『VISUAL JAPAN SUMMIT 2016』初日、新たな伝説が生まれ歓喜に沸いた24年ぶり『エクスタシー・サミット』
無敵バンド/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
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2016.10.14(FRI) 幕張メッセホール 9-11ホール
X SUGINAMI/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
歴史に残る一大フェスの火蓋を切ったのはX SUGINAMI。MUCCのミヤ(G)をリーダーに、NoGoDの団長(Vo)等、現在のシーンを担うメンバーが参加するX JAPANのコピーバンドだが、そのクオリティたるや凄まじいものだった。3日間の総合司会を務めるMUCCの逹瑯(Vo)とLADIESROOMのGEORGE(B)がバンド名をコールすると、いきなり「WORLD ANTHEM」が流れて、初期Xのヴィジュアルをそっくりそのまま再現した団長、ミヤ、A9のヒロト(G)、Akane(B/PLINK?ex.THE★SCANTY)、Majyu(Dr/Devil Kitty、SHAPE SHIFTER)の5人が登場! 「BLUE BLOOD」に「VANISHING LOVE」という初期の黄金ラインへと雪崩れ込むが、学生時代からカラオケでX JAPANを歌いまくっていたという団長のハイトーンはさすがの迫力で、ヒロトに至っては表情や仕草までHIDEそのものだ。演奏はもちろんMCや煽りに「X」曲中のメンバー紹介と、細部のパフォーマンスまで本家を忠実に踏襲し、Xジャンプで盛り上がりまくるオーディエンスに団長からは「お前たち、よくやった! 朝の9時からよく幕張まで来れた。お前たち最高だ!」と、これまたX仕様のお褒めの言葉が。愛にあふれたリスペクトの塊で、これ以上ないほど最高のオープニングを飾ってみせた。
VANIRU/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
SPEED OF LIGHTS/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
Anli Pollicino/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
この日午前中は、VANIRU、SPEED OF LIGHTS、Anli Pollicinoといった若手バンドが競演。CLØWDは抜群に抜けの良いボーカルと、躍動感と切なさを上手く融合させたサウンドで新進気鋭の勢いを示し、YOSHIKI主宰のエクスタシー・ジャパン出身で今年再結成されたばかりのBEASTも場を沸かせた。
CLØWD/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
BEAST/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
Psycho le Cému/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
そして午前11時半、メインステージとなるSUMMIT STAGEのトップバッターを飾ったのは、元祖コスプレバンドの呼び名も高いPsycho le Cému。RPG仕立ての寸劇で各メンバー=キャラクターの紹介をしながらモンスターを倒すと、なんとラスボスとしてモニターに“超伝説GODヨシキ様”が登場! (ちなみに映し出された『Jealousy』のジャケット写真はYOSHIKI自らが選んだとのこと)「BLADE DANCE」では楽器を置いて5人全員で歌い踊り、「激愛メリーゴーランド」では生き仏姿のLida(G)がラップを放つという強烈なインパクトを与えながら、バンド演奏に戻った「愛の唄」ではキャッチーなメロディで場内に幸せオーラを振りまく。ラストに「日本武道館に向けて頑張ってます。もう一度大人が夢を見てもいいんじゃないかなって」とDAISHI(Vo)が語ってからの「REMEMBRANCE」では、メンバーの熱い想いが歌にもプレイにも発現。開演前に逹瑯が「彼らにしかできないステージを!」と紹介した通り、笑いから感動への見事な転換でパイオニアの凄みを見せつけた。
HERO/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
DaizyStripper/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
