GARNiDELiAの2人が撮下ろし&ロングインタビューで語る、これまでの道程と未来

インタビュー
音楽
2015.8.25
GARNiDELiA(写真左・メイリア、写真右・toku)

GARNiDELiA(写真左・メイリア、写真右・toku)

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いま原点を明らかにし、大いなる飛躍へ。


デビュー以来、発表したシングルには全てアニメのタイアップが付き、アニソンのアーティストとしての確固たる地位を築いたGARNiDELiA。しかし、彼女たちは『アニソン』愛を明らかにしつつも、その枠組みの中のみにとどまる存在ではなく、元よりそこだけを目指してきたわけではない。色々な音楽ジャンルのエッセンスを吸収・消化し、ポップセンスあふれるそのサウンドは、確かにアニメの主題歌としての親和性は抜群。それは同時に、万人の耳に届くべき優れたポップソングであるということ。フィールドを、ジャンルの壁を、国境の壁をも超えて進み続けるGARNiDELiAが、節目となるインディーズベスト『BiRTHiA』と11月に控える3rdワンマンの話題を中心に、自らのスタンスや目指すべき姿まで、ボリュームたっぷりに語ってくれた。


――8月26日にインディーズベスト『BiRTHiA』がリリースされますが、このタイミングでのリリースとなった経緯からお訊きしたいです。

メイリア:メジャーデビューから1年ちょっと経つ間に、ファーストアルバムを出して、ライブもやらせていただいてるんですが、ライブではインディーズ時代の曲も歌っているんです。メジャーデビュー以降から私たちを知ってくれた人たちもいるので、私たちがどういう音楽をやってきて、今のこういう音楽にたどり着いたかという“ストーリー”を「ちゃんとみんなに知ってもらいたいな」という気持ちがあって。それにインディーズ時代の楽曲を形に残しておきたい気持ちもあったところに、このタイミングでスタッフの方から「出してみませんか」っておっしゃっていただけたので「ぜひ、やりましょう!」っていう流れです。やっときっかけというか、「チャンスが回ってきたな!」っていう。

toku:当初は6曲くらいのミニアルバムにしようという話だったんですけど、「これもあれも入れたいな」ってなってくるとどうしても……結果、15曲!みたいな(笑)。

メイリア:もともとあった2枚のミニアルバムを入れてるので、あの……選びきれなかったんですよね(笑)。

――その中でMVを撮りなおして先行公開した「ARiA」という楽曲があります。この曲にはやはり格段の思い入れがあったんでしょうか?

toku:そうですね。ガルニデを始めるきっかけとなった曲かな、という気持ちがあって。ニコ動とかに、僕ら2人の組み合わせで投稿した最初の楽曲で、この曲のおかげで僕らは今ここにいられるのかなとも思うんです。そういった意味で思い入れのすごくある「ARiA」のMVを作って、先行して公開しました。


――MVがまたすごく素晴らしい仕上がりで。

メイリア:ありがとうございます!!

toku:最初に上げた当時の「ARiA」の動画もインパクトのあるものだったので、それに引けめないようにというのはありました。

メイリア:2次元だったものを3次元にするっていう意味では、結構壁はありましたけど(笑)。やるからには「これ実写にする意味あるの?」みたいに思われるのは嫌だったし、気合を入れて、監督さんとも話し合いながらこだわって作りました。

――撮影中、何か大変だったことはありますか?

メイリア:撮影場所が洞窟だったんですけど、すっごく寒くて! 夏に撮影したのに8℃くらいしかないんですよ。衣装もすごく薄くて、わたしは寝そべったり座ったりするシーンがあるんですけど、ヒエッヒエの……あのアイスを練る鉄板みたいで、わたしアイスになった気分でした(一同笑)。本当に寒くて、撮影も一日がかりだったので凍えてたんですけど、それがバレてなければいいなって(笑)。

――大丈夫。画面からは見えてこなかったですよ。それからアルバムには初回特典として海冬レイジさん書下ろし小説が付いてきますね。

toku:実は「ARiA」を発表した当時から「「ARiA」を題材にした小説を書きたい」というオファーを海冬先生からいただいていたんです。ボカロラノベがまだまだ認知されてない頃で、出来上がってはいたものの表に至らずにいました。当時から世に出す機会はどこかで設けましょうっていう話はしてて、結構時間が経ってはしまったのですが、今回は良い機会だなと思って「今回のリリースでCDと一緒に出すのはどうでしょう?」ってご提案したところ快諾をいただけました。

――100ページというボリュームはすごいですよね。「特典」という範疇を超えているなぁと思いました。

メイリア:やばいんですよ、ホントにすごいボリュームなんです(笑)。

toku:かなりボリュームありますよね。もともとラノベ一冊サイズのものが出来上がっていたので、それをシェイプアップしていただいたものではあるんですけど、それでも豪華版といった感じです。だから……ぜひ初回盤を手に取っていただきたいなと!(笑)

