THE ORAL CIGARETTES、アルカラ、ココロオークションらが集結し幕を開けた『KANSAI LOVERS 2016』初日をレポート

SPICER
『KANSAI LOVERS 2016』 撮影=キシノユイ

『KANSAI LOVERS 2016』 撮影=キシノユイ

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KANSAI LOVERS 2016
2016.9.17(sat) 大阪城音楽堂

ライブハウスに足を運んでもらうキッカケになって欲しいという願いから、関西のライブハウスのスタッフが中心となり開催された、今年で9回目を迎える『KANSAI LOVERS 2016』。2日間にわたり大阪城野外音楽堂で開催されたこの『KANSAI LOVERS 2016』は、関西にゆかりがあり、ライブハウスが大好きで、ライブハウスで育ってきた22組のアーティスト達が集結する野外フェスである。これからの音楽シーンを築く若手アーティストから数々のライブをこなしてきたベテランアーティスト達が熱いライブを繰り広げ、それぞれのバンドがライブハウスや音楽に対する熱いメッセージを残した『KANSAI LOVERS 2016』の初日のライブレポートをお届けする。

Rick Rack

青く光る照明の中、それぞれがステージに登場し楽器を構えると、『KANSAI LOVERS 2016』の幕開けの1曲目となった「ソルジャーガールズ」が演奏される。NATSUKI(Dr)から生み出されるトリッキーなドラムのリズムパターンに、SERINA(Vo/Gt)の激しく鋭いギターリフと力強い歌声がのった楽曲で、序盤からオープニングアクトとは思えぬ盛り上がりをみせる。

SERINAが「奈良からやってきました! トップバッターとして盛り上げていきたいので宜しくお願いします」と笑顔を見せ、次に演奏されたのは、ムーディーな雰囲気が漂う「夢追いバク」。演奏中に見せる凜とした立ち振る舞いと、Rick Rackが作り出す世界観にドンドン引き込まれ、曲が終わるごとに観客からはオープニングアクトながらも大きな拍手が送られていた。“次はライブハウスで会いましょう”というメッセージと共に最後の曲「ballOOn」を演奏し、次のアーティストへのバトンを渡しステージを後にした。

Rick Rack 撮影=キシノユイ

Rick Rack 撮影=キシノユイ


 

THE ORAL CIGARETTES

サウンドチェックの時点で、THE ORAL CIGARETTESのライブ開始を待ち望む観客で客席は隙間もないくらいに埋まっていた。SEが流れると、手拍子と割れんばかりの歓声の中メンバーがステージに登場し、山中拓也(Vo/Gt)が「Rick Rackから受け継いだバトンしっかりもらいました。かかってこいよ!」と言い放つと、四つ打ちのリズムと耳に馴染みやすいメロディーのリフレインが印象的な「大魔王」が演奏される。ライブでは恒例となっている、あきらかにあきら(Ba/Cho)が、大きく足を振り上げながらベースを弾くという派手なパフォーマンスをみせ、会場をさらに沸かせた。

曲中コールアンドレスポンスで煽り、会場のテンションと一体感を高め、演奏を終えると間髪入れず「STARGET」が始まる。「タオル回すぞー!」の合図で一斉にタオルを振り回す観客。独特な歌い方とTHE ORAL CIGARETTESの世界観を感じさせる楽曲を次々と披露し、最後の曲には「狂乱 Hey Kids!!」が演奏され、観客の心を鷲掴みにした。“関西が好きで、ライブハウスも好き”そんな思いをみんなと共有したいという強いメッセージとTHE ORAL CIGARETTESのライブの楽しさを全力で伝えた全6曲のライブだった。

THE ORAL CIGARETTES 撮影=ギン

THE ORAL CIGARETTES 撮影=ギン

THE ORAL CIGARETTES 撮影=ギン

THE ORAL CIGARETTES 撮影=ギン


 

SABOTEN

毎年9月に同会場で主催イベント『MASTER COLISEUM』を開催しているSABOTENが、今年は『KANSAI  LOVERS』へ初出場ということもあり、登場から気合十分。キヨシ(Vo/Gt)が「初めまして! MASTER COLISEUMからやってきましたSABOTENです!」と言い放つと、野外というロケーションにぴったりな「青空」から始まった。続けて畳み掛ける様に「インターネットヒーロー」テンポの速いナンバーの「サークルコースター」が演奏され、会場のボルテージを上げていく。