かまいたち/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
そこからHEROを挟み、DaizyStripperのライブは「MISERY」のカバーで幕を開けて「俺に音楽を教えてくれたhideさん、ありがとうございました!」と夕霧(Vo)が締めくくるリスペクトのあふれたものに。続いて昨年一夜限りの再結成を果たしたかまいたちがSUMMIT STAGEに現れ、高速パンクを次々に畳みかけるが、そのズシリと来る重みはさすがキャリアの成せるワザだ。CRAZY DANGER NANCY KENchan(Dr)がピンクのツインテールでホイッスルを鳴らしながら「こんなもんじゃねーよな!」と煽り、ヴィジュアル黎明期のハチャメチャさを体現すると、来年1月14日に新宿LOFTでワンマンを行なうという嬉しい報せも。一気呵成に駆け抜けるステージは潔く、勇ましい。
NOCTURNAL BLOODLUST/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
光のユナイトからバトンを受け取った闇のNOCTURNAL BLOODLUSTは、「大運動会始めましょうか!」とフロアを左右に分けてウォール・オブ・デスを始めさせる等、アグレッシヴ極まりないステージングを展開。スクリームを投下し続ける尋(Vo)が目を見張るほどに鍛え抜かれた上半身を血まみれで晒すというヴィジュアルインパクトも抜群で、確かな技術と気合の籠ったパフォーマンスで会場をグイグイと巻き込んでいく。
BY-SEXUAL/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
ここでもう一つの再結成組・BY-SEXUALがSUMMIT STAGEへ。5年ぶりに集結した彼らは黄、赤、緑、青とカラフルな髪色は90年代と変わらぬまま、しかし、当時よりも数段スキルアップした歌と演奏でバイセク節とも言える無鉄砲なティーンの純情を、ハッピーなビートパンクに乗せてゆく。加えて「BE FREE」では「今日は特別にスペシャルゲストを招いて、一緒にやってみたいと思います」と、なんとGLAYのHISASHIが登場! もともとBY-SEXUALのリスナーであった彼は、夢を叶えた喜び全開でステージを端から端まで駆け、フロント陣と肩を並べると笑顔でNAO(Dr)とフィストバンプ。メジャーデビュー曲「SO BAD BOY」を疾走感たっぷりに届け、ラストは「NON!」での“No Thank You”のリフレインから「Thank You!」と繋げて、SHO(Vo)が投げキスして去る演出もニクい。
Gargoyle/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
lynch./VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
来年で結成から30周年を迎える、そしてその間に一度も止まったことがないGargoyleの貫禄十分なアクトを経て、フェスの折り返し地点で現れたlynch.は“激しいサウンドに美しいメロディ”という、ある意味ヴィジュアル系の大王道でもある個性を惜しみなく発揮。華やかなステージングと正確な演奏で静と動のメリハリもしなやかに、「何これ、メッチャ楽しいんですけど!」とはしゃぐ葉月(Vo)の「一つ皆さんにお願いがあります。やらせてもらえませんか!?」という煽りに応え、「pulse_」では拳と共に“ヤリタイ!”の大合唱が湧く。「今日lynch.を初めて観た方、末長くよろしく。幸せな人生を約束しますよ」と葉月が告げて終演すると、筆者の前に立っていた青年が「メッチャカッコいい、ビックリした!」と興奮気味に一言。早速の有言実行はさすがである。
GLAY/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
時刻は16時半となり、メインアクトの一つであるGLAYの出番になると、3ホールをブチ抜いた広大な会場も人で埋め尽くされることに。「We are?」の問いかけに、すかさず「X!」と応える客席に笑顔でTERU(Vo)がサムアップを返したのを合図に「YOU MAY DREAM」、TERUがギターを奏でる最新シングルのリード曲「デストピア」、インディーズ時代の「千ノナイフガ胸ヲ刺ス」と時代を超えたメニューを、眩しいスピード感は変わらぬままに届けてゆく。一方、これまた最新シングルの収録曲の「超音速デスティニー」でダークな空気を醸してからは、YOSHIKIプロデュースでのデビューが叶ったのはhideが彼らのCDをYOSHIKIに勧めてくれたからという逸話を披露。