠に当たる人が赤毛であったというところから、“赤毛の五右衛門”をやりたいなと前から思っていました。本当に良い舞台が出来上がったと思っております。フラメンコで歌舞伎の舞台を一度やりかけたことがあったのですが、できなくなった経緯があります。それも何とかここで実現する事ができました。

石川五右衛門 役:片岡愛之助
『GOEMON 石川五右衛門』の上演は4度目で、最初はシスティーナ歌舞伎でつとめさせていただき、どのように作っていこうかと水口先生と話し合いをしてきました。今、初めて聞いた事もありました(笑)。ハーフの五右衛門なら髪は赤い方がいいんじゃないかと提案して、本当に楽しい話し合いの中からできあがった作品です。システィーナ礼拝堂の中で作られた作品なので、これをいわゆる芝居小屋(舞台)にかける時に、大道具をしっかりと組んでやった方がいいのか、抽象的な舞台で回した方がいいのかという難しさもありました。

そして色々な経緯から、今井翼くんに出ていただくことになりまして、今回東京で再演ということになりました。とても嬉しく思っております。翼くんに出てもらうのであれば、二役やってもらいたいと思っておりました。前回の公演では一役だったので「もう一度やるときは、ぜひ二役やってよね」と話をしていましたら「ぜひ今回はやらせていただきたい」という力強いお電話が翼くんからありまして、先生に相談しました。彼の魅力を活かした上での配役、霧隠才蔵でございます。あまり話すとネタバレになってしまうので、見てのお楽しみということで。私も、暫く大河ドラマや時代劇に出させていただいておりましたので、久しぶりの東京での舞台でございます。力一杯つとめたいと思います。


■囲み取材にて

――大阪公演との違いは? 

水口:今回は、翼くんに二役で参加してもらうということです。 本来、翼くんの役は愛之助さん扮する五右衛門のお父さんである神父の役なので、成人した愛之助さんと接点が無いんですよね。顔を合わせる場面を作るのが難しく、でも顔を合わせるシーンが無いとお客様も満足しないだろうと思いまして、 霧隠才蔵役を加えて芝居を作らせていただきました。これが一番大きな違いだと思います。 
 

――赤毛の五右衛門は、どんな印象になるでしょうか。 

片岡:普通の五右衛門とは設定が違いますし、設定が違う中で初めて歌舞伎をご覧いただくお客様にも、普段から歌舞伎を見てくださっているお客様にも楽しんでいただけるように、色々なところに歌舞伎のパロディーの部分が入っておりますので、この作品は未完成です。 

想像の部分を残しているアンフィニッシュ。そういうところは芸術にとって大切だと思っていますし、歌舞伎は特にそのようなところが多いんです。「この後はどうなっているんだろう」これはお客様が想像する部分です。盗賊である五右衛門が、歌舞伎を始めたという出雲の阿国に芸のことを話したり、芸を教えたり。そもそも出雲の阿国と会うというのもあり得ない設定なのですが、そういった部分も面白みがあるのではないかと思います。 

――40年前からフラメンコで歌舞伎をと思ったとの事ですが、両方に通じる何かがあったからなのでしょうか。

水口:昔、スペインを旅した時にフラメンコの踊りを見ました。土着的な匂いというものを感じたんです。フラメンコの音のイメージというのが、太棹と共通することを感じましたので、これで歌舞伎をやったらできるんじゃないかなと考えていました。 そんな思いがあって、今回の『GOEMON』にフラメンコを取り入れさせていただきました。
 

――『GOEMON』はシスティーナ歌舞伎から生まれたものですが、関西での活動から東京での上演となったことについてと、新橋演舞場での座頭として公演をする思いを教えてください。 

片岡:私は、そもそも歌舞伎の家に生まれた人間ではないので、歌舞伎に入れていただいたのは父の秀太郎とのご縁です。 私が入った学校は十三世片岡仁左衛門学校であり、片岡秀太郎学校です。その師匠の背中を見て育ってきましたので、上方歌舞伎を愛する、大切にするということを一番として、今も学んでいる最中でございます。

江戸歌舞伎も大好きですし、出させていただくのですが、やはり関西から何かを発信したいという思いが常々ございました。そういう意味合いですと上方の方で生まれて育ってきた作品が、江戸(東京)に来てお芝居をかけられるということは、関西人の私たちにとりましては、とてもありがたいですし、嬉しいことでもあります。

