ザ・クロマニヨンズ、10年間変わらない衝動と情熱の源とは? ヒロトとマーシーに訊いた

インタビュー
音楽
2016.11.4
ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

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瞬間的な衝動や興奮がダイレクトに伝わってくる。いつまでも消えない情熱が楽曲の根底にある。ザ・クロマニヨンズの10枚目のアルバム『BIMBOROLL』は瞬間と永遠という真逆な要素を封じ込めた見事なロックンロール・アルバムだ。彼らが音楽シーンに出現してから10年。彼らは最新作まで10作品連続してみずみずしいロックンロールを作り続けている。彼らの音楽が独特なのは“進歩”“成長”“斬新”など、一般的にアーティストの音楽を形容する時に使われる概念を超越している点にあると思うのだ。彼らの音楽を前にすると、“新しい”“古い”という言葉すら意味を持たなくなる。あくまでも個人的な解釈になるのだが、ザ・クロマニヨンズというバンド名も“音楽の進化の歴史”から逸脱していることを象徴していると感じた。彼らは毎年毎年、美味しい果実を出荷しつづける果樹園の農家のように、ロックンロールという名前の最高の果実を作り続けている。どうしてマンネリに陥らず、失速せず、鮮度の高い音楽を生みだし続けていけるのか。その答えは風の中にすらないのかもしれないが、ヒロトとマーシーに聞いていく。

「なんでそれ食べてるんだ?」「おいしいから」っていうのと一緒

――『BIMBOROLL』は最高のロックンロール・アルバムですね。10年、10枚も連続して、こんなにもみずみずしい作品を作り続けるのは、とてつもないことなのではないかと思うのですが。

甲本ヒロト:進歩してないだけですよ(笑)。

――ザ・クロマニヨンズ結成から10年たったことについて、思うことはありますか?

ヒロト:ないですね。

――ビートルズもブルーハーツもハイロウズも結成から10年前後で解散しています。バンドにとって、10年ってひとつの節目なのかなとも思うのですが。

ヒロト:例としてあげてるところが狭いですね(笑)。ブルーハーツもハイロウズもそうだったんだけど、全部成り行きなんで、特に意識してやってることじゃないんですよ。自然に続くんじゃないですか、続くときは。

――真島さんも「10年だから」という感慨は特にないですか?

真島昌利:ローリング・ストーンズも50年やってますしね(笑)。あまり10年とか何周年記念というのに興味がないし。

――10年間、マンネリになったりすることなく、常にフレッシュな状態であり続けていくのは簡単なことではないと思うんですが、どうしてそういうことが可能なんでしょうか?

ヒロト:そういうこともあんまり意識してないですね。自分の中ではいまだに1リスナーという意識が大半で、ロックンロールのファンが暇をみつけてバンドをやってるという。特に深いことを考えずにやってるだけなんですよ。

――ビーチボーイズが『ペット・サウンズ』を作ったことに刺激を受けて、ビートルズが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を作ったと言われてますし、ロックの歴史は新しいものを作ろうと模索しながら進んできたと思うのですが、ザ・クロマニヨンズって、そういう進化への意識がまったくないバンドという印象もあります。これはどうしてなのでしょうか?

マーシー:僕らは過去のロックの歴史として知ってるわけじゃないですか。ローリング・ストーンズの『サタニック・マジェスティーズ』、失敗してんじゃん、みたいな(笑)。猫も杓子もサイケで、それだけビートルズの影響力が大きかったってこともあるだろうし、もちろん優れたアルバムも出たかもしれないけど、結局、『ベガーズ・バンケット』に戻ったあとのローリング・ストーンズのほうがすごいわけですよ。僕らにはそういうロックの歴史がある程度、予備知識として入っちゃってるじゃないですか。それに今って50年前とは違って、「今はこれだぜ」っていう時代じゃなくて、個々に好きなものをやっていく時代で。例えば70年代の歌謡曲のヒット曲ってみんな知っていたけど、今のヒット曲って、知ってる人もいれば、「何それ?」って人もいて、かなり細分化されている。その中で好きなことを好きなようにやっているだけです。

――その好きなことがロックンロールということですね。

マーシー:だって僕らは中学生のときに、60年代のビートバンドを聴いて、なんてかっこいいんだろう、なんで今はこんなかっこいいロックンロールが無いんだろうって思ってたところに、パンクロックが出てきて、衝撃を受けたわけじゃないですか。「ほら、こういうのがかっこいいんだよ!」って、パンクロックによって確信に変わった世代なんですよ。

ヒロト:そうそう。

――音楽は進歩すればいいというものではないと?

