ヘタレ男子をしつけたい!? 舞台『おとめ妖怪ざくろ』ヒロイン・野田和佳子インタビュー

インタビュー
舞台
アニメ/ゲーム
2016.10.15

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星野リリィ原作の人気漫画『おとめ妖怪ざくろ』。「月刊バーズ」での連載が10年を迎え、今なお愛される名作が、2017年1月、舞台化となる。遊馬晃祐、脇崎智史、阿部快征、安里勇哉など、舞台やTVでおなじみの若手俳優がそろうなか、ヒロインのざくろに抜擢されたのが野田和佳子だ。9歳のとき、劇団四季『ライオンキング』のヤングナラ役で子役デビューし、2012年にはニコニコミュージカル『カンタレラ2012裏切りの毒薬』に出演。フェリス女学院大学音楽学部に入学し、ソプラノ歌手として着実な実力をつけてきた。この才媛が、数年ぶりの舞台で、どんな演技を見せるのか? 今後の活躍が期待される女優の素顔をのぞくと……「ざくろと同じで、ヘタレな男性をみると、しつけたくなっちゃう」系女子だった!?


――ビジュアル撮影が終わった直後のインタビューということで、まずは撮影の感想からお願いします。

原作漫画そのままの衣装を初めて着てみて、「ハッ!」としました。というのも、キリッとした表情や、ざくろらしいポーズのイメージが浮かんできたんです。もともと、性格がざくろに近いので、楽しく撮影できました。

――どんなところが「近い」のでしょう?

何かあってもへこたれないし、うじうじ引きずらないし、前向きなところですね。少数派でも、自分の信念を優先して行動してしまいます。ざくろの、自分の意志がはっきりしていて、まわりに流されないところなんかも近いものを感じます。

――まさに、ざくろですね。

ヘタレな男性を見ると、「パシン!」ってしたくなっちゃうところも、似てますね(笑)。「しっかりしなさい」っておしりを叩きたくなるし、しつけたくなっちゃうんです(笑)。

――私が男子なら、しつけられたいです(笑)。さて、舞台の話を伺っていきます。今回のお話がきたときの率直な感想は?

最近は、単発の演奏会などソプラノ歌手としての活動がメインで、舞台は4年ぶり、お芝居自体も3年ぶりなんです。だから、「え、いいの?」と、ビックリしました。ざくろにイメージが重なるというのも理由の1つだったようで、それを聞いて少し安心はしたんですが……。と言っても、普段は歌ばかりなので、不安がないわけではないです。でも楽しみが9割です!

――前向きですね。原作はご存じでしたか?

読んだことはなかったのですが、タイトルは知っていました。高校生の頃、クラスで流行っていて、『ざくろ』ファンの友達がいたんです。なので「あのときの漫画かぁ!」って。そんな作品に出演できるなんて……本当に、ビックリですし、うれしいです。友達もきっと、喜んでくれると思います。

――高校は、地元・福岡ですごく偏差値の高い学校だったときいています。勉強もできるとは!

いえ……(照)。高校は難しくてなかなかついていけなくて。漫画を読む余裕がないほど、周りの友達についていくのに毎日必死でした(笑)。

――そもそも歌や舞台との出会いは、いつだったのでしょうか?

劇団四季の『ライオンキング』に子役で出たのが最初で、それまでは何もしていなかったんです。そのオーディションも、本当は姉が受けるはずだったんですが、子役は年齢や身長制限が厳しくて、たまたま私が条件にぴったりだったので受けてみたら合格をいただいたんです。そういった意味では、今の私があるのは、姉のおかげですね。

――すごいですね。

ひとりだけド素人で、何もわからないまま劇団四季の世界に入ってしまいました。でも、歌って踊る華やかな世界と、厳しいトレーニングを積む裏側の世界の両方を知って、「私もこの世界で生きたい!」と思ったんです。歌やダンスのなかで、歌が一番好きだったので、「私は歌で生きていこう!」と決意しました。それが9歳のときです。

――9歳から! 子役時代の経験は今、どんなふうに活きていますか?

子役のときは劇団の方法論がしっかりあったので、それを守って演じていましたが、今は感覚が違います。“野田和佳子ではない1人の人間を演じる”という感覚です。だから、自分の特徴を出すよりも、何にでもなれる役者でありたい。個性は大切ですけど、偏らず、なるべくナチュラルに飾らずにいたほうが何にでもなれる。そういう女優でありたいと思っています。

――その後、音大に入り一時芸能生活をお休みしていました。その真意とは?

仕事と音大との両立が難しいと感じ、歌に専念しようと思ったんです。まずは発声など歌をきちんと研究したかったので、演奏家としてがんばっていました。来年の3月に卒業なのですが、そろそろ舞台をやりたいなと思っていた矢先に、『ざくろ』のお話をいただきました。しかも、ざくろのキャラクターに共感する部分が多く、復帰のタイミングでこのお役を頂けたことは奇跡のように感じます!

――今回の出演決定について、自身のブログでは、「ここから新たな出発」と綴っていますね。

舞台を休んでいる間も、ロンドンやニューヨークで本場のお芝居を観たり、勉強はずっと続けていました。そのときも、「自分だったらこうやりたいな」という目線で観ていたんです。休んでいた間に学んだこと、ためてきたものを、今回の舞台で活かせたら、と思っています。

――それにしても、芸能活動休止という決断に不安はありませんでしたか?