「新曲をやります!」というMCを挟み、サビで手を左右に振って欲しいと、振り付けを観客にレクチャーすると「終電ベンチ」が演奏され、サビ部分では気持ちが伝わったのか、客席からたくさんの手が上がり、その手が左右に振られていた。キヨシが「俺らはまだ目指す目標があるし、まだみんなと遊びたいから音楽を続けています。だから最後はみんなで踊っていこうぜー!」と伝えると、最後の曲「way zoo way」を演奏し、観客からは暖かい拍手が送られ、最高にピースフルな空間を作りあげていた。野外でのライブにも関わらず、今回のイベントの趣旨でもある“ライブハウスの楽しさ”を全身全霊で伝え、感じさせてくれた。

SABOTEN 撮影=キシノユイ

SABOTEN 撮影=キシノユイ

キヨシ(Vo/Gt) 撮影=キシノユイ

キヨシ(Vo/Gt) 撮影=キシノユイ


 

ラックライフ

ステージに登場したPON(Vo/Gt)が手をあげると、綺麗な透き通った音色のギターでコードを奏で、ゆっくりと歌い始めた。少しのブレイクを挟み「行くよ」と囁くと、何かが爆発したかのように、バンドから放たれた音の塊がスピーカーから流れる。1曲目の「変わらない空」から最高潮のテンションでライブが始まり、間髪入れず跳ねるようなビートが印象的な2曲目「フールズ」が演奏された。

MCではPONが「楽しい方がいいし、笑っていた方が得だから、みんなで楽しめる曲やっていいですか!」と言うと、TVアニメ『チア男子!!』の主題歌でもある、「初めの一歩」が演奏され、会場は笑顔と手を挙げる観客で溢れた。PONから「歌を作るときは誰かに手紙を書くように作ります」というMCがされ、最後の曲はメロウな曲調の「名前を呼ぶよ」が演奏された。いつも音楽が心のそばにいて背中を押してくれる、そんな気持ちにしてくれた、激しくもあり心温まるラックライフのライブパフォーマンスであった。

ラックライフ 撮影=ギン

ラックライフ 撮影=ギン

ラックライフ 撮影=ギン

ラックライフ 撮影=ギン


 

LEGO BIG MORL

1曲目は「RAINBOW」。幻想的なギターのサウンドと、ビター・スウィートで滑らかなメロディーに乗って<Show me rainbow after the rain>というフレーズが繰り返され、大阪城野音を色鮮やかな音の虹で覆う。そして、結成10周年を記念してリリースされたベストアルバム『Lovers, Birthday, Music』に収録されている新曲「Blue Birds Story」へ。虹が晴れ、射す光に導かれるような音像が実に美しい。続く「Wait?」では、ファンキーかつ疾走感もあるタフなビートを軸としたフィジカルの強さで、自ら築きあげた理想郷を壊すように、場内を掻き回す。そしてアサカワヒロ(Dr)が立ち上がり、力強くキックを四つで刻み、次への期待感を煽って「Strike A Bell」へ。そこで再構築された世界はまるで宇宙。そのなかで思い思いに踊る観客の姿が印象的だった。

MCでは、タナカヒロキ(Gt)が「『KANSAI LOVERS』に帰って来られて嬉しいです。ありがとうございます。カンラバほど、舞台の袖にバンドマンが集まるフェスはないと思います」と、関西のライブハウス主導で、地元にゆかりのあるアーティストばかりが出演するこのイベントの魅力を語りつつ、その袖を指して「アルカラのタイ兄(稲村太佑)の“おもろいこと言え”オーラが。去年のやつが面白かったらしい。今年は……、(再び稲村太佑の方を見て)34点!」と笑いを取る。最後はバンドを結成して初めて作った曲「ワープ」を披露。堺や大阪市内のライブハウスで、両手で数えられるくらいの観客の前で演奏するところから始まり、ラジオなどでパワー・プレイされるまでなったナンバーで、華麗に締めてくれた。

LEGO BIG MORL 撮影=キシノユイ

LEGO BIG MORL 撮影=キシノユイ


 

セックスマシーン

ステージに機材がセッティングされ、入念なサウンドチェックを終えると森田剛史(Vo/Key)が「今から30分間宜しくお願いします!」と言いステージを去っていった。程なくして、SEでは映画『2001年宇宙の旅』のテーマ曲が流れ、先ほどまで綺麗なジーンズを履いていた森田剛史が、本番のステージではボロボロのジーンズで登場。「音楽やろうぜ!」とマイクを掴んで叫び、「サルでもわかるラブソング」という名の通り、<おれ、おまえ、好き!>という歌詞を全力で連呼する。ステージを目一杯使い、動きまわり跳ねるロックなパフォーマンスと、時間が無いといいながらも長いMCを行い面白いトークを繰り広げ、エンターテインメント性たっぷりのステージングに、観客は汗をかき全力で楽しんでいる。途中、客席後ろにある建物の一番上に登り、コールアンドレスポンスを煽る場面も。