ヒロト:そんなことはどうでもいい。

マーシー:こんな感じのロックンロール・バンドがやりたいし、これが1番かっこいいんだって。ただそれだけ。

ヒロト:確かに。

――最近の音楽って、ヒップホップのラップにしてもそうですが、1曲の中の情報量をどんどん増加させる傾向があると思うのですが、ザ・クロマニヨンズの音楽って、歌詞の言葉数も少ないし、表現もシンプルだし、表層的には情報量がかなり少ない音楽ですよね。だからこそ逆に、聴き手それぞれが自由に受け取っていける豊かな音楽なのではないかと感じています。そのあたりのことはどう思われますか?

ヒロト:ヒップホップとかそういうことって、表面的なスタイルだと思うんですよ。結局それがロックンロールであれば好きだし、スタイルは重要なことじゃない。例えば、アコースティック・ギター1本でやっても、ロックンロールになるものはなるし。ただ、スタイルはどうでもいいという中で、ザ・クロマニヨンズはこういうものを選択しているってだけだから。それは単純に気持ちがいいから。

――気持ちがいいって、絶対的な理由ですね。

ヒロト:それは「なんでそれ食べてるんだ?」「おいしいから」っていうのと一緒ですよね。「流行ってないよ」「いや、食いもんに流行りもねぇよ。おいしいから食べてるんだよ」って。でもさ、世の中には突然流行る食いもんってあるじゃないですか。あれは不思議だな。

――行列になっているのがたまに報道されますよね。

ヒロト:そうそう。その食いもん、昔からあるよ。なんで急にパンケーキが流行るんだろうって(笑)。

マーシー:一時期ジンギスカンもすごかった(笑)。

ヒロト:ねぇ。そういうのでいちいち反応するのって、どうなんでしょうね。今はジンギスカンが来てるから、ジンギスカンを食べるとかさ。好きなもん食えよって思う(笑)。

マーシー:ははは!

――好きなロックンロールをやり続けていて、10年で10枚。シングルのカップリング曲も含めると、130曲ぐらい作ってきたわけですが、曲って枯れることなく出てくるんですか?

ヒロト:うーん。それはよくわかんないな。

マーシー:今んとこは出てますね。

ヒロト:普通に食べりゃ、クソをしたくなるみたいな(笑)。

――『BIMBOROLL』はいつ頃、制作していたんですか?

ヒロト:5月~6月ぐらいかな。ツアーが終わったのが4月の終わりだったんで、そこから1週間か10日ぐらい空けて、みんなでスタジオに集まった時には今度のアルバムに入れた曲、全部あったよ。

――アルバムの制作に入る時って、いつもそんな感じなんですか?

ヒロト:そうです。それで発売がいつだろうと、その時にアルバムを作っちゃうんですよ。だから急げば7月の発売もできたんだろうけど、そんなことはどうでもいいんです。

――ツアーが始まるちょっと前に新作が出て、聴いた直後にツアーが始まると、リスナーもいい感じでテンションを上げて、ライブにのぞめそうですよね。

ヒロト:うんうん。

――ツアーが終わって、すぐにレコーディングをするのはどうしてなんですか?

ヒロト:暇だからですよ(笑)。ツアーが終わると次のツアーまで暇じゃないですか。

マーシー:(笑)。

ヒロト:バンドはツアーとレコーディングしかやることないわけだから。

――毎年そのパターン?

ヒロト:そうです。

――それが自然な流れということなんですか?

ヒロト:1年で区切っていくのがわかりやすくていいんですよね。1年1枚1ツアー、それをルーティンにしていくと、観る側もわかりやすいしね。そろそろクロマニヨンズが来るなって。夏はイベントに出たりするけどツアーとは別にしたいし。そうすると、だいたいのところは決まっていく。

――いつものように、アトミック・ブギー・スタジオでの作業ということですよね。通常、最短3日から1週間くらいで制作されているとのことですが、今回は?