 

――間違いないです! あとはタイトルについても伺いたいんですが、『BiRTHiA』というのは造語ですよね。

toku:はい。“BIRTH”(誕生の意)の最後に付いている“iA”って、「場所」とかの意味合いがある言葉なので、ガルニデの名前自体もそうなんですけど、『BiRTHiA』に関しては、「生まれた場所」とか、「ここから生まれて進む道」っていう意味を混ぜた造語ですね。この楽曲たちによって僕らは生まれたし、曲によって生かされている部分もあるので。

――ここからまた先に進んで行く上での……

toku:「原点」ですね。

――なるほど。「ここから」でいうと、11月7日、豊洲PITでの大きなライブが控えています。

メイリア:はい!!

toku:……デカいっすねぇ……!

――1stワンマンがキャパ500位のO-WEST、2ndが1000人規模のRIQUIDROOM、そして。

メイリア3000!(笑)

toku:いやぁ、間にZepp(編集部注:2000人規模)で一回やりたかったなぁみたいな(一同笑)。

メイリア:ちょうど昨日2人で、豊洲PITをどんなところか自分たちの目で見に行ったんですよ。そうしたら「デカっ!」「広~!!」って(笑)。

toku:それに一番後ろからでもステージが観えるなぁと思って。良いハコでした! ……あとはやっぱり「デカいな」と。

――会場の大きさっていうのは、今までと比べて、見せ方の部分や演出の内容にも影響してくるんでしょうか。

メイリア:やれることが増えるなっていうのは凄く思っていて。ガルニデは今までずっと、大きい会場でやりたいことを考えてきたので、たくさんあるんです。「やっとそれが実現し始めるな」という喜びはあります。今までは会場の関係でできなかったことも、ガルニデの音楽に合う演出だったり、思い描いてたものが表現できそうなのが楽しみで。ライブに向けてのミーティングも最近あったんですけど、とりあえずやりたいことを全部言う!みたいな。

toku:今までのライブもそうだったんですけど、ガルニデはロックもダンスもバラードもやるので、その色々な要素を持っているっていう部分を、今まで以上に、より……なんていうの?

メイリア:より感じてもらえるように。かなりボリューミーにもなると思うし、『BiRTHiA』の曲も含めて今までの曲をたくさんやると思います。多分かなり踊るし、盛りだくさんになるはずです! あと2人とも派手なことが好きなので(笑)、派手な感じのステージにはしたいですね。

――それは期待大です。プレッシャーはあまり感じていなそうですね。

メイリア:プレッシャー……は、あまり無いかもしれないですね! すごく久しぶりのワンマンになるので、みんなも待っててくれていると思うし、私たちも海外のライブを経験したり、色々吸収したものがあるので、それをここで発揮したいという、楽しみな気持ちの方が強いです。もちろん「ちゃんと埋まるかな?!」みたいな思いはありますけど(笑)。でも絶対楽しいライブになる!っていうのは、確信しているというか……頑張りたいですね!

――以前に、ライブに関して「ガルニデのお客さんは色んなお客さんがいて、ノリからして様々だ」っておっしゃっていましたけど、その部分は最近も変わらないですか?

メイリア:そうですね。いま『BiRTHiA』のリリースイベントでも全国を回っているんですけど……色んな方がいますね(笑)。

toku:色んなジャンルの方がいらっしゃいます。ノリもそれぞれで楽しい。

メイリア:でもワンマンになると、みんな息が合うみたいな部分もあって、やっぱりそこがワンマンの凄いところなのかなって思ったりもします。みんなの気持ちやベクトルが一つの方向に向かう感じですね。

toku:とはいっても、ひとつのノリを押し付けるつもりは全くなくて。海外に行っても国によってまったく違うし、そこでみんなと楽しむっていうのは今までと比べてハードルが上がってきている気はしますけど、今までのライブで間違ってなかったと思える部分はたくさんあるし、これからもっと見せていきたい部分を、ワンマンには詰め込めているかなとは思っていて。……そのあたりがやっぱり「楽しみ」っていうことになるのかな。

メイリア:まだ本番まで期間があるからそう思えるのかもしれないですけど。

――一週間前とかになったら……

メイリア:「ヤバい、ヤバい!!」って(一同笑)。

――それも含めて楽しみですよね。ちらっと海外のお話が出ましたけど、最近も海外に行かれてて。

メイリア:最近はオーストラリアと香港にいってました。

――メイリアさん、カカシ先生(漫画・NARUTOのキャラ)と写真撮ってましたよね?

toku:あっはっは!