森田剛史が「ここは音量制限があるけど、みんなの声に関しては音量制限がないんだぜ!」と言い放ち、客席からは今日一番とも言えるほどの歓声が上がり「今、みんなは世界で一番かっこいい職業の“ロック歌手”になれたんだぜ!」と観客に伝え、客席をかき分けステージに戻る。『KANSAI LOVERS』はアーティストの出演順が非公開なのだが、トリのバンドをうっかり言ってしまうというハプニングが起き(笑)、その場で土下座の謝罪をするも、会場からは笑いの渦が起きる。やってしまったというハプニングをこういった雰囲気に変えてしまうのは、彼特有の愛嬌からくるものなのだろうか。最後は、「新世界へ」を全力で歌い上げ、熱すぎるほどのセックスマシーンのライブを終えた。唯一無二のエンターテインメント性に度肝を抜かれっぱなしのあっという間の30分間のショーであった。

セックスマシーン 撮影=ギン

セックスマシーン 撮影=ギン

セックスマシーン 撮影=ギン

セックスマシーン 撮影=ギン


 

SHE’S

大阪は吹田市で結成、この6月にメジャーデビューを果たした4人組SHE’Sが『KANSAI LOVERS』に初登場。地元のライブハウスで力を付け、夢への階段を上がっていくアーティストたちの凱旋の場という意味では、ようやくひとつの大きなスタートラインに立ったばかりの彼らに、注目が集まる。1曲目はメジャーデビュー・シングル「Morning Glow」。ロックバンドのダイナミズムと井上竜馬(Key/Vo)が弾く繊細で伸びやかなピアノ、突き抜けたメロディーラインが溶け合う、名刺代わりに相応しい彼らならではのサウンドが響き渡る。続く「Change」では、そのピアノが鳴らなくなったトラブルもなんのその、迷うことなく持ち場を離れステージ前方に乗り出した井上が、「もっとくれ」と観客の手拍子を煽る。

「去年も一昨年も遊びに来ていた『KANSAI LOVERS』にようやく出ることができました。ピアノが鳴らなくなりまして、ここからはギターなんで安心してください」とトラブルを力に変え、アコースティック・ギターを持ち、「この曲を野外でやるのを楽しみにしていました」と「Un-science」へ。音源ではピアノとストリングスが引っ張る曲だが、アコギが前面に出たときのフォーキーでハートウォーミングな質感もまた良し。「みんな俺のあとに続いて歌ってください」と「Wow Wow」の大合唱。フレーズのパターンを変えても、彼らとファンを中心に、伝わり広がっていくコール&レスポンスの美しさは感動的だった。「これまでは地元の先輩、ラックライフを観に来てたんですけど、関西のバンドやし、『KANSAI LOVERS』に出るのは目標でした」と井上が再度この日への思いを語り、最後は「Curtain Call」へ。エレキ・ギターの開放的なコード進行と共に響く熱いメロディーを、最後はマイクも通さず生声で歌うエモーショナルなフィナーレを飾り、大きな爪痕を残した。

SHE’S 撮影=キシノユイ

SHE’S 撮影=キシノユイ


 

GOOD 4 NOTHING

フロントマン3人が楽器を高く持ち上げて登場し、爽快で心地よいテンポの楽曲の「J.C」が1曲目に演奏された。観客はリズムに合わせ飛び跳ね、客席が大きな波が起こったかのように揺れる。古くからの楽曲である「It’s My Paradise」では、客席でモッシュとダイブが始まり、馴染みのある曲をシンガロングする。U-tan(Vo/Gt)の「みんな音楽は好きかー! みんなで踊ろうぜ!」と言うMCとともに、アッパーチューンの「STOMPING STEP」が演奏され、U-tanがステップを踏みながらステージを縦横無尽に動きまわり観客を煽る。踊らずにはいられないこの楽曲では、座っていた観客も思わず立ち上がり手を挙げ、体を揺らしライブを楽しんでいる。観客と一緒に作り上げるライブの流れや、パフォーマンスの貫禄は、さすが数々のライブを経験してきただけあり圧巻である。

MCでTANNY(Vo/Gt)がたこ焼きを食べながらU-tanと会話を交わし、関西を感じせるそのラフな姿に客席からは笑いが起きていた。MCが終わり、TANNYがギターでコードをかき鳴らすと、ゆっくりと最初のワンフレーズを歌い上げ、最後の曲「Cause you’re alive」が始まる。客席では大合唱とダイブで凄まじい盛り上がり。野外という空間をライブハウスかと思わせる熱いパフォーマンスで、”これぞGOOD 4 NOTHING”と感じさせてくれた全7曲のライブだった。