たしかに、まわりは「せっかく続けてきたのに」と言ってくれましたけど、私はもっと音楽に自信をつけたかったんです。個人の仕事も増えていた頃で、このままだとどっちつかずになって、何にもなれないと。それならまずは大好きな歌をしっかり勉強しよう、と思い切りました。やめる意志がかたまったら、ゆるぎませんでしたね。そこも、ざくろと似ているかもしれません(笑)。

――これだけシンクロする部分が多いと注目してしまいますよね。原作を読んでみた感想はいかがでしょう。

ピュアなラブストーリーで、おもしろくて一気に読んじゃいました。純愛でありながら、ひねくれちゃって、好きだと言いたいのに言えない……私も恋をしたらそうなりそうなので、わかります(笑)。

――好きなシーンは?

ざくろのシーンじゃなくてもいいですか?(笑)  ざくろのお母さんの突羽根(つくはね)と、お父さんの恵永(えなが)が出会うシーンの空気感が大好きです。今回の舞台でも、突羽根と恵永のシーンはあるそうなので、いったいどんなシーンになるのか、すっごく楽しみです!

――アニメもご覧になりましたか?

はい。表情豊かで感情に波があって、「わかるわかる~」って頷きながら観ていました。

――たとえばどんなシーンが「わかる」と?

ざくろがスカートで木登りして総角(あげまき)が下にいて、「絶対に見るな」ってどなりつけるシーン。同じシチュエーションだったら、私もこう言うだろうなって(笑)。

――そんなふうに言っちゃうタイプなんですね。

相手がヘタレだとスイッチが入って言えちゃうんですよね。ただし、男性限定です(笑)。

――台本を読んでみて、そのままで演じられそうですか?

そうですね……。「そのままでいい」とは言われていますが、自分ではまだわかりません。ただ、「自分らしいざくろをやろう」というより、「台本に描かれたものをきちんとやろう」という気持ちでいます。台本が漫画に忠実に表現されているので、私も原作に忠実であることを心がけています。

――相手役となる総角というキャラクターについては、どんな印象をお持ちですか?

まさに、スイッチが入って「しっかりしろ!」って言いたくなるキャラです! キャストの遊馬(晃祐)さんにはまだお会いしていないのですが、インタビュー動画を拝見したら、「総角と似てるところは、ヘタレなところ」とおっしゃっていて(笑)。どうなるのか楽しみです。

――遊馬さんは、年下ですよね。

はい。大学では、自分が一番上や一番下になるより、真ん中になるほうが居心地がいいんです。今回の共演者は、年上の方も年下の方もいらっしゃるので、楽しみですね。

――共演者のなかだと、鬼灯役の富田麻帆さんとお知り合いだそうですが。

劇団四季の『ライオンキング』で、私が福岡公演のヤングナラ役、東京公演のヤングナラ役が麻帆ちゃんだったんです。麻帆ちゃんは、『アニー』も『サウンド・オブ・ミュージック』も出ていて、子役界ではスターですね! ずっと“富田麻帆ちゃん”に憧れていたので、上京して出会って、「麻帆ちゃんだ~~~!」と感激しました。今回も、「ノディ、そのままじゃ~ん! よろしくね!」と言ってくださって、心強いです。

――「ノディ」と呼ばれてるんですね。

はい、みんなからも呼ばれています。

――親しみが伝わってきますね。それから、原作の『ざくろ』は歌が大事な要素ですが、その点については?

原作では、ざくろだけ歌わないんですよね……。強い妖力が使えて、戦うキャラクターなので。でもやっぱり、ソプラノ歌手としては歌いたいです! もし私の歌がなかったら、他のキャラの歌を一緒に歌っちゃいそうです(笑)。歌えるといいなあ。

――アクションは初挑戦ですか?

ダンスはずっとやっていますが、殺陣は初めてです。でも、今はボルダリングにハマっていたり、体はずっと鍛えてきたので動けないことはないかなと。殺陣もそうだし、初めてのことが大好きなので、ワクワクしています!

――稽古はまだ先だと思いますが、意気込みは。

3~4年ぶりの稽古場で、どうなるのかなと思いつつ、役作りで頭をいっぱいにしないで、自然体で、本に忠実にやりたいです。「自分が」というよりは、良い作品になるための良いピースでありたいな、と思います。書かれていることに純粋に、何でもやるつもりで、臨みます!

――やっぱり前向きですね! では最後に、読者にメッセージをお願いします。

ざくろを演じさせていただくこと、本当に楽しみです。世界観を大切に、原作ファン、舞台ファン、どちらの方にも喜んでいただけるよう、しっかり自分の役割を果たします。ぜひ、観に来てください!

インタビュー・文=荒川陽子 撮影=荒川 潤

公演情報
舞台『おとめ妖怪ざくろ』

日程:2017年1月18日(水)~25日(水) ※全12回公演
会場:全労済ホール/スペース・ゼロ

原作:「おとめ妖怪ざくろ」 星野リリィ(「月刊バーズ 」連載中/幻冬舎コミックス) 
演出・脚本:大和田悟史


<出演>
遊馬 晃祐/脇崎 智史/阿部 快征
野田 和佳子/高橋 優里花/ 富田 麻帆/椙山 さと美(劇団鹿殺し)
千田 美智子(文学座)/小林 健一(劇団 動物電気)
安里 勇哉(TOKYO流星群) ほか
脚本・演出:大和田 悟史

 

 

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