『VIVA LA ROCK 2017』のロゴは“楽描き”のグラフィティ! その完成までをSPICEが追ったレポート&メイキング映像公開
鹿野淳 / AZI 撮影=大野要介
『VIVA LA ROCK 2017』のオフィシャルロゴが発表された。
驚くべきことに、今年のロゴは「手描き」だ。概要を聞いたときには正直、まず「どういうこと?」と思った。簡単にいうと、HIP-HOPのストリートカルチャーでお馴染みのグラフィティを巨大なパネルに描き、それを超高画質のデジタル中判カメラで撮影、取り込んだデータをリアルタイムで加工し、ロゴとして仕上げるという、通常のセオリーからは逸脱した手法が取られている。
一発勝負。このスリリングかつワクワクする試み——冒険といってもいい——を実現させたのは、ビバラのプロデューサー・鹿野淳のインスピレーションと遊び心、グラフィティアーティスト・AZIの技術、そして両者がこのプロジェクトに注ぎ込んだ情熱に他ならない。そしてこの両者を結びつけたのがUVERworldのTAKUYA∞であるという事実は、音楽がつないだ人の縁というものを実感させてくれると同時に、ロックそのもののの可能性、ビバラというフェスが狭義のロックだけではなく広くポップカルチャーへと裾野をひろげていこうとしていることの、象徴のようにも思える。
ロゴはその対象物のマインドを象徴するものとして生まれる。今年のビバラのロゴがこのような誰も想像できなかったようなやり方で、ストリートカルチャーのエッセンスを大胆に取り入れて誕生したということは、このロゴが象徴する対象=『VIVA LA ROCK 2017』は、これまで以上に単なるロックフェスの領域を超え、新たなフェーズに突入していこうとしているのだろう。
出演者の第1段発表まで1ヶ月あまり、新たな先行もスタートするタイミングで明かされたこのオフィシャルロゴは、単なるデザインの話だけではない、大きな意味を持っているに違いない。
ビバラのオフィシャルサイトではオフィシャルロゴの制作風景をダイジェストで納めた映像が公開されているが、10時間にも及んだこの制作にSPICEは完全密着。さすがにノーカット!というわけにはいかなかったものの、事前の打ち合わせの模様から現場の空気、作業風景、完成後の鹿野とAZIによるトークまで、ロングver.の動画として公開した。また、本記事内では写真とテキストでも、最早アートと呼ぶに相応しいロゴが誕生するまでを振り返る。
スタジオに到着した筆者を出迎えたのは巨大なパネル。現場が東京郊外に位置するスタジオであったため、連絡を受けたときには「なぜこんな場所で?」と思わないこともなかったのだが、これで納得した。これだけのサイズのパネルを設置し、さらにその周りを養生(汚れないように保護すること)するとなると広大なスペースが必要で、しかも今回はそれを特殊な手法で撮影→ロゴ化するという作業も同時進行で行うわけだ。
「これは確実に未知のものが見られるぞ」朝イチの眠気もどこへやら、期待感と好奇心が筆者の心を満たす。
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
ベースとなる白地を塗っていく間、鹿野とAZIは手元の紙にラフを描きながら、全体像のイメージを膨らませていく。今回、ロゴとして使用するだけではなく、当日の会場で来場者を出迎える巨大パネルとしての役割も果たすため、絵としてのインパクトやどのような意味合いを持たせるかについて話しあうのだ。この会話の中から新たなアイデアが生まれ、AZIがそれを具現化するやり方を模索する。とてもクリエイティヴな空間である。グラフィティを撮影してロゴデータを作成するための超高精細カメラもPCと接続され、スタンバイ完了。
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
デザインの大枠が決まったところで実際に使用する色をセレクト。スプレー缶の塗料にこんなにカラーバリエーションがあったのか、と驚くほど、赤なら赤、青なら青の中にもたくさんの種類が用意されていた。その中から最適と思われる色をチョイスし、いよいよパネルにロゴを描いていく。……と、ここでも驚きの光景が。下書きともいうべき輪郭を描いていくのだが、全体のサイズ感や文字の形、バランスなど全てフリーハンドで一気に描いていくのだ。スプレーの仕様上、迷ったり止まったりすると塗料が垂れたりムラになってしまうため、勢いと繊細さが高レベルで要求される職人技といえるだろう。
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
今回、何パターンかのロゴを作成するため、まずは一番シンプルなデザインを描き、だんだんとそれにデコレーションを施し加筆するという手法を取っていたのだが、通常のセオリーからすると逆らしい。要するに、一番外側にくる背景色(今回でいうと赤)を塗ってしまい、その内側の色、さらにその内側の色……と重ねていくほうが楽なのだ。その真逆のやり方を「面白いですね」と快く受け入れ、やり遂げるAZIはさすがだ。