GOOD 4 NOTHING 撮影=ギン

GOOD 4 NOTHING 撮影=ギン

TANNY(Vo/Gt) 撮影=ギン

TANNY(Vo/Gt) 撮影=ギン


 

ココロオークション

大阪で結成され、関西を拠点にじわじわと人気を高め、次世代のビッグ・シングとして多くの期待を集めるまでになり、見事メジャーデビューを果たしたココロオークション。メンバーが登場するとともに観客は後方までほぼ総立ち。大きな拍手と歓声が沸き、「フライトサイト」が疾走する。日が落ちかかり涼しくなってきたところで、場内のボルテージは一気に高まり、続く「ヘッドホントリガー」では、さらに大きな手拍子が沸く。その盛り上がりは天井知らずだ。「KANSAI LOVERSただいま。ココロオークションです。去年に引き続き今年も戻って来られて嬉しいです。関西を背負って出ているバンドばかり。いい時間をいただいて、気合が入りすぎて雨だけ降らさないように気を付けます」と、この日への意気込みとともに、きっちり笑いを取る粟子真行(Vo./Gt)のMCもさすが。

そして、空もほぼ夜の兆しを見せるなか披露された「ここに在る」は、暗がりのなか響く柔らかなギターの音色に、赤と緑のライティングが見事にマッチ。ココロオークションのナイト・バージョンが本格的に始まる。ダンサブルな「夢の在り方」で巻き起こるダンスの波と夜空が重なり、場内は贅沢なディスコ空間に。野外ならでは、自然現象が彼らの多面的な音の魅力を示してくれた。「このKANSAI LOVERSが夏の終わりだという人も多いと思います。2016年の夏を閉じ込めて」と「蝉時雨」、最後は「カンラバのために書いた曲を届けて終りたいと思います。本当はもう少し夕暮れ時にやりたかったんですけど、それでも届くと思います」と「Orange」を。夕焼け色のライティングとともに、『KANSAI LOVERS』へのありったけの愛を込めて演奏するメンバーの姿が、秋の到来とバンドの華やかな未来を予感させてくれた。

ココロオークション 撮影=キシノユイ

ココロオークション 撮影=キシノユイ

粟子真行(Vo./Gt) 撮影=キシノユイ

粟子真行(Vo./Gt) 撮影=キシノユイ


 

UNCHAIN

「レディース・アンド・ジェントルマン! ボーイズ・アンド・ガールズ! KANSAI LOVERS!」という掛け声と共に、UNCHAINのショウ・タイムが始まる。1曲目は「Inside-Out」。谷川正憲(Vo./Gt.)が楽器を持たずに、スタンド・マイクでダンスとその歌声を披露。ブラック・ミュージック・ルーツの“腰にくる”ナンバーを、しっかりリズムの裏で楽しみながら歌う動きに先導され、会場全体にこの日一番のスタイリッシュな躍動感が生まれる。続いてはテンポを上げて「You Over You」を。「みんなでひとつになろう。みんなで飛んでくれますか」と観客を煽る。横乗りも縦乗りも自由自在、誰ひとり置いていかない柔軟なグルーヴの強さを、アタマ2曲できっちり体現してみせる。

引き続き谷川が「今年20周年になるUNCHAIN。(KANSAI LOVERS)連続出演記録更新中!」と高らかに叫んだあとは、谷浩彰(Ba./Cho)が「今は東京に住んでます。今までに溜まった大阪への愛を今日はぶつけて帰ります」と思いのたけを語り、「get down」から「Kiss Kiss Kiss」へ。音源よりも分厚いグルーヴを爆発させるパフォーマンスで、ファンキー・タウン大阪を創り上げる。谷川がときにファルセットを効かせた「Kiss Kiss Kiss」のフレーズに、ファルセットで応える観客の大合唱に見られるような、場内の音楽的ポテンシャルを最大限まで引き出すその実力は圧巻だ。そして芸術的な2本のギター・セッションへとなだれ込み拍手喝采のなか、谷がさらに「ダンスしようぜ」と熱く呼びかけ「Get Ready」を演奏。大きな盛り上がりをがっちりキープしたまま、濃密なステージを終えた。

UNCHAIN 撮影=ギン

UNCHAIN 撮影=ギン

UNCHAIN 撮影=ギン

UNCHAIN 撮影=ギン


 