ヒロト:実際の作業時間はすごい短かったと思います。

――やるほどに効率が良くなってきたのでしょうか?

ヒロト:そうですね。余計なことやんないからな。

――過去に1枚だけ、ステレオで録っていますが、これは?

ヒロト:録り方にはステレオもモノもないんです。同じです。ミックスするときにフェーダーを右に回したり左に回したりするから、ステレオになるわけじゃないですか。あれを真ん中にしとけばモノラル。そんだけです。やってることは何にも変わらないです。

――スタンドマイクで歌ったりしたこともありましたよね。

マーシー:帽子かぶって歌ってみたりね(笑)。

――今回はスタジオの環境も含めて、何か変えたことはありますか?

ヒロト:いろいろやってみたんですけど、今回はライブと同じように普通に録りました。いつも歌を録るときはライブで使うマイクでそのまま録音するんですよ。マイクって全指向とか単一指向とか指向性があって、ライブで使うマイクは正面の音ばっかりを拾うようにできている。そうしないとギターの音やまわりの音をガンガン拾っちゃうから。ただ、ライブのマイクは離れると声が入らなくなるし、頭のあたりを隠すように握ると指向性が崩れて、まわりの音がガンガン入るから、録音には良くないんですよ。なので、時々スタンドにマイクを立てて、さわらないように歌ってみたりしたんですけど、めんどくさくなった(笑)。いい音じゃなくていいから、楽しくやりたくなっちゃった(笑)。

――マイクの頭を握らないように、気を使っているんですか?

ヒロト:いや、気は使わない。気を使うんだったら、もう意味がないもん。

――真島さんはレコーディングで何か変えたことはありますか?

マーシー:いや、わりとゆったりめのズボンを履いていることくらいかな(笑)。

ヒロト:ははは。

――それは楽だからですか?

マーシー:レコーディングのときって、ほとんど立って弾かないんですよ。座って弾いてて、あんまりタイトだと、締め付けられて、お腹が痛くなるかなと思って。ゆったりパンツでお腹も痛くならず、楽しくレコーディングできました(笑)。

ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

音楽なんだから、何を言ってるかわかんなくていい

――収録曲をそれぞれ6曲ずつ書いていて、毎回そうなっていますが、これは何か決まり事があるんですか?

ヒロト:自然にそうなったというか。お互いに何曲ずつか持ち寄ってて、今日はこの曲を出してみようかなとか、いろいろ思ってるわけですよ、ノートに書いたりして。そんでどっちかが1曲やって、みんながコード進行を覚えたり、曲の全体像をつかんだりしてから、じゃあ演奏してみようってやるわけです。だいたい30分もしたら、みんなひと通り演奏できるようになる。で、次の曲やろうってときに、「俺、もう1曲やるわ」とは言わないじゃないですか、大人だったら(笑)。「次はマーシーやんなよ」って言うじゃない? で、マーシーが1曲出してきて、また30分ぐらいやると、マーシーも「じゃ俺もう1曲やるわ」じゃなくて、「じゃ、次はヒロトやんなよ」って言うんですよ、大人だから(笑)。

――子どもが1台のブランコを譲り合って、順番に乗るのにも通じますね。

ヒロト:そうそう(笑)。で、お互いに2曲ずつ4曲ぐらい出して、2時間くらい作業したら、「今日は帰ろうか」ってことになる。それで家で晩酌したり、テレビ観たり。で、次の日また始まったら同じことが起きるんですよ。「昨日、誰からだっけ」「今日誰からだっけ」みたいになって、4曲ぐらい終わったら、「帰ろうか」って家に帰るんですよ。で、3日め、2曲ずつ出して4曲貯まったら、あれ? 今まで3日間で12曲あるじゃん、アルバムできるじゃん。はい、終わり!って(笑)。

――相手がこういう曲を出したから、バランスを取って、こんなのを出してみよう、みたいなことは?

ヒロト:それはないです。

――そうやって集まった12曲って、同じアルバムの中に納められることになる必然性、みたいなものはあるんでしょうか。もしくはそれぞれが引き合って、ひとつの作品に入っていく磁力みたいなものがあるとか?