また、そのスプレーさばきは見事というよりほかなく、特に黄色で入ったグラデーション部分など、指先の微妙な力の入れ具合で塗料の濃淡をコントロールしていた。本人に聞いてみたら、「本来、指先で下に押すという動きは、人間が普段あまりやらないので、慣れるまでは指先が勝手に予想外の動きをしてしまうこともあった」そうだ。何のジャンルでも言えることだが、究めている人は本当にすごい。
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
そうこうしているうちに、次々と色が乗っていき、全体像が見えてくる。一色塗るごとに撮影と乾燥待ちが入るため、時間自体はかなり経っているのだが、ロゴ自体はかなりスムーズに描かれていくし、何より見ていて楽しいのであっという間に時間が過ぎていく。鹿野も間近に陣取ってじっと作業を見守り、完成に近づくグラフィティを見ながらときおりガッツポーズをしたりと、かなりの手応えを感じている様子。段階が進むたびにAZIと意見の交換をすることで、微調整も施していく。
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
撮影=風間大洋
ロゴとして仕様するメイン部分が完成するまでにおよそ6〜7時間ほどかかっただろうか。ここからは会場に設置するためのパネルとしてのデザインを加えていく。周囲に配されたイナズマや右下の人形シルエット、左側のメッセージ、太陽と月をイメージしたモチーフなど。このあたりは当日のやり取りの中で生まれたアイデアを具現化したものがほとんどだ。特に人形のシルエットに関しては試行錯誤が繰り返されていた。最初は実際にAZI自身を型どって等身大にしたものの、AZIが180cmを超す高身長であるため、全体のバランスが崩れてしまうという判断から、何割か小さい「AZI Jr」を急遽製作。結果としてロックキッズの具現化とも取れる少年のようなシルエットが誕生したのだった。
撮影=風間大洋
撮影=大野要介
撮影=大野要介
製作開始から10時間あまり。ついに『VIVA LA ROCK 2017』のロゴと、巨大パネルが完成のときを迎える。たかがロゴひとつに、と思う人もいるかもしれない。筆者も正直、ここまでの情熱と手間が注ぎこまれているとは思わなかった。いや、きっと通常はここまでやらないのだろう。「無知の勝利だ」と鹿野は語っていたが、誰もやろうとしなかったこと、誰も想像すらしなかったことをビバラチームはやり遂げたのだ。そして、そのことこそがビバラのマインドであり、もっといえばロックの、音楽のもつ様々な可能性にあらためて気づかせてくれるような1日であったと思う。
半年後、このロゴのもと開催される『VIVA LA ROCK 2017』。過去の開催を全て塗り替えるくらい、刺激的で新しいロックフェスの姿をみせてくれるんじゃないか、なんだかそんな気がする。
取材・文=風間大洋 撮影=風間大洋、大野要介 動画=大野要介
鹿野淳 / AZI
AZI(http://www.aziworks.com)という「楽書き」をコンセプトにした素晴らしいグラフィティ・アーティストとの出逢いがあり、いろいろ話し合った結果、彼に幅4.5m×高さ2.7mの巨大ボードに実際にグラフィティを描いてもらい、その中からこのロゴが生まれました。VIVA LA ROCK 2017ではこのロゴを含んだ巨大なグラフィティ・ボードが入口付近でみんなをお迎えする予定です。このロゴやグラフィティが描かれたドキュメント映像は、WEBメディア「SPICE」(http://spice.eplus.jp/articles/87389)で公開されていますので、是非ご覧ください。すでに来年のビバラが走り出していることを生々しく感じていただけることと思います。
そして過去にも開催してきた、その年のビバラのキックオフを告げるライヴパーティー「KICK OFF VIVA!!!2017」を来年の2月11日(土・祝)に新木場STUDIOCOASTにて開催することになりました! 今までも最高のライヴやDJと共に餅つきしたりしながら、大きな新年会のような感じでやって来ましたが、今回はバレンタインの直前ですよね。どうしましょうかね? チョコでも一緒に作りましょうか(笑)。KICK OFF VIVA!!!はこの日、最高の愛のロックでみんなをお待ちしています! 出演アーティストに関してはもうすぐ発表しますので、ビバラのオフィシャルサイトや Twitter を注目し続けてください。
今回も埼玉県内居住者限定の超先行発売にたくさんのご応募をいただき、ありがとうございました。まった く内容もブッキングもわからない中で毎回たくさんご応募いただけていることが、ビバラの勇気になっていま す。そしていよいよ全国のみんなにご購入いただける先行販売を開始しました! 出演者の第1弾発表は12月に控えていますが、4回目のビバラ、GWに再び戻って来たビバラにいち早く参加するぜという意気込みを持った方々をお待ちしています。さらには5月6日にはスガ シカオデビュー20周年フェス「スガフェス!」を行いますが、そのフェスと連動した「4日通し券」も発売開始しました!
