人気落語家の競演! 桃月庵白酒にきく『ギロッポン寄席Vol.2』の楽しみ方
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
『ギロッポン寄席』待望のVol.2!
2017年1月21日から2日間、Zeppブルーシアター六本木で『ギロッポン寄席Vol.2』が開催される。出演は、柳家権太楼(1/22)、桂雀々、桃月庵白酒、春風亭一之輔(1/21)。いずれも独演会は売り切れ必至の人気と実力をもつ落語家だ。
2日間ともに出演予定の桃月庵白酒は、にごりのない声、キレのある語り口、正統派でありながら今の感覚にフィットする古典落語で多くのファンをもつ。インタビューでは、落語ツウも初心者も気持ちの上がる「前のめり」なギロッポン寄席の楽しみ方を聞かせてくれた。
2015年5月以来、2度目の開催
――出演オファーがあったときの感想をお聞かせください。
桃月庵白酒(以下、白酒) : 『ギロッポン寄席』のことは知ってはいましたが、第1回の後しばらく何もなかったじゃないですか。こう言っちゃなんですが、花火打ち上げて終わっちゃったかいと思っていました(笑)。なので、Vol.2のお話をいただいた時は「あるの?!」と正直びっくりしました。
桃月庵白酒
――会場はZeppブルーシアター六本木ですね。
白酒 : あのブルーマンのところですもんね?同じ舞台に上がれるんだということと、六本木で噺ができるんだということが、純粋にうれしいです。
場所柄が変わるので、客層も変わるんでしょうね。お客さんが変われば落語会の雰囲気も変わります。僕もそうですが年配の方は、まず評判を聞いてから動き出すところがありますよね。六本木での大きな落語会はまだ2回目なので、フットワークの軽い方、若い方、女性の方が多くいらっしゃるんでしょうかね。(一般的な)寄席とも、今までのホール落語とも全然違うものになると思いますよ。
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
――近頃「落語ブーム」で女性ファンが増えていると聞きます。実感はありますか?
白酒 : 僕のお客さんはもともと男性ばかりでしたが、ここ数年で4、5割まで増えました。それでも他と比べると圧倒的に少ない方ですよ。(立川)談春兄貴とか(柳家)三三のお客さんは8割9割が女性だと聞きますから。ただブームは、今に始まったことではないように思います。昔からのお客さんにも「前からだぜ?」って思われている方は多いんじゃないですかね?
ギロッポン寄席への意気込み
――いつもとは少し違う雰囲気が予想される『ギロッポン寄席』ですが、意気込みを教えていただけますか?
白酒 : 空回りしないように、ということですかね(一同笑う)。
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
六本木でも、ちょっと行くと住宅街という場所の落語会は出たことがあるんです。でも今回はミッドタウンだのテレ朝だの欅坂だの、なんだかもうごめんねって頭下げながら行くようないわゆる六本木ですからね。つい前のめりになってしまうでしょうね。
桃月庵白酒
二ツ目※の頃は、空ぶかしというか空回りをよくやっていたんです(笑)。※東京の落語家の階級。上から「真打」「二ツ目」「前座」「前座見習い」。
加減がわからなかったので全力でした。(バイクの身振りで)ブルンブルン、ブルンブルンやって「なんだよみんな!おいでよ!!」って先に行ってついてこないまま終わるというね。今では、ついてこないなと思えば「ここだよ!まってるよ!」ということが、だいぶできるようになりました(一同、笑う)。
それでも今回は六本木ですからね。どうなるでしょうね。
――昔からのファンの方々には、そんな白酒さんをひしぶりにご覧いただくチャンスと言えますね(笑)
白酒 : そうですよ!ひさしぶりにここで「待てない僕」をみていただけるかもしれませんよ!楽しいですよ!!(一同、再び笑う)
初登場の贅沢な顔ぶれ
ギロッポン寄席 ギロッポン寄席保存の会
―― 出演されるのは1日目が、春風亭一之輔さん、桂雀々さん、白酒さん。2日目は、柳家権太楼さん、雀々さん、白酒さんです。
白酒 : 1日目と2日目でも、雰囲気は全然違うでしょうね。
―― 白酒さんだけでなく、みなさんギロッポン寄席は初登場ですね。
白酒 : だから全員、前のめりに来ますよ。特に1日目なんかは落ち着かない人ですから(笑)。
桃月庵白酒
押してくる、押してくる、押してくる(写真を順に指さしながら)。押すタイプばかりでしょ?一之輔が「んあ゛ーーっ!」ってきたら雀々兄貴が「ほなッ!!」ってあわせてのっかって「ほら!白酒くんもッ!」となればもうごちゃごちゃですよ(一同、笑い)。だから僕は、ちょっと控えていこうと、地に足をつけてやろうと思うんです。
―― 2日目は、爆笑王の柳家権太楼さんが登場されますね。
白酒 : 権太楼師匠はすごい方ですよ。面白いのはもちろんで、バイタリティもあって本当にすごい方です。
―― 一部の噂ですが、白酒さんはたまに権太楼師匠に叱られていると伺いました。権太楼師匠の愛情表現と推測しているのですが実際はいかがでしょうか?
