新たなスタートを切ったFouFou 「自分たちのやりたいことが詰まった」初のミニアルバムを紐解く
井田健(Gt/Vo)(写真、左)・辻井啓気(Ba)(写真、右)
古くからの同級生である井田健(Gt/Vo)と辻井啓気(Ba)により結成され、今年で音楽活動10年目を迎えるFouFou。10月5日(水)にリリースした、彼らにとって初のミニアルバムとなる『Fou is this?』。今作には、チャットモンチーや9mm Parabellum Bulletなど多数プロデュースしてきた、いしわたり淳治氏をプロデューサーに迎えて制作された「STAR」を含む、全6曲が収録されている。1曲ごとに全く違う顔を見せる個性的でバラエティ豊かな楽曲が詰まった今作は、音楽シーンへの新たな風を感じさせる内容となっている。今回のインタビューでは、健と啓気の2人に登場してもらい、バンド結成のエピソードから、ミニアルバムの制作過程や歌詞に込められた想い、そして10月13日(木)からスタートするリリースツアーの意気込みを語ってもらった。
――2016年10月5日(水)にミニアルバム『Fou is this?』をリリースし、それに伴いツアーを回るということで、今回はそちらも踏まえいろいろとお訊きしていきたいと思います。まず、バンド結成の経緯から聞かせてもらえますか?
井田健(以下、健(タケル)):僕と啓気は、もともと中学校の同級生なんです。卒業してから、僕と啓気が高校1年生の時にFouFouの前身バンドとなるPURPLE HUMPTYを結成しました。
――他のメンバーとはどのように出会ったのですか?
辻井啓気(以下、啓気(ケイキ)):最初ボーカルが全然いなくて、ずっと探してたんです。それで「そういえば、健の通ってる高校のサッカー部に、カラオケめっちゃうまいやついたよな?」という話の流れから、そのサッカー部の彼をボーカルとして誘いました(笑)。
健:ドラムは、当時のドラマーが高校卒業と同時に脱退して、そこからサポートドラマーを入れて活動していたんです。それから21歳くらいの時に、前任の女の子のドラマーが加入して、4年ほど活動していました。その4年の間にも、ギタリストが脱退して、新たなギタリストが加入したりと結構メンバーの入れ替わりが激しかったのですが、僕と啓気は結成当時からずっと一緒に活動しています。
井田健(Gt/Vo)
啓気:ドラムの田中智裕(以下、智裕(トモヒロ))は、2011年に回ったツアーで智裕のいるバンドTearSmiloに出会ったんです。後に、当時のドラマーが脱退してしまったので、智裕にサポートドラムをお願いしてライブをしていて。そうして活動していく中で、今までは健が主に曲を作っていたんですけど、智裕も曲を作るのが好きだったので、一緒に曲を作っていたんですね。その時に、“なんか今までと違って新しくておもしろいし、次のドラマーはこいつしかいない!”って感じたんです。そういった流れがあり、智裕が正式にバンドに加入してくれました。
――バンドを組み始めた当初は、どんな活動をしていたのですか?
健:最初はHi-STANDARDやMONGOL 800やRADWINPS、他にはGREEN DAYといったバンドのコピーをしてました。
――最初はやっぱりコピーバンドから始まりますよね。では、オリジナル曲はいつ頃から作り始めたのですか?
啓気:高校3年生くらいの時からですね。その時は、今やっている音楽の方向性とは全く違っていて、当時の僕らの先輩がやっていたようなメロコアとか、青春パンクといわれるような曲を作っていました。今の方向性の楽曲になったのは、20歳くらいからですね。
――そのときは、地元で活動されていたのですか?
啓気:そうですね。当時は、僕たちの地元でホームでもある高槻の「RASPBERRY」というライブハウスで活動していました。
――地元以外のライブハウスで、ライブ活動を始めたのはいつ頃からですか?
啓気:当時のドラマーが加入するタイミングの2011年8月ですね。その時に、自主制作でミニアルバムを出して、そのレコ発イベントを大阪の福島区にあるLIVE SQUARE 2nd LINEというライブハウスで行ったんです。それを期に、“音楽で頑張っていこう”と決めて、本格的にライブ活動をし始めました。その後に行った自主制作アルバムのレコ発ツアーが、自分たちにとって初のツアーだったのですが、3ヶ月で40本くらい回るという、なかなかタイトなスケジュールでした(苦笑)。
辻井啓気(Ba)
――初ツアーでその本数はなかなか大変でしたね。前身のPURPLE HUMPTYから、今までの活動期間どれくらいでしょうか?
