大竹しのぶ×渡辺えり×キムラ緑子の究極キャストで『三婆』開幕!

2016.11.3
レポート
舞台

左からキムラ緑子・大竹しのぶ・渡辺えり


11月1日(火)から東京・新橋演舞場にて舞台『三婆』が開幕した。

原作は「昭和文学界の才女」ともいわれ、数々の小説においてベストセラーを生み出した有吉佐和子。昭和36年に出版され、当時としては今日ほど深刻な社会問題になっていなかった老人問題にいち早く目を向けた作品。舞台化は昭和48年、小幡欣治の名脚色と謳われ、以降上演を重ね常にヒット作品として親しまれている。

昭和38年の夏。金融業者の武市浩蔵が妻である松子(大竹しのぶ)を遺して死んだ。死んで借財が残り、浩蔵の妹・タキ(渡辺えり)の家が売却され、松子の住む家だけが残る。そんな中、松子の家にタキが突然引っ越してくる。さらに、浩蔵の妾・駒代(キムラ緑子)も、部屋を貸して欲しいとやってくるのだった……。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

この大人気喜劇が、本妻の松子に大竹、小姑のタキに渡辺、妾の駒代にキムラという究極のキャストで上演。さらに3人の間に挟まれ右往左往する部下・重助に段田安則、のちに夫婦になる御用聞きとお手伝いの辰夫・花子のカップルに、ジャニーズJr.の安井謙太郎&福田彩乃と多彩な顔ぶれがそろった。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

その初日を前日に控えた10月31日(月)に囲み取材と公開舞台稽古が行われ、囲み取材には大竹、キムラ、渡辺の3人が登壇した。

3人揃っての共演は初めてということについて、大竹は「お芝居の小さいことでも言い合えて、そこが楽ですね」と信頼し合っていることを明かした。これに対して、渡辺が「ちょっと違うことをやっても、皆が受けてくれるので、やりやすいですね。でも、演技していても、喧嘩のシーンは地の部分が出ているんですよ。色々悪口を言い合ったり、ケンカをしたりするので、同世代の観てる人たちはスカッとすると思います」と語るように、3人それぞれの喧嘩シーンは見応え抜群。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

大竹は「笑いながら、寂しいなとか、切ないなと思ったり、自分に置き換えたりすると思います。特に60代以上の方々が観に来られると思うんですけど、すごく考えさせられる芝居だなというところまで深めたいと思っています。本当に笑える芝居なんですよ。(渡辺)えりちゃんとか、出てくるだけで笑えます(笑)。えりちゃんの役は、えりちゃんにしかできないと思う」と見どころを交えて渡辺をいじると、渡辺は「なんでよ!(笑)」と笑顔でその言葉にツッコミ。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

何度も舞台化されてきた人気作であることについて、キムラは「今まで映画、テレビ、舞台で、色々な方が魅了されて、何度も上演されている意味が演じてみて分かりました。最後にズシリと心に残るんです。自分の人生を振り返るキッカケにもなるから、そのものをお客様に持ち帰っていただけたらと思いますね」と思いを明かした。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

3人とも60代以上の役柄という作品だが、大竹は「オファーの時、15年後か20年後の話かと思ったんですよ(笑)。早い話だなと思ったら、『来年の話ですよ』と言われてショックでした(笑)」と裏話を披露し、会場の笑いを誘った。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

血の繋がりのない3人の女性たちが老いても必死に生きていく様を描いた本作では、ヒヤッとさせられるほど鋭い切り口であぶり出される“老人問題”というテーマとは裏腹に、ユーモラスな描写、台詞が応酬する。渡辺が「喜劇と悲劇はいつも紙一重で、その部分が色濃く出ている戯曲。やればやるほど滑稽で残酷。今の社会の問題点が、笑っているうちに浮き上がってくるお芝居です」と語るとおり、とても愉快で楽しいけれど、ちょっと考えさせられる舞台だ。

舞台『三婆』は、11月27日(日)まで東京・新橋演舞場で上演。

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

新橋演舞場『三婆 (さんばば)』

(取材・文・撮影:はろるど りゅうのすけ)

公演情報
三婆 (さんばば)

■会場:新橋演舞場 (東京都)
■日程:2016/11/1(火)~2016/11/27(日)
■原作:有吉佐和子 
■脚本:小幡欣治 
■演出:齋藤雅文
■出演:
武市松子:大竹しのぶ 
武市タキ:渡辺えり 
富田駒代:キムラ緑子 
辰夫:安井謙太郎(ジャニーズJr.) 
お花:福田彩乃 
瀬戸重助:段田安則