「そのいきさつを3年前に聞いて、直接お礼を言いたかったけど言えないので今日、この曲を」と前置き、なんとhideが作詞・作曲したX JAPANの名曲「Joker」を実直なビートでカバーすると、場内は一気にヒートアップする。続いて「BELOVED」「グロリアス」という超ヒットシングルのブロックでは、各所に設置された巨大モニターに歌詞が表示されてオーディエンスは大合唱。もはや誰もが空で歌えるほど知られているナンバーであるにもかかわらず、あえて歌詞を出したところに彼らの“歌”に対する想いの強さが窺え、一語一語を噛み締めるように歌うTERUのエモーショナルな声色にも大きな拍手が湧いた。終盤は「彼女の“Modern…”」に「ACID HEAD」とアッパーチューンで駆け上がり、フレイムボールが派手に上がった「誘惑」ではギター隊も花道へ。スタジアム公演の経験も豊富な彼らならではの包容力のあるライブで、心と身体の両方を温めてくれた。
GLAY/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
TOKYO YANKEES/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
初日はYOSHIKI主宰のエクスタシーレコード所属バンドが大暴れした伝説のイベント『エクスタシー・サミット』の復活を謳っているだけに、ここでTOKYO YANKEESがスラッシーに破壊力満点のパフォーマンスを叩きつけてLUNA SEAへとバトンタッチ。
LUNA SEA/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
ミラーボールが多方向から眩い光を投げかけるなか、ベートーヴェンの「月光」をバックに純白の衣装に身を包んだ5人が現れると、その幻想的な空気を断ち切るかのように「FATE」「Déjàvu」と初期曲ならではの性急なビートで攻めまくる。それもRYUICHI(Vo)が語るところの「今から24年前……あの『エクスタシー・サミット』が帰ってきました。『エクスタシー・サミット』はメチャクチャだったよ。いつもヒリヒリしてて、いつも出るときは覚悟してた」という想いからなのだろう。「LUNA SEA結成から今日は1万日目」とのことで、「PRECIOUS」「TRUE BLUE」とLUNA SEAの歴史を長年彩ってきた人気曲をドロップしたあとは、「LUNA SEAはいろんなことを経験したけれど、この後まだまだ走っていこうと思うんで」と嬉しい宣言も。さらに「ここからはLUNA SEAならではの世界を楽しんで下さい」との言葉を体現すべく、打ち上がる炎をバックにJ(B)の低音が唸り、妖艶なボーカルとSUGIZO(G)の狂おしいギターが絡み合う「FACE TO FACE」。そしてINORAN(G)のアコースティックギターが開く涼やかな世界に、朗々たるRYUICHIの歌声と真矢(Dr)のダイナミックなドラミングが神々しいドラマを描く「IN SILENCE」と、LUNA SEAだからこその濃密で深遠な物語を紡いでゆく。壮大さと温もりを同時に感じさせる「I for you」に、「ここから飛ばしていきたいと思うんですが、お前らどうですか!?」と煽ってからは「TIME IS DEAD」「TONIGHT」とアッパーに畳みかけ、「ROSIER」ではJがマイクスタンドをブン投げてオーディエンスのテンションはクライマックスへ。ラストの「WISH」では銀テープが飛び、ギターソロを弾くSUGIZOに寄り添うRYUICHIをさらに後ろからINORANが挟む等、この日はメンバー間で少年のように無邪気なコミュニケーションも多かった。24年ぶりに復活した『エクスタシー・サミット』と同様、5人の心も24年前に戻っていたのかもしれない。
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LADIESROOM/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
ここでエクスタシーレコードの重鎮であり、本イベントで司会の大役も務めていたGEORGE(B)率いるLADIESROOMが、独自のセクシーかつグラマラスなライブを披露。
X JAPAN/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
X JAPAN/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