そして座頭ということは、あまり意識していないです。例えば主役であっても、脇役であっても、セリフが1つしかなくても、役というものを好きにならないと務まりませんし、どの役に対しても愛情は一緒です。「座頭」と皆さんから言われると「そうなのか」というくらいで、あまり気負っておりません。

他の舞台を拝見させていただくと、「この一座すごく仲が良いんだな」というのが伝わって来るお芝居もあれば、「あそことあそこは仲悪いのかな?」と感じることもあります。僕個人の考えとしては、ただ楽しいだけではなく、それぞれ自身が役を膨らませていける余裕を作ってあげるのが座頭の仕事じゃないかなと思いますので、そういったところを務めながらも、自分自身の芝居をやっていきたいと、掘り下げて役づくりに励んでいきたいと思っております。 
 

――これまで愛之助さんと翼さんは親子で踊るシーンもありましたが、今回は違う絡みということで霧隠才蔵とは、どんな見せ場を期待していいでしょうか。

水口:今回は、五右衛門と霧隠才蔵が古い友人だったという設定です。 実は敵味方に分かれてしまうのですが……これ以上言うとネタバレになってしまいます(笑)。あまり派手なシーンはないのですが、古典歌舞伎の手法を使いながら場面を作っていきたいなと思っております。 

片岡:基本的に親子なので、同じ板の上に立つ事があり得ないのですが、うまい具合に夢のシーンでフラメンコをしているという場面をやらせていただきました。が、もっと色濃いシーンになると思います。 
 

――和洋折衷のような作品なので、少し変わったイメージがありますが、愛之助さんはどのように考えていますか? また、フラメンコは実際にやってみていかがですか? 

片岡:歌舞伎をご覧いただいたことのない方は特に、古典歌舞伎だけを歌舞伎と思っていらっしゃる方が多いと思います。 歌舞伎には色々なものがありまして、先輩たちから教わってきたものを後者へ繋いでいくのが古典芸能ですし、100年前のものを復活させた復活歌舞伎や、三谷幸喜さんに本を書いてもらうような新作歌舞伎。今回のようなコラボレーション歌舞伎など、色々なものがありまして、それを“歌舞伎”と言います。 

もちろん今回の作品も当然歌舞伎で、色々な歌舞伎があっていいと思っております。その昔、最先端のことをして傾いている人たちがカブキ者から歌舞伎になったわけですから、傾くという精神を忘れずに。中村屋の兄さん(十八世 中村勘三郎)は、そういうところにも力を入れられていて、私もコクーン歌舞伎などを拝見させていただいております。やはり傾くという楽しみが大事だと思うんです。

フラメンコは最初、かけ離れた対極にあるものだと思っていました。 フラメンコ舞踊家の佐藤(浩希)先生に1から教えていただいて……。喜怒哀楽を足でダダダッと踏んであらわす表現の仕方が、歌舞伎が生まれでて来た出雲の阿国が踊っていたという念仏踊りもそうですが、そういうところが共通している部分かなと思ったことがひとつ。

また、フラメンコは頭の位置を動かさずに足を動かす、いわゆる僕らの言葉でいうと“足拍子”と言いますが、ダカダカダカと踏みならしながら移動します。最初はそれが出来るようになるのが大変だと先生がおっしゃっていたのですが、僕らにとっては頭の位置を動かさずに歩くのは基本中の基本なんです。日本舞踊でいう腰を落として歩くということですね。そして足拍子というものもある。

歌舞伎とすごく共通点がすごくあるなと思いました。「これは、いいんじゃないか」と思って勉強し始めて、でもやっぱり深くて、そんなに簡単なものじゃございません。 色々な掛け声や手の振りが入ると難しくて、日々勉強です。今回はパワーアップしたフラメンコになると思います。私も楽しみしております。

パワーアップしたフラメンコに注目

パワーアップしたフラメンコに注目


 
公演情報
十月花形歌舞伎「GOEMON」石川五右衛門

日程:2016年10月3日(月)~27日(木)
会場:新橋演舞場

作・演出:水口一夫
出演:片岡愛之助/今井翼

 
シェア / 保存先を選択