ヒロト:ないない、寄せ集めですよ。

――でもどこかには同じ時期にやるべくしてやった何かがあったのではないですか?

ヒロト:曲自体はもっと前のものかもしれないけど、その時期に出したくなってるってことは何かあるのかな。意識はしてないですけどね。

――スタイルは関係ないとのことですが、様々な音楽のエッセンスも感じとることができます。「誰がために」だったらパブロック的なテイストがあります。こういうのは最初に曲を提出した時点からそうなのか、それともバンドでアレンジしていく段階でそうなっていくのか、ということに関しては?

ヒロト:両方ありますね。おおざっぱに全体のイメージがあるものと、まったくなくて歌だけのものと。「誰がために」は最初からあんな感じだっけ?

マーシー:そうだね。最初からあんな感じだったね。

――「焼芋」は曲が浮かんだ時からレゲエというイメージはあったんですか?

マーシー:うん。

――逆にロックンロールを奏でる上で、これはやらない、みたいなことはありますか?

ヒロト:いや、なんでもいいの。

――『BIMBOROLL』だけでなく、過去の作品にも言えることですが、パンクやロックンロールはもちろんですが、ブルース、R&B、オールディーズ、セカンドラインなど、ルーツ・ミュージック的な要素が色濃い曲が目につきます。

ヒロト:自分がリスナーとして聴いているものが蓄積されているから、そういうものが自然に出てくるんだと思います。すべては感動の余波ですから。感動した、かっこよかったという余波が曲になって出てきたり、アレンジに影響を与えたりするんだと思う。

――余波ではあっても、それはそれぞれが自分で感じたものであって、借りものじゃないってことですよね。

ヒロト:借りられないんですよ、感動は。

――その余波が音になった時に、ロックンロールになってるのがクロマニヨンズの音楽?

ヒロト:いや、どうなんですかね、あんまり難しく考えてるわけじゃないんですけど。

――あと「ピート」のピートって、ザ・フーのピート・タウンゼントってことですよね。この曲を作ったきっかけと、この時期に出すことにした流れというと?

ヒロト:よくわかんないんだよ。急にそんなことになっちゃったんですよね。……好きなんでしょうね。

――「ピート」は歌もギターも演奏もザ・フーのピート愛にあふれていますよね。

マーシー:ああ。

ヒロト:そこはモロにオマージュ入ってますよ。ロックンロールへの。

――そういう曲って、自然に生まれてくる感じなんですか?

ヒロト:楽曲の種みたいなのがポンと浮かんできて、1曲できあがる作業の過程で、これはピート・タウンゼントを意識した歌なんだなって、自分で途中で気づくんですよね。特にピート・タウンゼントの歌を作ろうなんて思わないですからね。ああそうなんだなって気づき始めたら、じゃアレンジにザ・フーのあの曲を使ったらおもしろいかなとか、そういうことは考えますよ、普通に。

――「デトマソパンテーラを見た」はデトマソパンテーラとクリームパンとが連動していて、シュールで詩的な風景が浮かんできました。こういう着想は空想からなんですか? 実体験からなんですか?

マーシー:この歌はかなり実話に基づいてます。

――本当に目の前をデトマソパンテーラが通ったんですか?

マーシー:うん。クリームパン洗ってるところに実際に通った。

――「モーリー・モーリー」はとてもシンプルな歌詞ですが、深読みもできるし、音の響きもクセになる曲です。

ヒロト:最近なんとなく思うのは、みんなが歌詞にばっかりこだわるのって、CDのせいなんじゃないかなってこと。歌詞の意味にこだわるの、どうでもいいじゃないですか。言葉のおもしろさと歌詞の意味はまた違ってて。文章として意味をなしてなくても感動するときってあるんですよ。むしろそっちのほうがおもしろいと思う。音楽なんだから、何を言ってるかわかんなくていいし、なんとなくかっこいいのがいい。

――アナログのほうが、自分の想像力で補完して聴ける余白みたいなものがありますよね。

ヒロト:デジタルって、ポリゴンがポリゴンなんですよ。自分でも何言ってるのか、よくわかんないけど(笑)、絵の具べた塗りのほうがおもしろいじゃないですか。

ザ・クロマニヨンズ・真島昌利 撮影=西槇太一

ザ・クロマニヨンズ真島昌利 撮影=西槇太一

――『BIMBOROLL』というアルバム・タイトルの“BIMBO”って“お馬鹿”という意味のイタリア語もありますが、このタイトルはどんないきさつでつけたのですか?