X JAPANの開演予定時刻になると客席から「We are X!」のコールが湧き起こり、それが30分以上も続くと、荘厳なSEとワールドツアーの模様が映像で流れて、遂にYOSHIKI(Dr)がドラムセットに立つ。その瞬間、3万5千人の歓声が怒涛のように会場を揺らし、フレイムとスモークが床から噴き上がるなか、幕開けを告げたのは「JADE」。これが病気療養からの復活ステージとなるPATA(G)がヒリヒリしそうなピッキングを刻み、HEATH(B)のベースが不穏なムードを醸してSUGIZOがファナティックなフレーズを載せ、YOSHIKI節あらわな美メロをToshl(Vo)が歌い上げると、3万5千人の大合唱が! レーザー光線と共に雪崩れ込んだ「Rusty Nail」でも、一瞬にして数万の拳が振り上がり、またもや大合唱が湧いて、凄まじい一体感に圧倒されてしまう。これこそ長年にわたりシーンのパイオニアとして、今に至るまで彼らが築き上げてきたものなのだ。しかし、時の長さのぶんだけさまざまな歴史も積み重なるもの。
X JAPAN/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
X JAPAN/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
グランドピアノを奏でるYOSHIKIとToshlの二人で贈った「Forever Love」を挟み、「紅」ではスクリーンに映し出されたhideの姿と微笑みを見上げて、思わず声を詰まらせたToshlの代わりにオーディエンスが歌い出す場面も。それでも「こうやって仲間と一つの空間を分かち合えて、今まで頑張ってきて良かったなぁ……って。また、こうやって自由に音楽をやってね、本当に僕らX JAPAN幸せです。本当にありがとう」と、感慨深げにYOSHIKIは呟いた。その感謝を表すためか、今度は10月21日よりアメリカで公開されるドキュメンタリー映画『We are X』のために作ったという、YOSHIKIいわく“秘密の新曲”をピアノと歌で一部披露。「LA VENUS」と名づけられたナンバーの美しい旋律が生むエレガントな空気を、続く「Born To Be Free」でアグレッシヴに変換した後、遂に「X」が鳴らされる。
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3万5千人のXジャンプが爆発的な盛り上がりを作り出し、Toshlが「天国のTAIJIにもhideにも、みんなの声を聴かせてやれ!」と一喝するとドラム台も天高くリフトアップ! 大興奮のうちに本編が終了した本編から、すぐに「WORLD ANTHEM」でメンバーが再登場して「ENDLESS RAIN」を過去映像と共に贈ると、ここでSUGIZOがヴァイオリンを優雅に奏でる。そのレクイエムのような音色からYOSHIKIのピアノへと繋がり、突如として音玉が炸裂して「ART OF LIFE」へ。PATA & SUGIZOのツインリードも凄まじく、X型に組まれた舞台セットの鉄骨には稲妻のように電飾が走って、激烈なドラミングの果てにYOSHIKIは遂に後ろへ倒れ込んだ。これぞ圧巻と言うほかない。
X JAPAN/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
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無敵バンド/VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powerd by Rakuten
13時間を超えるイベントを締めくくるのは、もちろん『エクスタシー・サミット』で毎度トリを務めていた大セッション・無敵バンド。本日の出演バンドが次々に舞台に上がり、ドラマーとしてyukihiro(Dr / L'Arc-en-Ciel)が登場するというサプライズまで。彼が以前に所属していたZI:KILLはエクスタシーレコード所属だったこともあり、久々の無敵バンド参加に笑顔を見せる。ギターを携えたYOSHIKIの「気合入れていくぜ!」を号令に、そして全員で贈ったのはセックスピストルズの「アナーキー・イン・ザ U.K.」。無敵バンドではお馴染みのナンバーに、ステージでは“無敵”旗がいくつも振られ、「じゃあ、もう一人スペシャルゲストを!」と招き入れられたのは、なんとKISSのジーン・シモンズ! 「How do you like Japanese audience?」というYOSHIKIの問いに「サイコーデス!」と応え、「We are X!」のコールまでする彼を加えてKISSの「ロックンロール・オールナイト」を演奏すると、会場には紅白の紙吹雪が舞う。数々のサプライズに彩られ、3万5千人を熱狂させた24年ぶりの『エクスタシー・サミット』は、こうして歓喜のうちに幕を閉じた。
取材・文=清水素子
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