台湾の実力派シンガー・ソングライター、韋禮安に注目!!!

レポート
音楽
2016.10.17
韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

画像を全て表示(4件)

台湾のラジオから流れてきた楽曲と歌声にひと聴き惚れして、リリースされていたファースト・アルバムをすぐさま購入。初めてライヴに行った時は、伸びやかで包容力があり、聴き手の心に「響いてくる」歌声に、完全にノックアウトされた。

その素晴らしい歌声の持ち主とは、台湾、台中出身のシンガー・ソングライター、韋禮安(ウェイ・リーアン/William Wei)。高校時代から曲作りを始め、「StreetVoice」という音楽サイト上に自身の作品を発表していた彼は、大学1年生の時にテレビ番組の歌唱コンテストに出場して見事優勝。その後は学業を優先させながら曲を作り続け、2009年にファーストEP『慢慢等』、2010年6月、大学の卒業式の日にデビュー・アルバム『韋禮安』をリリースした。翌年の金曲奨(台湾のグラミー賞と言われる音楽賞)では、最優秀新人賞を受賞している。

 
<殆ど全ての曲で彼自身が作詞・作曲を手掛けており、アルバム・デビュー前から、ソングライターとして他のアーティストに曲を提供していた>


大学卒業後、兵役に就いていた間も曲作りを続け、出来上がった曲の量はアルバム2枚分にも及んだという。その中から曲がセレクトされ、2012年にはセカンド・アルバム『有人在等』がリリースされた。


<セカンド・アルバムに収録されている「還是會」は、台湾で社会現象になるほど大ヒットしたドラマ『我可能不會愛你(邦題:イタズラな恋愛白書)』の主題歌>

 

彼は作品ごとに新しいことを試み、常に進化し続けている。2014年発表のサード・アルバム『有所畏』は、心の中にある「恐れ」をテーマに制作されたという。サウンド面では、ロック色がやや強めになり、奥行きが増した壮大な作品に。収録曲「狼」は、金曲奨で最優秀作曲賞を受賞している。2015年9月に行われた台北小巨蛋(台北アリーナ)公演では、ブロードウェイさながらのダンス(!)が披露されるなど、ミュージシャンとしてもエンターテイナーとしても、彼のチャレンジはとどまることを知らない。

 

今年8月には、最新アルバム『硬戳』がリリースされた。この作品ではEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)からアルゼンチン・タンゴまで、幅広いジャンルの要素を取り入れている。正直、「EDM」と聞いた時は驚いたが、曲調やアレンジなどで実験的なことをしても、良いメロディーと歌詞、また「あの声」がベースにあるから、斬新さと彼らしさを併せ持った作品に仕上がるのだと思う。

10/9(日)には、新作リリースに伴うライヴが台北のClapper Studio(三創生活園區 5F)で行われた(元々は9/17に開催予定だったが、台風の影響で延期になっていた)。この日は意外にもトークからスタートし、1曲目は、これまではライヴの後半で演奏されることが多かった彼の代表曲のひとつ、「還是會」だった。ステージ奥にスクリーンがあるだけのシンプルなセットで、派手な演出もなく、歌と演奏、曲の世界観をダイレクトに体感できる、活動初期の頃に戻ったような空間。歌は、やはりとんでもなく素晴らしい。ちょっと抑えた声からファルセット、張った声までが、メロディーの上を自在に駆け巡る。更に深みを増した歌声が会場を温かく包み込んでいた。

韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

MCでは「親戚のお兄ちゃん」的な親しみやすさ全開で、抜群のユーモアセンスに会場が和む。日本から観にきているファンがいることを知ると、「こんにちは。ありがとう。トイレはどこですか?(笑)」と、知っている限りの日本語を披露。そういえば、大阪までジョン・メイヤーのライヴを観に行ったことがあると、以前ラジオ番組で話していた。

(来場者全員が永遠に聴いていたいと思っていたであろう)ギターでの弾き語りコーナーあり、ゲストにバンドネオン奏者を迎える曲あり、合間には楽しいトークもあり、あっという間に約2時間が過ぎていった。新作からの楽曲は新鮮な存在感を放ちつつも、これまでの楽曲群と良い具合に馴染んでおり、同時に彼のヒット曲、代表曲の多さに改めて驚かされもした。「この人は歌うために生まれてきたんだ」と、ライヴを観るたびに思う。

韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

韋禮安<硬戳>Live Show 台北公演 写真提供:福茂唱片

もし彼の音楽を生で聴いてみたいと思った方がいたら、彼のライヴの日程に合わせて、旅行も兼ねて台湾に行くというプランはいかがだろう? 日本に来てくれることも願いつつ……。

 

作品情報

韋禮安『硬戳』

【収録曲】
1.  Intro
2.  渴望 (Desire)
3.  猜 (Guessing Game)
4.  Luvin’ U
5.  玩遊戲 (Play Games)
6.  第一個想到你 (Think Of You First)
7.  為你好(For Your Own Good)
8.  一隻鞋 (One Shoe)
9.  如果再見 (If We Meet Again)  
10. 癡人 (Goon)
11. 在意 (What You Think Of Me)

発売日(台湾):2016/8/18

シェア / 保存先を選択