マーシー:それもなんとなく、みんなでワイワイやってるうちに成り行きで決まりました。

ヒロト:語感がいいってのもあって。特に意味を伝えたいわけじゃなく、アルバムを識別する記号のように覚えてくれれば。

――ジャケットのデザインもいいですね。絵の具感もあるし。

ヒロト:毎回なんですけど、菅谷(晋一)くんに丸投げですね。「好きにやってください」って。すげぇいいですよ、このジャケット。

――どんなものに基づいて制作しているのか、菅谷さんに確認したりはしないんですか?

ヒロト:うん。誰かからの経由で我々の音源とタイトルが菅谷くんとこに行くだけ。特に僕らとディスカッションするでもなく。そもそもその時期に会いませんから。そっちのほうがいいです。

マーシー:いちいち僕らも「コレは何?」とか「コレどういう意味?」とか聞かないし。なんとなく良ければいいから。見た瞬間に、わっ、かっこいいじゃんって。それでいいんです。

――このジャケットとアルバムの1曲目の「ペテン師ロック」から浮かんでくる光景がシンクロする気がしました。個人的な感覚なんですが、大きな時の流れみたいなものも感じさせるジャケットで、進化を超えた瞬間性と永遠性とが散りばめられたアルバムにぴったりだなと感じました。

ヒロト:あのね、人間って大して進化してないじゃないですか。多分エジプトの時代の人と俺たちが並んでもそんなに大きく変わってないと思う。基本、同じような心を持ってるだろうし、同じようなものをおもしろがってたと思う。だからちょっとした世の中の変化に一喜一憂することはどうでもいいんですよ。それよりも自分が楽しいと感じることに普通に反応してればいいような気がするんだけどな。……ってことすらも普段は考えてないんですけど(笑)。

――取材で聞かれたので、この場で考えて、あえて言葉にして答えてくれたわけですよね。

ヒロト:そうそうそう(笑)。

――進化の話、言われれば、確かにそうですね。

ヒロト:それこそ今、耳が4つ5つあるんだったら、それはもうステレオもいろいろ変えなきゃなんないしさ、サウンド的にもいろいろ変えるだろうけど、そんなことないんですよね(笑)。

――ビートルズの音楽にしても、機材や録音技術の発達に合わせて、進化してきたとも言えると思うんですが。

ヒロト:それこそ成り行きの変化じゃないですか。シンセサイザーができたから、こんな音を入れてみようっていう。それもおもしろいと思います。でも意識して進化をしなければいけないってことはないと思う。

――むしろザ・クロマニヨンズの場合は進化を否定しているところもあったり?

ヒロト:いや、否定もしてないです。自由。楽しければ、なんでもいいんです。

――ザ・クロマニヨンズはいつもCDと同時にアナログ盤もリリースしていますが、ハイレゾに関してはどう思っていますか? デジタルではあるけれど、より精緻になって音が滑らかになっているという意味ではアナログ寄りのサウンドとも言えますが。

ヒロト:あれだけがんばって、あのぐらいしか近寄れないんだったら空しくなるね。一生懸命がんばってアナログに近づけるんだったら、なんでここにアナログがあるのに、それを聴かないの?って思う。簡単に聴けるよ(笑)。

――最後に。10枚目のアルバムの発表後のツアーということになりますが、こんなツアーにしたいというのは?

ヒロト:いや、ないなあ。よく考えてみよう……。やっぱりないなあ。

マーシー:楽しくやっていければいいんじゃないですか。

ヒロト:そんなことすらも考えてないんでしょ。

マーシー:普段は何も考えてない。

ヒロト:そうそう(笑)。

――衝動や本能のおもむくままにやっていると?