啓気:PURPLE HUMPTYは2006年8月に結成したので、今年で活動10年目ですね。
――PURPLE HUMPTYからFouFouというバンド名に変えたきっかけは?
健:前任のドラマーの女の子がPURPLE HUMPTYの楽曲を歌っていて、バンドではわりと中心にいた人物だったので、客観的にみるとPURPLE HUMPTYは、“男女混成バンド”というイメージが強いんだろうなと思ったんです。だからドラマーの脱退を期に、メンバーも変わって女の子もいないし、今までのイメージを持たれたままやっていてもダメだろうと思ったんです。それで、曲も作り直して新しくスタートさせようと思い、バンド名をFouFouに変えました。
――なるほど。では、今回のミニアルバムについて聞いていきたいのですが、『Fou is this?』はどの様なアルバムに仕上がりましたか?
健:普段から曲をたくさん作っていたので、今までに出来た曲の中から、選りすぐりの曲を一枚のアルバムに詰め込みました。楽曲的にも自分たちのやりたいことが詰まったファーストらしいアルバムになってると思います。
――1曲目の「手の鳴る方へ」は、どのように作られた曲なのでしょう。
啓気:この曲は、智裕が最初にアイデアを持ってきた楽曲なんです。今までは弾き語りのデモ曲を持ってきて、それを基に、セッションして作っていったりしていたんですけど、智裕が持ってくるデモ曲は打ち込みで、ある程度バンド全体の演奏のイメージが出来るものだったので、それを生の楽器に変換しながら、みんなでセッションして仕上げていく、という作り方をしました。
――ではリード曲である2曲目の「STAR」ですが、この曲にはどんな想いが込められているのですか?
健:「STAR」の歌詞は、プロデューサーのいしわたり淳治さんに、アドバイスをもらいながら書いたのですが、その結果、自分の伝えたい気持ちが今までよりも、もっとみんなの心に響くような歌詞が書けました。歌詞の中に、“北極星”という言葉が出てくるのですが、それは“理想の自分”に例えていて。自分が今からやろうとしていることに迷ったりしたときに、迷わず“理想の自分”に対してまっすぐ進んでいこう、と背中を押してあげられるような、前向きで明るい気持ちになれる歌詞になっています。
啓気:この曲は結構ポップで、間口が広く聴きやすい曲なんです。PVもあるので、それを観ていただいて、みんなにFouFouというバンドを知ってもらえたら嬉しいです。
――「海岸通り」は、どこか懐かしい感じがする楽曲ですね。
健:この曲は、僕がアイデアを持ってきた曲で、僕の好きな松任谷由実さんなどがルーツになっている曲です。
――それはまた意外なルーツですね。
健:そうなんです。洋楽も好きなのですが、昔のシティポップだったり、それが元になっている音楽が好きで。そういった雰囲気のメロディやサウンドを、自分の中で描きながらこの曲を作りました。さらに智裕が、TAHITI 80みたいなインディーポップのビート感をのせてみようというアイデアを出してきたりもしたので、そういったニュアンスも織り交ぜながら作った曲ですね。
――4曲目の「HALFWAY」の歌詞には、前向きな気持ちを感じますがこれは何を想いながら歌った曲ですか?