メイリア:そうなんですよ(笑)。イベント会場で移動中に歩いていたら、すっごいクオリティの高いカカシ先生コスの人がいて。めっちゃ遠くから「カカシ先生だ!」って、みんなは気づいてなかったんですけど、「写真撮ってくる」って走って行って。

tokuみんなを止めてね(一同笑)。

――海外でのタイトなスケジュールの間でも楽しみながら、ということですね。

toku:そうですね。楽しんだ要素に関しては、大体インスタに上がってます(笑)。

――実は見てます(笑)。先ほど海外でのノリの違い、という話も出ていましたが。

メイリア:全然違いますよね、やっぱり。日本と海外の違いももちろんですけど、海外でも国によって全く違うし。オーストラリアだとアニソンみたいな文化がまだあまり浸透していなくて、普通に曲を聴く感じなんです。日本だと一体感をもって、合いの手が入ったりクラップが入るところでも、オーストラリアだとペンライト振ってたり、首振ってたり……不思議なタイミングで声を発してる人がいたり(笑)。

toku:オーストラリアも英語圏だから、アメリカとは近いところはあったかもね。

メイリア:うん。アメリカだと間奏とか、ロングトーンで歌う箇所で「YEAH!!」とか「ヒュー!ヒュー!」とか、“今の良かったぜ”みたいにリアクションしてくれたりしますね。やっぱり海外ノリだなぁって思います。

toku:アジア圏は一緒に歌うしね。大合唱で。

――ほかに行ってみたい国とかあります?

toku:ヨーロッパ圏はまだ行ったことがないので、行ってみたいです。でもヨーロッパだと特に、クラバーのアニソン好きがいてクロスオーバーが上手くいっている国と、そうでない国がハッキリ分かれているので、難しい部分はあるかもしれないですけどね。そのあたりはオーストラリアでも感じたんですけど、盛り上がるけどアニソンのノリはまったく日本とは違うんですよ。でもシアトルだと経験者が多くて「オイ!オイ!」って言えるっていう。

メイリア:それにアニソンに限らず、普通のロックでも日本だと曲に合わせて掛け声をしたりしますけど、向こうだとあまり無いんですよ。

――アニソン、ロックというワードも出ましたが、お2人の楽曲って、確かに“アニソン”ではあるんですけど、“アニソンをやろう”というところを目指して作られているだけじゃないな、と思うんです。

toku:そうですね。それはやっぱりあるんですよ。メジャーになってからのシングルがすごく早い曲だったりとか、実際“アニソン的”な曲をやってるんですけど、今までガルニデがやってきた曲ってそういう曲ばかりではなくて。だから『BiRTHiA』っていうアルバムの位置づけが大事だな、必要だなと思ったのもあるんです。

――なるほど。ではメジャーデビュー以降の様々なタイアップが付いた“アニソン楽曲”を制作する上で、プレッシャーであったり、本来のガルニデとは別の方法論を取ることもあったんでしょうか?

toku:そうですね……『魔法科高校の劣等生』(後期のオープニング曲を担当)のときなんかは、「RISING HOPE」(LiSAが歌った前期オープニング)が結構テンションの高い曲だったし……言い方が正しいか分からないですけど、LiSAさんが“アニソンぽくない”方向にシフトした楽曲だったのかなっていう思いがあって。だから僕らはアニソンらしい楽曲にしようとか、そういうバランスは取ろうと思っていたんですけど……結局“ガルニデ感”というか、自分たちの作ったものはあくまで“ガルニデのサウンド”になっていくんだなぁと最終的は思えたんですよね。だから最初に気にしていたよりは、全然気にしなくなったというか。

メイリア:後期を担当するということは、前期の曲と比較されるのは絶対避けられないですし、そこは覚悟の上でやっていたので、そこまで意識することはなかったかもしれないですね。それよりも、アニメの監督さんや台本が求めている曲、「ストーリーの展開に合わせてこういう曲がほしい」っていうところに応えることを意識していたかもしれないです。

――そこはガルニデが今までの楽曲で一貫されている思いですよね。

toku:ですね。外からの情報だったりとか今までの楽曲といった要素を加味して曲を作るのか、脚本から感じ取ったものを曲にして「作品とコラボする」のか、僕らの仕事はどちらなのかっていう。捉え方次第で軸が全然変わってきちゃうので、そこはブレないようにしてたかなと。

――きっとそのあたりが、聴いていて感じる“ガルニデらしさ”なんでしょうね。作品ごと楽曲ごとに雰囲気は違っても、どこか“らしさ”を感じるのは、その「軸」だという。少し話は変わるんですけど、ガルニデは作品ごとに曲調だけでなくビジュアル面もガラッと変えるのも印象的です。

メイリア:毎回髪色からして違いますからね(笑)。ガルニデはやっぱり「音だけでなくて目でも楽しんでもらいたい」って思っているので、ビジュアル面のコンセプトも楽曲の世界観に合わせて私が考えているんです。だから楽曲の世界観と、衣装に合わせて髪色も決めてるんですけど……結構、「今回は何色にしちゃお!」とか気軽に決めたりもしますけどね(笑)。

――そんなメイリアさんのノリと勢いで決定した髪色に、tokuさんは巻き添えになるわけですか?