ヒロト:もしかしたら、これまでにツアーをやったことがなかったら、考えるのかもしれないね。俺たちがツアーをやるなら、こんなのにしたいとかさ。さんざんやってると、「こんな風に」とか何にも思わない。結局、毎日精一杯やるしかないんですよね。その日に出せる全部をやる。それだけです。
 


取材・文=長谷川誠 撮影=西槇太一

ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

ザ・クロマニヨンズ 撮影=西槇太一

リリース情報
アルバム『BIMBOROLL』
発売中
『BIMBOROLL』

『BIMBOROLL』

■CD:BVCL747 /定価¥2,913+税
○初回仕様分のみ紙ジャケット仕様
■完全生産限定アナログ盤:BVJL23 /定価¥2,913+税
○’60年代フリップバックE式盤を可能な限り再現。180g重 量盤採用
<収録曲>
1.ペテン師ロック
2.マキシマム
3.ピート
4.おれ今日バイク
5.デトマソパンテーラを見た
6.ナイアガラ
7.もれている
8.誰がために
9.モーリー・モーリー
10.焼芋
11.光線銃
12.大体そう

 

ツアー情報
全国ツアー「ザ・クロマニヨンズ TOUR BIMBOROLL 2016-2017」
11月17日(木) 長野県 長野CLUB JUNK BOX
11月20日(日) 大阪府 なんばHatch
11月22日(火) 大阪府 umeda AKASO
11月23日(水・祝) 大阪府 umeda AKASO
11月25日(金) 岡山県 岡山YEBISU YA PRO
11月26日(土) 岡山県 岡山YEBISU YA PRO
11月27日(日) 岡山県 岡山YEBISU YA PRO
11月30日(水) 東京都 LIQUIDROOM
12月01日(木) 東京都 LIQUIDROOM
12月03日(土) 石川県 金沢Eight Hall
12月04日(日) 富山県 富山MAIRO
12月08日(木) 秋田県 秋田 Club SWINDLE
12月10日(土) 青森県 青森 Quarter
12月11日(日) 岩手県 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
12月15日(木) 大分県 DRUM Be-0
12月17日(土) 熊本県 熊本B.9 V1
12月18日(日) 熊本県 熊本B.9 V1
12月20日(火) 神奈川県 CLUB CITTA' 川崎
12月23日(金・祝) 北海道 PENNY LANE 24
12月24日(土) 北海道 PENNY LANE 24
12月25日(日) 北海道 PENNY LANE 24
12月27日(火) 北海道 帯広 MEGA STONE
1月09日(月・祝) 岐阜県 岐阜club-G
1月11日(水) 愛知県 E.L.L.
1月12日(木) 愛知県 E.L.L.
1月17日(火) 福島県 郡山 HIP SHOT JAPAN
1月20日(金) 静岡県 Live House浜松 窓枠
1月21日(土) 静岡県 Live House浜松 窓枠
1月24日(火) 東京都 TOKYO DOME CITY HALL)
1月28日(土) 新潟県 新潟LOTS
1月31日(火) 群馬県 高崎 club FLEEZ
2月03日(金) 滋賀県 滋賀U★STONE
2月04日(土) 滋賀県 滋賀U★STONE
2月06日(月) 和歌山県 和歌山SHELTER
2月08日(水) 兵庫県 神戸ハーバースタジオ
2月09日(木) 兵庫県 神戸ハーバースタジオ
2月14日(火) 島根県 松江B1
2月16日(木) 愛媛県 松山W studio RED
2月18日(土) 広島県 BLUE LIVE 広島
2月19日(日) 山口県 周南 RISING HALL
2月22日(水) 山梨県 甲府CONVICTION
2月25日(土) 宮城県 仙台 PIT
3月02日(木) 埼玉県 戸田市文化会館
3月04日(土) 東京都 福生市民会館
3月12日(日) 神奈川県 ハーモニーホール座間 大ホール
3月18日(土) 香川県 サンポートホール高松 大ホール
3月20日(月・祝) 京都府 京都KBSホール
3月25日(土) 長野県 茅野市民館 マルチホール
4月01日(土) 栃木県 栃木県教育会館
4月02日(日) 千葉県 千葉市民会館 大ホール
4月06日(木) 静岡県 静岡市民文化会館 中ホール
4月08日(土) 三重県 三重県文化会館 中ホール
4月09日(日) 愛知県 刈谷市総合文化センター 大ホール
4月14日(金) 兵庫県 尼崎市総合文化センター あましんアルカイックホール)
4月19日(水) 東京都 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
4月22日(土) 福岡県 石橋文化ホール

 
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