アルカラ

KANSAI LOVERS』初日のトリを飾るのはアルカラ。リハーサル中、カラオケ・ブースから流れる自らのヒット曲「アブノーマルが足りない」に合わせて演奏し、きっちり同時に終わるという離れ業で、本番前から会場を大いに盛り上げる。そのままステージからハケることなくライブがスタート。見事なギターのコンビネーションを見せる稲村太佑(Vo)/Gt)と田原和憲(Gt)、のたうちまわるようにベースを弾く下上貴弘(Ba)、ダイナミックかつ繊細なドラミングが冴え渡る疋田武史(Dr)、そしてスリリングなメロディーを歌いあげる稲村。一度仕切らずとも一気に本気モードに入り込むことができる、百戦錬磨の4人が叩きだすストイックなサウンドが、凄まじい破壊力を発揮する。「キャッチーを化学する」ではお馴染み「グルグル」のフレーズに合わせて、前方のスタンディング・スペース、客席、後方の芝生の上でくつろぎながら見ていた観客まで、ほとんどの者が腕を頭上でフルスイング。もはや物理的に有り得るのか?というくらいの盛り上がりで、この日の沸点を塗り替えた。ここで稲村のMCが入る。他メンバーは静止したままクスリとも笑わない。これもまたアルカラのスタイル。

この日のタイムテーブルは非公開だったが、先に出演したセックスマシーンの森田剛史が思わず「トリのアルカラ」と言ってしまったことについて、「セクマシのせいで、割と早い時間にトリがアルカラだってばれてから4時間が経ちましたけど」と始まり、ステージ袖で見てきた全バンドについて、敬意とユーモアを込めて話し、観客の心からの爆笑が会場に響き渡る。「夏の終わり、この季節、この場所、この空間とともにある曲を」と披露された「秘密基地」は、疋田がベースを弾きながら熱唱し陶酔する姿、天を仰ぐような下上の表情、丁寧に弦を弾く田原の姿も印象的で、アルカラが誰よりもアルカラを愛する姿をダイレクトに堪能させてくれた。最後は「ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト」でしっかりぶち上げて締め。そして、鳴り止まないアンコールを求める叫びのなか、メンバーが再登場。稲村は女装姿で脚立に乗るは、ワイヤレスマイクで客席にまで飛び出しセックスマシーンの森田に対抗して、コードが延びる限界にチャレンジするわ、もうめちゃくちゃだ(笑)。最終的に客席で観客に囲まれての、これぞ大団円で1日目は終幕した。

アルカラ 撮影=キシノユイ

アルカラ 撮影=キシノユイ

アルカラ 撮影=キシノユイ

アルカラ 撮影=キシノユイ

アルカラの稲村太佑が各出演者について語ったシーン。自らの出番に合わせて会場入りするのではなく、ひとつ一つのアクトをその目に焼き付けていたことについて、一言でいえば“愛に溢れている”ということなのだが、そこには群雄割拠のライブハウス・シーンに挑み、夢を掴んだ者、敗れた者やスタッフの、何十年にも渡る血と汗と涙がある。筆者が関西外の関係者と話したときによく言われる、「関西はライブバンドが多い」という言葉は、そんなアーティストやスタッフたちと、関西を愛する誇り高き音楽ファンたちがいて成り立っている定義であることを、改めて確認させられた日だった。そしてその魂は2日目へと受け継がれていくのである。


レポート・文=TAISHI IWAMI(LEGO BIG MORL、SHE’S、ココロオークション、UNCHAIN、アルカラ、後文)・けんじろ~(Rick Rack、THE ORAL CIGARETTES、SABOTEN、ラックライフ、セックスマシーン、GOOD 4 NOTHING)

撮影=キシノユイ(Rick Rack、SABOTEN、LEGO BIG MORL、SHE’S、ココロオークション、アルカラ)・ギン(THE ORAL CIGARETTES、ラックライフ、セックスマシーン、GOOD 4 NOTHING、UNCHAIN)


※2日目のレポートはコチラ

イベント情報
KANSAI LOVERS 2016
日時:9月17日(土)
会場:大阪城音楽堂
出演者:Rick Rack、THE ORAL CIGARETTES、SABOTEN、ラックライフ、LEGO BIG MORL、セックスマシーン、SHE’S、GOOD 4 NOTHING、ココロオークション、UNCHAIN、アルカラ

日時:9月18日(日)
会場:大阪城音楽堂
出演者:YAJICO GIRL、ユビキタス、シナリオアート、ドラマチックアラスカ、プププランド、ジラフポット、夜の本気ダンス、PAN、tricot、Brian the Sun、感覚ピエロ
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