健:この曲のタイトルは、“道半ば”って意味があって、前任のドラマーが脱退して、このメンバーになって「もう一度バンドを頑張ろう」という気持ちになったときに書いた曲なんです。だからその気持ちが、歌詞に大きく映し出されていると思います。
啓気:サウンド的には、新しいエッセンスを入れているのですが、PURPLE HUMPTYらしさが1番残っている曲じゃないかな?と思います。
――なるほど。PURPLE HUMPTY時代から観てくれているお客さんからも良い反応が期待できそうですね。では、続いて「wallflower」はいかがでしょう。
健:この曲も「手の鳴る方へ」と同じで、智裕が打ち込みでデモを作ってきてくれたんです。イントロのギターフレーズに関しては、デモの段階ではシンセの打ち込みで入っていて。それを、生楽器でどう再現しようかな?って考えながらセッションしていくうちに、ドラムパッドを使って演奏してみるなど、新しく生まれたアイデアがたくさん詰まった楽曲ですね。あとこの曲は、さっき言った智裕と一緒にバンドをやりたいと思ったきっかけの曲です。個人的には、この曲が1番好きですね。
井田健(Gt/Vo)
――では、最後の「spark off」なのですが、このアルバムの中では雰囲気が少し違う楽曲ですよね。
健:そうですね。「spark off」は、このアルバムの中では激しめな和ロック調のアッパーな曲になっています。バンドらしいシンプルなサウンドで、歌詞も“この4人でバンドをスタートできた喜び”を歌っているんです。ライブでこの曲を演奏する時は、感情が入りすぎて歌いながら泣きそうになっています(笑)。
――6曲を聴いて、今まで培ってきたものと、これからの可能性がグッと凝縮されたアルバムになっているなぁと感じました。ちなみに啓気さんは、このアルバムではどの曲が1番好きですか?
啓気:僕は、6曲目の「spark off」ですね。サウンド的には、イギリスのインディポップみたいな感じの楽曲で、ライブで演奏すると、僕自身すごくテンションが上がるし楽しいです。お客さんからも人気な曲です。
――そして、ミニアルバムを引っ提げてのツアーが10月13日(木)からスタートしますね。
健:ツアーが始まることは、単純に楽しみでもあるんですけど、どうなるかな?という不安なところもあります。でも、前よりも今の方が楽しく自信を持って、ライブで歌って演奏できていると思います。あとは、今回みたいに細かくいろんな土地に回るツアーを今までしたことなかったので、早く各地方のお客さんに、このベストな状態でのFouFouで曲を届けたいなと思っています。
啓気:メンバー全員の気合の入り方が今までとは全然違いますね。ライブに来てくれた目の前にいる人たちの心に、絶対に響かせないとダメだっていう気持ちが強くて、今までで1番“ギラついて”います。
健:このミニアルバムは、ライブを想定して作った1枚でもあるので、音源の良さもありますが、ライブで聴くことによってさらに響く曲だと思います。だから、そういう部分もCDを聴きながら楽しみにしていただいて、是非ライブに来て欲しいですね。
井田健(Gt/Vo)(写真、左)・辻井啓気(Ba)(写真、右)
――では、最後にSPICE読者へメッセージをお願いします。
啓気:今自分たちがやっていることは、みんながFouFouに対して持っているイメージをいい意味で裏切ることなんです。どういうことかと言うと、PURPLE HUMPTY時代の女の子がいるキラキラなポップスバンドというイメージを、いい意味で裏切りたくて、名前を変えてアルバムを出したんですね。今まで観てくれていた人たちには「昔と変わったけど、今もめっちゃいい!」って惚れなおさせたいし、新しく知った人にはすぐに好きになってもらいたいです。僕らの音楽は、いい意味で統一性がなくて、今回のミニアルバムも6曲ともカラーが違うので、1曲1曲聴きこんでほしいなって思います。そしてライブに来てもらって、もう一回みなさんのイメージを裏切りたいなと思っています。
健:実は、次のアルバムリリースも考えていて、曲も今作っているんです。なので、次のアルバムをリリースするときも、また今回とは違った良さをみなさんに見せたいと思っていますので、今後の僕たちの活動も楽しみにしていてほしいです。
取材・撮影=K兄 文=けんじろ~
10月13日(木):渋谷 TSUTAYA O-Crest
10月14日(金):仙台 enn 3rd
10月22日(土):渋谷音楽祭 FouFou発売記念インストアイベント@タワーレコード渋谷店
10月23日(日):FouFou『Fou is this?』発売記念 ミニライブ&サイン会
10月27日(木):高松 DIME
10月28日(金):金沢 vanvan V4
11月5日(土):岡山 BLUE BLUES
11月6日(日):松江 canova
11月16日(水):渋谷 TSUTAYA O-nest
11月17日(木):新潟 CLUB RIVERST
11月22日(火):北海道 / 苫小牧ELLCUBE
11月24日(木):福岡 Queblick
11月25日(金):広島 4.14
12月4日(日):大阪 福島2nd LINE