メイリア:巻き添えだよね?

toku:巻き添えですね……もう、とばっちりですよ(一同爆笑)。でも僕の衣装も全部メイリアが考えてくれているので、その流れで行くと「普通に黒髪でいるのはおかしいぞ」という思いもありますし、楽しいですけどね(笑)。

――確かに。でもその甲斐あってガルニデはポップアイコン感がありますよね。

メイリア:めっちゃうれしいー! ありがとうございます! もともと活動を始めてからデビューするまでが長かったし、自分たちで色々考えながらやってきた期間の長さが要因かもしれないですね。

――その視覚面、見せ方も含めて、総合的にセルフプロデュースする戦略性というか、方向性はすごく2000年代以降の流れを感じます。

toku:そうですね。見えるところは全部自分たちの意見が入ってますっていう感じは、現在のアーティストって皆さんあると思うんですよ。そういうトータルのパッケージみたいなものをお客さんも観たいのかなって。ファッションにしろ音楽にしろ、誰かに作られてる感っていうのがあまり好きじゃない人が多いのかなって思うし。その中で「僕らはこのくらいのバランスですよ」って。

――そこがマッチもしたし、評価されてここまで進んでこられて、節目のアルバムが出て、大きなライブも決定したわけですが、この先。「こんなことをしたい」「こんな風に進んで行きたい」という部分を伺いたいです。

メイリア:さっきも話に出たように、私たちって「アニソンだけやりたい」みたいな考えではなくて、他にも素敵なコラボレーションができそうだったら色んなことに挑戦したいなっていうのはありますし、一つのことに捉われず、ジャンルの壁を越えて色んな人に私たちの音楽を届けていきたいっていうのが、最終目標としてあります。カテゴリに捉われて「このジャンルは聴かない」「このジャンルだから聴く」っていう方もいると思うんですけど、その壁を壊していきたいんですよね……そういう人にも、私たちの音楽に限らず「ここにこんなに素晴らしい音楽があるんだよ」って伝えていく役割が出来たらなと思うし、ビジュアル面の話もそこに繋がってくるというか。色々な入り口を作って、色々な人と出会っていきたいですね。

――コラボレーションなんかも良いですよね!

メイリア:そうなんです! 他のアーティストさんとコラボしてみたいっていうのはあります!

――ずばり、コラボしてみたいアーティストさんは!?

メイリア:えっと……私たち、男女2人組ユニットなので、『男女2人組フェス』とかやってみたいですね。

toku:いま増えてるしね(笑)。

メイリア:それにちょうどこの間、香港でfripSideさんとご一緒したんですけど、「やろうよ!」っていう話をしていたんです。angelaさんも入っていただいて!

――その3組だけで、もうすごく見たい感じですよ?

メイリア:大先輩方なので「やってもらえるかなぁ?」っていう感じではありますけど、みなさんすごく優しいので、もしかしたら実現できるかもしれないです。

toku:アニソンだけでもMYTH & ROIDとか、TRUSTRICKもそうだし。

メイリア:そうそう!

――夢は広がりますね。そういう新しい試みも先ほどおっしゃってた「壁を壊す」ことにも繋がってくると思うんですよね。もっと言えば、そういう偏見ってもともと活動してらっしゃったニコ動にもありますよね。

メイリア:そう! そうなんです! 私たちのデビューが決まった時に「こいつらニコ動出身なんでしょ?」みたいなことを言われたり、逆にその前にニコ動で「ARiA」を最初にアップした時には「こいつプロなんでしょ?」って言われたりもして、「どっちなの!?」って思ったり(笑)。それにまだまだアニソンシーンにも「ニコ動は聴かない」っていう人たちもいるのは感じてますし。

toku:うん。でも……そう言われながらも、僕らはやりたいことをやってきたので。色々悩みはしましたけど(笑)。

――悩みつつも、ここまでも自然と「壁を壊して」きてますよね。

メイリア:はい!

toku:結局、応援してくれる人の声が大きくて、助けられてますし。

メイリア:だから……アニソンにも、ニコ動にも本当に良い曲たくさんあるし、素敵な人がいっぱいいるんですよ。それを伝えていきたいから、これからも「壁を壊して」いきたいなって思いますね、やっぱり!


撮影=風間大洋 インタビュー=加東岳史・風間大洋

ライブ情報
stellacage vol.III

日時:2015年11月7日(土)
会場:東京・豊洲PIT


 

 

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