白酒 : 本当に怒られているときもあります(笑)。師匠からみて僕はいろいろ言いやすい相手だというのもあるかもしれませんが、僕もわざと師匠の地雷スレスレを歩くようなところがありますからね。どうだ?ここは大丈夫か?みたいな。たまに地雷に小指がひっかかっちゃたりなんかしましてね。楽しいじゃないですか、そういうの(笑)。
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
―― 悪い顔になられていますよ?!
白酒 : 実際、噺家には結構いるんですよ、こういうことする奴が。寄席の楽屋なんてすることもなくて退屈なんで。その点、ギロッポン寄席は大丈夫です。雀々兄さんがいますので、2日間とも楽屋はずっと賑やかでしょうね!
ピンクのカーディガンひっかけて
――ギロッポン寄席で、初めて生の落語を聞いてみようという方にアドバイスをいただけますか?
白酒 : せっかく六本木ですから、ちょっとだけおしゃれしていらっしゃるといいかもしれませんね。
――影響するものですか?
白酒 : 結構大きいですよ。たとえば(毎日演芸を行なっている)寄席のお客さんは、わりと普段着でふらっとお越しになります。でも、ホールでやる落語だとさあ行きましょう♪という気持ちでちょっとだけおしゃれしてきてくださる。それだけで、客席が少し盛り上がるんです。
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
お台場のZeppダイバーシティで落語をさせていただことがあるんです。(ギタリストの)ジョニー・ウィンターが立ったステージだ!って僕もうれしかったんですが、客席のお客さんもこんなだだっ広いところで本当に落語をやるの?!って始まる前から気分が上がっていたんですね。
でも始まった途端にステージの背景がぴりって剥がれてきたんです。ステテコ姿のスタッフが「すみません」って直すハプニングでしたが、それさえウケて盛り上がったんですよ。
――楽しむ準備ができていたんですね。
白酒 : 今回はギロッポンですからね。テンションを上げていらしてほしいです。寄席なのでマジのおしゃれとは少し違うんですが、テーマは業界人!みたいな感じでしょうかね。男性ならピンクのカーディガンを肩にひっかけてきていただくとかね(笑)。
――え?!(笑)
白酒 : おめかし、おめかしですよ。アイラインもひいていただきたいですね、男性にもね。おとっつぁんだって、眉毛の1、2本も抜いていこうぜって。ちょっと白髪も染めたりなんかしていただいてね。せっかくギロッポンですから。業界人ですから。じゅげむじゅげむ、じゅげむぅ~?みたいな感じでいらしてほしいですね(笑)。
――初心者には難しくなってきました!(一同、笑)。
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
白酒 : まあ、そんな感じでぜひ気持ちを上げてきてほしいなと思います。そしたらこちらも応えますよ。皆さんがテンションを上げて、僕らより先に客席で空回りしていてくだされば、こちらの空回りも空回りじゃなくなるわけですから。それでごちゃごちゃになった時は、六本木の街に繰り出していい塩梅に忘れていただいて(笑)。
それでも「あぁ楽しかったねえ」という気持ちはお持ち帰りいただけるくらい、六本木という街の楽しさに負けないようにがんばります!
桃月庵白酒 ギロッポン寄席インタビュー
(取材・文:塚田史香)
■日時・出演者:
2017年1月21日(土)18時開演 春風亭一之輔/桃月庵白酒/桂雀々
2017年1月22日(日)14時開演 柳家権太楼/桃月庵白酒/桂雀々
■会場:Zeppブルーシアター六本木 (東京都)
■公式サイト:http://www.giropponyose.com/