そしてビバラのオフィシャルサイトにも書きましたのでしっかりお読みいただきたいのですが、ビバラはチ ケット販売において新しい試みを行うことにしました。それは「キャンセルサービス」の導入です。どうして もやむを得ない事情でビバラに行けなくなってしまった購入者の方々に対し、一定期間のみキャンセ ル申請を受けつけ、返金いたします。この試みはまだ音楽業界では数少ないもので、僕らも試行錯誤の中で実 現に向けて走り出しています。今回はスマチケという電子をクレジットカードで購入された方のみに 適応するという、限られた方を対象にする形でしかキャンセル受付を実施できませんが、それでもやる価値は 参加者のみんなに対して、そして音楽エンターテイメントの未来に対して大きくあるだろうと踏み、実施することにしました。手数料など含めルールがありますので、くれぐれも詳しく読み込んでください。よろしくお願いします。
鹿野 淳(VIVA LA ROCK プロデューサー)
会場:さいたまスーパーアリーナ
開場/開演/本編終演予定:9:00/10:30/20:30終演予定
11月15日(火)12時~2017年1月12日(木)18時まで
期間:11月15日(火)12時~2017年1月12日(木)18時まで
券種:3日券(5/3~5/5) 代:¥24,000 (税込・WELCOME DRINK1杯付)
4日券(5/3~5/6) 代:¥30,000 (税込・WELCOME DRINK1杯付)
※4日券には、5/6(土)開催の『スガフェス!』のが含まれています。
スマチケ購入 URL : http://eplus.jp/viva17sma/
紙購入 URL : http://eplus.jp/viva17pp/
※先着順の発売となります。
※小学生以上必要(小学生未満は保護者同伴のもと、入場無料)
※代は税込、各 WELCOME DRINK
KICK OFF VIVA!!! 2017
日時:2017年2月11日(土・祝)
場所:新木場 STUDIO COAST
開場:14:00(予定)/終演:20:00(予定)
先行販売:2017年1月11日(水)18時まで
代:3,500 円(税込、ドリンク代別)
※小学生以上必要小学生未満は保護者同伴のもと、入場無料 受付
URL:http://eplus.jp/kickoffviva/
主催・企画・制作:(株)FACT/(株)ディスクガレージ
問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888(weekday 12:00~19:00)
オフィシャルサイト:http://vivalarock.jp/2017kickoff/
2017年4月14日(金)まで参加者募集中!
音源、衣装、同人誌など、音楽にまつわる表現をする方を広く募集し、自分の音楽を展示・販売できるコミュニティが「オトミセ」です。
VIVA LA ROCK の会場内にみんなでテーブルを並べ、そこで自分の音楽をみんなと共有しませんか? 音楽フェスとしては極めて珍しく新しいコンテンツですが、参加者に楽しんでもらえる「ビバラ名物」になりつつあります。ご興味ある方はオフィシャルサイトよりエントリーシートをダウンロードし、必要事項を記入の上、メールか郵送いずれかの方法でご送付ください。